2.3.1 東アジア海洋大気環境研究センター 海 洋 力 学 分 野
教 授 磯 辺 篤 彦 教 授 増 田 章 准教授 吉 川 裕 助 教 上 原 克 人
1 縁辺海及び沿岸域 の海洋力学研究
2 縁辺海・沿岸域の 大気海洋相互作用
3 海洋漂着ゴミ研究
縁辺海や沿岸海洋の空間規模において,基礎的な海洋力学過程の研究を進め ている.たとえば,河川プリュームの挙動や,黒潮前線の発達と沿岸域への 波及過程(急潮)が,最近の主たるテーマである.また,太平洋における十 年規模海洋変動が,瀬戸内海などに長期海況変動をもたらす力学過程につい て研究成果を上げた.あるいは,時空間変化の大きな沿岸海洋力学過程を捉 えるべく,新たな観測手法の開発にも取り組んでいる.特に,デジタルカメ ラやサーモグラフィを搭載したバルーンを「だんりゅう」のような調査船に よって曳行しつつ,低高度から海面を撮影し,画像処理を通して前線波動の 形状や発達を観察する空撮技術の開発に力を入れている.
東シナ海や日本海といった縁辺海規模(~1000km)において,あるいは瀬 戸内海の様な沿岸海洋において成立する大気ー海洋間の双方向作用について 研究を進めている.たとえば東シナ海について,冬季季節風の連吹が浅海域 の海面水温を下げ,これが周辺の気圧変動にフィードバックされ,さらに局 所的に風系を変える相互作用環を明らかにした.また,日本海において,植 物プランクトンの春季ブルームに伴う海色変化と熱吸収率の変化が海面水温 に影響し,これが総観規模の気象場に影響を与えるといった,大気ー海洋ー 生態系の相互作用について研究を進めている.
海洋を漂流するプラスチックゴミについて研究を進めている.本年度より環 境省の委託研究事業として,日本周辺海域におけるマイクロプラスチックス
(サイズ5mm以下のプラスチック微細片)の分布状況調査を,東京海洋大と 共同で開始している.日本周辺を浮遊する微細片の漂流密度をマッピングし,
輸送経路の解析を行う.あるいは,3.11 震災漂流物の北米漂着状況や,外 来種の移動状況に関する調査研究を行う国際共同プロジェクトに参画してい る.
(2013年度 特任教授)
(~ 2013. 5. 31)
海 洋 生 態 系 分 野
教 授 柳 哲 雄
東シナ海の栄養塩・植物プランクトン・デトリタス濃度の時間・空間変動を 再現・予測する低次生態系モデルを開発し,そのモデルを用いて,東シナ海 の栄養塩起源,大気起源栄養塩の基礎生産に対する寄与率を明らかにする.
インドネシア・マレ-シア・タイ・ベトナム・フィリピン沿岸海域における 物理・化学・生物過程を明らかにする研究を現地研究者とともに,観測・モ デリング手法を用いて行う.
有明海の潮汐・潮流・残差流特性を明らかにするとともに,珪素・リン・窒 素の物質循環特性を明らかにし,有明海の環境改善対策を提案する.
沿岸海域環境を保全するために,「人手が加わることにより生物生産性と生 物多様性が高くなった沿岸海域」である里海を創生するには,どのようなこ とが必要かを明らかにするために,自然・人文・社会科学者との学際的研究 を進めている.
1 東シナ海低次生態 系モデルの開発
2 東南アジア沿岸海 域の物理過程の解 明
3 有明海の物質循環 特性の解明
4 里海創生
(2013 年度特任教授)
海 洋 モ デ リ ン グ 分 野
教 授 広 瀬 直 毅
外洋的な構造の日本海と,沿岸的な性質の強い東シナ海を対比的な実験海域 として,海洋変動の本質を探っている.独自に開発した3次元海洋循環モデ ル(RIAM Ocean Model)をさらに改良し,日本海の表層から深層の循環,
水塊形成,渦拡散 効果,急潮の伝播,あるいは東シナ海における潮汐変動 や 残 差 流, 長 江 起 源 水 の 拡 散 過 程 な ど を 調 査 し て い る.Large Eddy Simulation (LES)との比較に基づいた表層付近の乱流混合過程の研究も重 要なテーマである.
数値モデリングの発展形として,東シナ海・日本海の海況予測システムを作 成した.これは演繹法的な数値モデリングと帰納法的な観測データ解析の長 所を組み合わせるデータ同化の研究として位置づけられる.衛星観測データ や対馬海峡流速データなどをRIAM Ocean Modelにリアルタイム同化し,1 週間先までの海況予報をウェブサーバー(http://dreams-c.riam.kyushu-u.
ac.jp/)にて公開している.当研究室では,データ同化と海況予測の基礎研 究に留まらず,実際にシステムを運用して高い再現性と予測精度を実証した 上,海洋生態系や水産研究,海流発電,漂流計算や海洋気象学など様々な分 野における展開を図っている.
対馬海峡における対馬暖流の流動構造と変動を明らかにするために,韓国海 洋大学校との共同研究として,博多と釜山を結ぶ定期フェリー「ニューかめ りあ」に超音波流速計(ADCP)を設置している.旧船のADCPデータと合 わせて,記録的長期間(15 年以上)の流速モニタリングを継続中である.
この貴重な観測データを解析することによって,対馬暖流の詳細な流動構造 やその変動の特性が次々と明らかになった.2002年11月以降は表面付近の 水温・塩分・蛍光高度・濁度も計測している.
対馬海峡を通過する対馬暖流と,日本海側の冬季降水量の連動性を見出し,
さらに大規模な気候パターンにさえも影響を及ぼしていることが明らかに なった.そのメカニズムを追求するため,気象学の研究室と協力して,東ア ジア域における大気海洋結合過程のモデル研究を進めている.北西太平洋域 における異常な水温上昇(温暖化)についても調査している.
1 東アジア縁辺海の 数値モデル研究
2 海況予測システム
(DREAMS)
3 定期旅客船を利用 した海流のモニタ リング
4 大気海洋相互作用
2.3.2 高温プラズマ力学研究センター 高 温 プ ラ ズ マ 理 工 学
教 授 藤 澤 彰 英 准教授 永 島 芳 彦
プラズマ閉じ込めの研究では,プラズマの構造は,局所的な乱流によっての み決まるのではなく,ミクロ・メソ・マクロの波長スケールの異なる揺らぎ の結合により形成・維持されるという新しい描像が確立されている.本研究 室は,この描像に基づき研究を推進し,文部科学省作成のロードマップにも 採択されている「非平衡極限プラズマ全国共同連携ネットワーク研究計画」
を,極限プラズマ研究連携センターとの協力のもの,その構想の実現に貢献 している.
東京大学高瀬・江尻研究室と協力し,プラズマの電子温度・電子密度分布計 測を目指してトムソン散乱計測器を開発している.今後はポリクロメーター のデータ取得用のオシロスコープを増設して空間6点の同時計測を目指すと 同時に,レーザービームを複数回往復させて精度の向上と電子温度の異方性 の研究を進める.
QUEST球状トカマクでは,新しい着想に基づきバイアス電極による電子密 度輸送の研究を推進している.そのほか,QUESTの電位や乱流計測を目指 し重イオンビームの適用可能性について双方向共同研究などを活用して核融 合研究所との共同の下行っている.
プラズマ乱流の現代的描像に基づき研究を推進するため,多波長(X線,紫 外線,可視光)に基づくトモグラフィー法を開発している.乱流の磁場トポ ロジー依存性(曲率,測地線曲率他),帯状流やGAMなどによるDynamic Shearingなどの効果などプラズマ乱流のダイナミクスを空間的に明らかに する.
極限プラズマ研究連携センターとの協力の下直線プラズマ装置PANTAにお いて紫外光,可視光(2波長)および赤外光の4波長において乱流トモグラ フィー法を開発している.また,学生を主体し教育を兼ねたプローブ実験を 行っている.
1 非平衡極限プラズ マとプラズマ乱流 研究の推進
2 QUEST プロジェ クトでのトムソン 散乱計測
3 QUEST プロジェ クトでの輸送研究
4 プラズマ乱流計測 のためのトモグラ フィー法の開発
5 直線装置でのプロ トタイプ開発と実 測
高 温 プ ラ ズ マ 計 測 学
教 授 図 子 秀 樹 准教授 出 射 浩
筑波大学プラズマ研究センターとの双方向型共同研究により,球状トカマク だけでなく先進核融合炉で問題となるプラズマ電流立ち上げ・維持を行う.
電流立ち上げ時にしか用いない中心ソレノイドコイル設置が経済性や中性子 問題と対峙することから,中心ソレノイドコイルを用いない非誘導電流立ち 上げが喫緊の重要課題となっている.ミリ波入射のみで高プラズマ電流立ち 上げ機構を明らかにする.
国際熱核融合実験炉ITERにおける電子サイクロトロン波加熱・電流駆動シ ステム開発に向け,大電力ミリ波要素部品の開発を国際共同研究で進めてい る.伝送効率を大きく左右する伝搬モードの解析・分析器開発,プラズマ閉 じ込めに関係する新古典テアリングモード抑制に向けた高速スイッチングシ ステムの開発,高純度モード発生器の開発などを行っている.
球状トカマクの定常配位維持のため,オーバーデンス高密度プラズマでの電 子バーンシュタイン波加熱電流駆動実験を進めている.斜め入射角制御が必 要で,位相配列技術を用いた入射角制御を用い,必要とされモード変換の高 効率化,モード変換/加熱・電流駆動機構を加熱・電流駆動実験で明らかに する.機構解明に必要な波動解析シミュレーションも行っている.
位相配列・アダプティブアレイによるリモートセンシング技術を用いたプラ ズマ診断を進めている.電子バーンシュタイン波の高効率モード変換に重要 なプラズマ密度分布を,アダプティブアレイを活用して計測し,モード変換 機構を明らかにする.逆モード変換過程を経て測定される熱輻射の2次元画 像を得ることは,加熱・電流駆動に必要なモード変換機構を明らかにする上 で,極めて重要であり,リモートセンシング技術を用いた2次元像の可視化 を進めている.
核融合炉の定常化に向けた研究課題として表記の観点でプラズマ対向壁
(PFC),周辺開磁気面領域(SOL),高性能プラズマコア領域(CORE)か ら構成される入れ子状の複雑系における粒子循環・密度・流速分布に関わる マクロ構造形成・伝達過程とその制御性を調べることが目的である.(科学 研究費基盤Sとして実施)
プラズマコア性能の指標の一つに運動量輸送特性がある.高周波生成プラズ マの回転計測をDoppler分光やZeeman効果を利用した赤外領域ファブリ・
ペロー分光器を共同研究として進めている.これらのイオン・不純物・中性 粒子の流速分布を用いて回転誘起機構の解明に取り組んでいる.
周辺開磁気面領域の2次元揺らぎ構造を高速カメラで画像イメージ計測し,
その統計性を明らかにしている.揺らぎの高次モーメントの2次元描像の可 視化とランジュバン方程式の拘束条件化に取り組んでいる.さらに揺動に基 づく平均プラズマ流れ,速度場計測手法の開発に取り組んでいる.
吸蔵・再放出過程を持つ粒子循環開放系における粒子連続の式の定常性を調 べており,(1)外部摂動に対する応答関数の決定,(2)リサイクリング状 態間遷移とその確率統計分布の取得,(3)応答関数・確率分布の発展方程 式とリサイクリング制御性との定量関係の解明を目指している.
1 マイクロ波・ミリ 波を用いたプラズ マ電流立ち上げ・
維持研究
2 ミリ波高周波工学
3 電子バーンシュタ イン波加熱電流駆 動
4 リモートセンシン グ
5 多階層複雑・開放 系における粒子循 環物理とマクロ制 御
6 非誘導プラズマに おける自発プラズ マ回転誘起,回転 反転緩和機構の解 明
7 乱流場における偶 然力の可視化と定 量化
8 摂動と非定常応答 関数を用いた確率 論的粒子循環制御 法の開発