フラクション e3は、サイズ分画 HPLC 分析において他の複合型 N−グリカンのフラク
ションe1(GNM3FX)、e2(GNM3FX)、e4(GN2M3X)と同じフラクションであった事か
ら、これら3つの複合型 N−グリカンと同様の糖組成であることが考えられた。また、高 橋らの二次元糖鎖マップ情報から、フラクションe3はM3FX構造にガラクトース1残基
とGlcNAc1残基が結合したGalGNM3FX構造とG.Uの値が同様であることが示されたた
め、ラクト−N−ビオシダーゼを用いた酵素消化による構成糖の確認を行った。ポジティ ブコントロールはラクト−N−テトラオース[Galβ1,3GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glc-PA]を用いた。
ラクト−N−ビオシダーゼ消化の結果、G.U が 1.42 前にシフトしたフラクションが検出さ れたため、ラクト−N−テトラオースのGalβ1,3GlcNAc 1ユニットが遊離したことを確認し
た(Fig. 3-5A-II)。ポジティブコントロールの結果を踏まえ、フラクションe3のラクト−
N−ビオシダーゼ消化を行った。その結果、フラクション e3はG.Uが 1.55前にシフトし
(Fig. 3-5B-II)、M3X の G.Uに近い値となった。この事から、フラクションe3 は M3X
構造の非還元末端側にGalβ1,3GlcNAc1ユニットが結合していることが考えられた。さら に、フラクションe3のα-マンノシダーゼ消化を行ったところ、消化産物はα-マンノース が 1 残基遊離したフラクションが 14%、未消化のフラクション e3 構造が 72%、フラク ションe3よりもG.Uが0.16大きいフラクションが14%の割合で検出された(Fig. 3-5C-II)。
なお、α-マンノシダーゼ消化は M3が基質の場合に消化産物のM1が 36%、M2 が64%の 割合に消化される酵素消化条件で行った事から、フラクションe3に対するα—マンノシダ ーゼ活性の低さは別分岐鎖の非還元末端に存在する Galβ1,3GlcNAcとの立体障害に起因 するものと考えられる。また、フラクションe3に対するラクト−N−ビオシダーゼ活性の 低さについては、コアマンノシルコア構造に結合する他の糖による立体障害に起因する ものであることが示唆された。上記のように、ラクト−N−ビオシダーゼ消化後のフラク ション e3 の G.U は M3X のものと殆ど一致する事から、フラクション e3 のコア構造は M3X と仮定すると、フラクション e3 に対するラクト−N−ビオシダーゼ活性の低さは、
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Galβ1,3GlcNAc 残基がコアマンノシル構造のα1,3 アームに結合していることによるコア
β1,2キシロースとの立体障害のためだと考えられる。従って、フラクション e3の推定構 造はM3X構造のα1,3アームにGalβ1,3GlcNAc 1ユニットが結合したGalGNM3X 構造であ ることが強く示唆された。
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Fig. 3-5. e3 のラクト−N−ビオシダーゼおよびα—マンノシダーゼ消化産物のサイズ分画
HPLC結果
A-I,ラクト−N−テトラオース、A-II, A-Iのラクト−N−ビオシダーゼ消化後
B-I, e3、B-II, B-Iのラクト−N−ビオシダーゼ消化後 C-I, e3、C-II, B-Iのα—マンノシダーゼ消化後
A B
5 6
4
10 20
5
Fluorescence intensity
15
Elution time (min)
3
I
II
6 7 8
5 9
15 25
10
Fluorescence intensity
20
Elution time (min)
4
I
II
6 7 8
5 9
15 25
10
Fluorescence intensity
20
Elution time (min)