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Table 4-1. フラクションeおよびフラクション mの N—グリカン構造およびその相対比
Table 4-2. 遊離型N—グリカン構造およびその相対比
Fraction Structure Abbreviation
Control SNCs exposure
e1 GNM3FX 3 15
e2 GNM3FX 5 24
e3 GN2M3X 3 18
m1 Gal2F2GN2M3FX 18 60
Each N-glycan was also expressed in terms of percentage proportion relative to the GN2M3FX structure.
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4.3.4対照区と SNC曝露区の O. sativa根部に存在する N—グリカンについて
まず、還元末端側のGlcNAcが 2残基存在するN—グリカンの構造および相対比につい
てはTable 4-1に示した。構造比較の結果、GNM3FXの相対比は 3(対照区)から15(SNC
曝露区)、GNM3FXの相対比は 5(対照区)から24(SNC曝露区)、GN2M3Xの相対比は
3(対照区)から 18(SNC 曝露区)、Gal2F2GN2M3FX の相対比は 18(対照区)から 60
(SNC曝露区)の値を示した。いずれの N—グリカン構造も SNC曝露区においては対照 区の5〜6倍の値を示した。これら 4種類のN-グリカンはいずれも複合型N—グリカンで あり、シスゴルジからメディアルゴルジにおいて高度な糖修飾を受けて生合成される分 子である。従って、複合型N—グリカンのような複雑な N-グリカン構造が SNC曝露区に おいて顕著な増加を示したことに関しては、これらの生合成を司るシスゴルジからメデ ィアルゴルジに対してSNC曝露の影響が生じていることが考えられた。タンパク質に結 合した複合型N—グリカンの適切な生合成は、結合するタンパク質の適切なターゲティン グや機能性に関連することや(Rips et al., 2014, von Schaewen et al., 2015)、塩ストレスな ど の 外 的 ス ト レ ス へ の 抵 抗 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る事 か ら
(Kang et al., 2008, von Schaewen et al., 2008)、ゴルジ局在型の N—グリカン生合成酵素は 植物の生長や発達に密接に関連している事が示されている。SNC曝露区ではより複雑な
構造の Gal2F2GN2M3FX の相対比の増加の幅がやや小さく、GNM3FX、GNM3FX および
GN2M3X の増加が顕著であった事から、SNC 曝露の影響は GNM3FX、GNM3FX および
GN2M3X の生合成を行う経路上流部に生じやすく、より複雑な N—グリカンの生合成を
行う経路下流部への影響は比較的少ないことが示唆された。またこの結果から、N—グリ カン生合成経路への影響はより複雑な N—グリカンを生合成するのための中間生成物と なる N—グリカンに顕著に現れ、中間生成物となる複合型 N—グリカンは過度なストレス 条件において生体の状態変化に対して重要な役割を果たしていることが考えられた。
さらに SNC 曝露区において相対比の増加が確認された遊離型 N-グリカンの構造およ び相対比についてはTable 4-2 に示した。遊離型のハイマンノース型 N—グリカンである
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M7、M8およびM9は SNC曝露区において対照区の約3倍の値を示した。一般的に、遊 離型ハイマンノース型 N—グリカンは糖タンパク質のリサイクリングシステムにおいて 生成される分子であることから、、SNC曝露を受けたO. sativa根部においてミスフォー ルド糖タンパク質や生長過程において変性した糖タンパク質が増加した結果、SNC曝露 区における遊離型ハイマンノース型N—グリカンの相対比が増加したことが考えられた。
遊離型 GNM3X の相対比は 9(対照区)から 58(SNC 曝露区)と約 6 倍に増加した。
遊離型GNM3Xは O. sativa芽部においても確認されているが、芽部における挙動は確認
されなかった。遊離型の複合型N—グリカンは、一般的に検出される遊離型ハイマンノー ス型N—グリカンとは異なり、ゴルジ器官における高度な糖修飾を受けているという特徴 がある。しかしながら、遊離型の複合型N—グリカンは植物から検出された例が少ないた め、遊離型複合型N—グリカンの生物学的意義についてはよく知られていないのが現状で ある。このような現状の中、本研究のSNC曝露を受けたO. sativa 根部において遊離型複 合型 N—グリカン相対比の著しい増加が確認されたことから、遊離型の複合型 N—グリカ ンは SNC 曝露により変性した糖タンパク質から遊離した N—グリカンであることが考え られた。また、本研究において環境変化を受けたO. sativa 根部における遊離型の複合型
N—グリカンの増加が明らかとなったことから、N—グリカンはタンパク質の翻訳後修飾の
1 つとしてタンパク質の性質や機能性に関わるだけではなく、N—グリカンそのものが劇 的な環境変化を受けた植物の生長や発達にとって重要であることが示唆された。