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写翼五一4−13 テレビモニターと雲台りモートコントロール装置(大貫,沢田,1979)

 林試(航測研)では上記装置のフーイルド試験を行い,常緑広葉樹における分光スペクトルの樹種間差,

落葉広葉樹の紅葉期における分光スペクトル変化,マツの虫害被害初期のスペクトル変化などの観測を行

った。

 農技研(作況調査研究室)のロボットクレーンには現在「圃場群落罵分光装置」,「群落立体情報計測 テレビカメラ」,「放射温度計」などが塔載されている(56年度にはマイクロ波センサーが乗る予定で ある)。岡クレーンは農作業機を塔難し耕作ロボットとしても使えるよう作られている。そのため計測器 用として使用した場合,クレーン動作が速すぎてきめの細い制御がしにくいきらいがある。56年度には

クレーン駆動部の改良(リモコン式無段変速化)を行う予定である。

∬一5 環境ストレスによる植物の物質生      産の阻害機構とその制御

サブリーダー 田鴫公一 1.研究臼的

 葉緑体を有する植物の細胞の光エネルギ締有機エネルギーの変換効率は,グルコース1分子の生成に8

〜12光量子が必要というのが現在の定説であり,25〜30%の効率であると言われている。しかし,

現実には,植物がある一定期闇内に一定土地癒積上に投射される光エネルギーを有機物に変換する効率は,

充分に栽培管理を施した場合でも,C3型光合成のイネで3%程度, q型のトウモロコシでも4%前後で,

緑葉の細胞そのものの効率にくらべると著しく低率である。これは,植物の物質生産は純同化率(単位葉 面積当り物質固定蚤),葉颪積指数(単位土地面積上葉面積),光合成産物受容器欝(シンク)の箪と機 能という要素で構成される複雑な系であって,光合成機能そのものは,純同化率を構成する一要素にしか 過ぎないからである、光合成の効率が如何に高くとも,物質算定系全体の律速因子によって規制されるの である。具体的に言うと,自然条件下では,湿度,水,養分などが植物の生育にとって常に適鐙にあるこ とがむしろ稀であって,葉面積の過不足,気孔の閉鎖による光合成速度の低下,高温による葉の老化や光 合成産物の消耗の促進,シンク量の不足や老化による機能の低下などが常に生じているからである。実際,

人工環境下で常に最適の濫度,水,養分などを供給すれば,自然状態の数倍の物質周定力を発揮するとい う報告がある。逆に言えば,自然状態での植物の物質固定力を増大させるには,環境適応力を向上させね ばならないということである。

 植物の環境適応力は,その環境条件に遭遇する前に植物が経て来た環境によっても多少変化する。例え ば,干ばつや凍害に遭う前に適慶の水分不足や低唱に遭わせると,四坐性や耐凍姓が向上する。したがっ て,適当な栽培管理によって環境適応力が向上するが,それによる向上の程度は限られた:ものである。さ

らに効果の期待出来そうな手段として,ケミカルコントロール法などが考えられる。この場合,施用する 化学物質,施胴方法などを決定するために,環境適応の生理生態,生化学について充分な基礎研究を必要

とする。

 薬剤は速効性はあっても,1囲の施用で長期閥の持続効果を期待するのは無理であり,省エネルギー的 観点から必ずしも適切な手段とは言い難い。したがって,植物自体に内在する環境適応力をよく見極めて 活用するのが最も望ましい方法と言える。環境適応力は植物の種類によって異なり,また,岡じ種でも生 態型や突然変異による差異がある。それらの差異を確認するためには,非常に多数の固体の特性を調査す る必要がある。人為突然変異で目標とする変異を尋出すためには10万〜100万個体を調査せねばならな い。これは非常に多くの労力と疇間を要するので,効率よくやるためには,環境適応の生理生態的機構に ついて充分な基礎的知見を把握しておく必要がある。

 植物の生育に影響を及ぼす環境条件は,大きく分類しただけでも気象,土壌,病害虫,雑草,さらには 公害と,複雑多岐である。しかし,植物の生育にとって最も塞本的なものは,光,水,温度である。光は 光合成機能に直接関係するものなので,ここでは主として水と温度について,それらのストレスが楠物の 物質固定作隅に及ぼす影響の生理生態的機構の解明と,植物のストレス耐姓の向上法を検討する。

2.研究成果

 C4型光合成を行う植物は一般に低温に弱く,0。C以上の溜度でも障害を受ける欠陥がある。これはq 型植物に隈らず,熱帯原麓の植物に共通する問題である。温度が12℃〜10。C以下になると,細胞を構 成する脂質やたん臼質の物理化学的性質が変化して,細胞の生理機能が正常に作働しなくなるのが康因とさ れている。しかし,本研究において12℃以上の温度でもイネ幼植物の生長が顕著に停滞することが明ら

かとなった。その限界温度は18℃〜17℃と認められた。この生理,生化学的機構は従来の学説では説 明出来ない。ソルガム,とうもろこし,大豆などでも,15℃前後の濫度では生長の停滞,葉緑素の形成 阻審,生殖器富の発育阻害などが従来から認められており,18℃〜12℃の間で異常が生ずるのは,熱 帯原産の植物に共通した現象と考えられる。したがって,その生理,生化学的機構を明らかにすることは,

C嘆型植物を含む熱帯原産植物の低温耐性の向上をはかるに当って重要な課題である。 従来から,稲が障 害型冷審によって不稔が発生する限界溜度は18℃と認められているが,本研究において,低温に遭遇す る以前の根の生育温度の如何によって不稔発生の程度が顕著に異なることが明らかとなった。一般に根は 地上部のたん白質の代謝回転,特に合成過程を直接に支配していることが明らかにされており,このことが,

根の生育環境如何が低温による不稔発生に関与したのではないかと推測される。

 一方,高温の障害については,植物細胞が高淵で致命的な障害を受けるのは,少なくとも40℃〜50

℃以上である。その平な高渥に長期間さらされることは,熱帯のサバンナや砂漠でもない限り,稀なこと である。しかし,現在日本で栽培されている1乍物は,熱帯原産のものでも35℃程度になると光合成が低 下したり,根の養水分吸収力が低下することが報告きれている。たとえ,それ以下の生育適平骨であって

も,温度が高い程,茎葉の伸長生長が旺盛となり,光合成産物をリグニンやセルローズに消費してしまう のみならず,シンクの形成も不充分となる。また,呼吸は温度10℃上るごとに2〜3倍に増大するので,

呼吸による光合成産物の消耗も著しい。このように,温度が高いと,たとえ高温で直接に致命的障害を受 けなくとも,物質闘定系としての総合的なバランスが崩れてしまう。本研究はその点に留意して進めてい るが,55矩度の結果では,稲のシンク形成能力には顕著な晶種閲差異があり,単にシンク壁の絶対値に 差があるのみならず,茎葉重に対するシンク墨の比率において明らかな差異が認められた。このことは、

高温による茎葉の過剰生長とシンク形成不良を解決する手がかりとなるものであり,今後,温度条件を変 えた場合の品種間差異の変動を検討する予定である。

 つぎに,水分ストレスと言えば反射的に干ばつが想定されるが,植物の水分ストレスは干ばつの場合に 限って起るのではない。要するに,根の吸水鑓が葉の蒸散燈に追いつかなくなった時に起る。根の水分吸 収は,地温の高低,塩類ストレスなどで根が生理的毒魚を受けた時に低下する。一方,葉の蒸散は高曇,

乾燥で促進される。したがって,盛夏の日中などでは,程匿の差こそあれ水分ストレスがほとんど常に起 っていると考えられる。植物に水分ストレスが生ずれば,それに反応して気孔が閉鎖し,したがって,葉 のガス交換が型置されて光合成逮度が低下する。55隼度の研究では,林木の光合成は,午前中の水分ス トレスの少ないときにくらべて日中では,樹冠下部で2分の1となり,樹冠上部では3分の1以下に低下 することが明らかとなった。さらに,一般に気孔閉鎖が始まると認められている体内水分ポテンシャルよ

りも高い水分ポテンシャルにおいて光合成速度が低下し始めることからみて,水分ストレスが光合成反応 に直接影響を及ぼしていることが推測された。今後は種間差,種内変異等について検討し,水分ストレス 耐姓の向上をはかる。なお,種閥差に関して,暖地型牧草の物質生産に対する土壌水分ストレスの影響に,

種による差があることを明らかにした。供試草魚申,オオクサキビは土壌の過湿に適応していることが知 られているが,本研究の結果,土壌水分の少ない場合も,標準的な暖地型牧草であるローズグラス,グリ ーンパニックなどに遜色ない物質生産力を発揮することが明らかとなった。このように,広籍囲の土壌水 分条件に適応していることは,日本のように,平常は雨が多くて水分が充分以」二にありながら,ときに干 ばつに遭遇するような条件に適合した特性と考えられる。