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1)

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Fig.5-16 Examples of AE waveform generated during N2 cooling after reduction.

  試験中に発生した AE の重心周波数の一例を Fig.5-17 ~ 5-19 に示す。①昇温時に 65-95kHz、②還元時に95kHz 以上、③冷却時に65kHz 以下のAE を検出した。①はN2

雰囲気でも検出されたことから、熱膨張により試料と導波棒が摩擦したことで発生した弾 性波と推定され、還元粉化には寄与しないものと推定される。②はN2雰囲気では検出され なかったことから、還元時に発生するき裂と推定される。③は冷却過程の熱応力により発 生したき裂と考えられる。還元過程と冷却過程でAEの周波数帯が異なった理由として、き 裂の生成モードが異なることが原因と推定される。大津らは平均周波数とRA値(Rise time) と最大振幅の比)を用いて、破壊モードを分類しており、引張破壊型き裂は高周波数、せん 断破壊型き裂は低周波数になることを報告している[8]。これは、還元過程の体積膨張によ り引張破壊型き裂が、冷却過程の体積収縮によりせん断破壊型き裂がそれぞれ生成してい ることを示唆している。また、CO還元では、還元初期に暖色系のプロットである高エネル ギーのAEを検出したが、H2還元では還元後期に高エネルギーのAEを検出した。これは、

均一反応時に還元後期にき裂が生成しやすいことを示唆しており、第 4 章の解析結果と一 致する。

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150 200

Am pli tud e (m V)

Frequency (kHz)

2)

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Fig.5-17 Examples of CoG of frequency of AE during N2 keeping of sinter A.

Fig.5-18 Examples of CoG of frequency of AE during CO reduction of sinter A

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Fig.5-18 Examples of CoG of frequency of AE during H2 reduction of sinter A

- 128 - 5.4. 考察

5.4.1. AEエネルギーと還元粉化挙動の関係

本研究で行った充填層還元時のAE測定試験では、ノイズ相当の摩擦AEと焼結鉱やペレ ットの還元過程に発生するAEを完全に分離して評価することは困難である。そこで、簡易 的にAEを周波数に応じて以下のように分類した:まず、65-95 kHzを ①試料と導波棒の 摩擦に伴うものとして解析対象から除外し、②還元過程において発生した反応劣化に起因 すると考えられるAEと ③冷却過程に発生した熱応力起因のAEを分離した。Fig.5-19に き裂発生に起因すると推定される ② および ③ の AE エネルギーの総和と還元粉化指数 の関係を示す。AE エネルギーと還元粉化指数には相関関係が認められることより、上記の ような簡易的な処理によっても AE による還元粉化挙動の評価が可能であることを確認し

た。Fig.5-20 に②(還元中の反応劣化)と③(冷却中の熱応力)、それぞれに起因するAE エ

ネルギーの関係を示す。③はラボ試験特有の現象で、実炉の粉化と関係しないものと考え られるが、そのエネルギーは②に比較して高い。特に、焼結鉱はペレットに比較して③の 寄与が高く、還元後に冷却して強度を測定する従来の還元粉化の管理指標では、実炉にお ける焼結鉱の還元粉化挙動が精度よく評価できないことを示唆する。

 

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Fig.5-19 Relation between the AE energy and reduction disintegration index (RDI).

Fig.5-20 Relation between the AE energy of reduction degree and thermal stress.

0 10 20 30 40 50 60

0.E+00 2.E+04 4.E+04 6.E+04 8.E+04

RDI(mass%)

AE Energy due to reduction degradation and thermal stress (e.u.) Pellet A Pellet B Pellet C Sinter A Sinter B

n=2 n=2

Sinter

Pellet

0.0E+00 2.0E+08 4.0E+08 6.0E+08 8.0E+08

AE Energy due to reduction degradation and thermal stress (e.u.)

0.E+00 1.E+04 2.E+04 3.E+04 4.E+04 5.E+04 6.E+04

0.E+00 1.E+04 2.E+04 3.E+04

AE E ne rg y of t he rm al st re ss (e .u .)

AE Energy of reduction degradation (e.u.) Pellet A Pellet B Pellet C Sinter A Sinter B

n=2

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5.4.2.き裂生成条件がAE周波数に及ぼす影響

Fig.5-21 に本実験結果から想定される焼結鉱およびペレットの還元過程のき裂生成挙動

の模式図を示す。ペレットでは、ヘマタイトからマグネタイトへの還元による体積膨張に より、反応界面周辺に引張破壊型き裂が生成し、冷却過程では体積収縮により、き裂の先 端からせん断破壊型き裂が進展する。しかしながら、ペレットはき裂進展の抑制効果

[21]-[23]がある微細気孔を多数有しているため、冷却過程でのAEエネルギーが小さいもの

と推定される。一方、焼結鉱はペレットと比較して基質が大きく、脆弱なシリケート相も 多いため、き裂の進展が容易であり、さらにそのき裂の形式 (引張き裂、せん断き裂)は複 雑になったと推定される。

Fig.5-21 Schematics of crack formation behavior of sinter and pellet during reduction and cooling

Before reduction of pellet

After reduction of pellet

After cooling of pellet

Before reduction of sinter

After reduction of sinter

After cooling of sinter

Hematite Magnetite Calcium ferrite Silicate slag Pore Crack during reduction Crack during cooling

- 131 - 5.5. 結言

  本章では、in-situ評価手法の一つであるAE法を鉄鉱石塊成鉱の低温還元過程に適用し、

そのき裂生成挙動を評価した結果を記述した。導波棒を用い、炉内で発生したAEを室温雰 囲気の炉外に伝播させることにより、塊成鉱の還元過程に多数のAEを検出することが可能 となった。さらに、還元過程において検出されたAEの各種パラメーターは還元ガス種や鉄 鉱石塊成鉱種によって異なっており、前章までの組織観察やき裂面積の解析結果から、こ れらはき裂のサイズや(引張き裂、せん断き裂)の差異を表していることが示唆された。以下 に、得られた知見を示す。

1 焼結鉱およびペレット単一粒子の還元過程においては、試料と導波棒の摩擦に起因す るノイズが小さく、き裂生成に伴うAEの検出が可能である。一方、冷却過程には、熱 応力に起因する多くのAEが検出され、特に焼結鉱のおいてその傾向が顕著であった。

2 結晶水含有量の高い塊鉱石の昇温過程においては、多くのAEが検出された。この結果 は、本評価手法が塊鉱石の熱割れの評価に適用できる可能性を示唆する。

3 焼結鉱、ペレットおよび塊鉱石の各還元過程に発生するAEはフラクタル性を有する。

焼結鉱と塊鉱のフラクタル指数はペレットよりも低く、これは焼結鉱や塊鉱石に発生 するき裂が様々なサイズを持つことを示す。さらに、H2還元時は、CO還元時に比較し てのAEのエネルギーおよびフラクタル指数が大きい。

4. 充填層試料の還元試験では、試料と導波棒の摩擦、還元過程の体積膨張によるき裂発 生、冷却過程の熱応力によるき裂発生、それぞれに特徴的な周波数を有するAEが検出

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される。また、焼結鉱の還元過程におけるAEの周波数はペレットよりも高い。また、

周波数解析により、昇温、還元、冷却の各段階に発生するAEの分離、評価が可能であ ることを示した。

5. 還元に伴う体積膨張および冷却過程の熱応力に起因するAEエネルギーの和とRDI値 には相関が認められる。さらに、焼結鉱はペレットに比較して冷却過程の熱応力に起 因するAEエネルギーが大きい。一方、本手法では、各段階のAEエネルギーを定量的 に分離することが可能であるため、実高炉内の粉化挙動に即した冷却過程の熱応力の 影響を排除した鉄鉱石塊成鉱の還元粉化挙動を評価できる可能性がある。

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第 6 章 結論

  鉄鋼業における CO2排出量の削減および鉄鉱石資源劣質化への対応として、鉄源製造プ ロセスにおけるH2利用技術が注目されている。一方、鉄鉱石塊成鉱のヘマタイトからマグ ネタイトへの還元過程で発生する還元粉化は高炉製銑の生産効率の悪化要因となることが 知られているが、H2ガスが還元粉化挙動に及ぼす影響は還元温度や還元対象物によってさ まざまであり、高H2雰囲気下における還元粉化挙動に関する統一された見解は得られてい ない。そこで本研究では、鉄鉱石塊成鉱の還元粉化のメカニズム解明とその抑制技術に関 する検討を行った。特に、塊成鉱の還元粉化挙動の影響因子として反応様式に着目し、還 元ガス組成と反応様式、体積膨張、応力、き裂生成と還元粉化挙動の関係を定量的に検証 した。さらに、従来にないAE法による還元粉化挙動のin-situ評価技術を開発した。これ らの研究により、製鉄プロセスからのCO2の削減に資する高H2雰囲気下における鉄鉱石塊 成化物の還元粉化の抑制技術を提示した。

第 1章では、研究の背景について述べた。鉄鋼業、特に一貫製鉄プロセスにおいて、CO2

排出量の削減は避けては通れない課題であり、抜本的な解決策として鉄鉱石の還元反応へ のH2の積極的利用を目指した技術開発が進められている。一方、還元ガス中 H2濃度の増 加は、還元過程の粒子内き裂の発生を助長し、低温還元粉化性が悪化する。これは、高炉 の通気性低下の要因となり、操業安定性および生産性の低下を引き起こす。一方、高品位 鉄鉱石の枯渇化が進み、鉄鉱石の鉄分品位が低下し、高炉の主原料である焼結鉱の生産性 や品質が悪化している。そのため、山元で鉄分品位の向上のために選鉱強化された微粉鉱 石を利用した焼結鉱製造技術や、微粉鉱石から製造されるペレットの有効活用技術の確立 が重要となる。従って、将来的に鉄鋼業から CO2排出量を削減するためには、焼結鉱やペ レットといった幅広い性状の鉄鉱石塊成鉱を対象に、高H2雰囲気下における低温還元粉化 挙動のメカニズム解明し、その知見に基づき低温還元粉化挙動の制御技術を確立する必要

- 136 - がある。

そこで、本研究では高H2還元プロセスにおける高炉用塊成鉱の低温還元挙動、および還 元に伴う体積膨張と裂生成挙動、ならびにその支配因子について検討し、塊成鉱の低温還 元粉化挙動制御のための手段を提示することを目的とした。本論文の要旨は以下の 4 項に 集約される。

1)  第2章では、高H2雰囲気下における高炉用塊成鉱の低温還元粉化性の支配因子評 価を狙いとして、広範囲なガス条件で各種高炉原料の低温還元粉化実験を行った。実験 後試料の組織観察により、き裂形態および還元反応様式の評価を行い、還元ガス組成お よび温度が還元粉化挙動に及ぼす影響について検討した。還元後試料の半径方向におけ るマグネタイト相分率測定に基づく還元反応様式の定量化法を提案し、反応様式指数 (Reaction Mode Index: RMI)を提示した。RMIが大きい時は還元が未反応核反応的に、

また、小さい時は均一的に進行していることを意味する。還元ガス中のH2 およびCO2

濃度が増加すると、RMI は低下、すなわち還元反応は均一的になり、還元粉化が助長 される。すなわち、反応様式を制御することで、還元粉化挙動を抑制できることを示し ている。

2)  塊成鉱の低温還元粉化を支配する還元反応様式を定量化するため、還元過程にお ける還元反応速度と還元ガスの粒子内有効拡散係数の比からなる無次元数 Thiele 数を 取り上げ、その導出方法を提示した。さらに、導出した Thiele 数と還元ガス組成、還 元粉化挙動の関係について検討した。鉄鉱石塊成鉱の気孔率または気孔径が小さいほど 粒子内の相互拡散係数が小さくなり、Thiele数は増加する。一方、温度が高い条件では、

相互拡散係数に比べて反応速度が大きくなり、Thiele 数が増加する。また、Thiele 数 は第2章で導出したRMIと相関関係があり、RDI値とは負の相関が認められる。特に