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Fe-Cr 合金めっき

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3Fe-Cr合金めっき

3.1 めに

Fe-Cr合金めっき 、Fe-C合金めっき皮膜よ よ 硬質化と耐食性を高め 目的

開発した また、合金元素としてCrを選定した理由 、めっき処理後の窒化を考慮し、

窒化性を高め 目的 選定した

開発さ た Fe-Cr 合金めっき 、使用目的によ めっき処理後に熱拡散処理、あ

い 窒化系の表面熱処理を加えた複合処理を行うことが可能 あ 。

めっきままの皮膜表面 に クラック が存在 この めっき皮膜表面 の 亀 模様の 亀裂 、油道としての効果を期待 ことが き

3.2 Fe-Cr合金めっき皮膜の組成

3.2.1実験方法

作製に用いためっき浴組成および電析条件を表 3.1 に示 めっき液 全ての薬 品を溶解さ た後、2.3時間攪拌後pHを確認し、塩酸 2.5以下に よう調整した

その後、10 A/dm2、1.0 A/L、30~35 ℃ 約1時間空電解を行った のを用いた 基 材に A2017材(10 mm×10 mm×t1 mm)を用いた

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3.2.2評価方法

めっき皮膜厚さ 断し、エポ シ樹脂に埋め込 後に 研磨を行い、金属顕微鏡 を用いて断面皮膜厚さを測定した

皮 膜 中 の ク ロ ム 量 の 測 定 に FE-SEM (日 立 、S4500) 及 び EDX(堀 場 製 作 所 、 EMAX-5770W)を用いて求めた

めっき皮膜の構造解析 XRD( ク、RINT2100) を用いて、Cu 管球、走査範 20~100 °、走査速度4 °/secにて測定を行った

結晶子サイ の算出に Scherrer式を用いた

3.2.3結果

図3.1に8 A/dm2 皮膜厚さが約20 min電解して得 たFe-Cr合金めっき皮膜の 断面写真を示 得 た皮膜の厚み 約 9.7 µm あった また、写真の赤丸 示 した部分に亀裂(クラック)が確認さ た

3.1 Fe-Cr合金めっき浴組成

硫酸第一鉄[FeSO4] 40 g/dm3 塩基性硫酸クロム()[Cr(OH)SO4] 120 g/dm3

酸アンモニウム[HCOONH4] 55 g/dm3 シュウ酸アンモニウム[(NH4)2C2O4] 10 g/dm3 塩化 ウム[KCl] 54 g/dm3 塩化アンモニウム[NH4Cl] 54 g/dm3 ホウ酸[H3BO3] 40 g/dm3

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図3.1 Fe-Cr合金めっき断面観察結果

図3.2に表面 のSEM像を示 基材に A2017材(φ60 mm×t5 mm)を用いた めっき時の電流 、被めっき物の外周部分ほ 高く、中央部分ほ 低い性質を持 図2(a)に示した被めっき物の中央部分 クラックの発生 確認さ った 一方、

(b)に示した外周部分 皮膜に幅1 µm以下のクラックが確認さ た

A2017

Fe-Cr

埋め込み樹脂

10 μm

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図3.2 Fe-Cr合金めっき皮膜の表面SEM像

Fe-Cr 合金めっき皮膜の中央部(a)および外周部(b)の EDX によ 皮膜組成の分析 結果を図3.3に示

図3.3 Fe-Cr合金めっき皮膜組成分析結果

Fe-Cr 合金めっき皮膜の中央部のクロム濃度が 11.2 at%に対して、外周部 約

16.2 at%と った

a) b)

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図3.4 Fe-Cr合金めっき皮膜のX線回折波形

図3.4(a)に Fe-Cr合金めっき皮膜の中央部のXRD測定結果、(b)に外周部の測定 結果を示 い Chromferide(110)および Chromferide(211)に対応 ークが 得 た ー ク 強 度 が 強 く、結 晶 性 の 皮 膜 あ こと が わ 中 央 部(a)と 外 周 部 (b)を比較 と、クロム濃度の高い外周部の方がよ ークが強く結晶性が高いことが 確認さ た

シ ラー式 求め た中央部が約20 nm、外周部 約30 nm あった

3.2.4考察

Fe-Cr 合金めっき 、外周部の方が中央部よ Cr 含有率が高 った こ 電解

電流密度が基板中央部よ 外周部側 高く に起こったと考え 原因として 電流 密度 が高 く に 貴 金属(Fe)の 電 析が 限界 に近 き 、卑 金属(Cr)の 析出が起こ ように った事が挙 この結果 SEM 像の外周部側におけ ク ラックの増加と相関があ

めっき皮膜のクラックの発生要因として、めっき材への熱応力の影響、即ち環境温度 変化が た めっき皮膜と基材の膨張・ 縮の差によ 影響が挙 環境温 度が変化し い場合に 、高い内部応力が主因と考え めっき内部応力の発生 理由に いて 、こ ま に諸説が提案さ てい 例えば、共存した水素のCr格子

の離脱説

1)

、結晶合体説

2)

、また、過剰エネル ー説

3)

、および格子欠陥説

4)

Chromferide (110) Chromferide (110)

Chromferide (211) Chromferide (211)

a) b)

100

提案さ てい

Fe-Cr合金めっきの電流効率を、Fe2+の1 A/dm2通電時の理論析出厚(効率100 %)が 0.220 µm/min、Cr3+の1 A/dm2通電時の理論析出厚(効率100 %)が0.149 µm/min あ こ と 、 そ の 組 成 比 を 、 図 3.3 得 た 結 果 の 平 均 値 を 用 い て 、 Fe:Cr=86.3:13.7 としてそ の理論析出厚に け と 1 A/dm2 通電時に Fe2+が 0.190 µm/min、Cr3+が 0.020 µm/min 析出 ことに 2 元素の総和が 0.210 µm/minと 、電解電流密度が8 A/dm2のため8倍 とFe-Cr合金めっき 析出

効率が100 %のとき、1分間に1.68 µmの膜厚が得 ことに 実際に 電解時

間 20 min 9.7 µm の皮膜厚さが得 てい こと 、実際のめっき速度 0.485

µm/min あ こ を効率 示 と、電流効率 約28.9 %と このこと 電流の

大部分 水の電気分解 消費さ てい と考え 水の電気分解 陰極 水素が発生 こと 、Fe-Cr 合金めっき皮膜中に水素が共存してい 可能性が高

い そのためFe-Cr合金めっき皮膜 共析水素が脱離 ときに起き 皮膜の 縮に

よ クラックが生 てい と推測した

101

3.3 Fe-Cr合金めっき皮膜の硬さと熱処理の影響

3.3.1実験方法 3.2.1と同様

3.3.2評価方法

皮膜硬さの測定に 微小硬さ試験機(ア シ:HM-102)を用いて荷重0.025 kgf 子を打ち込み、対角長さを測定し硬さに換算した

皮膜の残留応力測定に X線残留応力測定装置(理学電機:PSF-2M)を用いた X 線源としてCr管球を用い、管電 30 kV、管電流10 mAとした 入射角 0 °、15 °、 30 °、45 °とした 測定面 (2.1.1)を用いた 照射面積 4×4 mmとした

3.3.3結果

図3.5にFe-Cr 合金めっき皮膜の皮膜硬さを示 また、熱処理によ 皮膜への硬

さの影響を調査 目的 200 ℃、400 ℃、500 ℃(N2雰 気) 30 minおよび300 min加熱処理したのちの皮膜硬さ 合わ て示

何 の条件 得 た皮膜硬さ 約850 HV あ 、加熱温度および処理時間の 影響 殆 見 った

102 0

100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

0 100 200 300 400 500 600

硬さHV)

熱処理温度

3.5 硬さと熱処理の関係(鉄クロム合金めっき) 処理時間0.5h

処理時間5.0h 線形(処理時間0.5h) 線形(処理時間5.0h)

次に皮膜硬さ要因の検討を目的として図3.6にX線残留応力測定結果を示 数 値の正 縮応力、負 引張応力を表

237.2

198

118.6

35.2 237.2

17.6 -11.8

-200 0 200 400

0 100 200 300 400 500 600

応力値(MPa)

温度

図3.6 熱処理 鉄クロム合金めっき残留応力に及ぼす影響 処理時間0.5h 処理時間5.0h 線形(処理時間0.5h) 線形(処理時間5.0h)

103

こ によ とめっき皮膜中の応力 、加熱前 237.2 MPaを示してお 、Fe-C 合金 めっき皮膜(340 MPa前章図2.8)と比較 とめっきままの状態 Fe-Cr合金めっき 皮膜の方が内部応力 小さいことが分 った 内部応力 熱処理温度の上昇とと に 減少してい Fe-C 合金めっき 400 ℃以上 負の値を示し、引張応力が負荷 さ ていたが、Fe-Cr合金めっき皮膜 熱処理時間が30 minの の 、熱処理終 了後 縮応力が負荷さ てい ことが分 った Fe-Cr合金めっき皮膜 Fe-C合 金めっき皮膜と異 、熱処理時間の影響が大きく、処理時間が長いほ 応力の減少 量が大きく、処理時間300 minの の 400 ℃の熱処理 引張応力に転化してい ことが分 った

3.3.4考察

Fe-Cr合金めっき皮膜の硬さが一般的 Cr含有鉄鋼材料 SUS430:Cr12%、210HV 以下)と比較して、約 850HV と高い理由に いて 、Fe-C 合金めっき皮膜同様に析 出結晶の結晶子サイ が小さいことが要因と考え

Fe-C合金めっき皮膜と比較し、内部応力が小さいに わ 皮膜にクラックが多 い 理 由 に い て 、Cr め っ き の ク ラ ッ ク に 対 森 河 の 考 察

1)

を 参 考 に と 、

Fe-Cr合金めっき皮膜 Crめっき同様にめっき開始時に高い引張応力を ち、めっ

き開始直後にクラックが発生 めっき膜厚が厚く にしたがって応力が急激に低 下して一定値と ってい の い と考え

5,6)

稲垣

7)

、電流波形によ 内部応力への影響に いて X 線応力測定、コンストラ クターを用いて検討し、素地側 引張応力 あ が表面側 縮応力に ってい こ と を報告してい

Fe-Cr 合金めっき 同様と考え と、めっき開始時直後にクラックが発生し、クラック

を残したまま結晶成長し、膜厚の厚膜化に伴い 表面が 縮応力を示したの い

104

と考え

3.4 Fe-Cr合金めっき皮膜の摩擦摩耗特性

3.4.1実験方法

皮膜作製 3.2.1と同様の処理を行った

摩擦摩耗特性の評価に摩擦摩耗試験機( エンテック:SEM-Ⅲ-F)を用いた 回転 試験片にA2017(φ60 mm×t5 mm)にあ めめっきを約10 μm施した のを用い、

固定試験片に 、第2章に述 たFe-C合金めっき(2.2.3)との比較を行うため、同 熱 処理を行い微細パーライト組織に調質したS45C(φ5 mm×L8 mm)を用いた 滑 速度

を0.25~4.0 m/sの範 変化さ た 面間接触 0.195 MPa一定とした 試験距離

最大1000 mとした 室温にて無潤滑下 試験を行った

3.4.2評価方法

摩耗量の測 定に 表面 粗さ試験 機(小坂研究 所:SE-3500)を用 い、 痕の断面形 状を8 所測定し体積に換算し求めた

3.4.3結果

図3.7に試験前および試験後の摩擦摩耗試験用回転試験片の外観を示 試験前 全体的に灰色の鈍い金属光沢を示してい 試験終了後の0.1~1.0 m/sの回転試 験片を見 と、その摩耗痕 茶褐色に変化し、鉄が酸化してい ことがわ 2.0 m/s 以上の試験終了後の回転試験片 、基材のアルミニウム素地が完全に露出してい

ことが確認さ た

105

図3.8に各滑 速度と試験距離、摩擦係数の平均値を示

図3.8 Fe-Cr合金めっき皮膜の滑 速度と摩擦係数、摩擦距離の関係

試 験 前 滑 り 速 度0.5m/s

滑 り 速 度1.0 m/s 滑 り 速 度2.0 m/s 滑 り 速 度3.0m/s 滑 り 速 度0.1 m/s

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

摩擦距離(m)

滑り速度(m/s)

摩擦係数

摩擦距離

摩擦係数 3.7 摩擦摩耗試験前後におけ Fe-Cr合金めっき皮膜外観

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摩擦係数に いて 、Fe-C 合金めっき皮膜と比較して、0.6~0.8とほ 同等の数 値を示した 一方、摩擦距離に関して 速度2.0 m/s以降急激に短く ってい 摩耗 の形態に いて 、摩耗粉の色が茶褐色又 黒色 あったこと 、酸化摩耗と判断

図3.9に回転試験片の各滑 速度におけ 比摩耗量をまとめた のを示

回転試験片 、 滑 速度1.0 m/s以下の速度域 、Fe-Cr合金めっき皮膜 ほと 損耗 、良好 耐摩耗性を示してい Fe-C 合金めっき皮膜と比較 と、

滑 速度0.1 m/s ほ 損耗が く同等 あったが、速度0.5及び1.0 m/s 、非

摩耗量の低減が見 てい 滑 速度2.0 m/s、3.0 m/s 、Fe-C合金めっき皮膜 同様に皮膜が完全に脱落し、素地 あ アルミニウムが露出した

図3.10に固定試験片の各滑 速度におけ 比摩耗量をまとめた のを示

1.00E-08 1.00E-07 1.00E-06 1.00E-05 1.00E-04 1.00E-03 1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

比摩耗量(mm3/kgfmm)

滑り速度(m/s)

3.9 回転試験片(Fe-Cr合金めっき皮膜)の滑り速度と比摩耗量の関係(DRY) 回転試験片

107

固定試験片 、滑 速度 2.0 m/s以下 ほと 損耗が い 、固定試験片側 に損耗が確認さ た 速度3.0 m/sに敱いて 固定試験片の全長が長く 現象が見 た こ 試験終了時にアルミニウム素地が完全に露出し、アルミニウム素地に摩

耗痕が見 こと 、Fe-Cr 合金めっき皮膜が完全に脱落後、素地のアルミニウム

が固定試験片に凝着したため あ

3.4.4考察

Fe-Cr合金めっき皮膜 、Fe-C合金めっきと比較して硬質 あ また、Fe-C合金め

っき同様にその摩耗機構 酸化摩耗 あ 皮膜の硬質化によ 滑 速度1.0 m/s以 下 耐摩耗性の向上が見 た その一方 、滑 速度が 2.0 m/s 以上に と、

Fe-C合金めっき皮膜と比較し、非摩耗量が大きく ってい こ 、Fe-C合金めっき 皮膜の摩耗粉よ 更に硬質 Fe-Cr 合金めっき皮膜の摩耗粉が、摩擦界面に介在

こと 激しく摩耗したためと考え

皮膜の硬質化によ Fe-C合金めっき皮膜よ 良好 耐摩耗性を示 領域が広がっ た このことよ 、広い速度域 の耐摩耗性の向上に 、さ 硬質化が有効 あ と考え 、窒化 の鉄鋼系の表面硬化熱処理が有効 あ と考え

-2.00E-06 -1.50E-06 -1.00E-06 -5.00E-07 0.00E+00 5.00E-07 1.00E-06

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

比摩耗量(mm3/kgfmm)

滑り速度(m/s)

図3.10 回転試験片(S45C)の滑り速度と比摩耗量の関係(DRY) 固定試験片

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