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Cyp4f39 の欠損によるマイバム脂質中の Type 2ω WdiE の消失

3. ω 水酸化脂質による涙液バリア形成機構の解明

3.2. 結果

3.2.5. Cyp4f39 の欠損によるマイバム脂質中の Type 2ω WdiE の消失

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おいて減少はみられなかった(図20F)。したがって,Tg-Cyp4f39/マウスにおい て明らかな減少の確認されたC16:1 OAHFAが,マウスのマイバム脂質における

主要なOAHFAであると考えられる。

54 図21. WdiEChl-OAHFAの構造

(A–C)Type 2 WdiE,Type 1 WdiE,Chl-OAHFAの構造式と簡略化した模式図。

Type 2ω WdiEおよびType 2α WdiE(A)。Type 1ω WdiEおよびType 1α WdiE(B)。

Chl-OAHFA(C)。明るい青色は脂肪族ジオール,赤色は水酸化FA,橙色はFAl

を示す。

たは3つのType 2ω WdiEが存在することが示され,C66:3 WdiEが最も主要であ

った(図23A)。検出されたType 2ω WdiEを構成するFAと脂肪族ジオールの構 造を明らかとするために,最も多く検出されたC66:3 WdiEについてプロダクト イオンスキャンを行い,得られたフラグメントイオンの解析を行った。その結果,

C16:1 または C18:1 FA に関連する 3 つのフラグメントイオン(C16:1 FA 関連;

m/z = 237.14,727.48,745.49,C18:1 FA関連; m/z = 265.16,699.44,717.47)が検 出された(図24A)。C16:1 FAに関連するフラグメントイオンのイオン強度はい

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22. Type 2 WdiEのフラグメンテーション解析

(A–E)有機化学的に合成したType 2 WdiEに対してプレカーサーイオンとして

[M + H]+m/z 787.7)を選択し,LC-MS/MSを用いたプロダクトイオンスキャ

ンを行った。(1,ω-O-C18:1)-C16:0 WdiE のMS スペクトルグラム(A)およびフ ラグメンテーション予測(B)。(1,α-O-C18:1)-C16:0 WdiEのMSスペクトルグラ ム(C)およびフラグメンテーション予測(D)。AとCは上段に各Type 2 WdiE の簡易構造式,下段に開裂位置の予想を示す。(1,ω-O-C18:1)-C16:0 WdiEと (1,α-O-C18:1)-C16:0 WdiEのLCクロマトグラム(E)。青色は脂肪族ジオールに由来

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する構造を示し,巻き矢印は電子対の移動を意味する。

ずれも,C18:1 FAに関連するフラグメントイオンのイオン強度の約4 倍であっ

た。この結果は,C66:3 WdiEを構成するすべてのFAのうち,78%がC16:1 FA, 残る22%がC18:1 FAであり,検出されたC66:3 Type 2ω WdiEは3つのType 2ω WdiE分子種(C16:1 FA/C34:1脂肪族ジオール/C16:1 FA,C16:1 FA/C32:1脂肪族 ジオール/C18:1 FA,C18:1 FA/C30:1脂肪族ジオール/C18:1 FA)の混合物である ことを示している。さらにC16:1 FAとC18:1 FAの強度比から,C66:3 Type 2ω WdiEのうち,マイバム脂質中に最も多く含まれる分子種はC16:1 FA/C34:1脂肪 族ジオール/C16:1 FAであることが示された(表 13)。同様の解析を他の分子種 についても行った結果,マイバム脂質中に含まれるType 2ω WdiEを構成する脂 肪族ジオールはC30–36の鎖長であり,飽和型が14%,一価不飽和型が86%を占 め,2つのFAについては C16:1 FAが主要であり,C18:1 FAが占める割合は小 さいことが明らかとなった。Tg-Cyp4f39/マウスに対しても同じ測定を行った結 果,コントロールマウスで検出されたType 2ω WdiEのすべての分子種において 著しい減少が確認され,総量ではコントロールマウスの0.4%であった(図23A, C)。したがって,Cyp4f39はマイボーム腺におけるType 2ω WdiEの産生に重要 であることが明らかとなった。

コントロールマウスにおいてType 2ω WdiEに加えてType 2α WdiEも検出さ れた。検出されたType 2α WdiEは,総炭素数が52–62であり,Type 2ω WdiEと 比較して短い鎖長の分子種が多くみられ,中でもC56:2およびC58:2 WdiEが多 くみられた(図23B)。Type 2α WdiEについてもType 2ω WdiEと同様に,プロダ クトイオンスキャンで得られたフラグメントイオンの解析を行った結果,構造 中の脂肪族ジオールとしてC20–30の鎖長を有し,飽和型が87%,一価不飽和型 が13%であった。また2つのFAについては,ほとんどがC16:1 FA であること が明らかとなった(表 13)。その一方で,Tg-Cyp4f39/マウスにおいて Type 2α WdiEは,総量でコントロールマウスの約1.5倍に増加が確認され(図23B,C), 特に総炭素数≥56の分子種で増加率が大きいという結果であった。以上の結果よ り,マイバム脂質中にはType 2αおよびType 2ω WdiEの両方が存在し,Cyp4f39

はType 2ω WdiEの産生に関わる一方で,Type 2α WdiEの産生には関与しないこ

とが示された。Cyp4f39は≥C30のFAを基質とすることから,≤C30の鎖長の脂 肪族ジオールを中核とするType 2α WdiEの産生に関わらないことは妥当である。

そのため,Type 2α WdiEの産生にはCyp4f39 とは異なる FAまたはアシル CoA の水酸化酵素が関与することが予想される。

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