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MUSE の概要

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 40-45)

第 4 章 コーディネータがITサービス価値共創を支援する事例分析:事例1

4.2. 事例の概要

4.2.1. MUSE の概要

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第4章 コーディネータがITサービス価値共創を支援する事例分

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要な役割は、顧客が「目的価値」を追求するために、参加するすべての関係者を管理お よび調整することである。なお、「設計事務所」という名称はその役割を表しており、

誰が演じるかは問題ではないということである。設計事務所の考え方は、バリューオー ガナイザーのそれと同等であり、本事例では設計事務所をバリューオーガナイザーと考 えることができる。

図 4-1 ITソリューションサービスにおけるサービスエージェント間の価値共創の関係

(西岡,2014)

次にMUSEの方法論について、Nishioka&Kosaka(2014)ならびに西岡(2010)に基づ いて説明する。MUSEは1990年に最初はデータモデリングツールとして開発され、そ の後拡張されて、現在のコミュニケーションツールとモデリングツールで構成されるよ うになり、IT化構想段階で活用されている。IT化構想段階とは、現状分析を行い、企 業活動の目的価値のあるべき姿を明らかにした上で、その実現を支えるITシステムや その運用をはじめとする機能価値に展開する段階のことである。(図 2-4)

IT化構想策定段階のプロセスは図 4-2に示す通りである。このプロセスは6つのス テップに分けることができる。また、これらのステップは、先行文献調査で示したサー ビス価値共創プロセスのKIKIモデルのプロセスに対応させることができる。ステップ 1、ステップ2の目的は現状(現状のビジネスの状況や課題など)の理解とステークホ ルダー間の認識の共有である。ステークホルダーは、これらのステップで解決されるべ

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き顧客の問題を相互に認識し、現状(AsIs)モデルとして記述する。(KIKIモデルのK1 プロセスに対応)次にステップ3では現状および将来の環境における部門のビジョンと 最終目標を明確にした将来(ToBe)モデルをステークホルダー間で検討する。ステップ4 では、将来のビジョンと最終目標をブレークダウンし、モデル化する。ITソリューシ ョンサービスの目的価値をこれらのステップで明確化する。(KIKIモデルのI1プロセ スに対応)その後、ステップ5で目的価値を機能価値に変換し、最後にステップ6で IT化の実現計画を検討し、IT化構想としてまとめるのである(KIKIモデルのK2プロ セスに対応)。設計事務所は、MUSEを用いて関係者を巻き込み、現状を関係者の共有 認識とし、あるべき姿とIT化構想について合意形成を促すファシリテータの役割を担 っている。

図 4-2 IT化構想策定のプロセス(第三世代のサービスイノベーション研究会,2017)

MUSEはステップ1やステップ3ではコミュニケーションツールとして利用するこ とができる。現状の課題や将来の最終目標を、3つの階層(例えば、経営者、中間管理 職、現場)のメンバーが作業会を開催し、それぞれの立場から自部門の現在と将来を語 り、業務の目的、業務の変革、IT化の方向性、効果などについて、ブレインストーミ ングを使いながら繰り返し討議する。ここでのコミュニケーションの目的は、事業環境

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の共有や、ステークホルダーの共創による課題の発見である(KIKIモデルのK1プロ セスに対応)。その討議結果を、ツリー構造の連関図に表現し、一覧する(図 4-3)。な お、MUSEではブレインストーミングとKJ法をポストイットと匿名性のディスカッ ションを使って組み合わせて拡張している。

図 4-3 MUSE連関図の例(第三世代のサービイノベーション研究会,2017)

MUSEモデリングのステップの詳細は西岡・小坂(2014)に記載されているが、ステ ップ2、ステップ4ではモデリングツールとして利用できる。企業の業務全体を俯瞰す る業務モデリング図(図 4-4)を描き、設計事務所とステークホルダーが、業務モデリ ング図上をウォークスルーする(仮想的に歩く)ことによって、業務のムリ・ムダ・ム ラ、業際の課題を発見し、改善を図る。これらのプロセスを通じて、目的価値を標語化 し(KIKIモデルのI1プロセスに対応)、目的価値を実現するIT化の機能価値に展開 するのである(KIKIモデルのK2プロセスに対応)。

MUSEの4つの特徴を以下に示す。

(1) 民主的 (2) ゲーム性 (3) 短期・集中型 (4) ブレークスルー

これらの特徴は、MUSEの以下のような処理プロセスによって実現されている。す なわち、匿名のディスカッションでは、参加者はディスカッションが終了するまで、年

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齢、性別、経験、権力、または声の大きさ制約を受けないで他の人の意見を深く考え、

理解することができる。アクターの持つ知識(暗黙知を含む)を表出・共有させるため の工夫は、①匿名性のブレインストーミングでは、現状とあるべき姿を繰り返し討議す ることによってアクターに刷り込む点、また、②全体像の俯瞰とウォークスルーにより、

「部分」ではなく「全体」の視点からのものごとを捉える点にある。知識の体系化では、

同類の意見にタイトルを付け、タイトルどうしの関係をツリー構造の連関図に表わし、

討議内容を可視化する点に工夫がある。

図 4-4 MUSEモデリングの例(第3世代のサービスイノベーション研究会,2017)

既に記述したが、MUSEの方法論はサービス価値共創プロセスを示したKIKIモデ ルに対応している。MUSEはKIKIモデルの実現と見なすことができる。ステップ1、

ステップ2はK1に対応し、ステップ3、ステップ4はI1に対応する。なぜなら「目 的価値」の明確化はI1(顧客の要求に関連して解決されるべき課題の特定)およびK2

(新しいサービスアイデアのための知識創造)に対応する。したがって、ステップ5は K2に対応し、ステップ6はI2に対応する。 また、顧客とITプロバイダーの両方を 知っている「設計事務所」の役割は、KIKIプロセスを進める上で重要であるとしてい る。

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