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 検証  調査

 s

話し合い

〔図2−6〕概念形成を図るための学習過程モデル2

〔引用・参考文献〕

① 高根正昭『創造の方法学』講談社 1979.2.

② 広岡亮蔵「発見的行為と直観思考」『授業研究』No.591968.8.

③ ブルーナー著,鈴木祥蔵露訳『教育の過程』岩波書店 1963.11.

④ 新村出直『広辞苑第3版』岩波書店 S58.12.

⑤ミ1佐伯正一「r直観的思考・分析的思考』をどう考えるか」r授業研  究』No.541968.3.

⑥ 有田和正「多様なilSSべ方』を身につける2」r教育科学社会科教  育』Na2981987.6.

⑦ 日台利夫r社会科指導技術の理論』明治図書 1981. 3.

⑧ 蓮見音彦「社会調査の技法」福武直・松原治郎編r社会調査法』有

 斐閣 S42.12.

⑨ 立花隆r「知」のソフトウェアS講談社 1984.3.

⑩鈴木正気r川口港から外港へ』草土文化1978.8.

第3節 概念形成を図るための調査内容

 本節では,概念形成を図るための調査内容を知識の構造および問いの 構造との関連で明らかにする。

  〔1)知識の構造

 第2章第1節で,社会科学習における問いの中心が「なぜ」であり,

サブの問いとして「いかに」が位置付くことを明らかにした。

 岩田一彦氏は,問いを「情報を求める問い」と「情報間の関係を求め る問い」に大別し,一般的に分類されている5WIHとの関連で以下の ように述べている。

 「What,Where,Who,Whatは.時.場所.人,個別的事象を求める問い  であり,情報を求める問いに属する。Howは,事象の構造,過程,手  段・方法,目的,関連を求める問いである。この問いは.情報を求め  る問いと情報間の関係を求める問いの中間に位置している。……略…

 …Whyは.結果を示して原因を求める問い,すなわち,因果関係を求  める問いである。この問いが情報間の関係を求める問いに位置つく」

       (@p. 38)

 岩田氏は以上のような問いの違いに着目して,習得される知識の質的 な違いを明らかにしている。

問  い 習得される知識

i情報を求める問い(What,晒ere,Who,What)

iliの中間に位置する問い(How)

五情朝間の関係を求める問い(Why)

→記述的知識

→分析的知識

→説明的知識

〔図2−7〕問いと習得される知識との関係

分類された知識には以下のような特徴がある。

   i 記述的知識

      社会に存在する情報の中で.事象の存在について述べたも      のである。これらの情報の一つひとつは,断片的知識,応用      がきかない知識,無限大にある知識である。

   h 分析的知識

      社会事象を分析して示した知識。社会事象間の一定の関係      を記述しているので,記述的知識よりは応用のきく知識とい      うことができる。思考という点に関しては,観察,資料など      からの事実判断によって,知識が獲得されるものである。

   並 説明的知識

      特定の社会事象問の関係を原因と結果の関係で示している      もので「AはBが原因である」という表現形式をとる。因果      関係の記述は,社会事象の説明の中核をなすものである。

   iv 概念的知識

      説明的知識の中で, 「特定の社会事象間の関係」という限      定をしなくても通用するような法則性を表現している知識で      ある。

 以上のように知識を分類することができたが,それらは,どのように 構造化できるであろうか。

 第1章第1節において,社会認識は社会事象についての「判断」と

「推理」という思考によって形成されることを明らかにした。これを知 識の分類にあてはめると,判断によって習得される知識が記述的知識と 分析的知識であり,推理によって習得される知識が説明的知識と概念的 知識である。推理は,判断の結果による情報によって成り立つので.記

述的知識と分析的知識を材料にして説明的知識と概念的知識が習得され ることになる。知識の中で概念的知識が最も応用範囲が広く,記述的知 識が最も狭い。したがって,概念的知識を最上位の知識として以下のよ

うな構造となる。

A

ピコニt,・1一こ瓦:漸σD

A:概念的知識 B:説明的知識 C:分析的知識 D:記述的知識

  〔図2−8〕知識の関係構造図(②p.16)

 社会科学習における各小単元での目的は,概念的知識を習得すること である。しかし,概念的知識は抽象度の高い知識であるのでそれ自体を 習得させることはできない。そこで,概念的知識を特定の具体的事象に おける事象間の関係として表した説明的知識や.それを構成する要素と しての分析的知識,記述的知識を習得することによって概念的知識を習 得することになる。

 岩田氏は「説明的知識の構造」を以下のように設定している。

〔図2−9〕説明的知識の構造(①p.79)

説明的知識や分析的知識,記述的知識が有機的に結び付いて構造化さ

れたとき.より質の高い概念的知識を習得することができる。反対に,

概念的知識,説明的知識の育成につながらない分析的知識,記述的知識 は切り捨てることによって精選した知識の構造をつくることができる。

  ② 問いの構造

 構造化した知識を習得させるためには,その知識に対応した問いを明 確に設定する必要がある。そこで,まず,知識の構造化によって抽出さ れた知識の中で,概念的知識に対応する問いを設定する。これは小単元 全体にかかるものであるので「小単元を貫く問い」と呼ぶことにする。

 次に.この問いに答えるためには説明的知識を習得させる必要がある ので,説明的知識に対応する問いを設定する。これは具体的な社会事象 の因果関係を問うものであり,毎時の学習問題となって追求される問い の中核であるので「中核的問い」と呼ぶことにする。同様にして分析的 知識に対応する問い,記述的知識に対応する問いを設定する。

 第2章第1箪で示した学習基盤形成過程は,主に事実認識をする過程 であった。したがって,この過程における追求の基本的な問いは「いか に」である。しかし, 「いかに」の問いは「なぜ」のサブの問いである ので,この過程においてもメインとなる「なぜ」の問いがあるはずであ

る。

 5年生の公害単元に以下のような水俣病についての教科書記述がある。

 「原因は,有機水銀というおそろしい毒でした。水俣湾の魚や貝に有  機水銀がふくまれていて,この魚や貝を食べたために病気になってい  たのです。……略・・…・。水俣市には,化学肥料やビニルをつくる大き  な工場がありました。この工場の排水の中に有機水銀がふくまれてい  たのです。化学肥料をつくるときに有機水銀ができ,その有機水銀を

 ふくんだ工場排水が,そのまま海に捨てられていたのです。」

      (@ p. 51)

 上記の教科書記述は確かに水俣病の発生についての因果関係を明らか にしているが.これは現象的因果関係を明らかにしたにすぎない。概念 形成を図るためには,さらに踏み込んで有機水銀たれ流しの本質的因果 関係を解明する必要がある。

 学習基盤形成過程では,「いかに」の問いによって幾つかの社会事象 が認識される。ここでの事実認識は個別的で,社会事象相互の関係は捉 えられていない。しかし,事象と事象の関係を結び付けて推理すること はさほど難しいことではない。つまり.現象的因果関係として捉え直す ことができる。したがって,この過程におけるメインの問いは,現象的 因果関係に関する「なぜ」ということができる。

 十分な事実認識ができていない時;期に「なぜ」と問うても追求するこ とが難しい。そこで,いくつかの「いかに」の問いによって十分な事実 認識をした後に,それぞれの事実を関連的に捉える「なぜ」の問いを設 定して,それらの関係を認識することができる。つまり,「事実認識か ら現象的関係認識へ」という学習の流れが必要である。そして,それら の学習基盤を形成した後に,小単元の本質的因果関係にかかわる部分を 追求していくことができる。

 これまで述べたことを整理すると以下のような学習過程ができる。

事実 認識

i現象的関係認識

学 確認

想 観察

形 話し合い

過 程

本 質

的 関係

学 検証

説 調査

解 話し合い

過 程

〔図2−10〕概念形成を図るための学習過程モデル3

  (3)調査内容

 前項までに,知識および問いを構造化して示すことの重要性を述べた。

では,構造化された知識はどのような調査内容となって,観察・調査さ れるのであろうか。

 第2章第1節において,「なぜ」の問いよりも「いかに」の問いの方 が追求しやすいことと,「なぜ」の問いが「いかに」の問いに質的に転 化できることを示した。また,前項までに,記述的知識・分析的知識が

「いかに,何」に対応する知識であることや説明的知識・概念的知識を 支える材料となる知識であることを述べた。したがって,調査活動によ って具体的に明らかになる内容は分析的知識・記述的知識に関するもの

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