6.2.1 Internet Protocol Version 6 (IPv6)
様々 なモノ を イ ン タ ーネ ッ ト に接続する IoTにおいて , 1番の問題と なる のがアド レ ス の枯渇であり , 情報通信機器以外のデバイ スがネ ッ ト ワ ーク に接続さ れる と いう こ と は当 然, それだけ多く のアド レ スが必要と なっ て く る.
現在, 主流と なっ て いる イ ン タ ーネ ッ ト プロ ト コ ルはIPv4 (Internet Protocol Version 4)で, 232=約42億個のア ド レ ス を 割り 振れる こ と ができ る が, 2011年に 日本を 含むア ジア太平洋地域のアド レ スが枯渇し て し ま っ て いる . IoTの実現には何十億を 大き く 上回 る ほど のデバイ ス が接続さ れる こ と は明確であ る . そ のた め, IPv6 (Internet Protocol Version 6) の実現が前提と な っ て く る . IPv6は 2128=約340澗(約1036)個のア ド レ ス を 割り 振る こ と が可能になる.
• IPv6の主な機能 – IPアド レ スの拡張
IPv6では128ビッ ト のア ド レ ス 範囲を 備え て いる . 余裕のある ア ド レ ス 割り 当て が可能になる だけでなく , アド レ スの一部にイ ン タ ーネ ッ ト 階層化に使わ れる 情報を 盛り 込んである ため, ルータ のルーティ ン グに適し たアド レ ス構造 を 持つネ ッ ト ワ ーク の構築が可能になっ て いる .
– 固定長ヘッ ダ
第6章 モノ のイ ン タ ーネ ッ ト 25 IPv6のヘッ ダは固定長である . IPv4では可変長でし たが, 固定長にする こ と でルータ など の動作を 高速化し やすく なる .
– フ ラ グメ ン テーショ ン 処理を し ない
フ ラ グメ ン テーショ ン 処理を 行わない代わり に処理が単純化さ れ, よ り 高速処 理に 有利に な っ て いる . 送信側で経路上の最大IPデータ グラ ム 長を 把握し た う え で, 送信時そ れを 越え な いサイ ズに IPデータ グラ ム を 調整する こ と で,
経路上でのフ ラ グメ ン テーショ ン 処理を 不要にする . – セキュ リ ティ 機能の追加
IPデータ グラ ム の盗聴や IPデータ グラ ム の偽造を 困難に する ために , IPsec 機能を 追加でき る . IPv4に も 同様の機能が追加さ れた が, 元々 IPv6用に 考 察さ れた仕組みである .
– アド レ ス自動生成
DHCP サーバがネ ッ ト ワ ーク 上に 存在し な い場合でも . 容易に ネ ッ ト ワ ーク へ接続する ため, アド レ ス自動生成機能が追加さ れて いる . こ れを ステート レ スアド レ ス自動生成と 呼び, ルータ など の情報を も と にホスト が自動的に構成 を 設定する .
– リ アルタ イ ム処理
IPv6に は優先度と フ ロ ーラ ベルと 呼ばれる ラ ベルに よ っ て リ ア ルタ イ ム に よ る 伝送処理を 必要と する ト ラ フ ィ ッ ク を 容易に識別でき る よ う になっ た.
– 同一ネ ッ ト ワ ーク 内における 一斉同報通信機能であっ たブロ ード キャ スト 機能 を 廃止し た. ただし , 実質的に同じ 機能はマ ルチキャ スト 機能の一部に取り 込 ま れて いる.
• IPv6の課題 – 互換性がない
IPv4 と IPv6は互換生がな い. IPv4 と IPv6 の相互接続に は, 特別な ゲー ト ウ ェ イ 機能が必要に な る. こ こ で最大の問題に な る のが, 現在のイ ン タ ー ネ ッ ト がIPv4で運用さ れて いる. 現状ではイ ン タ ーネ ッ ト を 利用する ために , IPv4を 使い続けなければなら ない, し かし イ ン タ ーネ ッ ト のためのIPアド レ スの枯渇問題を 解決する にはIPv6 へ移行する 必要がある.
• IPv4と IPv6の違い (IPヘッ ダの違いから 判る)
– IPv6ではIPv4の多く のフ ィ ールド がなく なっ て いる . – サービスタ イ プがト ラ フ ィ ッ ク に置き 換わっ て いる .
– TTL (Time to Live)がホッ プリ ミ ッ ト に名称が変わっ て いる .
– ペイ ロ ード 長フ ィ ールド は, ヘッ ダ 部以外の IPv6 のデータ グラ ム の長さ を
第6章 モノ のイ ン タ ーネ ッ ト 26 表す.
• IPv6と IPv4を つなぐ 通信
現状の実用ネ ッ ト ワ ーク では IPv4と IPv6を 相互に つな ぐ 通信路を 設け る 必要が ある.それには大き く 分けて 次のよ う な 3種類の方法である [24].
– デュ アルスタ ッ ク 方式
送信元, 宛先など , ホスト で IPv4と IPv6の両方を 処理でき る よ う , 2つのプ ロ ト コ ルスタ ッ ク を 実装し て 動作さ せる 方式
– ト ン ネ ル方式
送信元と 宛先はそれぞれIPv4, IPv6のど ち ら かが動作し て いる が, 途中経路 ではIPv4ま た IPv6のど ち ら かでカプセル化し て 中継する 方式
– ト ラ ン スレ ーショ ン 方式
送信元と 宛先が異な る IPバージョ ン (IPv4 ま た は IPv6)で動作し て いる と き , 途中で IPv4と IPv6の相互交換を 行う 変換器を 設置し , そ こ で相互交換 を 行う こ と で接続性を 確保する 方式
6.2.2 Wireless Sensor Network (WSN)
現在, IoTやM2Mの中心技術と し て , Wireless Sensor Network(WSN)が世界的に注 目さ れて いる . WSNと は, セ ン サと 無線モジュ ールを 持つノ ード と 呼ばれる 無線端末に よ っ て 構成さ れた無線ネ ッ ト ワ ーク のこ と である . セン サの周囲が大量なデータ を 容易に 収集する こ と ができ る .
無線を 使用する こ と に よ り 配線の必要が無く な り ケ ーブルや敷設の費用が節約でき る . ま た , 従来は設置場所の制限や費用の問題で実現でき な かっ た セ ン サーネ ッ ト ワ ーク を 無線化する こ と に よ り 構築可能と な る. WSNでの計測データ や計測場所は非常に 幅広く 様々 である . 屋外では, 環境モニタ リ ン グを 行っ て 温度, 湿度, 照度, 雨量など の自然環 境を セ ン シン グする . 他に も GPS測量, 街灯制御, 防災モニタ リ ン グ, 建造物監視を 行 う.屋内では店舗の照明制御, 空調制御, セ キ ュ リ ティ , ス マ ート ホーム な ど に 使われて いる .
WSNを 構築する 際のネ ッ ト ワ ーク ト ポロ ジは1対1 型, ス タ ー型, ツ リ ー型, メ ッ シュ 型, リ ニア型がある . スタ ー型は, 1つのコ ーディ ネ ータ ーと 複数エン ド デバイ ス で 構成さ れ, 1対Nの星型にセン サーネ ッ ト ワ ーク を 構成する . ツ リ ー型は1つのコ ーディ ネ ータ ーと 複数のルータ やエン ド デバイ スで構成さ れ, 木の枝の型にセン サーネ ッ ト ワ ー ク を 構成する . メ ッ シュ 型はコ ーディ ネ ータ ー, ルータ ーがほかの端末と 網目状に接続さ れ, 複数の通信路を 生成でき る . 各端末のデータ はバケツ リ レ ーのよ う に中継する が, あ
第6章 モノ のイ ン タ ーネ ッ ト 27 る 通信路に障害が発生する と , 自動的に別のルータ を 迂回し て 通信を 継続でき る . リ ニア 型は一列線形にセン サーネ ッ ト ワ ーク を 構成する . 真珠の首飾り に似て いる こ と から パー ルネ ッ ト ワ ーク と も 呼ばれる .
(a) 1対1型 (b) スタ ー型
(c) ツ リ ー型 (d) メ ッ シュ 型
(e)リ ニア型 (f) 凡例
図6.2 WSNのネ ッ ト ワ ーク ト ポロ ジ
WSNを 構築する 際に必須と なる 無線モジュ ールに要求さ れる 条件を 以下の示す.
第6章 モノ のイ ン タ ーネ ッ ト 28
• 低消費電力で長時間のバッ テリ ー駆動が可能であり , 電源ケーブルを 必要と し ない.
• 小型で設置場所を 選ばない.
• 柔軟なネ ッ ト ワ ーク を 構築でき る .
• ノ イ ズに強く 安定し た通信を 行え る .
• 通信内容を 暗号化でき セキュ リ ティ を 守れる .
6.2.3 Radio Frequency Identification (RFID)
Radio Frequency Identification (RFID)と は, 電磁界や電波な ど を 用いた非接触で無 線通信に よ っ て RFタ グに 登録し た 情報の読み書き を 行う 自動認識き シ ス テ ム であ る . RFIDの利用では, 複数のタ グは電波でス キ ャ ン する こ と ができ る . RFIDの特長では,
複数のタ グを 一括で読み取れる . ま た , 多少距離が離れて いて も 読み取れる . 例え ば,
あ る 店の商品を 棚卸する 場合, 商品のタ グを 1つ 1つ読み取り , 手間も 時間も かかる . RFIDを 利用する 場合, タ グを 1つ 1つ探し 読み取る 必要がなく , スキャ ナを かざし , タ グを 一括で読み取る こ と ができ る . ま た , 遠く のタ グも 読み取る こ と ができ , 高い場所 のタ グも 脚立を 使わず読み取り 可能であ る . 作業時間の短縮や作業者の安全確保に も 繋 がる .
• RFIDの活用アイ デア例
– 食品賞味期限の把握(RFIDで賞味期限・ 消費期限を 記録する こ と に よ り 、 期 限切れ製品が店頭に並ぶリ スク を 小さ く する こ と ができ る)
– 社員の管理(RFIDは商品の管理だけ でな く , 従業員の勤怠を 管理する こ と も でき る)
– 自動車の洗車サービス (RFIDに よ る 自動車の情報を 記録する 機能を 利用し , 自動的に質の高い洗車サービスを 提供する こ と ができ る)
– 資産管理効率化 (固定資産に RF タ グを 取り 付け 、 棚卸の際に RF対応ハン ディ タ ーミ ナル一括読み取り する こ と で棚卸の時間を 大幅に短縮)
29