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ロボット群実験結果

ロボット群実験の結果を9 に示す.9 が示すように,ロボット群実験の結果は計 算機シミュレーションの結果9 と同様の傾向を示している.しかし,計算機シミュレー ション結果とロボット群実験の結果に差異が大きい.これは,フェロモン濃度に関するモデル化 が限定的ではあるが有効であることを示している.4 % に実験結果の数値を示す.

計算機シミュレーション実験と同様に,9 が示すように,フェロモン濃度が Kのとき と比べてフェロモン濃度が , Kのときに敷設 0・強化!回数が多い.

これは,フェロモン・コミュニケーションを行って集団採餌を行う方がランダム・ウォークで餌 を発見して採餌するよりも効果的であることを示す.また,計算機シミュレーションほどではな

章 ロボット群におけるフェロモン・コミュニケーションの性質の解明

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いが,フェロモン濃度を上げるにつれて敷設回数が強化回数に迫る現象が見られる.この現象は,

計算機シミュレーションと同様にフェロモンの蒸発速度が原因になっている.蒸発速度が上がる ことによって,環境中にフェロモンが残り難くなり,フェロモン・トレイルを敷設しても,フェロ モンを用いていない状態とさほど変わらないことになる.

章 ロボット群におけるフェロモン・コミュニケーションの性質の解明

議論

計算機シミュレーションとロボット群実験に関する議論

計算機シミュレーション結果とロボット群実験結果を9 に示す.

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9 に示すように,計算機シミュレーション結果とロボット群実験結果は必ずしも一致し ない.例として, Kのフェロモンを用いた実験に注目する9 K.計算機シミュ レーション実験では,敷設 0が強化!を完全に上回っている.これは,フェ ロモン・コミュニケーションを行った集団採餌よりもランダム・ウォークから*を発見する個 体採餌の回数の方が多いことを示す.この原因としては,以下の点が考えられる.

計算機シミュレーションにおけるフェロモン・モデルのモデル化誤差

モデル設計時の実験条件とロボット群実験時における室温・湿度の差

ロボットのフェロモン放出量誤差

付録で行った計測は精密な電子秤で行った.そのため,モデルに誤差は少ないと考えられる.

しかし,モデル設計時に行った実験条件と実際のロボット群実験時では条件が異なる.特に室温・

湿度の差が大きい.予備実験時の室温は ℃であり,湿度はKであった.しかし,ロボット群 の実験を行う部屋は室温℃程度,湿度はその日の天気次第であるが K程度である.つまり,

ロボット群実験を行う部屋の方が室温が高く,フェロモンエタノールは蒸発・消失しやすい.し かし,9 に示すようにロボット群実験の方がフェロモン・トレイルが残留しやすいという 結果になっている.このことから,ロボットのフェロモンの放出誤差が計算機シミュレーショ ンとロボット群実験間の誤差を生み出していると考えられる.ロボットに搭載しているマイクロ ポンプは毎分 <L=の液体を放出する能力がある.このポンプを用いると,必要以上のフェ ロモンを実験環境に放出してしまい,フェロモン・トレイルが実験時間 分間以上残留してし まう.そのため,9 に示すように,タンク・ポンプ間とポンプ・排出間に圧力抵抗を設けて いる.これはネジ式の圧力抵抗であるが,実験中に圧力抵抗が下がっている可能性がある.この 結果,フェロモンの放出量が増加し,環境中の残留時間が延長していることが考えられる.

章 ロボット群におけるフェロモン・コミュニケーションの性質の解明

ロボット群に関する議論

本研究では,エタノールをフェロモンの代用に用いている.エタノールと水の混合はロボット にとってトレード・オフ問題をもたらす.高濃度フェロモンエタノールはシグナル強度は強い が持続時間が短い.低濃度フェロモンはシグナル強度は弱いが持続時間が長い.このトレード・オ フ問題は群れにとって非常に興味深い問題である.動的なタスクに対しては,短い持続時間が求 められる.もし,シグナル持続時間が長ければ,フェロモン・トレイルは可塑性を失い,動的な 問題に対する機能は低下する.この例は,フェロモン・コミュニケーションを行うロボット群には 適切なフェロモン濃度が必要なことを示唆する.ロボット群はKまでのフェロモンに対して感 受性を持つようにセンサを設定している.より低濃度のフェロモン例えばK以下のフェロモ ンを検出することは困難になる.このため,残留時間とシグナル強度の関係はトレード・オフな 問題になる.

昆虫学からの議論

今回構築したシステムは,社会性昆虫のリクルート召集行動を模している.リクルート行動 は,集団行動採餌や巣の移動が必要な場所に巣仲間を呼び寄せるコミュニケーションのことで ある <=.典型的な例としては,ヒアリ属# の一種における,採餌リクルート行動が挙 げられる<=.リクルート行動とそれに続く集団行動の間,道標フェロモンは,集団コミュニケー ションに重要な役割を果たすことになる.

今回結果の主要なポイントは,道標フェロモンがフェロモン以外の物質と混合して分泌される ときには,最適な中間的濃度があるということである.アリでは,道標フェロモンは主として毒腺

# 0,デュフール腺-)!)8 0や後腸から分泌される.これらの分泌腺は,他 の多くの化学物質を分泌することでも知られている <=.これらの化学物質は,複雑なコミュニ ケーションシステムを持ついくつかの社会性昆虫において,時として高度に特化したフェロモン となっている.したがって,道標フェロモンが,道標フェロモンの活性を持たない化学物質とと もに分泌されることはよくあると考えられる.一般的に,混合状態での化学物質の揮発性は,そ の溶液の表面に存在する分子数に比例する.よって,そのとき道標フェロモンの揮発性は,フェ ロモン単独で存在するときよりも低くなっていると考えられる.本システムは,水とエタノール の混合物を用いており,揮発性は分子間相互作用によっても影響を受けると思われるが,一般的 な傾向はどんな混合物フェロモンにおいても成り立つと考える.

生物における道標フェロモン混合物の物理化学的性質については,生物学の今後の研究課題で ある.道標フェロモンに関する先行研究では,フェロモン物質は人為的に有機溶媒アセトンやヘ キサン;これらは非常に迅速に揮発するに溶解させた状態で研究されており,「生物溶媒」にさ まざまな濃度で溶解させたフェロモンの揮発性などは考慮されていないように思われる.いくつ かの研究において,道標フェロモンの量について,中間的な量が最適であるという結果が得られ ている <;=.そしてそれらの結果は,昆虫の触角の感度の文脈で議論されている:すなわち,

フェロモン量が多すぎると,道標の両側に拡散してしまい道標を追随するのが困難になってしま うし,少なすぎると,道標を追随すること自体が困難になってしまうということである.この結 果は,フェロモン濃度の新しい側面に光を当てるものである.私は,社会性昆虫は混合溶液とし て分泌する道標フェロモンにおいて,最適な中間濃度のフェロモンを進化させていると考えてい る:すなわち,高すぎる濃度は揮発性の点で問題があり,低すぎる濃度は,感受性の点で問題があ

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