第 4 章 Hopf 代数のツイストによる量子化(相空間) 33
4.1.2 Hamiltonian 形式の経路積分期待値 V.E.V
経路積分ではGreen関数GE を用いることで,任意の頂点演算子の挿入された経路積分V.E.V.
を求めることができる.
このHamiltonian形式の経路積分が普段のLagrangian形式の経路積分と同じV.E.V.を与える かどうか,基本的な2点相関関数を求めることで確認する.ここでは簡単のためB = 0にとる.
まずはもっとも基本的なhXµ(z1)Xν(z2)i0についてはHamiltonian形式では hXµ(z1)Xν(z2)i0=exp
1 2
¨
d2zid2zj
δ
δuE(zi) ·G(zij) δ δuE(zj)
Xµ(z1)Xν(z2) uE=0
=exp 1 2
¨
d2zid2zj
δ δXρ(zi) ·
−α0
2g−1ρλln|zij|2 δ
δXλ(zj)
Xµ(z1)Xν(z2) uE=0
=−α0 4
¨
d2zid2zj δ2(zi1)δ2(zj2)g−1µνln|zij|2+δ2(zi2)δ2(zj1)g−1νµln|zij|2
=−α0
2 g−1µνln|z12|2 (4.5)
となり,これはよく知られたLagrangian形式での相関関数hXµ(z1)Xν(z2)i0=−α20g−1µνln|z12|2 と一致している.次にhPEµ(z1)Xν(z2)i0についてはHamiltonian形式では
hPEµ(z1)Xν(z2)i0 =exp 1 2
¨
d2zid2zj δ
δuE(zi)·G(zij) δ δuE(zj)
PEµ(z1)Xν(z2) uE=0
=− 1 8πδλρ
¨
d2zid2zj δ
δPEρ(zi) ∂τiln|zij|2 δ δXλ(zj)
+ δ
δXρ(zi) ∂τjln|zij|2 δ δPEλ(zj)
PEµ(z1)Xν(z2)
= 1 8πδνµ
−∂τiln|z12|2−∂τ1ln|z21|2
− 1 4πδµν z1
z12 (4.6)
となる.一方Lagrangian形式では,共役運動量PE を(G.1)によりXで表すことができるので,
この(4.6)の対応物をLagrangian形式で計算すると,
hPEµ(z1)Xν(z2)i0= 1
2πα0gµρ∂τ1Xρ(z1)Xν(z2)
0
= 1
2πα0gµρ∂τ1hXρ(z1)Xν(z2)i0
=− 1
4πδµν∂τ1ln|z12|2
=− 1 4πδµν z1
z12
となり,これも相関関数は一致する.最後にhPEµ(z1)PEν(z2)i0についてHamiltonian形式では,
hPEµ(z1)PEν(z2)i0 =exp 1 2
¨
d2zid2zj
δ
δuE(zi) ·G(zij) δ δuE(zj)
PEµ(z1)PEν(z2) uE=0
= 1 2 · 1
8π2α0 gµν∂σ1∂σ2ln|z12|2+gνµ∂σ2∂σ1ln|z21|2
= 1
8π2α0gµν∂σ1∂σ2ln|z12|2
=− 1
8π2α0gµνz1z2
z122 (4.7)
となる.Lagrangian形式ではこの(4.7)の対応物は hPEµ(z1)PEν(z2)i0 =
1
2πα0gµρ∂τ1Xρ(z1) 1
2πα0gνλ∂τ2Xλ(z2)
0
= 1
4π2α02gµρgνλ∂τ1∂τ2D
Xρ(z1)Xλ(z2)E
0
=− 1
8π2α0gµρgνλg−1ρλ∂τ1∂τ2ln|z12|2
=− 1
8π2α0gµνz1z2 z122
と計算でき,これも相関関数は一致する.従って,基本的な上記3つの相関関数は一致した.よ り一般の相関関数は全てこれらの基本的な相関関数の組み合わせで計算できるため,基本的な相 関関数が一致したために,一般の相関関数も全て一致する事がわかる.
例としてGravitonとTachyonの2点相関関数をHamiltonian形式の経路積分で計算する.そのた めにはまずHamiltonian形式でGravitonを表す頂点演算子を決めなくてはならない.Lagrangian 形式ではGravitonを表す頂点演算子OGravitonは,ξµνを標的空間の対称テンソル,kµを標的空 間のベクトルとして,
OGraviton=ξµν : (∂zXµ∂z¯Xν +∂zXν∂z¯Xµ)eik·X : (4.8) と表される.これを書き換えてHamiltonian形式のGraviton頂点演算子を得ることを考える.ま ず,z座標系での微分を円筒座標系での微分で書き換える.すなわち,
∂z = 1
2z(−i∂σ+∂τ), ∂¯z= 1
2¯z(i∂σ+∂τ) を用いる.これを(4.8)に代入して整理すれば,
OGraviton=ξµν : 1
2z¯z(∂σXµ∂σXν+∂τXµ∂τXν)eik·X :
が得られる.ここで,B = 0の場合の共役運動量PEµ= 2πα1 0gµν∂τXνを代入して,
OGraviton=ξµν : 1 2zz¯
n
∂σXµ∂σXν+ (2πα0)2g−1µρg−1νλPEρPEλo
eik·X : (4.9) を得る.この(4.9)をHamiltonian形式でのB = 0におけるGraviton頂点演算子OGravitonと定 義する.一方のTachyonの頂点演算子はLagrangian形式では,qµを標的空間のベクトルとして
OTachyon=:eiq·X :
と表される.Gravitonの場合と違いTachyonの頂点演算子には微分が含まれていないので,共役 運動量PEµが入ってくることはない.従って,Hamiltonian形式でもそのまま
OTachyon=:eiq·X : (4.10)
をTachyonの頂点演算子とする.さて,Hamiltonian形式でのそれぞれの頂点演算子OGraviton,OTachyon
が分かったので,2点相関関数を求められる.上の(4.5),(4.6),(4.7)を用いて計算すれば,
OGraviton(z1)OTachyon(z2)
0
=
ξµν : 1 2z1z¯1
n
∂σ1Xµ∂σ1Xν+ (2πα0)2g−1µρg−1νλPEρPEλo
eik·X : (z1) :eiq·X : (z2)
0
=ξµν 1 2z1z¯1
iqα
−α0 2 g−1µα
∂σ1ln|z12|2·iqβ
−α0 2g−1νβ
∂σ1ln|z12|2
+(2πα0)2g−1µρg−1νλiqα
− 1 4π
z1
z12
δαρiqβ
− 1 4π
z1
z12
δβλ D
:eik·X : (z1) :eiq·X : (z2) E
0
=ξµν
1 2z1z¯1
iqα
−α0 (2)g−1µα
iz1
z12 ·iqβ
−α 2g−νβ
iz1
z12 +(2πα0)2g−1µαg−1νβiqα
− 1 4π
z1 z12iqβ
− 1 4π
z1 z12
|z12|α0k·q
= 0
となる.このようにHamiltonian形式の経路積分でも頂点演算子をPEも用いて定義してやれば,
Lagrangian形式と同じ期待値V.E.V.を与える量子化を行うことができる.ただしLagrangian形 式の頂点演算子をHamiltonian形式の頂点演算子に読み替える際に,共役運動量PEと場Xの関 係式(G.1)を用いているため,Hamiltonian形式での頂点演算子の定義はB場に影響される事に 注意する必要がある.