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E 司

ドキュメント内 レクリエーション研究 (ページ 112-127)

棚 田 の レ ク リ エ ー シ ョ ン 利 用 に お け る 視 点 場 の 設 計 に つ い て O

大 津 由 紀 子 ( 東 京 農 業 大 学 大 学 院 生 ) 麻 生 恵 ( 東 京 農 業 大 学 )

1 . は じ め に

棚 田 が 近 年 、 世 界 遺 産 ( フ ィ リ ピ ン ・ ル ソ ン 島 北 部 コ ル デ ィ エ ラ 地 方 の 棚 田 (1995))や 国 の 名 勝 ( 長 野 県 千 曲 市 旗 捨 ( 田 毎 の 月 )(1999)、 石 川 県 輪 島 市 白 米 千 枚 目 (2001)) に 指 定 さ れ 、 棚 田 の 本 来 の 機 能 で あ っ た 「 米 の 生 産 の 場Jと い う 視 点 か ら 「 多 面 的 機 能 」 と い う 視 点 で 注 目 を 浴 び て き て い る 。 棚 田 の 多 面 的 機 能 の 中 に は 、 「 棚 田 の 美 し い 伝 統 的 景 観 の 提 供 」 と い う 項 目 も 含 ま れ て お り 、 棚 田 の 美 し い 景 観 を 楽 し む 一 般 利 用 者 も 近 年 増 え つ つ あ る 。 従 っ て 、 こ れ か ら は 「 見 せ る 棚 田 」 と し て の 棚 田 景 観 の 価 値 を 考 慮 し つ つ 、 棚 田 を 保 全 管 理 し て い か な く て は な ら な い 。

こ の よ う に 、 棚 田 が 持 ち 合 わ せ て い る 美 し い 伝 統 的 景 観 や レ ク リ エ ー シ ョ ン 機 能 を 活 か す 方 法 と し て 、 美 し い 伝 統 的 景 観 を 味 わ え る 展 望 地 や 散 策 ル ー ト の 設 定 等 が 考 え ら れ る 。 そ の た め に は 、 棚 田 を ど の よ う な 位 置 か ら ど の よ う な 方 向 で 眺 め さ せ れ ば よ り 良 好 な 景 観 体 験 を 提 供 で き る の か に つ い て 、 検 討 す る 必 要 が あ る 。

そ こ で 、 傾 斜 地 形 の 形 態 を う ま く 活 か し て 作 ら れ た 棚 田 が ど の よ う な 場 所 に 立 地 し て い る の か に つ い て 、 地 形 の 形 状 タ イ フ を 分 類 し 、 空 間 的 景 観 構 造 の 特 性 を 把 握 す る こ と が 必 要 と な っ て く る 。 そ う す る こ と に よ っ て 、 棚 田 を 眺 め る 視 点 場 が 定 ま り 、 ま た 棚 田 の 散 策 ル ー ト の 設 定 に 関 す る 提 案 が で き る の で は な い か と 考 え ら れ る 。

以 上 の よ う な 地 形 形 状 の 分 類 か ら 棚 田 の 景 観 設 計 の 指 針 を 提 案 し 、 棚 田 景 観 の 効 果 的 な 利 用 方 法 を 提 案 す る こ と が こ の 研 究 の 目 的 で あ る 。

2. 研 究 対 象 地

対 象 地 は 、 日 本 の 棚 田 百 選 1) に 選 定 さ れ て い る 134地 区 (117市 町 村 ) の 内 、 畑 地 に 転 作 、 あ る い は 詳 細 な 地 形 図 (1/25000以 下 ) を 作 成 し て い な い 地 区 を 除 い た 126地 区 (110  市 町 村 ) と す る 。

3. 研 究 方 法

3 ‑ 1  棚 田 の 立 地 特 性 の 分 析

棚 田 が 所 在 し て い る 各 市 町 村 か ら 取 り 寄 せ た 詳 細 な 地 形 図 2)を全て 1/5,000に ス ケ ー ル を 合 わ せ た 。 そ し て 、 そ の 地 形 図 。 か ら ① 棚 田 の 地 形 形 状 を 凸 型 、 凹 型 、 平 滑 型 、 凹 凸 平 滑 複 合 型 ( 以 下 、 「 複 合 型J) の 4タ イ プ ( 図 1) 、 ② 棚 田 の 立 地 形 態 を 横 長 型 ( 等 高 線 に 沿 っ て 平 行 に 長 い ) 、 縦 長 型 ( 等 高 線 に 対 し て 垂 直 に 長 い ) 、 丸 型 ( 等 高 線 に 対 し て 平 行 、 垂 直 の ど ち ら に 対 し て も 長 く な い ) の 3タ イ プ 、 ③ 棚 田 の 周 囲 の 地 形 環 境 を 周 囲 斜 面 型 ( 周 囲 を 急 傾 斜 地 に 固 ま れ て い る ) 、 背 後 斜 面 型 ( 背 後 が 急 斜 面 で 前 方 が 開 け て い る ) の 2タイ プ 、 の 3点 に 重 点 を お い て 分 類 を 行 い 、 空 間 的 景 観 構 造 の 特 性 を 整 理 し た 。

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図1 棚 田 の 地 形 形 状 の タ イ プ

3 ‑ 2  棚 田 写 真 の 分 析

現 在 発 売 さ れ て い る 棚 田 の 写 真 集4) 5)  6)  7) 引 を 対 象 に 、 研 究 対 象 地 の 写 真 ( 計 336 枚 ) を 選 び 出 し た 。 そ し て 、 そ の 写 真 が 撮 影 さ れ た 視 点 場 を 詳 細 な 地 形 図2) に お と し 、 そ

こ か ら の 撮 影 さ れ た 範 囲 を 棚 田 の 地 形 形 状 別 に ① 写 真 の 撮 影 方 向 を 横 方 向 ( 等 高 線 に 沿 っ て 平 行 に 撮 影 ) 、 正 面 方 向 ( 等 高 線 に 対 し て 垂 直 に 撮 影 ) 、 向 か い 方 向 ( 反 対 側 斜 面 か ら 撮 影)、上方向(伸観により撮影)、の 4タ イ プ 、 ② 写 真 の 撮 影 範 囲 を 眺 望 ( パ ノ ラ マ に 撮 影 ) 、 部 分 的 ( 棚 田 の 一 部 分 を 撮 影 ) の

2

タ イ プ 、 の

2

点 に 重 点 を お い て 、 分 析 を 行 っ た 。

4.

結 果 と 考 察

棚 田 の 地 形 形 状 の 分 類 は 、 表

1

の通りである。

地 形 形 状 別 に 棚 田 の 面 積 範 囲 を 階 級 別 に み た と こ ろ 、 凸 型 、 凹 型 、 平 滑 型 は 、 O.8ha~ 8.0ha聞 に分布し、複合型は 8.0ha~50.0ha間 に 分 布 し て い る こ と が わ か っ た 。 ( 図 2) 

こ の こ と よ り 、 凸 型 、 凹 型 、 平 滑 型 の 地 形 形 状 が 、 最 小 単 位 と し て 複 合 型 の 地 形 形 状 を 献一

1

一形 一牛 表一 地一

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言十 120 

構 成 し て い る こ と が 伺 え る 。 よ っ て 、 以 下 の 地 形 形 状 別 の 立 地 特 性 分 析 及 び 写 真 撮 影 地 点 の 分 析 は 、 棚 田 を 構 成 し て い る 地 形 形 状 タ イ プ の 最 小 単 位 で あ る 凸 型 、 凹 型 、 平 滑 型 の 3 タ イ プ で 行 う こ と と す る 。

‑109‑

4 ‑ 1  凸 型 地 形 の 立 地 特 性 立 地 形 態 か ら み る と 、 凹 型 、 平 滑 型 は 縦 長 型 が 過 半 数 以 上 を 占 め て い る の に 対 し て 、 凸 型 は 横 長 型 が 過 半 数 を 占 め て い る こ と が わ か っ た 。 周 囲 の 地 形 環 境 も 、 凹 型 、 平 滑 型 と 比 べ る と 背 後 斜 面 型 が 多

く 、 ま た 撮 影 範 囲 を 見 る と 、 眺 望 し て 撮 影 し て い る 写 真 が 約 3割 を 超 え 、 凹 型 、 平 滑 型 と 比 べ て 比 較 的 多 い こ と が わ か っ た 。

こ の こ と か ら 、 凸 型 地 形 は 背 後 が 急 斜 面 で 、 前 方 が 聞 け て い て 解 放 感 が あ り 、 眺 望 す る の に 優 れ て い る 地 形 形 状 が 多 い と い う こ と が 読み取れる。(表 2) 

4 ‑ 2 

凹 型 地 形 の 立 地 特 性 立 地 形 態 か ら 見 る と 、 凹 型 は 縦 長 型 で 周 囲 を 急 斜 面 で 囲 ま れ 、 部 分 的 に 撮 影 さ れ て い る 写 真 が 多 い こ と がわかった。

こ の こ と か ら 、 凹 型 地 形 は 周 囲 を 急 斜 面 で 囲 ま れ て 圧 迫 感 が あ り 、 縦 長 型 の 立 地 形 態 な た め 、 視 界 の 範 囲 が 狭 く 、 部 分 的 な 眺 め が 多 く な る 地 形 形 状 で あ る こ と が 読 み 取 れる。(表 2) 

4 ‑ 3  平 滑 型 地 形 の 立 地 特 性

(地区) 25  20  15  10  5 

♂ 0 0   0 6 0 0   G G

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図2 棚 田 の 面 積 の ヒ ス ト グ ラ ム

0%  20%  40 60%  80%  100% 

0...2.0  2.0...4.0  4.0...6.0  6.0...8.0 

i3~総数減ー一一「抱一一一一 O

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阻鰯認さ;液細f!9, 滞 納 18.2  I 

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8.0...10.0 

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76.9  75.0  100.Q  100ρ  100.0 

75.0  14.0...16.0 

16.0...18.0  18.0...20.0  20.0...22.0  22.0...24.0  24.0...26.0 

26.0 ...  E m 8 8 . 9  

27.3  46.7  55.6 

50.0 

50.0 

(ha) 

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図 3 棚 田 の 面 積 別 に み た 地 形 形 状 の 割 合

平 滑 型 は 、 凸 型 、 凹 型 と 比 べ て 全 体 的 に そ の 他 の 値 が 多 い こ と が わ か っ た 。 特 に 、 撮 影 方 向 は そ の 他 が

5

割 を 占 め て お り 、 こ の こ と か ら 平 滑 型 は 、 地 形 に 起 伏 が な い た め 、 捉 え 所 が な く 様 々 な 視 点 場 か ら 眺 め る こ と が で き る 地 形 形 状 で あ る こ と が 読 み 取 れ る 。 ( 表 2) 

ま た 、 平 滑 型 は 大 規 模 圃 場 整 備 さ れ た 地 区 が 凸 型 、 凹 型 よ り も 多 く 、 約 3割 を 占 め て い る こ と が わ か っ た ( 件 数 10、 % :31.3%)。

‑110‑

5. 課 題 表 2 地 形 形 状 別 棚 田 の 立 地 特 性 及 び 以 上 の こ と か ら 、 棚 田 が 立 地 し て い る 最 小 単 写 真 撮 影 地 点 の 特 性

位 の 地 形 形 状 ( 凸 型 、 凹 型 、 平 滑 型 ) の 空 間 的 景 観 構 造 の 捉 え 方 を 把 握 す る こ と が で き た 。 そ こ で 、 最 小 単 位 の 組 み 合 わ せ で 構 成 さ れ て い る 複 合 型 の 立 地 特 性 と 写 真 撮 影 地 点 の 特 性 を 分 析 し て 、 棚 田 が 立 地 し て い る 地 形 形 状 全 て の 空 間 的 構 造 を 把 握 す る こ と が 残 さ れ た 課 題 で あ る 。

そ し て 、 棚 田 を 眺 望 す る 際 に 設 定 す る 視 点 場 の 空 間 的 構 造 の 特 性 を 把 握 す る こ と に よ っ て 、 棚 田 を 眺 望 す る 際 の 視 点 場 の 景 観 設 計 や 棚 田 を 散 策 す る 際 の 回 遊 ル ー ト の 設 定 等 に お け る 指 針 を 提 案 し よ う と 考 え て い る 。

補 注 及 び 文 献

1 ) 日 本 の 棚 田 百 選 は 、 1999年 に117市 町 村134地 区 が 農 林 水 産 省 に よ っ て 選 定 さ れ て い る 。 2) 109市 町 村 よ り 1/ 1 , 000~ 1/75,000の 地 形 図

を213枚 取 り 寄 せ た 内 、 研 究 対 象 地 で あ る120 地 区 の1/1 , 000~ 1/ 10,000の 地 形 図152枚 を 研 究 に 使 用 し た 。

3 ) 中 島 峰 広 (1999) 日 本 の 棚 田 ー 保 全 へ の 取 組 み ー : 古 今 書 院pp.241~ 243 

4 ) 森 田 敏 隆 (2001 ) 棚 田 百 選 : 講 談 社 5 ) 鴨 川 市 農 林 水 産 課 (2002) 鴨 川 大 山 千 枚

田 ス タ ン プ ラ リ ー

6 ) ふ る き や ら ネ ッ ト ワ ー ク (1996) 棚 田 : 講 談 社

7 ) 佐 藤 虞 ー (2001) 九 1'1~ の棚田:南日本新聞

8 ) 平 松 純 宏 (2002) 棚 田 の 四 季 : グ ラ フ イ ツ ク 社

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A 

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4︐ ム

地 形 形 状 凸 型 凹 型 平j骨 型 計 横長型 5  5  9  19 

62.5  19.2  28.1  28.8  縦長型 2  19  19  40  立 25. 73.1  59.4  6α6 

地 丸型 2  3  6 

12.5  7.7  9.4  9.1  態 その他※1

α

α

3.1  1.5  員十 8  26  32  66  計 % 10,αo  10,αo  100.0  100. 周囲斜面型 3  23  25  51  周 37.5  88.5  78.1  77.3  固 背後斜面型 5  3  5  13  の 62.5  11.5  15.6  19.7  地 その他※2 2  2 

E棄 α

αo  6.3  3.0  境 計 8  26  32  66  計 % 100. 10<αo  100.0  10<αo  横方向 6  18  9  33 

75. 69.2  28.1  5α

正面方向

2  2  4 

0. 7.7  6.3  6.1 

撮 向かい方向

5  6 

景三 12.5  αo  15.6  9.1 

方 上方向

。 。

α

3.8  0.0  1.5  その他※3 5  16  22  125  19.2  50. 33.3  計 8  26  32  66  計 % 10αo  100.0  10αo  10,αo 

眺望 3  2  4  9 

9 37.5  7.7  12.5  f

I 部分的 5  24  21  50  景

2

62.5  92.3  65.6  75.8  範 その他※4

7  7  囲 αo  αo  21.9  10. 員十 8  26  32  66  計 % 10αo , 100.0  10<αo  100.0 

※1績長型と縦長型が複合されている地区のこと

※2周囲が、集落で平坦な地区、尾根上に立地して いるため周囲が聞けている地区等のこと

※3撮影方向が、各方向重複している地区のこと

※4眺望と部分的が重複している地区のこと

巨 至

1.はじめに

東アジア地場の山岳国立公園における登山利用行動の管理手法の比較 富士山(日本)、玉山(台湾)、キナパル山(マレーシア)を対象として

O

金子 良知夫(東京農業大学大学院農学研究科) 下 嶋 聖 (東京農業大学大学院農学研究科) 麻生 嘉 (東京農業大学地域環境学部造園科学科)

山岳国立公園における利用者の増大に伴い、自然環境の破壊や利用体験の質の低下(混雑による不快感など) が起こるようになった。これらの問題を解決するため、

2 0 0 2

年度の自然公園法の改正に伴い、利用調整地区 制度が設けられた。これは利用者数を制限することにより自然環境を守り、利用の質を高めるという考えを制 度化したものである。その候補地として小笠原や知床、尾瀬において導入が検討されているが、本格的な実施 例はまだ少ない。一方、海外では様々な場所で利用調整が行われている。東アジアにおいては玉山(台湾)や キナパル山(マレーシア)の例が有名である。この2つに富士山(日本)を加えた3つの山岳国立公園におい て、入山規制や登山者数のコントロールなど利用に関する管理方法を比較し、日本における今後の公園利用計 画に資する検討材料を得ることを目的とする。

2.研究方法

それぞれの対象地に行き、公園管理官にヒヤリングを行い、基礎資料の収集を行った。また、実際に登山を 行い、利用実態や施設をみた。調査内容を表 lに示す。

表1 調査内容

対象地 調査実施場所 調査日 調査項目

公園管理事務所本部 2004915 登山者数管理システムの把握 キナパル山

登山ルート上 916 利用実態、施設の把握 公園ビジターセンター 2004324 登山者数管理システムの把握 玉山

登山ルート上 329 利用実態、施設の把握 富士吉田口登山口 200487 登山口通過人数(上り)の計測 富士山

登山ルート上 88 利用実態、施設の把握

‑112 

3.結果

調査対象地の 3つの山(国立公園)の資料を表 2に示した。玉山、キナパル山は入山口より先には国や州の 直轄施設しかなく、民間施設はない。双方とも、登山ルート上の総宿泊施設数を少なくし、施設容量(キャパ シティ)を小さくすることで年間登山者数を制限する方法をとっている。さらに宿泊予約に先着順(キナパル 山)や申込抽選(玉山)を導入し、入山者数が計画した登山者数以内に収まるようにしている。

次に表

2

において登山道を比較すると、登山口から山頂までの距離は、玉山が最も長い。また、同様に標高 差はキナパル山が最も大きい。歩行時間(筆者らの実測値)はキナパル山が一番長い。一方、富士山は標高差 以外の項目は最小となっており、 3つの山の中で利用者の体力的負担が一番軽いことがわかる。ここで富士山 吉田口五合目における上りの通過人数を l時間ごとに示した図 lを見ると、 6時台、 13時台、 22時台の3つ のピークが見て取れる。それぞれのピークを頂点として、おおよそ4時台から 8時台のグループ(1)、 9時台 から 18時台のグループ(II)、 19時台から7時台のグループ(III)と3つのグループに分けられる。登山口(吉 田口)から山頂までの標準コースタイムが6時間であることから、それぞれのグループの中で主流の登山スタ イルは、(1)が日中の日帰り登山、 (III)が夜行の日帰り登山、 (III)が宿泊登山であると考えられる。宿泊する 人が山小屋に着く時間を

1 5

時から

2 4

時と仮定すると、登山口通過者総数(上り)に占める日帰り登山者の割 合は 37.5%にのぼる。以上のことから、富士山の登山者数が顕著に多い理由として、宿泊施設による登山者 数のコントロールがないだけでなく、日帰りも可能な比較的楽な登山ルートであることも原因のひとつとして 考えられる。

キナパル山では、ガイドの同伴を義務付けており、ガイドがいなければ登山口ゲートより先へは進めない。

また、ガイド l人に対し登山者の最大数を8人と制限している。図2に富士登山(上り)における各グループ の総人数に占める割合(各グループの登山口通過者数を上りの登山口通過者総数で割った値)を示した。富士 山において

9

人以上(キナパルでは存在しないグループ数)のグループの総人数に占める割合は

5 2 . 8 %

にのぼ る。また、

2 0

人以上のグループ単独の総人数に占める割合は

4

1.

3 %

にのぼる。

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‑ ‑

表2登山者数制限の条件となる要素の比較 対象地

所在地

標晶(最局地点)

国立公園 名称

設立年 数 宿泊施設

容量 登山者数の 施設 コントロール ガイド 年間登山者数 (2003年)

登山道 (登山口→山

頂)

(人)1000  900  800  700  600  500  400  300  200  100 

歩行時間 距離 標I訪差

キナパル山 マレーシア、サパ州

4,104m  キナパル国立公園

1964年 6  160人

2小屋(およそ20人) 登山・宿泊許可制(予約制)

ガイド同伴の義務化 (1グループ8名まで)

40, 984人 5時間45分 (筆者ら実測値)

8, 700m  2, 229m 

玉山 富士山

台湾 日本

3,952m  3,776m  玉山国立公園 富士箱根伊豆国立公園

1985年 1936年 5 (野営地1、山小屋4) 17 (吉田口)

196人 4,100人(吉田口) 登山・宿泊許可制(抽選制)

44,987人 156,235人(吉田口) 4時間50分 4時間 10分 (筆者ら実測値) (筆者ら実測値)

10,900 7,500m  1,342 1,414m 

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図1時間帯ごとに見た富士山の一日の登山口通過人数(上り)の変化

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(1グ ル プ の 人 数 )

図2富士山における、各グループの登山口通過者総数(上り)に占める割合

‑114 

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