第 6 章 結論 77
A.2 距離画像の位置合わせ
速に取得することができる.
Fig.A.2: Vivid700
レンジファインダなどの計測装置で得られた1枚の距離画像は,対象の部分的な表面しか計 測することができないため,複数枚の距離画像が必要である.Hattoriら[68]は,小型センサ を搭載したハンドアイシステムを用いた手法を提案した.しかし,高精度の小型のレンジファ インダはまだ高価であるため入手しにくいという問題がある.Bhanuら[66]はターンテーブ ルの上に物体を載せて回転させることによって,異なる視点の距離画像を得た.しかし,テー ブルに接している部分の形状は測定できない.また,諸岡[74]は,物体全周の形状データを 効率よく取得する為の最適視点計画(NVB:Next Best Viewpoint)法を提案した.NVBでは,
6自由度のマニピュレータを用いて物体を把握し,その姿勢を変えながら異なる視点の距離画 像を得た.この手法はマニピュレータの把持部などのいくつかの隠れがあるものの,ほぼ任 意の面の距離画像を取得することができる.
A.2 距離画像の位置合わせ
レンジファインダを用いて得られたそれぞれの距離画像は,センサの視線方向に依存した 座標系で表されている.そのため,画像間の位置合わせを行い各座標系を統一した基準座標 系へ変換する必要がある.この処理のことは位置合わせ(registration, alignment) と呼ばれ
A.2.
距離画像の位置合わせ
92る.この位置合わせの解決手法として,次の2つに分類できる.
(1) 物体座標系とカメラ座標系の相対関係を予め求め,その関係から画像間の位置関係を 推定する.
(2) 距離画像に含まれるデータ点や微分特徴量を用いて,画像間の位置関係を推定する.
(1)の手法には,小型センサを搭載したハンドアイシステムを用いたものやターンテーブル を用いたものなどがある.しかし,小型センサやターンテーブルを移動させる際,各々の位 置関係のパラメータに誤差が生じやすく,正確な位置合わせが困難である.そのため,通常,
(2)の距離画像に含まれるデータ点等を用いた位置合わせ手法と同時に行われる.その代表的 なものとして,ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム[65] が提案されている.ICPアル ゴリズムでは,2枚の距離画像の相対位置を推定する際に,まず,現在の相対位置でユーク リッド距離の最も近い点のペアを決定する.次に,そのペア間の距離(誤差)の総和が小さ くなるように相対位置を繰り返し更新する.このようにして求められた解は,必ず極小値へ 収束することが証明されている.この手法の利点は,幾何学特徴量を用いずデータ点を直接 扱うため,雑音に対して頑強である.また,処理を繰り返すたびにデータ点の対応関係を求 め,それに基づく画像間の位置関係を更新する柔軟なアルゴリズムである.しかし,部分的 に重なってる場合の取り扱い,最近傍点の探索時間,横ずれへの対応など様々な課題があり,
多くの改良法が提案されている.その改良手法の代表的なものとして,誤差基準を最近傍点 間のユークリッド距離を用いずに,2つの距離画像間の点と面の距離を用いるものが提案され ている[67].
第 B 章 CFL 条件
等高面方程式(式(2.11))をUpwind schemeを用いて(式(2.13))数値的に安定に解くため には,時間ステップ幅∆tが以下のCFL (Courant-Friedrich-Levy)条件を満たす必要があ る[69].
1≥∆t
(|Hx|
∆x +|Hy |
∆y +|Hz |
∆y )
(B.1) ただし∆tは積分時間幅,H(x, y, z) =√x2+y2+z2F =F || ∇ψ||はHamiltonian,ψは 補助関数である.もし空間がが均一なグリッドに分割されていれば,∆x= ∆y= ∆z= 1と 考えることができ,このとき安定な積分時間幅の最大値は,全積分領域でのHamiltonianの 勾配の最大値を用いて,
1≥max(|Hx|+|Hy |+|Hz |)∆t (B.2) で与えられる.
第 C 章 モフォロジーを用いた曲面形状進化法
モフォロジーは,一般に画像処理の分野で使われる数学的手法である.そこでモフォロジー 演算の概要について述べてから,具体的な手法の説明に入ることにする.また,曲面を形状 進化させる際,曲面を物体表面に張り付けるためには,物体表面で曲面の収縮が止まらなけ ればならない.そのために物体表面で曲面進行を停止する領域,すなわち停止領域を生成す る.停止領域の問題は,等高面法ではフィルタkIの問題である.最後に,この停止領域に関 する考察を行う.
C.1 モフォロジー演算
3次元モフォロジーは一般論として,3次元空間における集合論として展開される.モフォ ロジーの基本演算は,拡大(dilation),縮小(erosion),開放(opening),閉合(closing)から成 り立つ.
定義を述べる前に,記号を準備する.集合Bの対称集合をBSとするとき,
BS={−b:b∈B} (C.1)
で定義される.ただし,bは集合Bの要素とする.
さて,集合Aの構造化要素Bによるdilation(⊕)の定義は以下の通りである.二つの集合 AとBがある時,それぞれの集合の要素aとbを考える.ここでいう要素とは,3次元空間 における集合を構成する点の位置ベクトルを意味する.このとき,それぞれの要素の和a+b を考え,各要素の全ての組合わせからできる集合がdilationである.式で表すと次のように なる.
A⊕B ={z∈R3 :z=a+b, a∈A, b∈B} (C.2) 図形的に,構造化要素Bの原点を図形A内で移動させた時にBが覆うことのできる領域と 定義される.具体例で考えてみよう.図C.1(a),(b)で示しているように,Aを長方形,Bを 半径rの円盤とし,原点が中心にあるとする.そのときAとBのdilationは,図C.1(c)のよ うになる.
次に,集合Aの構造化要素Bによるerosionは,
A B={x∈R3:x−b∈A, b∀ ∈B} (C.3)
C.1.
モフォロジー演算
95(a)setA: rectangle with circle
(b)setB: circle (structuring element)
(c)dilation A with B
original boundary new boundary H
-H
H+r
-H-r W
-W r
W+r -W-r
(d)erosion A with B
original boundary new boundary H-r
-H+r
W-r -W+r
R-r R
R+r
structuring element
Fig.C.1: