• 検索結果がありません。

駆動勾配 乱流 2次的 流れ構造

Zonal

flow

- 76 - 高エネルギープラズマ分野・佐々木 真

用語集 帯状流: 乱流や高エネルギー粒子に駆動される流れ。核融合プラズマだけでなく、木星の縞模様 や地球のジェット気流等にも見られる自然界に普遍的な流れ。輸送抑制効果を持つ。

2017年度研究活動報告書

流れ場と相互作用するプラズマ乱流のダイナミクス

主な論文業績(主著のみ)

[1] M. Sasaki, et. al., Plasma Fusion Res., 12, 1401042-1, 1401042-7 (2017) [2] M. Sasaki, et. al., Phys. Plasmas, 24, 112103 (2017):注目論文に選出 [3] M. Sasaki, et. al., Scientific Reports, 7, 16767 (2017)

[4] M. Sasaki, et. al., Phys. Plasmas, 25, 012316 (2018):注目論文に選出

・M. Sasaki, et. al., Evaluation of measurement signal of Heavy Ion Beam Probe of energetic -particle driven geodesic acoustic modes, submitted to Plasma Fusion Res (2018)

・M. Sasaki, et. al., Propagation direction of geodesic acoustic modes driven by drift wave turbulence, submitted to Nuclear Fusion (2018) .

プラズマの分布形成:

乱流の時空間構造が重要

・帯状流に起因する新たな乱流伝 播機構を発見し、乱流の空間構 造を決める鍵となることを示しま した。

・乱流状態遷移に対応した流れの トポロジー選択則を明らかにしま した。

【概要】

プラズマ分布の制御には、粒子や熱の輸送を担う乱流の空間構造を理解する必要があります。密度 や温度の空間不均一性に駆動される乱流は、自身の非線形効果により流れを駆動し、時空間構造が 強く制限を受けます。一方で、強い流れは、流れ自体が乱流を発生させる原因にもなり得ます。そこで 本研究では、流れ場と相互作用する乱流の時空間ダイナミクスに焦点を当てました。「流れ効果による 乱流の空間分布」に重要な機構を発見しました。また、「流れに駆動される乱流の非線形過程」を調べ、

乱流と相互作用する流れ場のトポロジー選択則を得ました。

乱流 駆動 流れ

抑制・駆動

乱流・流れの空間分布を決め る法則を得る事が目的。

帯状流に捕捉された乱流

乱流

パターン

と流れの

流線

- 77 -

●核融合シミュレーション分野(Nuclear Fusion Simulation)

①プラズマ乱流の統合観測実験

乱流プラズマ全体を精密に計測することで、乱流プラズマの構造形成やダイナミクスの発現原理を、マ ルチスケールプラズマ乱流や乱流の対称性の破れの概念のもとに、実験的に理解することを目指す。実験 は、プラズマは現在所有している直線装置PANTAおよび製作中のトーラス磁場閉じ込めプラズマ対象と し、伝統的なプローブの多チャンネルアレイ、多チャンネルトモグラフィーや重イオンビームなどの先進 計測器を用いる。

②乱流場の先進データ解析法の開発

乱流場の非対称性を捉えるための乱流トモグラフィーに対応した新しい画像解析法の開発のほか、乱 流を構成する波の線型結合などの実態を定量化するためのバイコヒーレンスをはじめとする解析ツール の開発を行う。また、乱流場の観測から得られる大量データの扱うための並列計算法などを開発する。

③核融合プラズマのマルチスケールプラズマシミュレーション研究

プラズマ乱流・MHD・輸送のマルチスケールグローバルシミュレーション研究を推進し、高温プラズ マおよび基礎プラズマにおける非局所輸送現象や乱流とメゾ・マクロスケール構造との相互作用の機構 解明、プラズマ全体を自己矛盾なく解ける統合輸送モデルの構築を行っている。シミュレーション研究 により実験で観測される多様な現象の物理的理解につなげている。

④乱流場の数値診断シミュレーション研究

プラズマ乱流シミュレーションと乱流場データに対する数値計測を組み合わせ、実験研究と対照させ た数値診断を行うことで、磁場閉じ込めプラズマ乱流輸送現象を研究する乱流計測シミュレーター研究 を推進している。乱流コードおよび反射計等の実験計測模擬モジュールの開発を行い、実磁場配位での 乱流構造の検定法を研究している。

⑤核燃焼プラズマ統合コードを用いた輸送シミュレーション研究

統合輸送コードTASKを用いたシミュレーション研究を進め、核燃焼プラズマ統合コード(BPSI)計 画を推進している。プラズマ全体を自己矛盾なく解ける統合輸送コードやデータ解析の新たな手法とし て統合診断コードの開発を進めている。

⑥乱流構造形成シミュレーション研究

直線装置実験で観測されている現象をシミュレーションすることでプラズマ乱流の物理機構を研究し ている。多様な分岐の選択則や複数の不安定性の競合機構を明らかにした。さらに流体モデルの拡張や複 数種粒子間の競合過程の導入も進めている。

⑦異方性弾性論に基づく転位の研究

弾性論に基づいた転位論は炉材料の強度予想の基礎になっている。ほとんどの材料は異方性弾性体で あるので従来の理論を拡張する必要がある。異方性 弾性論に基づく転位ループ間の相互作用エネルギー を計算する積分形式を導出した。

⑧第一原理計算によるタングステンと水素の相互作用の研究

第一壁での水素吸蔵機構を調べるためにタングステン空孔中への水素捕獲数を第一原理計算により研 究している。絶対零度では水素は12個まで捕獲されることがわかった。熱平衡状態にある有限温度下で は水素が 6 個捕獲された状態が広い温度領域で現れた。同位体効果を評価すると質量数の小さい水素同 位体の方が空孔に捕獲されやすいことがわかった。

分野ホームページ https://www.riam.kyushu-u.ac.jp/sosei/welcome.html

教授 藤澤 彰英 准教授 糟谷 直宏 助教 大澤 一人

- 78 -

トモグラフィー: 医療でよく用いられる方法で、ある対象物に対する空間分布の積分によって得られ た多数のデータから局所的な データに変換する方法。

プラズマ乱流を場として観測 するためにプラズマ自身の発 光を利用したトモグラフィーシ ステムのプロトタイプを直線装 置PANTAに設置して試行を行 なった。

アルゴンプラズマ発光分布を ArI及びArIIについて2次元的 にマイクロ秒の時間スケール で観測することに成功した。ト モグラフィーがプラズマ乱流場 の計測法として有効であること を実証した。

核融合力学部門・核融合シミュレーション分野 藤澤 彰英

プラズマ閉じ込めの研究分野では、ドリフト波などに起因する微視的乱流がメソ・マクロスケールの構 造を生成し、乱流プラズマの大域的な結合を生み出していることが明らかになっている。そのため乱流 を従来のように局所的ではなく大域的に「場」として捉えるべき時代が到来している。直線装置

PANTA

において乱流を場として計測するためのトモグラフィーシステムのプロトタイプを設置し試行を行なった。

その結果有為な乱流の計測結果を得ることことに成功し、トモグラフィーが乱流場計測法として有効で あることを示した。

用語集

ドリフト波:プラズマ中に起こる不安定性の一つで、密度や温度の勾配がある時その自由エネル ギーを緩和しようとして起こる不安定性。

2016年度研究活動報告書

トモグラフィーによるプラズマ乱流計測の開発

[1] Fujisawa, A., et al.Plasma Phys. Control. Fusion 58 (2016)025005.

図2. トモグラフィー計測結果の一例 図1. トモグラフィーシステム及び計測の概念図

- 79 -

プラズマ乱流シミュレーション: プラズマで生じる不安定性をモ デル化し、複数の不安定性要素間の 相互作用も含めて大型計算機で行うシミュレーション。 ダイナミックな定常状態を計算する。

乱流シミュレーションをスーパ コンピュータを用いて行い、ヘ リカルプラズマの揺動の時間 発展を広い半径領域で 3 次元 的に計算しました。乱流輸送 の定量的評価を目的とします。

非平衡定常状態に加熱変化 を加えた時の応答から、乱流 各成分の寄与を定量化(図 a)。

実験観測模擬から観測信号と 物理量の対応を評価(図 b)。

中心部から端部にわたる乱流 特性を今後実験と比較します。

核融合力学部門・核融合シミュレーション分野 糟谷 直宏

核融合発電に用いる高温プラズマの理解は進展していますが、その全体像の把握は途上です。その ために計算機シミュレーションを行い、プラズマの閉じ込めに需要な役割を果たす乱流の3次元的描像 の抽出を行っています。定常状態に加熱変化を加えた時の応答、実験観測の模擬を通じて、ヘリカル プラズマの中心部から端部にわたる乱流特性を提示していますので、今後実験との比較を具体的に 行っていきます。

用語集

ヘリカルプラズマ: 磁場閉じ込め核融合装置としてトカマク型と並んで有力とされるドーナツ形状のプ ラズマ。外部から電流を流す必要がな いので 長時間の放電に適している。

2016 年度研究活動報告書

核融合プラズマシミュレーションによる乱流3次元構造の解明

[1] KASUYA, N., et al.Plasma and Fusion Research, 2017, 12: 1303005.

[2] KASUYA, N., et al. 26th IAEA Fusion Energy Conference (Kyoto, 2016) TH/P3-33.

(a) 乱流の分布と時間変化

(b) 乱流パターンと観測模擬