3 認証技術の標準化動向
3.2. 暗号クレデンシャルとハードウェアトークン
3.2.14 GSC-IS
GSC-IS (Government Smart Card Interoperability Specification) [101] は、
米国政府の発行するスマートカードと、スマートカードを使用したアプリケー ションの相互運用性を確保するための相互運用性仕様書である。現在の最新版 のバージョンは、2002年8月に発行されたGSC-IS Ver2.0である。GSC-IS には、以下の目標があるとしている。
(1) ISO/IEC 7816などの既存の標準上で構築すること
(2) 標準化された高水準のスマートカード・サービスAPIを提供すること (3) スマートカードベンダから中立であること
(4) 色々なカードリーダでも動作すること (5) 拡張性があること
これらの要件を満足させるためにGSC-ISのアーキテクチャは、スマートカ ード・サービスプロバイダ・モジュール(SCSPM)の概念に基づいている。
SCSPMの実装は、基本サービス・インタフェース(BSI)を介して、クライ
アント・アプリケーションにスマートカード・サービスの標準的な相互運用性 を提供している。
ISO/IEC 7816-4で規定されているアプリケーションプロトコルデータユニ
ット(APDU)のコマンドが、ICカードにより実装が異なる問題を、VCEI (Virtual Card Edge Interface: バーチャルカードエッジインタフェース)とい う手段で解決している。に、GCS-ISのアーキテクチャの構成を図 3-21 GSC-IS のアーキテクチャに示す。
クライアントアプリケーション
基本サービスインターフェース(BS I) 拡張サービスインターフェース(E S I) サービスプロバイダソフトウェア(S P S )
バーチャルカードエッジインターフェース(V C E I) カードリーダドライバ
スマートカードリーダ GS C - IS 準拠スマートカード データモデルオブジェクト(DMO)
カードケーパビリティコンテナ (C C C )
図 3‑ 21 GSC‑ I S のアーキテクチャ
GSC-ISで規定される基本サービス・インタフェース(BSI)は、スマートカー
ド・サービスの共通の高水準モデルを定義している。そしてBSIは、ユーティ リティ、データストレージ、暗号サービスの3つのカテゴリに分類されるサー ビスを提供している(表 3-11)。BSIは、クライアント・アプリケーションに必 要な3つのカテゴリで、計21 BSI関数を提供しているが、GSI-IS に準拠する ためには、21の全ての関数の実装が必須となる。必須とすることによりBSI を使用したアプリケーションの相互運用性を確保している。また、BSIは、C とjavaのふたつの言語バインドを持つ。
表 3‑ 11 基本サービスインターフェース( BSI ) のカテゴリ
カテゴリ 備考 関数の数
ユーティリティ 物理的な環境を確立する 11
汎用コンテナ データ操作を提供する 5
暗号サービス 鍵発見メカニズムと認証 5
暗号サービス(暗号クレデンシャルのアクセス)関係の関数は表 3-12にある5 つがある。
表 3‑ 12 暗号サービスカテゴリの関数
関数名 関数の機能
gscBsiGetChallenge() ク ラ イ ア ン ト ア プ リ ケ ー シ ョ ン と カ ー ド 間 に お け る チ ャ レ ン ジ レ ス ポ ン ス 認 証 プ ロ ト コ ル の最初のステップとして、ランダムに生成され たチャレンジをカードから受け取る。次にクラ イ ア ン ト は 対 称 鍵 で チ ャ レ ン ジ を 暗 号 化 し 、 BSIAuthenticator 構造体のuszAuthValue フ ィ ー ル ド に お け る gscBsiUtilAcquireContext()を 呼 び 出 し て 暗 号化されたチャレンジを返す。
gscBsiSkiInternalAuthenticate() チ ャ レ ン ジ に 対 す る レ ス ポ ン ス の 対 称 鍵 暗 号 文を計算する。カードリーダがカードを認証す る場合、この関数は暗号文を返さない。この場 合、カードリーダがカードの認証に成功した場 合にはBSI_TERMINAL_AUTHが、失敗した 場 合 に は BSI_ACCESS_DENIED が 返 さ れ る。
gscBsiPkiCompute() 指定された AID(Application Identifier)に関
連付けられた私有鍵を使って、メッセージダイ ジェストに対する私有鍵演算を行う。
gscBsiGetCryptoProperties() カードから証明書を読み出す。
gscBsiGetCryptoProperties() PKI プロバイダモジュールに関連付けられた
アクセス制御規則を取り出す。
GSC-ISの次期バージョンであるGSC-IS v2.1 では、クレデンシャルのフォ ーマットとして、改良されたPKCS#15のメカニズムが取り入れられる。また、
GSC-IS v2.2では、非接触カードの相互運用性フレームワークが取り入れられ
る予定である。
GSC-ISの仕様を使った例として、国防総省(DoD)の共通アクセスカード
(CAC)がある。CACの仕様は、400万人以上の兵役従事者、選抜徴兵予備兵、
DoD民間従業員、業務契約者に対する発行される標準的なIDカードとなって いる。2002年6月30日時点で、787、456枚 のIDカードが発行されており、
日に7000枚のカードが発行されている。CACには、DoD CLASS 3と呼ばれ る証明書が格納され発行される。CACの目標は以下のとおり。
セキュリティ
マルチアプリケーション マルチベンダー
相互運用性
発行後のアプリケーションの追加・更新 最適な商用製品(Best commercial practices) COTS (Commercial Off-The-Shelf) 商用既製品。
コスト効果
CACが準拠している標準は以下のとおり
GlobalPlatform version 2.01 and Compliance Testing GSC-IS version 2.0 の以下の仕様
カードエッジインターフェース (CEI) 基本サービスインターフェース(BSI) 拡張サービスインターフェース(XSI) Java Card バージョン 2.1
FIPS 140-1 Level 2認定
CACの将来の方向性は以下のとおり
PINに代わるバイオメトリクス認証による照合 MOC(Match-On-Card)
バイオメトリクス情報の保護
CACに格納される暗号クレデンシャルは表 3-13のとおり。
表 3‑ 13 CAC に格納される暗号クレデンシャル 項目
最大ス ペース
備考 DoD PKI
I dent i t y 証 明 書
2. 0 KB Keyusageは、クリチカル
digitalSignature、 nonRepudiation
E‑ mai l 暗号用証明書
2. 0 KB Keyus age は、クリチカル keyEnc i pher ment
E‑ mai l
I dent i t y 証明書
2. 0 KB Keyusageは、クリチカル
digitalSignature、 nonRepudiation
DoD PKI Si gnat ur e
Pr i vat e
768 B I dent i t y Cer t i f i c at e に対応した私有鍵
E‑ mai l Enc r ypt i on Pr i vat e
768 B E‑ mai l Enc r ypt i on Cer t i f i c at e に対応した暗 号鍵。この鍵はバックアップがなされる。
E‑ mai l Si gnat ur e Pr i vat e
768 B E‑ mai l I dent i t y Cer t i f i c at e に対応した署名 鍵
TOTAL 8. 3 KB
3.3. 証明書プロファイルと認証パス検証