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F IV :道具製作による有限資源の獲得競争

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 72-77)

第3章 物体操作における再帰的結合の進化シミュレーション

3.3 物体操作の進化シミュレーションの結果と分析

3.3.6 F IV :道具製作による有限資源の獲得競争

最後に,ある製作物で獲得可能な資源の量に限度がある場合,エージェント間に競 争が生じ,新たな資源を獲得できる製作物の発明が促される,という予想に基づいた 適応度関数における再帰的結合の進化を調べる.図3.16に示すように,「有限資源の 獲得競争」において,再帰的結合の使用は一つの解となり,ほぼ全ての試行で集団全

体へと広まる.ただし,1試行の典型例である図3.17を見るとわかるように,赤線で 示されている再帰的結合を使用するエージェントは出現と消失を繰り返している.再 帰的結合を使うことが必ずしも適応的ではないが,状況によっては適応的になりうる 環境であるということが伺える.

図 3.16各結合を使用するエージェントの割合と適応度の世代変移

(FIV,200試行の平均)

図 3.17各結合を使用するエージェントの割合と適応度の世代変移

(FIV,1試行)

資源獲得競争の強さが再帰的結合の出現にどう影響するかについて,相互作用の強 さαの値を変化させて調べた結果が図3.18になる.相互作用の強さを高めていくと,

赤線で示された再帰的結合が進化する確率が上がる.これは本来の予想通り,資源の 獲得競争によって新たな製作物を作る動因が生じていることを意味しているだろう.

また,オレンジ線で示されている単結合や青線で示されている反復的結合は,競争に 対する戦略として再帰的結合よりも低い競争率で進化していることから,構造が単純 なものから製作物が作られているとわかる.

図 3.18資源獲得競争の強さごとの各結合を使用するエージェントの割合

(FIV,200試行の平均.10,000世代目)

エージェントが新たな製作物を順次発明している証拠を上げる.図 3.19 はいくつ かの相互作用の強さにおける,エージェント一体あたりが作る製作物の種類数の平均 である. 図(a)は3000世代目,図(b)は10000世代目の結果を示している.相互作用の 強さαの値が小さいときは,少ない種類の製作物を集中して作ったほうが適応度が高 くなるため,多くのエージェントがスペシャリスト的な進化を遂げる.対して相互作 用の強さαが大きいときは,多様な製作物を作ったほうが適応度が高くなるため,多 くのエージェントがジェネラリスト的な進化を遂げる.これは,3000世代目で作られ る製作物の種類よりも,10000 世代目で作られる製作物の種類が増えていることがわ かる.図3.20には再帰的結合を使うエージェントの分布を示す.再帰的結合は多様な 製作物を作るジェネラリスト的なエージェントに必要な能力として出現することが

わかる.

図 3.19資源獲得競争の強さと,作った製作物の種類数に応じた 全エージェントの分布

(FIV,200試行の平均.(a) 3,000世代目と(b) 10,000世代目)

図 3.20資源獲得競争の強さと,作った製作物の種類数に応じた 再帰的結合エージェントの分布

(FIV,200試行の平均.(a) 3,000世代目と(b) 10,000世代目)

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