2.2 部門の現状
2.2.3 核融合力学部門
高 エ ネ ル ギ ー プ ラ ズ マ 分 野
教 授 伊 藤 早 苗 准教授 稲 垣 滋 助 教 佐々木 真 助 教 Maxim Lesur テニュア助教 小 管 佑 輔
1 乱流プラズマの構 造形成と選択則の 総合的研究
2 プラズマ乱流統計 理論の実験的検証
3 プラズマ乱流理論 の応用
4 非平衡極限プラズ マ 全 国 共 同 連 携 ネットワーク研究
高温磁化不均一プラズマについて,乱流と構造形成の機構を解明し,自律的 構造の遷移と選択則を得ることを目的とした研究を進展させた.乱流が作り 出すプラズマ装置スケールと同程度の長距離相関を持つマクロスケール揺動 の発見に世界で初めて成功した.更に,この長距離相関揺動により,流束ー 勾配の関係に新たなヒステリシスが現れる事を明らかにした.
磁場で閉じこめられた乱流の非線形過程を直線プラズマ装置を用いて実際に 観測し,理論における予測との比較に成功した.特に乱流レイノルズ応力に よる流れ場形成機構を検証した.さらに,帯状流が励起されない場合に,乱 流が非線形過程によって塊になる「ストリーマー」を世界で初めて実験で観 測することに成功した.
太陽のタコクライン(太陽内部で回転速度が急変する層)に対して,プラズ マ乱流理論を適用し,自然界のプラズマの構造形成にあらたな理解をもたら した.
核融合プラズマ・高エネルギー密度プラズマ・プロセスプラズマ・ナノ― バ イオプラズマ等,これまで個別に発展してきたプラズマ物理科学の方法論を 非平衡極限プラズマという共通学理から連携しネットワーク化することに よって普遍的な学理を探求する研究を推進している.
(2012. 6. 1 ~ 2014. 3. 31)
核 融 合 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 分 野
准教授 糟 谷 直 宏 助 教 大 澤 一 人
マルチスケールプラズマ乱流・MHD のグローバルシミュレーション研究を 推進し,高温プラズマにおける非局所輸送現象の機構解明や乱流とメゾ・マ クロスケール構造との相互作用の研究を行っている.スケール分離されたモ デルにより単一の現象を研究する従来型の研究手法からマルチスケールシ ミュレーション研究へのパラダイムシフトに貢献し,実験観測の物理的理解 につなげている.
プラズマ乱流シミュレーションと乱流場データに対する数値計測を組み合わ せ,実験研究と対照させた数値診断を行うことで,プラズマ乱流輸送を研究 する乱流計測シミュレータ研究を推進している.乱流コードの開発と反射計 等の実験計測模擬モジュールの開発を行い,乱流構造形成機構の検定法を研 究している.
統合輸送コード TASK を用いたシミュレーション研究を進め,核燃焼プラズ マ統合コード(BPSI)計画を推進している.プラズマ全体を自己矛盾なく 解ける統合輸送コードの開発,データ解析の新たな手法として統合診断コー ドの導入を進めた.
直線装置実験で観測されている現象をシミュレーションすることでプラズマ 乱流の物理機構を研究している.多様な分岐の選択則や複数の不安定性の競 合機構を明らかにした.さらに新たなモデルの導入も進めている.
弾性論に基づいた転位論は炉材料の強度予想の基礎になっている.ほとんど の材料は異方性弾性体であるので従来の理論を拡張する必要がある.異方性 弾性論に基づく転位ループ間の相互作用エネルギーを計算する積分形式を導 出した.
第一壁での水素吸蔵機構を調べるためにタングステン空孔中への水素捕獲数 を第一原理計算により研究している.絶対零度では水素は 12 個まで捕獲さ れることがわかった.熱平衡状態にある有限温度下では水素が 6 個捕獲され た状態が広い温度領域で現れた.同位体効果を評価すると質量数の小さい水 素同位体の方が空孔に捕獲されやすいことがわかった.
1 マルチスケールプ ラズマシミュレー ション研究
2 乱流場の数値診断 シミュレーション 研究
3 核燃焼プラズマ統 合コードを用いた 輸 送 シ ミ ュ レ ー ション研究
4 乱 流 構 造 形 成 シ ミュレーション研 究
5 異方性弾性論に基 づく転位の研究
6 第一原理計算によ るタングステンと 水素の相互作用の 研究
プ ラ ズ マ 表 面 相 互 作 用 分 野
教 授 中 村 一 男 准教授 徳 永 和 俊 助 教 長谷川 真
1 球状トカマクプラ ズマ形状の再構成 に関する研究
2 ク ォ タ ー ニ オ ン
(四元数)を用い たプラズマ制御電 源解析
3 定常運転のための プラズマ位置・断 面形状制御に関す る研究
4 実時間制御・デー タ収集・解析
5 プラズマと材料表 面の相互作用に関 する研究
6 核融合炉材料の水 素同位体 / ヘリウ ム照射特性 , 高熱 負荷特性及び材料 開発
非定常フェーズにおけるプラズマ形状再構成には真空容器渦電流の考慮が必 要である. プラズマ断面内のコーシ一条件面を真空容器内壁の磁気センサー面 に拡張することにより, 渦電流の影響を境界条件に転嫁することを検討してい る. 高周波電流駆動プラズマにおいて閉磁気面外にプラズマ電流が存在する等 方圧力分布平衡を仮想インベッセルコイル電流法にて検討した. 粒子軌道計算 により電流密度分布を求め,非等方圧力分布の場合について検討する.
高温壁の設置に先立って, プラズマ垂直位置不安定性のフィードバック制御に よる安定化, マトリクスコンバータを用いた制御電源について検討し, 任意波 形出力の場合でも入力力率1 に改善可能であることを示した. クォターニオン
(超複素数)を用いて三相交流電源を直接解析し, スイッチング効率の向上を 図る. トロイダル磁場コイル電源電流を光変成器で高精度測定し,プラズマ反 磁性効果をセンサレス計測する.
プラズマ電流の立上げ, 及びその定常維持を実現するために, リアルタイムで プラズマ位置・断面形状の同定を行い, その制御を行なう. ダイバータ配位を 維持する制御を行ったが, 今後さらにFPGAを用いた高速な平衡計算を行い, かつホール素子を用いた長時間放電に対応できる平衡計算を行い, 全体的な形 状の制御をして高性能プラズマの実現を目指す.
大型実験炉及び核融合炉に向けた. 長時間にわたる諸量の実時間データ管理, 実時間データ解析, 実時間制御, 及び遠隔地からの実験参加を可能にする遠隔 データ関覧, 遠隔制御手法等の研究・ 開発を行なっている. またQUESTを用 いて, センサー及びアクチュエーターを総合的に駆使して, 球状トカマク装置 のプラズマを長時間・高性能に維持するための統合的なシステムの研究・開 発を行なっている.
球状トカマク装置 QUEST (九州大学応用力学研究所). 大型へりカル装置 LHD (核融合科学研究所) における対向材表面の水素・不純物挙動やプラズ マ粒子照射による微視的な材料損傷 ・ 損耗 ・ 再堆積について研究を行ってい る. また. 直線型プラズマ装置やイオン照射装置等を用いたプラズマと材料表 面の相互作用に関する研究を進めている.
タングステン等の高融点金属や炭素繊維複合材料 (CFC) 等の炭素材料の低工 ネルキー粒子 (水素・ヘリウム) 照射特性, 水素同位体挙動及び定常・非定常 高熱負荷特性を調べるとともに. 改良材の試作・開発を行っている. また, 原 型炉の第一壁・ブランケット及びダイバータの表面材料として. タングステン 被覆・接合低放射化フェライト・マルテンサイト鋼の開発・評価を進めてい る. これらに加え,タングステンや接合材料の材料強度に関する基礎研究及び これを応用したダイバータ板の熱応答に関するシミュレーション計算を進め ている.
先 進 炉 材 料 分 野
特任教授 吉 田 直 亮 准教授 渡 邉 英 雄
高温プラズマ研究センターと密接に連携して,プラズマ・壁相互作用に関連 する研究を推進している.既存の表面プローブシステムを QUEST 計画にあ わせて改修・設置し,QUEST 壁面に長期間設置された試料の組成分析並び に内部組織の電子顕微鏡観察からプラズマ壁面での複雑な現象の理解を目的 としている.プラズマ性能の向上につれて,壁面のスパッタリングに伴う成 分元素の同定,水素プラズマに起因する内部組織の変化(照射欠陥集合体の 形成)を示すデータが電子顕微鏡を用いた観察や分析から得られた.
軽水炉に使用されている圧力容器は運転期間中に交換の出来ない炉の主要機 器である.特に福島原子力発電所の事故以降,軽水炉の長期に亘る運転には 圧力容器鋼の照射脆化に関する知見が不可欠であることが改めて認識され た.圧力容器鋼は強磁性材料であるため,従来まで電子顕微鏡を用いた内部 組織観察が非常に困難であったが,試料の微細加工技術を向上させることに より可能となった.この様に電子顕微鏡をもちいた組織の直接観察研究手法 は,これまで例が少なく脆化メカニズムの解明に貢献した.
ITER やデモ炉で問題となる核反応アルファー粒子(ヘリウム)によるプラ ズマ対向材料表面層の照射効果について研究を進めている.W等の材料では 水素やヘリウムの吸蔵が多量の照射欠陥の形成によること,照射により発生 する内部欠陥が表面構造を決定することなど,核融合炉でのプラズマ・壁相 互作用の重要な要素過程が原子レベルで解明されつつある.
低放射化フェライト・マルテンサイト鋼 (F82H) を核融合炉構造材料とし て使用する場合,第一壁の壁面は耐損耗性・耐熱負荷特性の高い W で被覆 することが検討されている.しかし,第一壁構造材は成膜の際に高温にする ことが出来ない為,より低い温度で質の良い成膜を行える技術の開発が求め られている.本研究では VPS 法で被膜した試料の断面組織を観察すること で,第一壁が受ける熱負荷に十分耐えうる良質な皮膜製造技術の指針を得る ことを目的として研究を進めている.
バナジウム合金はその低放射化特性より,核融合炉構造材料の候補材料とし て注目されているが,核融合炉構造体の製作には溶接が不可欠である.レー ザー溶接された高純度 V-4Cr-4Ti 合金に対して重イオンを用いた照射試験 を行い,組織や機械的特性に及ぼす照射効果についての研究を進めている.
1 球状トカマク実験 装置(QUEST)に お けるプ ラズ マ・
壁相互作用に関す る研究
2 鉄系構造材料の中 性子照射脆化に関 する研究
3 低エネルギーヘリ ウム(水素)と中 性子との重畳照射 効果に関する研究
4 W 被 覆 低 放 射 性 材料開発に関する 研究
5 低放射化バナジウ ム合金の溶接・照 射特性評価に関す る研究
(~ 2014. 3. 31)