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第9章  ビザンツとロシアの文明(300−1500>

J.  M. Roberts World

第1部 歴史以前一始まり 1、基盤

2、ホモ・サピエンス 3、文明の可能性 第2部門最初の諸文明

ユ、初期文明の生活 2、古代メソポタミア 3、古代エジプト

4、侵入者と侵略者:古代近東の暗黒時代  ・複雑化する世界

 ・エーゲ海の初期文明  ・混乱の時代の近東

5、東アジアでの文明の始まり  ・古代インド

 ・古代中国

6、古代のそれ以外の世界 7、古い世界の終わり 第3部 古典的地中海

1、ひとつの世界のルーツ 2、ギリシャ

3、ギリシャ文明 4、ヘレニズム世界 5、ローマ

6、ローマの業績

7、ユダヤ民族とキリスト教の到来 8、古典的西洋のかげり

9、未来の構成要素

第4部 分岐してゆく諸伝統の時代 1、イスラムと近東の再生

2、アラブ帝国

3、ビザンツとその領域 4、近東の議論された遺産 5、ヨーロッパの形成 6、インド

ア、中国の領域  ・中国

 ・日本

8、世界の分離

9、ヨーロッパ:最初の革命  ・教会

 ・諸公国と権力  ・労働と生活

ユ0、新しい限界、新しい地平線  ・外に目を向けたヨーロッパ  ・ヨーロッパ人の心

第5部 ヨーロッパの時代の形成

ユ、新しい種類の社会:初期近代ヨーロッパ 2、権威と挑戦者

3、大きな力を持った新しい世界 4、ヨーロッパによる世界への攻撃 5、世界史の新たな局面

6、新・旧の思想 第6部 偉大な加速

ユ、長期にわたる変化

2、革命の時代における政治的変化 3、政治的変化:新しいヨーロッパ

4、政治的変化:アングロ・サクソン世界 5、ヨーロッパの世界覇権

6、ヨーロッパの帝国主義と帝国支配

7、ヨーロッパ化される世界に対するアジアの反応 第7部 ヨーロッパの世界の終わり

1、システムの中の緊張 2、第一次世界大戦の時代 3、新アジアの形成

4、オスマン帝国の遺産と西洋のイスラムの土地 5、第二次世界大戦

6、新しい世界の形成 第8部 脱ヨーロッパの時代

1、世界文明

2、新しい世界の政治  ・冷戦

 ・アジアの革命

 ・アフリカと中東における帝国の相続人  ・ラテン・アメリカ

 ・二極世界の終わり?

3、歴史の光の中で

第2章 反近代化理論的世界史構成の原理と問題点

第1節 従属理論の世界史構成

 近代化理論が、発展した西洋諸国と未発展の第三世界という図式で世界を見、西洋学発 展を第三世界に当てはめようとするものであったことは述べた。またその結果、特に近代 史においては、西洋諸国が歴史の形成者であり、第三世界は近代化の名の下に変容を受け 入れる存在にすぎないというイメージを与えることも触れた。それに対して従属理論は、

「第三世界から見た…  周辺からの声」1}に他ならない。従属理論の代表的理論家であ るA.G. Frankは、こうした第三世界の歴史像について以下のように述べている2}。

 ほとんどの歴史家は先進中枢諸国のみに目を向け、植民地や低開発地域にはほとんど 注意を払っていない。このためわれわれがもつ理論的範疇や発展政策の指針は、もっぱ

らヨー・・ロッパ、北アメリカの先進資本主義国の歴吏的経験から導かれ形成されてきたも のである。…  植民地、低開発諸国の歴史的経験はそれと全く異なっている。だから、

現在手近にある理論は、世界の低開発地域の過去を完全に反映することはできず、世界 全体の過去を部分的に反映するものでしかない。Sl

 Frankは、近代化理論が第三世界の発展やその方向性をうまく説明できないのは、近代 化の手本となるヨーロッパやアメリカ合衆国の歴史経験と、第三世界の歴史経験が決定的 に異なるからだと言う。つまり、先進諸国は「植民地化」を歴史的に経験しておらず、逆 に第三世界はいまだにその重荷を受け続けているからなのであるの。S.舳inはこれについ て、ヨーロッパやアメリカ合衆国など世界経済の中心は、国内経済市場に立脚しながら自 国の発展を遂げていくのに対して、第三世界など周辺諸国は対外市場、すなわち先進諸国 の市場に依存しないかぎり発展はなく,》、「周辺部の貿易上の従属性は、金融上の従属性 によっていっそう悪化」s}するとする。その上で、第三世界では従属状態が固定化され、

近代化論者の言うような発展など望むべくもないことを説明しているのである。こうした 状態をAminは「明日なき奇蹟と、離陸失敗の連続」7}と呼び、 Stavrianosは「経済発展な

き経済成長」,}という言葉で表現しているのである。

 近代化理論の、楽観的で一面的な歴史の見方に従えば、確かに第三世界の国々の生き生

きとした歴史経験は先進諸国の歴史発展の「陰」に追いやられてしまい、西洋型近代化と いう基準から見て、著しく低い社会というイメージしか描きようがなくなってしまう。従 属理論は、いわばこうした近代化理論では描き得なかった部分に光を当てるものというこ ともできるが、世界史にそれを反映させることがはたして可能であろうか。以下に従属理 論の理論的な特徴とその問題点について考えてみる。

1 古典的従属理論と新従属理論

 A.Y. Soによれば、1950年代に国連経済委員会が推し進めたラテンアメリカ向けの経 済復興計画が,)、60年代に至って破綻をきたし、近代化の夢が果たせないことが明らか になってきたことをきっかけに、70年代にかけてBodenheimerやDos Santosらによって 従属理論は語られるようになったという1。》。 中国やキュ 一一バにおける社会主義革命は、

今までの伝統的マルクス主義のそれとは違い、第三世界での革命の可能性を証明した。ま た、アフリカ諸国の独立という新しい時代への期待などもあって、世界市場を独占してい る中核国家群と、それに従属している辺境国家群から世界を考えるという見方が行われる ようになった。従属理論はこのような第三世界の現状を、国際的な支配一被支配の関係で 捉えようとする動きとして発展してきたのである。

 近代化理論とは違い、従属理論における発展とは工業生産の高まりを意味するのではな く、辺境国の生活水準を改善することを意味する。発展のプログラムは都市民やエリート のためのものではなく、農民や失業者のものでなければならない。近代化理論では、周辺 国はより中核国に近づきコンタクトを取ることをよしとしたが、従属理論ではこれは害悪 に他ならない川。 そのため、辺境国は、進んで申子国との関係を断ち切り、独立的、自 生的な発展を期さねばならない。また、こうした行動は国内の伝統的なエリーートや支配下 の受け入れるところではないので、中国やキュ 一一バのように、農民や労働者の要求を満足 させるグループによる政治再建、すなわちネオマルクス主義革命に期待するのである12}。

世界経済が近代になって統合され、中核と辺境という富の不平等をもたらした結果、辺境 諸国は現在の位置に甘んじていなければならない。第三世界の貧困は、かつての植民地支 配という経験だけではなく、その歴史を通じて再生産されていったのである。近代化理論 は、内的、自生的な発展の可能性を強調するが、従属理論では外的要因こそが第三世界の 現状を形成したものに他ならないとするのである。

 Soは、インド、ラテンアメリカ、東アジアにおける近代史を分析したP. BaranやMonth−

1y Review誌、 M. Landsbergらをまとめた上で、 、)、古典的従属理論の論拠を以下の3点 にまとめている。一つめは、外国が第三世界の発展の方向づけをしているということ。二 つめは、不平等な交換経済によって従属が形成され、文化的、政治的従属がその後を追う ということ。三つめは、従属の状態では自生的発展はありえないということなどがそれで ある14)。 いずれも、近代化理論のいう発展の図式のまさしく正反対の状態を表したもの である。第三世界にとっては、申核子の模倣や援助受け入れば、単に従属状態を助長する に過ぎず、意味がない。それよりも、こうした従属関係を断ち切ることにこそ真の発展が あるとするのである。

 近代化理論は、こうした従属理論をマルクス主義革命のイデオロギーであり、プロパガ ンダであると批判する。また辺境諸国をすべて同じものとして抽象的に語り、個々の特殊 性を説明していないとの意見も聞かれた。特に、韓国や台湾など、かって日本の植民地で あった国々の急速な発展は、こうした従属理論からは説明がっかない。中国やキューバな どの社会主義革命が、必ずしも発展に寄与しないことも含めて、従属理論は様々な批判が 浴びせられたのである15)。東アジアを中心とする目覚ましい経済復興と相次ぐ民主化、

社会主義諸国の行き詰まりと自由主義経済体制への移行など、最近の世界の動向は、こう した古典的従属理論の限界を指摘するものであった。これに対して、新しい形での従属理 論が提出されるようになった。

 F.Cardosoは、1960年代のブラジルの軍事政権下における政治状況を分析し、これ が従来の従属理論のように、中心国が周辺国を完全に収奪、支配した結果と言うよりは、

むしろ多国籍企業が介在することによって、ブラジルに一一定の工業化をもたちしたもので あると指摘し、この状態を連合・従属的発展と名付けた(associated−dependent develop一 皿ent)i6》。従属と発展とを、対立するものとして切り離して捉えず、連合・従属状態の中 から、工業化が行われるとしたところに、新しい方法が見られる。ただ、それも結局は従 属状態を解決するものではないとし、従属の一形態に他ならないものと見る。

 G.0 DonneUは、ラテンアメリカの官僚的権威主義国家、いわゆるBA(bureaucratic−

authoritarian)17>国家の成立を分析する中で、辺境国家のいびつな政治状況を指摘した。

1950年代、ECLA計画の失敗は、ひとえに輸入代替政策の破綻に原因づけられるが、

こうした政治的危機の到来を回避し、工業化を推し進めていくためには、民衆運動や階級 闘争を押さえ、国家総ぐるみで、より複雑で利益率の高い産業部門へ移行してゆくことが

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