第 2 章 AIX ホスト・システムでの SDD の使用
AIX 5. 20 ML1 におけるファイバー・チャネル動的装置トラッキング
このセクションは、AIX 5.20 ML1 の devices.sdd.52.rte パッケージにのみ適用され ます。
AIX 5.20 ML1 およびそれ以降のリリースでは、AIX ファイバー・チャネル・ドラ
イバーは、ファイバー・チャネル動的装置トラッキングをサポートします。このた め、hdisk および vpath 装置を構成解除して再構成せずに、スイッチ・ポートまた はサポートされるストレージ・ポートでファイバー・チャネル・ケーブル接続を動 的に変更することができます。 SDD 1.5.0.0 およびそれ以降は、この新規機能をサ ポートし、以下のシナリオを入出力の失敗なしで実行できるようにします。
1. スイッチをケーブルで接続し、カスケードして、2 つの SAN 内の 2 つのスイ ッチを 1 つの SAN に結合します。
2. 接続を他のスイッチ・ポートに変更します。このため、切断されたケーブルは 15 秒以内に再接続しなければなりません。
3. SAN 上の 2 つのケーブルのスイッチ・ポートをスワップします。このため、切
断されたケーブルは 15 秒以内に再接続しなければなりません。
4. ESS 上の 2 つのケーブルのポートをスワップします。このため、切断されたケ
ーブルは 15 秒以内に再接続しなければなりません。
デフォルトでは、動的トラッキングは使用不可です。以下の手順を使用して動的ト ラッキングを使用可能にします。
1. システム上のすべてのアダプターに対して rmdev -l fscsiX -R を実行して、シ ステム上の fscsiX の子装置をすべて定義状態に変更します。
2. システム上のすべてのアダプターに対して chdev -l fscsiX -a dyntrk=yes コ マンドを実行します。
3. cfgmgr を実行してすべての装置を元の使用可能な状態に再構成します。
ファイバー・チャネル動的装置トラッキングを使用するには、ご使用のシステムに 次のファイバー・チャネル・デバイス・ドライバー PTF を適用する必要がありま す。
v U486457.bff (これは前提 PTF です) v U486473.bff (これは前提 PTF です) v U488821.bff
v U488808.bff
上記の PTF を適用したら、lslpp コマンドを使用して、ファイル
devices.fcp.disk.rte および devices.pci.df1000f7.com が 5.2.0.14 (またはそれ以降) の レベルであることを確認します。
注: ファイバー・チャネル装置動的トラッキングは、以下の場合をサポートしませ ん。
ケーブルが ESS 上のあるアダプターから他の接続されていない、以前は見 えなかったアダプターに移動される ESS でのポート変更。以前は見えなか ったアダプターの World Wide Port Name が異なるため、トラッキングは行 えません。 World Wide Port Name はリモート・ポートの静的 ID です。
ライセンス内部コードの ESS 並行ダウンロードの使用
ライセンス内部コード (LIC) の並行ダウンロードは、アプリケーションの実行を継 続しながら、ライセンス内部コードを ESS にダウンロードおよびインストールする 機能です。この機能は、ESS へのマルチパス (SCSI または FC) アクセスでサポー トされます。
重要: ライセンス内部コードの並行ダウンロード (CCL) 中は、ホストをシャットダ ウンしてはなりません。
ESS 用の LIC の並行ダウンロードの実行については、個々のタイプおよびモデル の「Microcode Installation Instructions」を参照してください。
SDD サーバー・デーモン
SDD サーバー (sddsrv とも呼ばれる) は、SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) の統合コ ンポーネントです。このコンポーネントは、SDD デバイス・ドライバーと、インス トール済み UNIX アプリケーション・デーモンで構成されています。 sddsrv の詳 細については、317ページの『第 11 章 SDD サーバーおよび SDDPCM サーバー の使用』を参照してください。
重要: sddsrv を実行すると、AIX 4.3.3 および 5.1.0 でいくつかの AIX ファイバ ー・チャネル・プロトコルまたはアダプター・ドライバーの問題が活動化さ れます。 AIX ファイバー・チャネル・プロトコル・ドライバーの問題の 1 つは、内部リソースのリークです。この問題は、パフォーマンスを低下さ せ、時間の経過とともに悪化します。パフォーマンスの復元は、ファイバ
ー・チャネル・アダプターを構成解除して再構成するか、またはシステムを リブートして行います。ファイバー・チャネル・プロトコル・サポートを持 ち、SDD サーバー・デーモンをインストールしている AIX ユーザーは、56 ページの『ファイバー・チャネルおよび SDD サーバーを持つ AIX の
APAR に対する PTF』にリストされている PTF を適用する必要がありま
す。
SDD サーバーが開始したかどうかの検査
SDD をインストールしたら、lssrc -s sddsrv と入力して、SDD サーバー (sddsrv) が自動的に開始したかどうかを調べます。
SDD サーバー (sddsrv) が自動的に開始した場合は、lssrc -s sddsrv コマンドから
の出力は次のようになるはずです。
Subsystem GROUP PID Status sddsrv NNN Active
ここで、NNN はプロセス ID 番号です。
SDD が自動的に開始した場合は、sddsrv の状況が「Active」になっているはずで す。
SDD サーバーが開始しなかった 場合は、状況が「Inoperative」になります。 『手 動による SDD サーバーの開始』へ進みます。
手動による SDD サーバーの開始
SDD のインストールを行った後で SDD サーバーが自動的に開始しなかった場合 は、startsrc -s sddsrv と入力して sddsrv を開始することができます。
SDD サーバーが正常に開始したことを確認するには、『SDD サーバーが開始した かどうかの検査』に進んでください。
SDD サーバーの別のポート番号への変更
320ページの『sddsrv または pcmsrv の TCP/IP ポート番号の変更』を参照してく ださい。
SDD サーバーの停止
sddsrv を一時的に使用不可にするには、stopsrc -s sddsrv コマンドを使用しま
す。これにより、現行バージョンの sddsrv が停止しますが、システムをリブートす ると、sddsrv がまた始動します。
次のようにして、現行バージョンの sddsrv をスタンドアロン・バージョンと置き換 えることもできます。
1. stopsrc -s sddsrv と入力して現行バージョンの sddsrv を停止します。
2. SDD サーバーが停止していることを確認します。 『SDD サーバーが開始した
かどうかの検査』を参照し、状況は 作動不能 でなければなりません。
3. 次の行を、
srv:2:wait:/usr/bin/startsrc -s sddsrv > /dev/null 2>&1
システム /etc/inittab テーブル内でコメント化します。
4. 次の行を、
srv:2:wait:/usr/bin/startsrc -a s0 -s sddsrv > /dev/null 2>&1 システム /etc/inittab テーブルに追加します。
5. startsrc -a s0 -s sddsrv と入力してスタンドアロン・バージョンの sddsrv を 開始します。
s0 フラグを持つ sddsrv 開始しても、パス正常性検査機能またはパス・レクラメー ション機能は提供されません。 datapath コマンドを使用して、手動でパスをリカ バリーする必要があります。詳しくは、343ページの『datapath set device path』を 参照してください。
sddsrv が停止したら、失敗したパス (DEAD または CLOSE_DEAD パス) を自動的
にリカバリーする機能が使用不可になります。並行ストレージ・ベイの静止/再開プ ロセス中は、1 つのベイで静止/再開が完了してから、次のベイで静止/再開が開始す るまでの間、アダプターまたはパスを手動でリカバリーしなければなりません。そ れを行わないと、アプリケーションが失敗することがあります。詳しくは、343ペ ージの『datapath set device path』を参照してください。
HACMP を実行していて、sddsrv に関連する問題が発生した場合 ( 61ページの
『High Availability Cluster Multi-Processing に対する SDD サポートについて』を参 照) は、問題を解決する HACMP フィックスについて、表12 を参照してくださ い。
ファイバー・チャネルおよび SDD サーバーを持つ AIX の APAR に対す る PTF
ファイバー・チャネル・サポートおよび SDD サーバー・デーモンを実行している 場合は、表12 に示されている APAR に対する PTF を AIX に適用してパフォー マンスの低下を防止する必要があります。
表12. ファイバー・チャネル・サポートおよび SDD サーバー・デーモンを実行している AIX の APAR に対する PTF
AIX バージョン APAR PTF
AIX 5.1 IY32325
(devices.pci.df1000f7.com 5.1.0.28 または 5.1.0.35 のい ずれかで使用可能)
U476971 U482718
AIX 5.1 IY37437
(devices.pci.df1000f7.com 5.1.0.36 で使用可能)
U483680
AIX 4.3.3 IY35177
(devices.pci.df1000f7.com 4.3.3.84 で使用可能)
U483803
表12. ファイバー・チャネル・サポートおよび SDD サーバー・デーモンを実行している AIX の APAR に対する PTF (続き)
AIX バージョン APAR PTF
AIX 4.3.3 IY37841
(devices.pci.df1000f7.com 4.3.3.86 で使用可能)
U484723
パフォーマンスの低下が発生した場合は、これらの APAR に対する PTF がインス トールされるまで、sddsrv を使用不可にする必要があります。これらの APAR に対 する PTF がインストールされたら、sddsrv を再度使用可能にする必要がありま す。
ESS の単一パス構成に対する SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) サポートに ついて
SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) は、単一パス・モードによるライセンス内部コード
(LIC) の並行ダウンロードとインストールをサポートしていません。
しかし、SDD では、AIX ホスト・システムから ESS への単一パス SCSI またはフ ァイバー・チャネル接続がサポートされます。単一パスのみを持つボリューム・グ ループまたは vpath 装置を作成することができます。
注: 単一パス接続であるため、SDD は single-point-failure 保護およびロード・バラ ンシングを提供できません。 IBM ではこれをお勧めしていません。
ヒント: addpaths コマンドを使用して、単一パス構成からマルチパス構成に変更す ることもできます。 addpaths コマンドの詳細については、47ページの『ボリュ ーム・グループの SDD 装置へのパスの動的追加』へ進んでください。
SDD エラー・リカバリー・ポリシーについて
SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) と SDD 1.3.1.3 (またはそれ以前) は、AIX ホスト・
システムのエラー・リカバリーをそれぞれ異なる方法でハンドルします。
SDD 1.3.1.3 (またはそれ以前) のエラー・リカバリー・ポリシー
SDD 1.3.1.3 (またはそれ以前) の場合、エラー・リカバリー・ポリシーは、
ユーザー・アプリケーションからの一時エラーに耐えるように設計されてい ます。このエラー・リカバリー・ポリシーは、一時エラーが発生した場合 に、パスが使用不可になるのを防止します。このポリシーは、エラー・リカ バリーに長時間かかることがあります。このリカバリー・ポリシーは、障害 パスが DEAD 状態に設定されるまで、しばらくの間、機能パスと vpath 装 置の入出力アクティビティーを停止します。
SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) のエラー・リカバリー・ポリシー
SDD 1.3.2.9 (またはそれ以降) の場合、エラー・リカバリー・ポリシーは、
失敗した入出力要求をより迅速にアプリケーションに報告するように設計さ れています。このプロセスは、不要な再試行を行わないようにします。不要 な再試行を行うと、障害のないパスと vpath 装置の入出力アクティビティ ーが、受け入れ難いほど長時間、停止することがあります。