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エンジニアリング㈱

平成 22 年度地方都市ガス事業天然ガス化促進対策調査

次世代保安向上技術調査(地震対策技術調査(長柱座屈開始以降における小口径管の長柱座屈対応策の検討) )

1.概要

平成21年度事業において検証された長柱座屈の数値解析手法を用いて、小口径管の長柱座屈現象に対する評価方法、

および対応策を検討する。

2.長柱座屈の判定フロー

図1に示すように、長柱座屈の発生を判定するStep1と、長柱座屈発生後の変形が損傷・漏洩に到るかを判定する Step2の2段階評価とする。

3.許容歪

部分解析モデルを用いた長柱座屈解析結果から、管種・口径ごとの許容歪を設定する。

(1)長柱座屈の許容歪 解析で得られた鋼管の変形特性(図2)において、軸圧縮変形から長柱座屈変形に移行する

点を長柱座屈開始点とし、長柱座屈発生箇所を含む5m区間の平均軸歪を許容歪とする。

(2)局部座屈の許容歪 長柱座屈部の変形特性(図3)において、曲げモーメントが最大となり局部座屈が発生する

点を局部座屈開始点とする。その時の2D平均圧縮歪を限界歪とし、安全側評価として許容歪

は3.0%(高圧ガス耐震の許容歪)を採用する。

4.検討条件

本検討における解析条件を表2に示す。

5.長柱座屈の発生判定<Step1>

長柱座屈判定では地震動入力により長柱座屈が発生するまで の変形を取り扱う。高圧ガス耐震のレベル2地震動に対する管 発生歪を用いて、長柱座屈開始歪より大きな歪が発生する場合 は長柱座屈が生じるものと判定する(図4)。判定表では管種、

口径に対して、長柱座屈が発生する可能性のある地盤固有周期 の範囲を示す。

6.漏洩の発生判定<Step2>

漏洩の発生判定では長柱座屈発生後の座屈部の変形に着目し、その変形が局部座屈発生に到る場合に損傷(漏洩)

とみなす。長柱座屈が生じた部分を線形ばね要素に置き換え、ばね係数を変化させた解析(図5)を行い、座屈区間 の収縮量と地盤変位による外力入力がバランスする条件を探索することで、長柱座屈発生後の座屈部の変形状態を求 める。その変形状態が局部座屈の許容値を超える場合は、局部座屈が生じ損傷に到るものと判定する(図6)。

判定表では、局部座屈が発生する地盤固有周期の範囲を示す。

7.対策案の検討(限界直線長の設定)

直線区間長が地震波長よりも短い場合、長柱座屈発生に必要な外力が生じない可能性、あるいは長柱座屈が発生し ても局部座屈に到らない可能性がある。被害が生じない直線長の上限(限界直線長)を設定し、伏せ越し等を配置す ることにより、要対策導管の直線区間長を限界直線長以下に区切る対策方法を検討する。

判定 歪の種類 許容歪 長柱座屈 5m平均

軸歪

長柱座屈 開始歪 局部座屈

(漏洩)

2D平均

圧縮歪 3.0%

0 100 200 300 400

0 2 4 6 8 10

2D平均圧縮歪 ε2DC (%) 応力σn (MPa)

0 2 4 6 8 10

ント M (kNm)

表1 許容歪の設定 図1 長柱座屈の判定フロー

平成22年10月6日 JFEエンジニアリング㈱

図2 長柱座屈開始歪

図4 長柱座屈判定

図5 座屈部線形ばねモデル 地盤固有周期 Tg

D平均縮歪ε2DC

局部座屈開始歪

許容歪(局部座屈)

局部座屈 発生範囲

図6 局部座屈判定

No

長柱座屈部の発生歪 ε2DC 許容歪(局部座屈) ε2DC_cr

許容歪(長柱座屈) εbcr

L2地震動での管歪 εp

【Step1】長柱座屈の発生判定

検討不要 εp<εbcr Yes

長柱座屈発生 Step2へ

【Step2】漏洩の発生判定 長柱座屈発生

漏洩に到らず ε2DC<ε2DC_cr Yes

No 要対策

図7 座屈部線形ばねモデル(有限長の導管)

資料2-1

地盤固有周期 Tg D縮歪ε2DC

許容歪(局部座屈)

無限長 限界直線長 直線長

図8 局部座屈判定(限界直線長時)

図3 局部座屈開始歪

(長柱座屈開始点)

局部座屈開始点

許容歪 3.0%

M 0

100 200 300 400

0 1 2 3 4 5

5m平均軸歪 ε5m (%) 応力σn (MPa)

長柱座屈開始点

(局部座屈開始点)

長柱座屈開始歪

5m 2D

ε2DC

直線区間長 地震波長

0.01 0.10 1.00

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

長柱座屈 発生範囲 地盤歪

管歪

長柱座屈開始歪 管歪>長柱座屈開始歪

σn

ばね要素に置換(ばね係数をパラメータ)

地震波長 地震波

長柱座屈発生 地震波

1

長柱座屈開始以降における

小口径管の長柱座屈対応策の検討

平成22年 10月 6日

JFEエンジニアリング株式会社

資料2-2 平成 22 年度地方都市ガス事業天然ガス化促進対策調査

(次世代保安向上技術調査(地震対策技術調査))

2.長柱座屈の判定フロー

許容歪(長柱座屈)εbcr L2地震動での管歪εp

【Step 1】長柱座屈の発生判定

εp<εbcr Yes 検討不要 No

長柱座屈発生 Step2へ

長柱座屈部の発生歪ε2DC 許容歪(局部座屈)ε2DC_cr

【Step 2】漏洩の発生判定

長柱座屈発生

漏洩に到らず ε2DC<ε2DC_cr Yes

No 要対策

3

3.許容歪

¾ 長柱座屈解析(部分解析モデル)

初期形状

ビーム要素

ビーム要素 シェル要素

5m

0 1 2

0 100 200 300 400 500

最大1cm

強制変位 強制変位

公称歪 εn 公称応力σn

長柱座屈開始点

公称歪 εn 公称応力σn

局部座屈開始点

長柱座屈解析で得られる 導管の変形性能

実際の導管の状態は、外力、

地盤条件によって変わる。

長柱座屈が 発生しないケース

長柱座屈が発生するが、

漏洩に到らないケース

長柱座屈が発生し、

漏洩に到るケース

5m 平均軸歪と 2D 平均圧縮歪

5m

① 長柱座屈開始まで ② 長柱座屈後

長柱座屈開始までは、全体的に一様な軸圧縮 を受けるため、5m平均軸歪で評価する。

長柱座屈後は、座屈部の曲げ変形が主となる ため、ゲージ長2Dでの平均圧縮歪で評価する。

2D

n

長柱座屈開始点

n 局部座屈開始点

ε2DC

1D 1D

ε5m

5

長柱座屈の許容歪

¾ 最大応力点(最大荷重点)=長柱座屈開始点

¾ 長柱座屈の許容歪は、長柱座屈開始点の5m平均軸歪で定義

0 100 200 300 400

0 1 2 3 4 5

5m平均軸歪 ε5m (%) 公称応力σn (MPa)

長柱座屈開始点

(局部座屈開始点)

長柱座屈開始歪=許容歪 圧縮が最大

長柱座屈変形が生じる直前までの状態を評価

単純軸圧縮状態での歪が許容歪(長柱座屈開始歪)を 超えると、長柱座屈変形が生じる。

地震波 管

0 100 200 300 400

0 2 4 6 8 10

2D平均圧縮歪 ε (%) 公称応力 σn (MPa)

0 2 4 6 8 10

曲げモーメント M (kN・m)

局部座屈の許容歪

¾ 最大曲げモーメント点=局部座屈開始点

¾ 局部座屈の許容歪は、座屈部を中心としたゲージ長2Dの平均圧縮歪で定義し、

高圧ガス耐震のレベル2許容歪と同じ3.0%を採用する。

FEM解析で得られる局部座屈開始歪は6~9%程度であり、高圧ガス 耐震の許容歪より大きい。

ε

2DC

1D 1D

θ2D

(長柱座屈開始点)

局部座屈開始点 許容歪(3.0%)

地震波 管

σn

M

7

4.検討条件

¾ 検討条件(管のS-Sカーブ)

S-Sカーブは降伏棚型(LE型)を適用する。

① ラウンドハウス型(RH型)では長柱座屈が発生しない。

(L2地震動による管歪は最大0.41%)

② LE型は、RH型よりも長柱座屈開始歪が小さく、長柱座屈が発生する可能性がある。

③ 実際の管では、 RH 型か LE 型かの区別がつかないため、 LE 型で安全側評価とする。

0 100 200 300 400

0 1 2 3

5m平均軸歪 ε5m (%) 公称応力σn (MPa)

0 100 200 300 400

0 2 4 6 8 10

ε (%)

σ (MPa) RH型

LE型

SGP 50A SGP 50A

LE型 RH型

長柱座屈開始歪(RH型)=0.64%

長柱座屈開始歪(LE型)=0.19%

材料のS-Sカーブ(RH型、LE型) 長柱座屈解析結果(RH型、LE型)

検討条件(管の強度)

¾ 従来の設計手法と同様に、規格最小値を用いる。

¾ 引張強さは規格最小引張強さを用いる。

¾ 降伏点は規格最小降伏点(STPG370)、または規格最小引張強さの60%(SGP)

を用いる。

¾ 降伏棚の長さは、一律2.0%とする。

¾ 降伏棚後の勾配は、7/1000×Eとする。(Eは鋼のヤング率)

370 MPa 290 MPa 引張強さ 2.0%

215 MPa STPG370

2.0%

174 MPa SGP

降伏棚長さ 降伏点

管種

200 300 400

引張強さ

7/1000・E

9

0 10 20 30 40 50

0 1 2 3 4 5 6

相対変位 δ (cm) 地盤拘束力 σ (N/cm2 )

検討条件(地盤ばね特性)

¾ 地盤ばね特性は、高圧ガス耐震に示されている特性を用いる。

ただし、管軸直角方向の地盤ばね特性は、双曲線近似の特性を用いる。

(昨年度事業の精度検証結果から)

¾ 土被りは、一律1.5mとする。

¾ 通常の締固め状態を想定し、地盤ばね低減係数Ck=1.0とする。

JGA(2直線近似、Ck=1.0)

JGA(双曲線近似、Ck=1.0)

0 0.5 1 1.5 2

0 0.5 1

相対変位 δ(cm) 地盤拘束力 τ(N/cm2 )

JGA(2直線近似)

管軸方向の地盤ばね特性 管軸直角方向の地盤ばね特性(100A)

一様地盤歪εG1 0.1

1

ε (%)

0.51%

0.34%

0.16%

0.41%

検討条件(浅層不整形効果①)

¾ 高圧ガス耐震における浅層不整形効果

・ 浅層不整形地盤における地盤歪 ε

G2

ε

G1

=一様地盤歪

ε

G3

=0.3%(浅層不整形の効果)

2 3 G 2 1 G 2

G

= ε + ε

ε

浅層不整形地盤歪εG2

11

検討条件(浅層不整形効果②)

¾ 地盤変位分布への展開方法

¾Case1

地震波長を固定、地盤変位を増加

L

Uh(一様地盤)

Uh’(不整形地盤)

L

Uh(一様地盤)

Uh’(不整形地盤)

¾Case2

地震波長を減少、地盤変位を固定

Uh

L(一様地盤)

L’(不整形地盤)

L(一様地盤)

L’(不整形地盤)

0.01 0.1 1

0.1 1 10

地盤固有周期 (sec)

ε (%)

地盤歪(浅層不整形地盤)

管歪(地震波長を固定、地盤変位を変化)

管歪(地震波長を変化、地盤変位を固定)

0.51%

0.34%

Case1

Case2

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