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DBT の原理

ドキュメント内 博士学位論文 (ページ 66-84)

第 6 章 Digital Breast Tomosynthesis を用いた PEG 処理木材の非破壊画像化 の検討

6.2.1 DBT の原理

トモシンセシスは断層撮影のひとつであり,限られた範囲に対して多数の方向を撮影し た画像データを用いて,そのボリュームデータから再構成画像を作成する手法である.従

来の2D-mammographyにおける組織の重なりや構造ノイズに起因する問題を 減少あるい

は排除することが可能である36).現在,整形外科領域や歯科領域,乳腺などに多く用い られている.

2D-mammographyはX線管が0°の状態で撮影されるのに対し(図6.1a),DBTは圧迫し た乳房に対してX線管を回転させ,この間に複数回の低線量を照射して投影データを収 集する(本研究で使用した装置では±25°回転,25回照射).得られた投影データは異なる 角度で乳房を通過しており,乳房の異なる高さにある対象物はX線管の角度0°では重な っているが,±25°では陰影がずれて投影される(図6.1b).これらの投影データより,撮 影台に平行な断面で1 mmのスライス間隔でFBP法により画像再構成される(図6.1c, d).

一般的に,取得する投影データ数が増えればアーチファクトの少ない再構成画像となる 反面,データ量と再構成時間が増大する.角度範囲が大きいと各再構成画像に描出される 構造物の分離能が高くなり,角度範囲を小さくすると1スライスの中に存在するより多く の構造物に焦点が合う.

59 図6.1 DBTの原理

DBTではX線管を回転させて画像データを収集するため,異なる高さにある構造物を 分離して描出可能である.

(a) 2D-mammography

(b) -25°から25°の投影像 (25枚)

(c) DBT; 投影像から作成した合成画像(1 mm厚) (d) スライス面

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6.2 方法

6.2.1 DBTの原理

トモシンセシスは断層撮影のひとつであり,限られた範囲に対して多数の方向を撮影し た画像データを用いて,そのボリュームデータから再構成画像を作成する手法である.従

来の2D-mammographyにおける組織の重なりや構造ノイズに起因する問題を 減少あるい

は排除することが可能である36).現在,整形外科領域や歯科領域,乳腺などに多く用い られている.

2D-mammographyはX線管が0°の状態で撮影されるのに対し(図6.1a),DBTは圧迫し た乳房に対してX線管を回転させ,この間に複数回の低線量を照射して投影データを収 集する(本研究で使用した装置では±25°回転,25回照射).得られた投影データは異なる 角度で乳房を通過しており,乳房の異なる高さにある対象物はX線管の角度0°では重な っているが,±25°では陰影がずれて投影される(図6.1b).これらの投影データより,撮 影台に平行な断面で1 mmのスライス間隔でFBP法により画像再構成される(図6.1c, d).

一般的に,取得する投影データ数が増えればアーチファクトの少ない再構成画像となる 反面,データ量と再構成時間が増大する.角度範囲が大きいと各再構成画像に描出される 構造物の分離能が高くなり,角度範囲を小さくすると1スライスの中に存在するより多く の構造物に焦点が合う.

59 図6.1 DBTの原理

DBTではX線管を回転させて画像データを収集するため,異なる高さにある構造物を 分離して描出可能である.

(a) 2D-mammography

(b) -25°から25°の投影像 (25枚)

(c) DBT; 投影像から作成した合成画像(1 mm厚) (d) スライス面

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6.2.2 DBTにおける画像歪みの評価

DBTは断層画像であるため障害陰影や歪みを生じる可能性がある.そこでDBTにおけ る管軸方向,垂直方向および深さ方向の画像歪みを検証した.

通常,Digital mammographyの画像ゆがみの評価はアルミの格子状ファントムが使用さ

れるがDBTには適していない.そこで直径20 cm厚さ2 cmの発泡スチロールに5.95 ± 0.01 mmのプラスチック球(バイオ分解性BB弾:ZERO Basic社)を縦横2 cm間隔で発 泡スチロールに均等に埋め込み,画像歪み評価用ファントムとした(図6.2)

ファントムの撮影には乳房用X線撮影装置(MAMMOMAT Inspiration: SIEMENS)を用 いた.撮影条件は管電圧25 kV,管電流時間積56 mAs,圧迫圧0 N,乳房厚60 mm,ター ゲット / フィルタはタングステン / ロジウムとし,支持台からブラスチック球の高さを 0 mm,10 mm,20 mm,30 mm,40 mmと変化させて撮影した.

得られた画像のプラスチック球の陰影が最大となるスライスで球の垂直方向および管 軸方向の直径をImage J (National Institutes of Health)を用いて測定し,プラスチック球

の直径5.95 mmに対しての歪率を計算した.式(6.1)を以下に示す.歪率は0に近いほど歪

みが少ないことを示す.

𝐷𝐷𝐷 𝐷 𝐷𝐷𝑋𝑋𝑝𝑝𝑋𝑋𝐷−𝑋𝑋𝑟𝑟

𝑟𝑟 𝐷× 100

(6.1)

D:歪率

Xp:プラスチック球の直径の測定値 X:プラスチック球の公称値 (5.95 mm)

61 図6.2 ファントムの設置

(a) 上から(本来は球が支持台側になるように設置),(b) 横から

目印線を乳房用X線撮影装置の支持台の胸壁側に合わせて設置,支持台-ファントム間距離を変 化させて撮影した.

(a)の左右方向(内側-外側方向)が垂直方向,上下方向(胸壁-乳頭方向)が管軸方向となる.

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6.2.2 DBTにおける画像歪みの評価

DBTは断層画像であるため障害陰影や歪みを生じる可能性がある.そこでDBTにおけ る管軸方向,垂直方向および深さ方向の画像歪みを検証した.

通常,Digital mammographyの画像ゆがみの評価はアルミの格子状ファントムが使用さ

れるがDBTには適していない.そこで直径20 cm厚さ2 cmの発泡スチロールに5.95 ± 0.01 mmのプラスチック球(バイオ分解性BB弾:ZERO Basic社)を縦横2 cm間隔で発 泡スチロールに均等に埋め込み,画像歪み評価用ファントムとした(図6.2)

ファントムの撮影には乳房用X線撮影装置(MAMMOMAT Inspiration: SIEMENS)を用 いた.撮影条件は管電圧25 kV,管電流時間積56 mAs,圧迫圧0 N,乳房厚60 mm,ター ゲット / フィルタはタングステン / ロジウムとし,支持台からブラスチック球の高さを 0 mm,10 mm,20 mm,30 mm,40 mmと変化させて撮影した.

得られた画像のプラスチック球の陰影が最大となるスライスで球の垂直方向および管 軸方向の直径をImage J (National Institutes of Health)を用いて測定し,プラスチック球

の直径5.95 mmに対しての歪率を計算した.式(6.1)を以下に示す.歪率は0に近いほど歪

みが少ないことを示す.

𝐷𝐷𝐷 𝐷 𝐷𝐷𝑋𝑋𝑝𝑝𝑋𝑋𝐷−𝑋𝑋𝑟𝑟

𝑟𝑟 𝐷× 100

(6.1)

D:歪率

Xp:プラスチック球の直径の測定値 X:プラスチック球の公称値 (5.95 mm)

61 図6.2 ファントムの設置

(a) 上から(本来は球が支持台側になるように設置),(b) 横から

目印線を乳房用X線撮影装置の支持台の胸壁側に合わせて設置,支持台-ファントム間距離を変 化させて撮影した.

(a)の左右方向(内側-外側方向)が垂直方向,上下方向(胸壁-乳頭方向)が管軸方向となる.

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6.2.3 X線撮影における至適撮影条件の検討

PEG含浸木材のX線撮影における至適撮影条件を検討するため,出土木材のPEG含浸 処理後の模擬ファントム(PEG含浸木材)の製作した.PEG含浸木材はスギの現生材の 母材を10.8 cm,6 cm,1.6 cm 乾燥重量32 gに切り,木材の表面は年輪をはっきりと露出 させるために研磨し2,それらを重量が変化しなくなるまで煮沸した.60℃に保ったイン キュベータを使用し,木材をPEG (HO-(C2H4O)n-H, 3100 g/mol, PEG#4000, NOF Corp., Tokyo, Japan)に含浸させた.はじめに濃度40 wt%に4週間含浸させ,さらに60 wt%,80

wt%,100 wt%の溶液中に4週間の間隔で順次に含浸させてから乾燥処理した.また,同

一の母材から同じ大きさに切り出した空気乾燥状態の木材を乾燥保存木材試料とした.

撮影台の上にマンモグラフィ用CRを設置し,その上にPEG含浸木材を配置,X線管 電圧を25 kVから120 kVまで変化させ,X線撮影した.なお,管電圧25 kV,30 kV,35 kVはマンモグラフィ装置,40 kVから120 kVまでX線撮影装置(KXO-32SF:キヤノン メディカルシステムズ)を使用,管電流時間積は2 mAs,Source to Imaging Distance

(SID)はマンモグラフィ装置と統一するため65 cmとした.CRの読み取りにはFCR

Profect CS Plus(富士フイルムメディカル株式会社)を使用した.

得られた各画像データに対し,Image-Jを用いて試料陰影中央部分のプロファイルカー ブを描き,晩材:画素値の低い(明るい)部分,早材:それ以外の分とし,平均画素値を 測定し,それぞれの平均値よりEarlywood -Latewood density Ratioを計算した(式6.2).

Earlywood − Latewood density Ratio = 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑙𝑙

𝑒𝑒 (6.2)

mlは晩材の画素値の平均,meは早材の画素値の平均であり,Earlywood -Latewood density

63

Ratioは高いほど年輪が明瞭に描出されることを示す.

次に,DBTの至適撮影条件を検討するため,管電圧を25 kV,30 kV,35 kV(最大), 管電流時間積を56,100,200,400,500,600 mAsと最小から最大まで変化させ,試料 をX線撮影した.得られた各管電圧と管電流時間積の画像データに対し,晩材と早材の 画素値を測定,それぞれの平均値よりEarlywood -Latewood density Ratioを計算した.

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6.2.3 X線撮影における至適撮影条件の検討

PEG含浸木材のX線撮影における至適撮影条件を検討するため,出土木材のPEG含浸 処理後の模擬ファントム(PEG含浸木材)の製作した.PEG含浸木材はスギの現生材の 母材を10.8 cm,6 cm,1.6 cm 乾燥重量32 gに切り,木材の表面は年輪をはっきりと露出 させるために研磨し2,それらを重量が変化しなくなるまで煮沸した.60℃に保ったイン キュベータを使用し,木材をPEG (HO-(C2H4O)n-H, 3100 g/mol, PEG#4000, NOF Corp., Tokyo, Japan)に含浸させた.はじめに濃度40 wt%に4週間含浸させ,さらに60 wt%,80

wt%,100 wt%の溶液中に4週間の間隔で順次に含浸させてから乾燥処理した.また,同

一の母材から同じ大きさに切り出した空気乾燥状態の木材を乾燥保存木材試料とした.

撮影台の上にマンモグラフィ用CRを設置し,その上にPEG含浸木材を配置,X線管 電圧を25 kVから120 kVまで変化させ,X線撮影した.なお,管電圧25 kV,30 kV,35 kVはマンモグラフィ装置,40 kVから120 kVまでX線撮影装置(KXO-32SF:キヤノン メディカルシステムズ)を使用,管電流時間積は2 mAs,Source to Imaging Distance

(SID)はマンモグラフィ装置と統一するため65 cmとした.CRの読み取りにはFCR

Profect CS Plus(富士フイルムメディカル株式会社)を使用した.

得られた各画像データに対し,Image-Jを用いて試料陰影中央部分のプロファイルカー ブを描き,晩材:画素値の低い(明るい)部分,早材:それ以外の分とし,平均画素値を 測定し,それぞれの平均値よりEarlywood -Latewood density Ratioを計算した(式6.2).

Earlywood − Latewood density Ratio = 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑙𝑙

𝑒𝑒 (6.2)

mlは晩材の画素値の平均,meは早材の画素値の平均であり,Earlywood -Latewood density

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Ratioは高いほど年輪が明瞭に描出されることを示す.

次に,DBTの至適撮影条件を検討するため,管電圧を25 kV,30 kV,35 kV(最大), 管電流時間積を56,100,200,400,500,600 mAsと最小から最大まで変化させ,試料 をX線撮影した.得られた各管電圧と管電流時間積の画像データに対し,晩材と早材の 画素値を測定,それぞれの平均値よりEarlywood -Latewood density Ratioを計算した.

ドキュメント内 博士学位論文 (ページ 66-84)

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