• 検索結果がありません。

MALDI−TOF/MSは、多量のマトリックスと共にサンプルをイオン化させる方法と質量

電荷比 m/z の差をイオンの飛行時間の差に反映されることを利用した質量分析法を組み 合わせた分析手法である。逆相HPLCにて分取した6本のフラクションはm/z値からN− グリカンの構造を推定した(Table 1−1)。質量分析の結果、フラクションa1からは1120.84 (H+)、1142.85 (Na+)、1158.82 (K+)の m/z値が得られた。このm/z値はヘキソース 3残基、

ペ ン ト ー ス 1 残 基 、N− ア セ チ ル へ キ ソ サ ミ ン 2 残 基 か ら 構 成 さ れ る M3X 構 造 [(Hex)3(HexNAc)2(Pent)1−PA]の m/z値に相当したため、フラクション a1はM3X 構造と推 定した。同様に、フラクションb1はヘキソース3残基、ペントース1残基、デオキシヘ キ ソ ー ス 1 残 基 、N− ア セ チ ル へ キ ソ サ ミ ン 2 残 基 か ら 構 成 さ れ る M3FX 構 造 [(Hex)3(HexNAc)2(Deoxyhexose)1(Pent)1−PA]、フラクションb2はヘキソース4残基、ペン ト ー ス 1 残 基 、N− ア セ チ ル へ キ ソ サ ミ ン 2 残 基 か ら 構 成 さ れ る M4X 構 造 [(Hex)4(HexNAc)2(Pent)1−PA]、フラクション c1はヘキソース5 残基、N−アセチルへキソ サミン 2残基から構成されるM5構造[(Hex)5(HexNAc)2−PA]、フラクション d1はヘキソ ース 6 残基、N−アセチルへキソサミン 2残基から構成される M6 構造[(Hex)6(HexNAc)2

−PA]、フラクション e1はヘキソース3残基、ペントース 1残基、デオキシヘキソース1 残 基 、N− ア セ チ ル へ キ ソ サ ミ ン 4 残 基 か ら 構 成 さ れ る GN2M3FX 構 造 [(Hex)3(HexNAc)4(Deoxyhexose)1(Pent)1−PA]と推定された。

25

Table 1−1. 質量分析による検出値およびその推定構造

a1

b1 b2 c1 d1 e1

Fraction Mass (observed) Mass (expected) Estimated Composition

(Hex)6(HexNAc)2-PA 1120.84 (H+)

1142.85 (Na+) 1288.81 (Na+) 1158.82 (K+) 1304.76 (K+)

1122.03 (H+) (Hex)3(HexNAc)2(Pent)1-PA

1304.24 (Na+) 1350.70 (K+) 1334.79 (Na+)

(Hex)3(HexNAc)4(Deoxyhexose)1(Pent)1-PA 1290.17 (Na+)

1160.12 (K+) 1144.01 (Na+)

(Hex)5(HexNAc)2-PA 1306.28 (K+)

(Hex)3(HexNAc)2(Deoxyhexose)1(Pent)1-PA (Hex)4(HexNAc)2(Pent)1-PA

1352.27 (K+) 1306.15 (Na+) 1336.16 (Na+)

1711.06 (K+) 1695.06 (Na+) 1496.15 (Na+)

1712.70 (K+) 1696.59 (Na+) 1498.30 (Na+)

26

1.3.4フラクションa1の構造解析

質量分析の結果から、フラクションa1は(Hex)3(HexNAc)2(Pent)1−PAの糖組成を有する M3X構造であることが推測されたため、α−マンノシダーゼ消化による構成糖および結合 の種類の確認を行った。酵素消化により遊離した糖はグルコースユニット(Glucose Unit,

以下G.U)の推移により判断した。グルコースユニットの換算は長束らのG.U換算方法

(Natsuka and Hase, 1998)を用いた。その結果、G.Uがフラクション a1の 5.59から1.26お よび2.11前にシフトしたフラクションが確認された事から(Fig. 1−3−II)、フラクション a1 は非還元末端側にα−マンノースが 2 残基結合した構造であることが明らかとなった。

また、標準糖鎖の M3 の G.U は 5.18 である事から、植物型 N—グリカンに特徴的なコア マンノシルコア構造へのβ1,2キシロースの結合による G.U のシフトは 0.4 であることが 示された。

27

Fig. 1−3. フラクションa1のα−マンノシダーゼ消化消化産物のサイズ分画HPLC結果

I, 酵素消化前 a1、II, Iの—マンノシダーゼ消化後

F lor es ce n ce in te n si ty

6 7

5

20 15

10 Elution time (min)

4 3

I

II

28

1.3.5フラクションb1の構造解析

質量分析の結果から、フラクション b1 は(Hex)3(HexNAc)2(Deoxyhexose)1(Pent)1−PA の 糖組成を有する M3FX構造であることが推測されたため、α−マンノシダーゼおよびβ1,2 キシロシダーゼ消化による構成糖および結合の種類の確認を行った。α−マンノシダーゼ 消化の結果、G.Uがフラクション b1の 6.11 から2.36前にシフトしたフラクションが確 認された事から(Fig. 1−4−II)、フラクション b1 は非還元末端側にα−マンノースが 2 残 基結合した構造であることが示された。さらに、このフラクションに対してβ1,2キシロ シダーゼ消化を行った結果、G.Uが0.71前にシフトしたフラクションが確認された事か ら(Fig. 1−4−III)、フラクション b1 はコアマンノシルコア構造へのβ1,2キシロースが 1 残基結合した構造であることが示された。また、本酵素消化条件では、M3X から M2X は86.8%、MXは13.2%生成されることが示された。β1,2キシロース 1残基の G.Uが 1.3.4 に記述したM3X と僅かに異なる点に関しては、M3FX構造に存在するコアα1,6フコース の存在の有無により、そのG.Uが変動することが考えられた。

29

Fig. 1−4. フラクション b1 のα−マンノシダーゼおよびβ1,2キシロシダーゼ消化産物のサ

イズ分画HPLC結果

I, g3、II, Iのα−マンノシダーゼ消化後、III, IIのβ1,2キシロシダーゼ消化後

F lor es ce n ce in te n si ty

25 17

8

4 5 6 7

Elution time (min)

3

*

*

* *

* I

II

III

30