第 3 章 背景モデルの適応的探索法 15
3.2 Visual background extractor を用いた実装
3.1節で述べた探索手法を具体的な背景モデルに適用するためには,前景検出の閾値th と観測画素値と背景モデルの距離dを適用する背景モデルに応じて設計する必要がある.
本節では背景モデルの一例として,Visual background extractor (ViBe) [11]を用いた設 計を述べる.ViBeの詳細は付録Aを参照されたい.
ViBeによる背景モデルは画素ごとに構築され,背景サンプルと呼ばれるN個のRGBの 輝度値から背景の色をモデル化している.時刻tにおける画素iの背景モデルをMt(xi) = {v1,v2, . . . ,vN}とし,vjはj番目の背景サンプルである.前景検出は現在の観測画素値 と背景サンプルのユークリッド距離に基づいて行われる.観測画素値から距離R未満の背 景サンプルが♯min個以上あるとき,背景と判定し,そうでなければ前景として検出する.
3.2 Visual background extractor を用いた実装
0 5 10
^ e
i0 5 10
¾
RThreshold R
i20 25 30 35 40
図 3.4: Riの特性(R = 40).前景検出閾値Riは再投影誤差ˆeiが大きくなるほど,小さく なる.つまり,移動物体領域ほど小さな前景検出閾値となる傾向にある.また,σRは再投 影誤差の増加がRiに与える影響を制御する.例えば,σR= 5にのときに比べて,σR= 10 のとき再投影誤差の増加に対して緩やかにRiに減少している.
3.2.1 前景検出の閾値 th
3.1.4節で述べたthとして,観測画素値と背景サンプルとの距離に関する閾値Rを画素
ごとに独立して設定する.ViBeの前景検出の手順によると,小さな閾値ほど観測画素値 が前景として検出されやすくなる.そこで,再投影誤差が大きいほど,小さな閾値となる ようにthを設計することで,移動物体領域では小さな閾値となりやすく,前景の検出漏 れを防ぐことが可能となる.上記を満たすように,th(ˆei) = Riを次のように定義する.
Ri = [
1.5− {
1 + exp (
−eˆi
σR
)}−1]
R (3.6)
(a) 観測画像 (b) 背景モデルから生成された画像
図 3.5: ViBeによる背景モデルから生成された画像例.人領域を取り除いた画像が生成さ
れており,人領域に相当する箇所に歪みが確認できる.人領域は前景と判定されたため,
ホモグラフィによる画素の対応付けによって更新されており,単にホモグラフィによる画 素の対応付けでは不十分であることが確認できる.
Rは閾値の上限であり,0.5R ≤Ri < Rである.また,σR は再投影誤差の前景検出閾値 の決定への影響を制御するパラメータであり,実験的にシーンの再投影誤差の平均に基づ いて手動で設定した.図3.4にR= 40のときのRiとeˆi, σRの関係を示す.σRが大きいほ ど,再投影誤差の前景検出閾値の決定に与える影響が小さくなり,前景検出閾値は大きく なる傾向にある.
3.2.2 観測画素値と背景モデルの距離 d
式3.7と式3.8を用いて,dを定義する.
d(It(xi), Mt−1(xj)) =∥It(xi)−Ibg(xj)∥ (3.7) Ibg(xj) = 1
N
∑N k=1
vk (3.8)
3.3 実験設定