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電極間距離による HPT への電子線照射の影響

第 7 章 HPT への電子線照射

7.4 電子線照射の HPT への影響の詳細な解析

7.4.4 電極間距離による HPT への電子線照射の影響

コレクタ光電流に大きな影響を与えるのはベースでの電子の拡散長、コレクタでの正孔の拡散 長であるが、ベースが高濃度されている場合はコレクタでの正孔の拡散長がより重要となる。従 って、電極間が増えると電子線照射による ΔJCの減少は大きくなると予想される。このことを確 かめるために電極間を105 μmに広げたHPTを作製し、電子線照射による影響を25 μmのもの と比較した。

7.4.4(1) マスク設計

エミッタ電極の形状は幅6 μm、長さ1,400 μm 10本からなる櫛型電極、電極間距離 105 μm とし、またベース電極の形状は幅6 μm、長さ1,400 μm 11なる櫛型電極、電極間距離105 μmと した。エミッタ面積A 376,800 μm2であり、周辺長P 30,726 μmである。マスクの詳細は付録「A-2」

に説明する。電極間の距離を大きくすると、エミッタ面積Aは大きくなり、105 μmの場合のエ ミッタ面積A376,800 μm2にした。その場合のエミッタ周辺長を30,726 μmとし、P/A0.08 とした。このエミッタ面積は電極間25 μmのものの2.34倍程度となる。

7.4.4(2) HPTへの電子線照射の影響

暗状態、光照射状態での全てのフルエンスにおいて電子線照射の前後のP/A = 0.08 d = 105 μm HPT のエミッタ接地の電流・電圧特性を付録「B-2」に掲載し、N-HPT、L-HPT の電子線照射 前後のβ、ΔJCのベース電流依存性を図7.27~図7.34にまとめた。図では、電極間距離が異なる と、エミッタ面積が異なるためベース電流密度に対するβ、ΔJCを示している。図7.27からβは 電極間距離に依存しないことが分かる。L-HPTのβがN-HPTより電流密度が低いのは先に述べ た実効エミッタ面積の違いにより実効ベース電流密度が小さくなるためである。

図7.28はベース電流密度に対するコレクタ光電流密度を示す。エミッタ面積電極間距離が異な ると、光を受光できる露出したベース領域の面積が異なるため、得られたコレクタ光電流を受光 面積で割っている。

図7.27 電子線照射の前のHPTの電流利得βの ベース電流密度JBの依存性

図7.28 電子線照射の前のHPTのΔJCのベース 電流密度JBの依存性

図7.29 1.0 × 1014 cm-2のフルエンスの電子線照 射の後の HPT の電流利得βの変化率のベース 電流密度J の依存性

図 7.30 1.0 × 1014 cm-2 の電子線照射の後の HPTのΔJCの変化率のベース電流密度JBの依 存性

図7.31 5.0 × 1014 cm-2のフルエンスの電子線照 射の後の HPT の電流利得βの変化率のベース 電流密度JBの依存性

図 7.32 5.0 × 1014 cm-2 の電子線照射の後の HPTのΔJCの変化率のベース電流密度JBの依 存性

図7.33 1.0 × 1015 cm-2のフルエンスの電子線照 射の後の HPT の電流利得βの変化率のベース 電流密度JBの依存性

図 7.34 1.0 × 1015 cm-2 の電子線照射の後の HPTのΔJCの変化率のベース電流密度JBの依 存性

図7.29に示すようにフルエンス1.0 × 1014 cm-2では電子線照射後両電極間距離ともにβは減少 しており、ベース電流密度が低いところでβの減少は顕著である。図7.31、図7.33と比較すると 高いフルエンスで βの変化率の電流密度依存性は小さくなり、電極間距離が大きいほどβの減少 は大きくなる傾向がある。電極間距離が広がると、ベース・エミッタ間の電極間距離も広がり、

横方向に延びた空乏層端近辺で電界が低いため、欠陥による再結合電流が増えると考えられる。

従って、L-HPTの場合、105 μmの電極間では、その影響が少ないことが高いベース電流密度で

N-HPTと比較して見られる。

一方、図 7.30、図7.32、図7.34より、電極間が広い場合、コレクタ光電流密度は大きく減少

することが分かる。このことはフルエンスが低い場合より顕著であり、フルエンス1.0 × 1015 cm-2 では電極間25 μmの方が両HPTで電極間105 μmより減少はまだ小さいが、その違いはフルエ ンス1.0 × 1014 cm-2よりは顕著ではない。

また、L-HPTの光コレクタ電流密度の減少は同じ電極間の場合、特に高いフルエンスの電子線

照射ではN-HPTより少ない。