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第 6 章 GaAs 太陽電池駆動 InGaP/GaAs 2T-HPT

6.3 GaAs 太陽電池の設計

図6.6 外部電源を使用せず、照射光強度を変化させ、組み合わせ回路の動作点の確認

表6.1. 外部電源を使用せず、太陽電池によりフォトトランジスタを動作した時の動作点の電圧

値及び電流値

光強度 動作点の電圧値[V] 動作点の電流値[μA]

Light Intensity 1 4.42 0.243

Light Intensity 2 4.23 0.776

Light Intensity 3 4.1 1.05

Light Intensity 4 3.6 1.58

Light Intensity 5 3.27 1.95

図6.3、図6.4から読み取る交点の電圧値及び電流値と比べると、表6.1の動作点の電圧値及び電

流値は高い。この理由については後述する。

す。

図6.7 35 mW/cm2の光照射状態でのInGaP/GaAs 2T-HPTの2端子動作のI-V特性

図6.7に示すような2端子動作のHPTを動作させるには、同じ光強度で短絡電流がHPTの飽 和電流以上になるよう GaAs太陽電池の構造を最適化する必要がある。また、できるかぎり太陽 電池作製プロセスをHPT作製プロセスに融合させ、プロセスを簡略化できることが望ましい。ま ずはHPTの構造に最も類似する図6.8に示す。GaAs太陽電池の構造1を検討した。そのI-V特 性を図6.9に示す。InGaAs層、GaAs層、InGaP層をそれぞれH3PO4 : H2O2 : H2O、NH4OH :

H2O2 : H2O、HCl溶液を用いて全ての層をエッチングし、ベース層表面を露出させた。コレクタ

の面積は4.2 mm2であり、ベース電極の形状は図6.8のように幅4 μm 長さ2100 μm ベース

電極間204 μm 10本からなる櫛型電極とした。

図6.8 GaAs太陽電池の構造1

図6.9 GaAs太陽電池の構造1の35 mW/cm2の光照射状態でのI-V特性

短絡電流ISC 0.000282 mA、開放電圧VOC 0.72 Vと太陽電池構造1では良い特性が得られなか った。光は金属ベース電極を透過せず、電極間のコレクタ一部で生成された正孔が効率良く光電 流とならないことが原因であった。

次に、構造1の櫛型電極とは異なり、構造2ではベース電極の外でキャリアが生成されるので、

太陽電池の受光面積を大きくし、四角に敷き詰めたベース層の面積を 0.42 mm2に変えることで ある。ベース電極の大きさはベース面積の大きさに対して10%の大きさとした。太陽電池の構造 2を図6.10に示し、構造2の光照射状態でのI-V特性を図6.11に示す。

図6.10 GaAs太陽電池の構造2

図6.11 GaAs太陽電池の構造2の35 mW/cm2の光照射状態でのI-V特性

構造2の短絡電流ISC 0.081 mA、開放電圧VOC 0.86 Vである。構造2の短絡電流は構造1の ものと比べると、大きい。しかし、2T-HPT を動作させるのにまだ不十分である。太陽電池の構 造2では、光を入射すると、ベース・コレクタに生成された電子・正孔が空乏層端から遠い部分 では消滅してしまい、良い特性が得られなかった。また、高濃度カーボンドープ GaAsベース表 面では表面再結合があるため、GaAs太陽電池の特性を低下させる。

そこで、図6.12に示すようにベース電極間ではInGaP層を窓層として残す構造3を作製した。

構造3の光照射状態でのI-V特性を図6.13に示す。構造3は構造1と類似するが、ベース電極間 で生成されたキャリアの表面再結合が抑制され、光電流が増加すると期待される。InGaAs 層、

GaAs層をそれぞれH3PO4 : H2O2 : H2O、NH4OH : H2O2 : H2Oを用いて全ての層をエッチング し、InGaP 層は HCl 溶液を用いて選択的にエッチングし、ベース層表面を露出させた。InGaP 窓層は図6.12のように幅7 μm、長さ2100 μm、10本からなる櫛型形状とし、ベース電極の形状 は幅4 μm 長さ2100 μm ベース電極間204 μm 11本からなる櫛型電極とした。InGaP窓層と ベース電極との距離は94 μmであるため、露出したGaAsベース表面の僅かな一部しか覆われな い。

図6.12 GaAs太陽電池の構造3

図6.13 GaAs太陽電池の構造3の35 mW/cm2の光照射状態でのI-V特性

GaAs太陽電池の構造3では短絡電流ISC 0.2 mA、開放電圧VOC 0.9 V、構造1、2よりも太陽 電池の特性がされた。しかし、まだ短絡電流がHPTの飽和電流より低いので、キャリアが生成さ れるコレクタの部分を大きくする必要がある。従って、InGaP/GaAs 2T-HPTを動作させるため に、図6.13よりGaAs太陽電池の面積を構造3の面積より6.67倍程度大きく、GaAs太陽電池 のベース層面積を0.283 cm2にした。露出した高濃度GaAsベース表面をほとんどInGaP窓層で 覆い、また、太陽電池の電極抵抗を小さくするため、ベース電極形状をメッシュー型の形状にし た。