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 航空機は、安全上追風が10ノット(5m/秒)以上にならないよう風に向か って離着陸することになっている。

 大阪国際空港で さ、通常北よりの風が吹いており、豊中市方同から着陸してい

〔出典〕『大阪国際空溜公害問題の概要』=豊中市、p.8 より作成

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資料⑤「航空機騒音による身体的被害」

ア 難聴・耳鳴り

  騒音によって聴力に影響を受ける程度についても個人差があることは当然 であるが、広い地域に暴露される航空機騒音による被害の有無の判断は、そ  の地域に居住する平均人を基準とするが、家族構成には音に対する抵抗力の

弱い者も含まれていることを考慮して定あるべきである。

  また、地域住民は航空機騒音の及ぶ環境を自ら求めたものではなく、航空 機によってほとんど利益を得ることもないものであるから、いっそう騒音に 対する保護をはからなければならないとする見地に立って、被害の有無を判 断しなければならない。よって、大阪空港周辺の騒音に関する限り、それが 単独または他の要因とあいまって、難聴・耳鳴りの原因となっているものと 認ある。

イ 身体障害

  胃腸障害・心臓疾患・高血圧・頭痛・生理不順等の障害は、精神的心理的 状態によって大きく左右されるものであり、原告らが多年にわたり連日強大  な航空機騒音にさらされていることからすれば、精神的苦痛が生理機能の変

調をきたすことは当然考えられることであり、この変調がさらに精神的苦痛  を増すという相互作用によって障害が深刻化して行くことも考えられること  である。このような状況のもとにおいて、身体障害の発生をまったく認めな  いことは現実的でなく、今後さらに障害が拡大し重大化して行く危険がある。

 したがって、大阪空港を利用する航空機騒音はそれ自体が、もしくは他の原 因とあいまって身体障害の一部の発生原因となり、または他の原因によって 生じた障害を悪化させているものと推定すべく、現にそのような障害が生じ  ていない原告らも、等しくその発生の危険にさらされている状況にあるもの  と認めるのが相当である。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時幸艮社、pp.254−256より作成

資料⑥「身体的被害を認めた理由」

 身体障害と航空機騒音ないし排気ガスとの因果関係を個別具体的に確定する ことは困難である。しかし、被害発生の可能性は航空機騒音ないし排気ガスの 及ぶ地域の住民全員に同一であり、いまだ症状の顕在化していない者にも影響 が及んでいる可能性があるのだから、すでに被害の現実化した者とそうでない

者を区別する理由はなく、地域住民を集団的に観察してその一部の者に航空機 騒音等による疾患が生じていることが推定され、その他の者にも同様の危険性 が生じていることが明らかであれば住民全員について被害が発生し、または少 なくとも侵害の現実の危険があるものとして、その保護または救済が図られな ければならない。

 また、被害を住民全体についてみるとき、多数の住民の中には老・幼・病者 等とくに心身の安静を必要とし、あるいは騒音等に対する抵抗力が弱いとみら れる者が相当数存在し、また、夜間勤務者等特殊な生活条件に置かれている者 も存在することは、当然予想されるところであり、このような者に対しても騒 音等の影響が及んではならないとする見地から、被害の有無を考えるべきであ

る。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、p.261より作成

資料⑦「大阪国際空港の機能」

 大阪空港は立地条件自体が特に劣悪であって、大量のジェット機を発着させ る時は周辺の住民に大きな影響を与えることは避けがたい。このように大阪空 港設置の目的に従った通常の利用が直ちに損害を発生させることになる以上、

大量発着を予定する国際空港ないしは国内幹線空港として備えるべき性質を欠

いている。

〔出典〕『判例時報1025号』判例時報社、p.268 より作成

資料⑧「大阪国際空港の公共性と被害」

ア 空港の公共性

 大阪空港の昭和44・46・48年の年間乗降臨画は、それぞれ約650

万人・約950万人・約1200万人と急増している。また、大阪空港に年

 間発着した昭和44・46・48年の国際貨物量もそれぞれ約4400トン・

約16300トン・約26200トンと急増している。

イ 空港の利用制限

  航空及び大阪空港の公共性を考えるにあたっては、そのもたらす社会的・

経済的利益のみでなく、その反面に生ずる損失面を考慮することが必要であ

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る。この見地に立つとき、大阪空港に発着する航空機の騒音等による影響は 広範囲にわたり、原告らを含む多数の住民に重大な被害を及ぼしていると認

められる。しかも、被害に対する適切な措置もとられないまま経過してきた とみられるので、被害の発生を継続しつつ公共性を主張することには限度が ある。よって・被害軽減のためにはある程度の不便が生ずることもやむをえ ないものとしなければならない。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、p.267より作成

資料⑨「精神的被害」

ア 情緒的障害

  宮崎学医師の研究によると、100ホン騒音を受けた人は脳への血流の著  しい増加が見られ、これが頭痛や不快感を生ずるという結果が表れている。

 また、町田恭三氏らがクレペリン検査を通じて児童・生徒に航空機騒音の及  ぼす心理的影響を調査したところでは、騒音により情緒的混乱が起こること  があり、その影響は年齢の低い者ほど大きいという結果が得られたことが認  められる。

  以上のことから、航空機特にジェット機の騒音は日常生活上襲に類をみな  いほどに強大であり、かつ高周波成分を含む金事性の音であるから、このよ  うな騒音にさらされている原告ら全員が強い不快感・いらだちを覚えている  ことは当然である。

イ 墜落の恐怖

  航空機の統計上の安全率がいかに高かろうとも、墜落その他の事故は時折 報道されるとおり絶無ではなく、いったん事故が発生すれば地上にも大規模  な被害をもたらす危険があることは明白であり、しかも事故が離着陸の前後  に多いことを考えれば、大阪空港に極めて近い地域に居住し、頻繁に離着陸 する航空機の直下に日夜生活する原告らが墜落の危険を恐れるのは当然であ

 る。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、p.250 より作成

資料⑩「睡眠妨害」

航空機騒音が睡眠に大きな影響を及ぼすことは明らかであり、離着陸が午前 7時から午後10時までとされている現在においても、早朝・夜間の飛行は睡 眠に影響していること、このような地域社会には、昼寝を必要とする幼児・老 人・病人や昼間に睡眠をとらなければならない夜間勤務者も相当数居住してい るので、昼間の頻繁な航空機騒音はこれらの者の睡眠をも妨害していることが 認められる。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、p.258 より作成

資料⑪「日常生活の妨害」

ア 会話の妨害

 厚生省騒音環境基準専門委員会が各種研究結果を収集整理したところ、騒 音レベルが45ホンの時の通常会話の可能距離は約4mであり、70ホンで

は会話可能距離は0.5m塚下となる。このような研究に照らしても、原告ら  すべてが頻繁な航空機飛来の都度屋外屋内を問わず会話を妨害され、日常生

活に支障を来していることは当然である。

イ 電話の通話妨害

  航空機騒音により電話の通話は妨害され、しかも通話時間が延長し料金が 増加すること、通話の相手方に騒音の実庸が必ずしも明らかでないため、会 話のくいちがいが起こることなどの支障を来している。

ウ テレビ・ラジオの視聴障害

  航空機騒音によりテレビ・ラジオの音声がかき消され、航空機飛来の都度  テレビの映像・色調等が乱されている。現代あ社会において、テレビ・ラジ  オが最も手近な娯楽の手.段であるばかりでなく、情報入手の重要な手段でも  あることを考えれば、これらの視聴障害もまた軽視しえない被害といわなけ  ればならない。

工 思考中断・読書妨害

  頻繁に上空を通過する航空機の強大な騒音が人の思考や読書の妨げとなる  ことは各種アンケート結果にも明らかなところである。したがって、原告ら

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 にとって航空機騒音は新聞雑誌を読み手紙を書く等の日常の行為の妨げとも  なり、あるいは精神的労働に携わる者の仕事の障害となるなど多くの影響を  及ぼしており、その被害も深刻なものと認められる。

オ 家庭生活に及ぼす影響

  航空機騒音特に夜間も午後10時まで繰り返される騒音が原告らの家庭内  における憩いと団らんの妨げとなっており、夜間の飛行間隔が長いことを考

慮してもその影響を軽視しえない。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、pp.258−259 より作成

資料⑫「国の航空機政策」

ア 大阪空港の問題点

  大阪空港は多数の住民の居住する地域に極めて接近して存在し、空港自体  も狭く多数の大型機・ジェット宇戸を離着陸させることによって、周辺住民  に騒音等による影響を与えることは避けがたい状況にあるものと認められ、

 このような劣悪な立地条件にある大阪空港において、国際空港に指定したこ  と自体すでに無理があったものというほかないのである。

イ 住民の被害

  被告は、騒音等による被害発生の懸念を指摘されながら、これを防止する  ための適時の対策を講ずることなく大阪空港にジェット機を就航させ、発着

機数を増加し、B滑走路を新設するなどして、影響を増大させて来たのであ  り、その後も対策が遅れがちのまま大阪空港の使用を継続して原告らに被害  を与え、今なおその抜本的な解消の見通しは得られないのである。

〔出典〕r判例時報 1025号』判例時報社、p. 267 より作成

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