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検討条件(浅層不整形効果②)

¾ 地盤変位分布への展開方法

¾Case1

地震波長を固定、地盤変位を増加

L

Uh(一様地盤)

Uh’(不整形地盤)

L

Uh(一様地盤)

Uh’(不整形地盤)

¾Case2

地震波長を減少、地盤変位を固定

Uh

L(一様地盤)

L’(不整形地盤)

L(一様地盤)

L’(不整形地盤)

0.01 0.1 1

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

地盤歪(浅層不整形地盤)

管歪(地震波長を固定、地盤変位を変化)

管歪(地震波長を変化、地盤変位を固定)

0.51%

0.34%

Case1

Case2

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6.漏洩の発生判定< Step2 >

¾ 顕著な断面変形を生じる局部座屈発生に到ると、繰返し負荷により漏洩が生 じるものと考える。

¾ 漏洩判定では、長柱座屈発生後の変形が局部座屈開始点を超えるかを判定 する。

公称歪εn 公称応力σn

長柱座屈 開始点

局部座屈 開始点

長柱座屈開始後に 変形がどこまで進むか。

(例)変形が停止した状態 =局部座屈が発生

長柱座屈開始後

座屈が発生すると、その部分だけ抵抗 力(突っ張る力)が減少し、座屈部に変 形が集中する。

地震波 管

長柱座屈後の変形解析

長柱座屈開始後

座屈部線形ばねモデル

Uh 線形ばね(弾性係数E’をパラメータとする)

Lw

公称応力σn

線形ばね E’大

線形ばね E’中

長柱座屈後の 変形停止点 長柱座屈

開始点

局部座屈 開始点 地震波

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漏洩判定(局部座屈判定)

線形ばねの収縮量 公称応力σn

Tg1 Tg2 Tg3

Tg4

¾ 地盤固有周期により、長柱座屈部の収縮量は変化する。

¾ 地盤固有周期をパラメータとして、変形停止時の座屈部線形ばねの収縮量を 求め、収縮量を2D平均圧縮歪に変換して、局部座屈判定図を作成する。

¾ 許容歪3.0%を超える地盤固有周期の範囲を、漏洩発生と判定する。

2D平均圧縮歪ε2DC

地盤固有周期 Tg

許容歪(=3.0%) 局部座屈開始歪

漏洩発生となる 地盤固有周期範囲 地盤固有周期

により変化

各Tgにおける変形停止時の収縮量算出 局部座屈判定図 変形停止点(Tg1

7.対策案の検討(限界直線長)

¾ 長柱座屈が発生するための圧縮力は、主に直線配管に作用する管-地盤の 摩擦力により生じる。

→ 直線区間長が短い場合、長柱座屈変形に必要な圧縮力が発生しない。

あるいは、長柱座屈が発生しても漏洩発生には到らない。

¾ 被害が発生しない直線区間長の上限を設け、「限界直線長」とする。

¾ 要対策となった区間について、伏越し等を配置することで、限界直線長以下に 区切る対策案を検討する。

ε2DC

直線長 減 地震波長Lw

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7.長柱座屈判定表

¾ 管種・口径について以下の情報を示した判定表を作成する。

¾ 長柱座屈が生じない限界直線長

¾ 長柱座屈が発生する地盤固有周期の範囲

¾ 長柱座屈が発生し、且つ漏洩発生となる地盤固有周期の範囲

■:長柱座屈が発生するが漏洩発生には到らない。

■:長柱座屈が発生し、漏洩発生 ・・・要対策

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 2.5~

50A ○○m 80A ○○m 100A ○○m

地盤固有周期 Tg (sec) 限界直線長

管種 口径

SGP

D平均圧縮歪ε2DC

地盤固有周期Tg 許容歪(=3.0%) 局部座屈開始歪

漏洩発生となる 地盤固有周期範囲 D平均圧縮歪ε2DC

地盤固有周期Tg 許容歪(=3.0%) 局部座屈開始歪

漏洩発生となる 地盤固有周期範囲

長柱座屈発生となる 地盤固有周期範囲 0.41%

長柱座屈開始歪 地盤歪

管歪

0.01 0.10 1.00

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

εp>εbcr・・・長柱座屈発生

0.01 0.10 1.00

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

εp>εbcr・・・長柱座屈発生

計算例

SGP 100A

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0 10 20 30 40 50

0 1 2 3 4 5 6

vcr (cm) σ (N/cm2 )

0 100 200 300 400

0 2 4 6 8 10

ε (%)

σ (MPa)

SGP 100A

¾ 材料特性

長い降伏棚型の材料(降伏棚端=2.0% )

¾ 地盤ばね特性(管軸直角方向)

高圧ガス耐震 双曲線近似 土被り=1.5m

Ck=1.0(通常地盤)

JGA(双曲線近似、100A) 7/1000・E

290 174

SGP

TS 二次勾配

(MPa) YS

(MPa)

SGP STPG370

材料のS-Sカーブ 地盤ばね特性

長柱座屈解析結果

200 300 400

σn (MPa)

200 300 400

σn (MPa) 5m

2D

長柱座屈開始点 局部座屈開始点

長柱座屈開始点 局部座屈開始点

SGP 100A SGP 100A

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長柱座屈判定

0.6s~1.0s 0.31%

SGP100A

長柱座屈発生 地盤固有周期 長柱座屈開始歪

ε5m 管種・口径

0.001 0.010 0.100 1.000

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

地盤ひずみ 高圧ガス耐震 100A 降伏歪(YS=174) 長柱座屈開始歪 長柱座屈発生

地盤固有周期=0.6~1.0sec

長柱座屈判定 地盤歪

管歪

長柱座屈開始歪

0 2 4 6 8 10

ε2DC (%)

局部座屈判定

SGP100A 3.0%

局部座屈許容歪 ε2DC

0.8s~0.9s 6.5%

SGP100A

局部座屈発生 地盤固有周期 局部座屈開始歪

ε2DC 管種・口径

0 100 200 300 400

公称応力σn (MPa)

局部座屈開始点

局部座屈開始歪 ε2DC=6.5%

SGP 100A

ε2DC許容歪=3.0%

局部座屈発生

地盤固有周期=0.8~0.9sec 許容歪(3.0%) 局部座屈開始歪

23

限界直線長

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4

0 50 100 150

Lp (m) εmax (%)

Tg=2.0s Tg=1.0s Tg=0.6s 長柱座屈開始歪

限界直線長 105m 直線区間長Lp

地震波長Lw

直線区間長Lp 地震波長Lw

¾ 管の公称歪が長柱座屈開始歪を超える直線長 ・・・「長柱座屈の限界直線長」

¾ 座屈部の2D平均圧縮歪=許容値となる直線長 ・・・「局部座屈の限界直線長」

¾ 長柱座屈の限界直線長は、SGP100Aの場合は105mとなる。

直線長の変化

地震波長(地盤固有周期)の変化 長柱座屈が発生しない限界直線長

判定表

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0 2.5~

50A 80A

100A 1 0 5 m

管種 口径 限界直線長 地盤固有周期 Tg (sec)

SGP

¾ SGP 100A の判定

¾ 地盤固有周期 0.6sec ~ 1.0sec で長柱座屈発生の可能性あり。

¾ さらに、地盤固有周期0.8sec~0.9secでは、局部座屈発生(漏洩発生)に到る。

¾ 直線区間長105m未満の導管では、長柱座屈が発生しない。

平成22年10月6日

地震対策技術調査事業の対象範囲について

1. 本検討における前提条件

(1) 材料特性

材料特性については、RH型と長い降伏棚型の 2 種類を用い全ての管が一様であり、同じ特性を持つとし て解析している。RH型は耐座屈性能がよく、全ての口径で長柱座屈開始すらしない結果となる。規格には、引 っ張り強さと降伏強度の規定しかない(SGP には降伏強度の規定無し)ため、SS カーブの形については独自に 引張り試験を実施しないと判別できないが、現実の設計においては引張り試験を行うことは稀であり、どちらの材 料特性を持つ管であるかは不明である場合が多い。安全側の評価を行うためには、長い降伏棚型の材料と仮 定せざるを得ないのが実態である。長い降伏棚型の発現頻度について、定量的な評価は困難であるが、昨年 度実験で購入した管及びガス事業者が保有しているデータについては長い降伏棚型の材料特性を持つものは 存在しなかった。また、長い降伏棚型とRH型が混在している場合に長柱座屈の被害が発生するのは、長い降 伏棚型の材料が発生応力の大きくなる箇所に配置されている時であり、長い降伏棚の発現頻度と合わせて考 慮すると極稀であると推定される。

(2) 地震動及び地盤ひずみ

地震動については、高圧ガス導管耐震設計指針で規定されているレベル 2 地震動を用いている。この地震 動の特徴は、数百mという非常に長い波長で地盤ひずみが分布することを想定しており、座屈現象には厳しい 外力を与えるものである。また、パイプラインの軸方向に入力されるという最も厳しい条件となっている。

(3) 浅層不整形の効果

浅層不整形の効果については、浅層不整形地盤(傾斜角度 5 度以上)に埋設されている場合に高圧ガス 導管耐震設計指針と同様に地盤ひずみを下記の式で求めている。

2 3 2 1

2 G G

G

ε ε

ε = +

ε

G3=0.3%(浅層不整形の効果)、

ε

G1:一様地盤ひずみ

上乗せする0.3%のひずみは基盤傾斜角度が45度程度の非常に急な傾斜を想定したものである。また、浅層 不整形の効果については、波長の概念がないため不整形の効果が数百mと非常に広い範囲に及ぶこととなる。

2. 一様地盤における計算結果

棚の長い材料かつ無限長の場合の計算結果を以下に示す。

(1) 計算結果

管種 口径 降伏応力 長柱座屈 局部座屈 固有周期

100 174M㎩ SMYS*1 × × 0.8~0.9s

150 174M㎩ SMYS × ○ 被害なし

SGP

150 235M㎩ 実力下限値*2 × ○ 被害なし

100 215M㎩ SMYS × × 1.1~1.4s

STPG

150 215M㎩ SMYS ○ ○ 被害なし

*1:SMYS 規格最小降伏応力 。SGPについては、規格最小引っ張り強さの3/5

*2:NKKの過去の技術資料による。

資料3

平成22年10月6日

(2) 評価

一様地盤においては、150Aでは管種、降伏応力に係らず被害が発生しない結果となり、これまでの被害実績 と整合もしており、150Aと 100Aに座屈性能の違いがあるという傾向は確認できた。一方、100A については、

SGP、STPG ともに狭い固有周期帯ではあるが被害が発生する結果となっているが、実際に中越沖地震で被害

のあった箇所の固有周期とは一致していない。

3. 浅層不整形地盤における計算結果

棚の長い材料かつ無限長の場合の計算結果を以下に示す。

(1) 計算結果

管種 口径 降伏応力 長柱座屈 局部座屈 固有周期

100 174M㎩ SMYS × × 0.6s~

150 174M㎩ SMYS × ○ 被害なし

SGP

150 235M㎩ 実力下限値 × × 0.7~1.7s

100 215M㎩ SMYS × × 0.8s~

STPG

150 215M㎩ SMYS × × 1.1s~

(2) 評価

浅層不整形地盤においては、SGP150Aでも降伏応力を実力下限値レベルに設定するとかなり広い固有周期 帯で被害が発生する結果となる。しかし、SGP150A 以上については、これまでも長柱座屈被害は確認されてい ないため、実力値レベルでも実際には被害が発生していないと推定できる。

4. まとめ

本検討の前提条件の影響を検討し、計算結果を示してきたが、一様地盤においては150Aには被害が発生し ないという結果を得ることができたが、100Aについては計算上被害の発生する固有周期帯と実際の被害のあっ た固有周期帯は一致していない。一方、浅層不整形地盤においては被害実態とは整合しない結果となっている。

これは、材料特性、地震動、浅層不整形の効果の織り込み等の前提条件が、非常に厳しい安全側の評価を行 うためであると考える。

これまでの被害実績は、中越沖地震でも150A以上には被害が発生しておらず、100A以下の15箇所(中圧:

50A 5箇所、80A 5箇所、100A 3箇所、高圧:100A 2箇所)という非常に限定されたもののみであり、その他 の地震ではどの口径においても長柱座屈被害は発生していない。

よって、本検討の対象範囲を被害実績のある100A以下と限定したい。

以上

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