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は1890年から1914年にあたり、自由貿易を主体とした「産業資本主義」

第9章  ビザンツとロシアの文明(300−1500>

第3部 は1890年から1914年にあたり、自由貿易を主体とした「産業資本主義」

が、 「独占資本主義」 (monopoユy capitalism)へと移行し、地球的規模での新植民地主 義へと移動してゆく過程を描いているg,}。その背景として、大量生産技術と科学技術の 発展があり、これが第2次産業革命を生み出しgs}、かってない規模での植民地拡大が行 われていったとするのである。こうして、第14章から第16章は、編入が遅れていたア フリカや中国、ロシアが第三世界化していき、ついに「19世紀末までに、世界の分離一 支配者と被支配者、雇用者と被雇用者一は確固たる、永続的なものと見なされるようにな る」・・)というのである。そして、18章はいよいよ第三世界の抵抗運動が始まり、次の 時代への準備が用意されている。

 それを受けて、第4部では第三世界の独立への闘いが語られる。18章では、第三世界 の中核部分に対する抵抗の始まりが描かれたが、これはいわば第1の局面であって、革命

とまではいかない、あくまでもレジスタンスにすぎない段階として捉えられている口・)。

第2の局面は、1914年から39年にあたり、ロシア革命に代表されるように、最初の 世界的革命の波が押し寄せた時期とする。しかしこの革命は第三世界全般には波及せず、

主に第三世界は革命運動よりもナショナリズム運動の様相を呈していたt。n。そして第3 の局面は1939年から49年にあたり、中華人民共和国の革命によって代表されるが、

古い「ヨーロッパ帝国」の解体によって、第三世界は、ある部分は社会主義革命を通じて 独立を達成し、あるものは政治的に独立したものの、経済的に従属下に置かれたままであ

るとする。

 特にこの時期の世界を、インドや中東、熱帯アフリカ、ラテンアメリカなどの民族主義 体制の地域と、ベトナム、モザンビーク、キューバなどの社会主義革命体制地域、そして 南アフリカやイスラエルといった白人植民者体制の地域に分け、第三世界地域の多様性を 描いているところが特徴的である。こうした第三世界の状態を描いた上で、これからの未 来についのヴィジョンを共有するために、第24章で、その可能性を探求することで全体

の著述を終わっている。

 以上の特徴をWallersteinの「近代世界システム」と比較すると、次のようにまとめる ことができる。まず「辺境」概念であるが、Wallersteinの場合「辺境」とは〜 「ヨーロ ッパ世界経済」システムの周辺部分にあって、生産様式がシステムの影響で改変され、強 制労働や再版農奴制が主流を占める形態を持つような地域として表されている。これに対

して、この場合あてはまるのは「第三世界化」という概念である。Stavrianosは、本来現 代の世界にあてはまる概念としての第三世界という言葉を、ヨーロッパによる植民地化に

ともなうアジア、アフリカなどの「辺境化」を指すものとして用いた。そしてこうしたか つての植民地化が、直接現代の第三世界問題の原因であることを印象付けようとしている。

一方、「辺境」という言葉自体は、第三世界化する一歩手前の時代のアジアやアフリカな どにあてはめ、 r辺境化」によって世界システムの一員となった後で、ヨーロッパによる 経済的、政治的な支配の強化につれて「第三世界化」していくという使い方をしている。

 次にこうした「第三世界化」の過程であるが、Stavrianosは1400年から現代までを 4つの段階に分けて考えている。それぞれに特有の資本主義の形態として「商業資本主義」、

「産業資本主義」、 「独占資本主義」、 「防衛的な独占資本主義」 (Defensive monopoly capitaユis皿)である。そしてこれらが中心部分であるヨーロッパやアメリカ合衆国など に広がることによって、地球規模の第三世界化が促されていくことを表そうとしているの である、。2)・,。東ヨーロッパから始まった第三世界化の波は、次にラテンアメリカへと広 がり、中東やアフリカ、インド、最後にアジアへと拡大されていった。Wallersteinは、

「辺境」部分の拡大と中核国家間のヘゲモa一争いとを、その背後にある資本主義「世界 経済」の拡張傾向と結んで描こうとしたが、彼の場合は、これらを単に「商業資本主義」

とのみ表し、中核部分の国家間の争いはあまり描かれてはいない。その意味で、近代世界 の描き方が第三世界に主に焦点をあてたものであり、中核部分の力関係やそれが及ぼす構 造的なメカニズムはあまり強調されてはいない点にも違いが見られる。

 Wallersteinは、世界システムは中核部分のみならず、辺境地域も半辺境地域も、とも に重要な要素としてこれを形成していったのだとする。しかし、彼の場合は専ら現代世界 の形成者は中核部分であって、第三世界はこうした国々によって改変を受けていく存在と してのみ描かれるという点にも大きな違いが見られる。いわば、いかに第三世界が形成さ れ、いかに申核諸国がそれに影響を与えたのか、そして第三世界が置かれている状況から 立ち直るためにはどのようにすればよいのかといったことに焦点があてられているのであ る。その中で、解決策として2度にわたる社会主義革命をあげている。中国はともかくと して、ロシアや後のソヴィエト連邦は、Wallersteinにおいては半辺境として描かれ、社 会主義経済体制も、資本主義的「世界経済」システムの一員であると考えられているが、

Stavrianosでは、これらを第三世界として見、その抵抗の表現として2度の社会主義革命 を置くのである。こうした二極構造的な世界把握は、世界システム理論よりはむしろ従属 理論に近いとも言えるが、第三世界から近代世界を眺めた場合、このようにならざるをえ ないとも考えられる。

 以上のことから、G工obal Riftによって描かれる近代世界史像は、第三世界の形成を、

中核部分たる西ヨーロッパ地域による働きかけという観点から描いたものであることが分 かる。それだけに、第三世界を主役にするという点では成功したとしても、受けるイメー ジはどうしても変容させられるネガティヴな存在としてしか伝わってはこないといった点 も指摘できる。またその意味で、近代世界の統合者としてのヨーロッパ、アメリカという 像はそのままであり、近代化理論とあまり変わりはないともいえるのである。また、第三 世界の抵抗の表現として社会主義革命を置いているが、はたしてそうなのかどうかも疑問 である。新しい社会様式が、常に辺境部から現れるとする仮説の真偽はともかくも、社会 主義国家が第三世界で建設されたのは、米ソニ大超大国による冷戦構造がなせるものであ ったとも考えられるからである。ただ、こうした欠点は指摘できる反面、やはり第三世界 の持つ苦境と現状の説明を歴史の中に正当に描き出し、現代世界が先進諸国のみのために あるのではないとした点が高く評価できるのである。

2 大江 一道の「世界近現代全史」

 Global Riftが、 Stavrianosの独自な世界システム理論によって構成されているのに対 して、この著作は全面的にWallersteinの「近代世界システム」によっている1。s)と思わ

れる。

ただ、 「近代世界システム」自身が、15世紀の終わりから18世紀の初めまでを理論的 な守備範囲にしているのに対して、これは18世紀以後を主な対象とする。いわば、理論 的には近代世界システムの前提に支えられた上で、具体的に世界が単一の「資本主義世界

システム」に巻き込まれていくことを記述しようとしたものである。

 特に序説の「近代世界史成立の歴史的前提」が、WaUersteinの理論を紹介し、まとめ た部分であり、。の、北西ヨーロッパによる「世界経済」システムの一体化以前は、世界は 複数の「世界帝国」によって構成されていたことが著されている。東アジアやオスマン朝 での「世界帝国」のみならず、スペインやポルトガルなども「世界帝国」として把握され ており、オランダやイギリスの「近代性」とは異なる次元の世界として把握されている。

そして、16世紀の「発展」と17世紀の「全般的危機」とを経た後、北西ヨーロッパが 主体的に世界を一体化していったものとして著述が加えられていくのである。

 第1部の「資本主義的近代世界システムの形成」では、第1章として「西ヨーロッパの 近代的成長」がある。イギリスやフランスといった北西ヨーロッパが、 「資本主義世界シ ステム」の中核を担うべく成長し、それに対して、東ヨーロッパ、ロシアの後進性や北イ タリア、スペインなど、かっての先進地域の没落していく様子が描かれている。この時期 に、ヨーロッパ内部の序列化が進行し、いわゆる「近代化の偏差」105)が生じてきた。そ してこの序列化は、それぞれ中核、辺境、半辺境へと成長する。このシステムが世界規模 に拡大していく原動力を、この序列化の申に見るのである。第2章ではロシアやスウェー デンなどの改革と半辺境国家としての苦闘の姿が描かれる。18世紀、ヨーロッパの中で は、中核内部のヘゲモニー争いと半辺境国家の政治的変革が熾烈に進行し、世界システム を全世界に拡大するエネルギーを蓄積していったのである。一方、第5章の「18世紀の アジアの諸帝国」では、インドがイギリスを中心とする中核国家によって植民地化され、

急速にヨーロッパ「世界経済」システムに編入されていくことが語られる。 第2部の

「資本主義的近代世界システムの確立」では、こうしたヨーロッパ勢力、特に北西ヨーロ ッパの力関係と政治変革を通じて、ヨーロッパがアジアやアメリカを変革していくところ が描かれる。例えば、第1章の「二重革命の開始」では、イギリスの産業革命やアメリカ 独立革命、フランス革命など、近代化の原動力としての技術的、産業的大変革を始点とし て、市民社会を形成、発展させていくヨーロッパを描き、歴史を進める推進力としてのヨ ーロッパの「特殊性」がその中に強調して記述される。そして、第2章の「ヨーロッパ近

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