4 QUEST-NSTX-U 日米共同研究
2.4 代表的研究プロジェクトの実施状況
2.4.5 QUEST プロジェクトの実施状況 研究組織
高温プラズマ力学研究センター
教 授 図子秀樹 教 授 花田和明
教 授 藤澤彰英 准 教 授 上瀧恵里子 准 教 授 出射 浩 准 教 授 永島芳彦 客員教授 上田良夫 客員准教授 江尻 晶
(2011. 4. 1 ~ 2013. 3. 31) (2011. 4. 1 ~ 2013. 3. 31)
客員教授 藤田隆明 客員教授 久保 伸
(2012. 4. 1 ~ 2013. 3. 31) (2012. 4. 1 ~ )
客員教授 畑山明聖 客員教授 大野哲晴
(2013. 4. 1 ~ ) (2013. 4. 1 ~ )
客員教授 井手俊介
(2013. 4. 1 ~ )
特任教授 佐藤浩之助 プラズマ表面相互作用分野
教 授 中村一男 准 教 授 徳永和俊 助 教 長谷川真
極限構造材料分野
特任教授 吉田直亮 准 教 授 渡邊英雄 共同研究者
約 140 名
高温プラズマ力学研究センターは応用力学研究所拠点共同研究に加えて核融合分野において“双方向型 共同研究”を展開している.この共同研究活動は,外部委員( 12 名),内部委員( 8 名)から構成され,
外部委員がコーディネータ(高瀬東大教授)を務める“QUEST 実験推進会議”によって運営されている のが 特徴である.こうして推進している“QUEST プロジェクト”は「非誘導方式でのトカマクプラズマ の定常化と高温壁下での粒子リサイクリングの制御法の開発」を研究課題としており,第1期計画では中 核装置 QUEST の建設と約 10kA の非誘導電流を 0.7s 間維持することに成功し,引き続き 2010 年度より 第2期計画を進めている.
1.第2期中期目標・中期計画の概要と到達点
第2期では,基本性能の確認として,最大電流 100kA をオーミック電流により達成し,また球状トカ マク配位を最大磁場 0.25T,アスペクト比 1.4,楕円度 1.2,主半径 =0.68m,小半径 =0.48m,非誘導
駆動電流 52kA,維持時間1秒の条件で達成している.非誘導電流駆動法によって,内側リミッター配位,
上下ヌル点ダイバータ-配位に加えて,髙ポロイダルベータ値(プラズマ圧力と電流による磁気圧の比)
で実現可能な自発ダイバータ-配位を見いだしている.これらの配位は数十秒から最大 13 分程度安定に 保持できる.トカマク配位の定常化研究では共同研究の知見をもとに,対向材の高温維持,局所熱負荷低 減対策,リサイクリング束一定・燃料ガス制御法の開発,ホール素子アレイを用いた定常プラズマ電流値・
プラズマ位置制御などを行い,電流値 17KA を 820 秒間維持し,球状トカマクプラズマでは世界最高値を 収めた.
2つの主要な研究課題として1)電磁波から静電波へのモード変換を利用した高密度・髙誘電率プラズ マ中での電流駆動の実証,2)温度可変の対向材を利用し,表面再結合・内部拡散・表面堆積層への共堆 積等素過程の温度効果を活用した粒子循環制御法の開発を掲げている.前者のために電磁波入射の位相工 学を考慮した偏波面制御法を開発中し,また髙パワーの発振管を整備している.また後者のために,プラ ズマ・壁吸蔵束計測法の開発,プラズマ・壁相互作用のモデル開発に加えて,放電管内に温度制御が可能 な“高温壁”の設置を行っている.いずれも第2期中に本格実験を遂行する予定である.
国内外の連携研究を進めている.国内核融合センター間連携のもとで髙パワーの発振管(筑波大学)を 用いた電流駆動の実験を行い,第2高調波サイクロトロン非中心軸電流駆動により最大 66kA の世界最高 値を達成している.国際連携活動としては所内国際連携集会を米国人研究者(M. Peng 博士)を座長とし てヨーロッパ(英国),中国等からも参加者を募り,クエストプロジェクトの成果の吟味,今後の課題を 明らかにする活動を継続している.また日米科学技術協力事業,九大とプリンストン大学との間の部局間 交流協定,双方向型共同研究,応研国際化推進研究などの枠組みを活用して,国際プロジェクト(名称:
QUEST-NSTX-U 日米共同研究「QUEST における CHI を用いたソレノイドなしのプラズマ電流立ち上げ」
代表者:ワシントン大学 ラマン博士)を開始した.これには米国エネルギー省が予算措置し,新規電源 等を九大に持ち込み実施準備を行っている.
教育連携活動としては,共同研究を通じて,これまで他大学の4名が博士号を取得している.
2.高周波による非誘導電流駆動ならびに 定常プラズマ 2-1 概要
サイクロトロン周波数( 8.2GHz,28GHz)の電磁波をプラズマ中に入射し,電子との共鳴相互作用を
図1(左)入射パワーと到達電流値,(右)駆動電流と維持時間
利用して,プラズマ中に電流を駆動する実験を行っている.2010 年の初期実験から 2014 年現在電流値 は 6kA から 66kA に増大させることに成功している.電磁波パワーと駆動電流の関係は多の大型装置での 過去の実験と比較して図1に示すような効率の良さを示している.この方式で目標とする 100kA が見通 せる状況に到達しており,今後より効率の良いプラズマと電磁波の結合方式の開発,髙パワー化への整備 を進める.非誘導プラズマを維持するためには,注入する熱の除去に加えて,プラズマを維持するために 注入している燃料ガスの循環制御が必須であるが,低入射パワーでは電流駆動に影響を及し,精緻なプラ ズマ制御を開発している.この分野では大型装置は1秒以下の運転にとどまっており,核融合炉開発に希 求されている定常化における粒子循環に関わる知見の集積と普遍化に務めている.
クエスト装置は 8 本のトロイダルコイル,14 本のポロイダルコイルを有しており,電流駆動と組み合わ せて様々なプラズマ閉じ込め配位の形成が可能である(図2).プラズマの圧力が電流の作る磁気圧を上回 ると扁平な内側リミッター配位から自発的に内側にヌル点を持つ配位へと移行する事も確かめている.こ れは低密度での非誘導電流駆動で特有な高エネルギー電子の圧力への寄与が著しいことによる.これは自 発電流を高める条件下での電流駆動また平衡限界近傍での平衡自己維持機構の研究展開を目指している.
筑波大学との共同研究では入射電磁波の第2サイクロトロン共鳴位置がプラズマ境界の場合にも図2(右)
に示す典型的な球状トカマク配位が可能なことを見いだしている.
2-2 電流駆動と自発ダイバータ平衡配位の自己維持(筑波大学連携研究,東大,京大,NIFS 等)
H24-25 年度には筑波大学で開発した 28GHz ジャイラトロンを QUEST に設置し,電流駆動ならびに 8.2GHz 電子バーンシュタイン波動へのモード変換を利用した電流駆動法の原理実証研究を開始し,270-350kW の入射パワーにより最大 66kA の電流駆動に成功した.図3は電流一定制御を行った例であり,
球状トカマク配位が1秒以上維持されている.今後の入射系の改造・最適化と定常 28GHz 管の開発によ り,QUEST の目標である“1 MW 100kA 定常電流駆動”の実現が大いに見通せるものになった.
図2 下側ヌル点ダイバータ配位,内側ヌル点自発ダイバータ-配位,内側リミッター配位
8.2GHz サイクロトロン波を用いて,高ポロイダルベータ(βp)プラズマの生成とその維持に成功して いる.高βpプラズマの特徴は内側にヌル点を持ち,扁平形状の変形を伴う(図2参照).限られたパワー
(<100kW)条件で電流に自由度を持たせた非誘導電流駆動と一定値でFB制御する誘導電流プラズマの 双方で実験を行い,βp~ 1.8 を閾値としてヌル点が放電管内に出現することを実験的に確かめた.平衡方 程式の解析解を用いてβpの増大に対して,安定なプラズマの自己維持機構として,プラズマ自身が三角度 を負にする変形を通じてεβp~1の安定限界を保つことを見いだしている.
2-3 定常維持に向けた粒子循環(NIFS,富山・東北大学連携,京都,名古屋大,筑波大学等)
現状での長時間運転上の制約因子は高速電子がそこで損失する対向材(リミッター)等の高温化に伴う 溶損・蒸発である.このため本体外側壁保護用のガードリミッターの冷却化,冷却可動リミッター,内側 上部冷却固定リミッターの増強,冷却平板ダイバーターロッド(上部)を施した.これにより図4に示す 820 秒の定常維持が可能になった.プラズマ電流(Ip)の計測はホール素子を用い,電磁計測で問題であ る時間積分効果を完全に解決している.燃料ガスは壁との相互作用するリサイクリング束(Hα)を一定 値に保つようにピエゾ素子を用い,電圧パルスのインターバルをフィードバックする手法を適用している.
入射粒子数と排気粒子数を比較することにより,金属壁が水素原子を吸蔵する割合(R)を調べると初期 図3 駆動電流,垂直磁場,周電圧,アスペクト比,楕円度,三角度
図4 定常トカマクプラズマ;上から電流,密度,水素・ヘリウム分圧,壁吸蔵割合,リサイ クリング束,全圧,ダイバータ板裏の全圧,ダイバータ板温度変化,主半径方向プロー ブアレイ,管内 3 カ所の透過束プローブ信号,壁吸蔵束