第 2 章 Level Set Method と動的輪郭モデルの概要 10
2.4 Level Set Method を用いた動的輪郭モデル
2.4.2 Geodesic Active Contours
Geodesic Active Conoursでは,β = 0とした式(2.1)で定義されるエネルギー関数を最小 にするような曲面形状進化を実現する.このような制約を加えることで,エネルギー関数で 曲面形状進化を制御するSnakesと位相変化が可能なgeometric active conoursの融合が可能 になる.また,β = 0としても,他の項の影響によって曲面形状を滑らかにする正則化の効果 がある.つまり,ノイズやギャップ(切れ)に対して頑強である.具体的には,次式で定義さ れるエネルギー関数を最小にするように曲面形状進化を実現する.
E[(C)(p)] = α
∫ 1
0
∂C
∂p
2dp+γ
∫ 1
0
g(|∇I(C(p))|)2dp
= Eint(C) +Eext(C) (2.26)
式(2.26)はパラメータpに依存した量であるが,パラメータは対象物体形状とは独立である
ため望ましくない.つまり,パラメータの取り方が変わると,たとえ対象物体の形状が同じ であっても式(2.26)の値が変わり,得られる輪郭もパラメータに依存した値を得る可能性が ある.
しかし,式(2.26)を最小にすることは,パラメータに依存していない次式を最小にする問 題と同値であることが知られている[35].
E[(C)(p)] =
∫ L
0
g(|∇I(C(p))|)ds
=
∫ 1
0
g(|∇I(C(p))|)
| {z } 引力項
|C0(p)|
| {z } 正則化項
dp (2.27)
ただし,dsは曲線の長さに関するパラメータ,Lは曲線C(P)のユークリッド距離である.式 (2.22)と比較すると,式(2.27)は輪郭情報を表したg(|∇I(C(p))|)の重み付き長さが最小にな
2.4. LEVEL SET METHOD
を用いた動的輪郭モデル
27Fig.2.6: geometric active contours
が利用できない例
2.4. LEVEL SET METHOD
を用いた動的輪郭モデル
28る曲線形状を探索することと同値である.従って,式(2.27)を解くことにより,輪郭抽出を 実現することができる.
式(2.27)を最小にするような曲面形状進化の軌跡は,式(2.27)にオイラーラグランジェ方
程式を適用することで,
Ct= (−g(∇I)κ
| {z }
Eext+Eint
+ (−∇g(∇I)·N~)
| {z }
Eint
)N~ (2.28)
のように得られる.式(2.28)の物理的意味は,曲線C(P)の重み付き距離が小さくなるよう に,曲線形状を対象物体境界に向けて進化させるものである.ここで各項を分解して考える.
• 第一項(−g(∇I)κ)により,曲率による制約を受けながら曲線形状を対象物体境界に向
かって進化することができる.曲率による制約を受けることで,滑らかさを保ちながら 曲線形状進化を実現することができる.この項は,曲線が滑らかであったり(κ = 0), 曲線が対象物体境界に達していれば(g= 0),値がゼロとなり曲線形状が進化しない.
• 第二項(−∇g(∇I)·N~)は,曲線が対象物体境界に達していない限り(∇g6= 0),曲線形 状進化に影響を与える.具体的には次の2つの役割がある.
(1) 曲率の値に関係なく対称物体境界に曲線形状を進化させる役割.
(2) 対象物体の境界の確率が高い場所に曲線形状を進化させる役割.
(2)の役割によって,図2.6のように対象物体の境界がはっきりしない時でも,最も境 界らしい場所を抽出することができる.
さらに,収束スピードを早めたりエネルギー関数の局所解に陥ることを防ぐため,次式に 示すような曲線形状進化を実現する.
Ct= (−g(∇I)(c1+c2κ)− ∇g(∇I)·N~)N~ (2.29) ただし,c1 ∈[0,1],c2∈[1,2]は正の定数とする.c1はbaloon forceに対応する.
次に,式(2.28)で与えられる成長速度をもつ曲線形状進化は,その進化過程で位相の変化
に対応するため,Level Set Methodを用いて実現する.つまり成長速度F = −(g(∇I)κ+
∇g(∇I)·N~)より,
∂ψ
∂t = (g(∇I)κ+∇g(∇I)·N~)|∇ψ|
= g(∇I)κ|∇ψ|+∇g(∇I)· ∇ψ (2.30) に従って曲線形状進化を実現する.
2次元濃淡画像の輪郭抽出では,gの関数として式(2.24)が最も用いられる.
2.4. LEVEL SET METHOD