第 3 章 観測結果 22
3.2.2 SuperDARN
3.2.2.2 CUTLASS Iceland East レーダー
ドップラー速度の観測結果 図3.46においてカラーバーは−800m/sから800m/sまでを50等分割した速度を 表している。ビーム14、15において、エコーパワーで見ることのできた加熱領域からのエコーであると考え られるレンジ40付近で、周期的な変動を見ることができる。これはFinlandレーダーで観測された脈動に比 べ、長い周期の変動であることがわかる。これらの変動も振幅は小さいが、Finlandレーダーで脈動が見られた
1330UT〜1400UTで見ることができ、Finlandレーダーで見られた脈動と同時に同じ領域で発生している脈動
だと考えられる。
SUPERDARN PARAMETER PLOT
Pykkvibaer: vel 17 Feb 2003
-800 0 800
Velocity (ms -1)
Ground Scatter 1300 (048) to 1400 (048)
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
1300 1310 1320 1330 1340 1350 1400
UT 10
20 30 40 50
Range gate
1300 1310 1320 1330 1340 1350 1400
UT 10
20 30 40 50
Range gate
Beam 13
Beam 14
Beam 15
図3.46:2003年2月17日1300UT〜1400TUにIceland East HFレーダーの特別観測ビームで得ら れたドップラー速度のRTIプロット。
スペクトル幅の観測結果 図3.47においてカラーバーは0m/sから200m/sまでを20等分割したスペクトル幅 を表している。ドップラー速度で周期的な変動が見えているビーム14、15のレンジ40付近でスペクトル幅の 上昇が見えるが、Finlandレーダー同様にイベント1に比べ全体的に低い値となっている。
これら3つの観測値から、ビーム14、15のレンジ40付近で観測された周期的な変動はEISCATヒーターの 電離圏加熱による電離圏電子密度擾乱の上昇によって照らし出された、電離圏電場の脈動であると考えられる が、Finlandレーダーで得られた周期と同じ周期の脈動をこれらの図から見ることはできなかった。以後、観測 された脈動について詳細な解析を行っていく。
SUPERDARN PARAMETER PLOT
Pykkvibaer: width_l 17 Feb 2003
0 200
Width (ms -1)
1300 (048) to 1400 (048)
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
10 20 30 40 50
Range gate
1300 1310 1320 1330 1340 1350 1400
UT 10
20 30 40 50
Range gate
1300 1310 1320 1330 1340 1350 1400
UT 10
20 30 40 50
Range gate
Beam 13
Beam 14
Beam 15
図3.47:2003年2月17日1300UT〜1400TUにIceland East HFレーダーの特別観測ビームで得ら れたスペクトル幅のRTIプロット。
3.2.2.2.2 脈動現象の周波数
図3.48はビーム14、15の1330UTから1400UTにおけるRTIプロットである。縦軸はレンジ35から50ま でを表している。カラーバーは200m/s〜600m/sを40等分割した速度を表しており、レーダーに近づく方向の みになっていることに注意してもらいたい。この図から明瞭な長周期の変動を見ることができる。図3.49はレ ンジ39からレンジ41までの同時間帯の速度変動を表したものである。この図からも長周期の変動が1338UT 付近からあるのがわかる。図3.50は次数8のBurgによって算出した1338UT〜1350UTの周波数スペクトルで ある。それぞれレンジ40から42までを表しており、左がビーム14、右がビーム15となっている。どちらの ビームにおいてもFinlandレーダーで観測された脈動の周波数である13.1mHz〜16.4mHzにはスペクトルピー クが見られなかったが、ビーム14のレンジ41、42を除いたレンジでは4.6mHz〜4.7mHzのPc5帯に属するス ペクトルピークを見ることができた。
SUPERDARN PARAMETER PLOT
Pykkvibaer: vel 17 Feb 2003
200 600
Velocity (ms-1)
Ground Scatter 38
42 46 50
Range gate
Beam 14 1330 (048) to 1400 (048)
1330 1335 1340 1345 1350 1355 1400
UT 38
42 46 50
Range gate
1330 1335 1340 1345 1350 1355 1400
UT Beam 15
図3.48:Iceland East HFレーダーの特別観測ビーム14とビーム15におけるドップラー速度のRTI プロット。時間幅は1330UT〜1400UT、縦軸はレンジ34からレンジ50となっている。
SUPERDARN PARAMETER PLOT
Pykkvibaer: vel
17 Feb 2003
Beam 14, ranges 39 40 41
300 400 500 600 700 800
Velocity [ 10(m/s)/div ]
Beam 15, ranges 39 40 41
1330 1335 1340 1345 1350 1355 1400
UT 300
400 500 600 700 800
Velocity [ 10(m/s)/div ]
図3.49:Iceland East HFレーダーの特別観測ビーム14(上)とビーム15(下)におけるドップラー 速度の時系列データ。それぞれ、レンジ39からレンジ41までを下から順に表している。
横軸は時間で1330UTから1400UTまでの時間帯を表している。縦軸は速度を表している。
102 103 104 105 106
0.001 0.01 0.1
Frequency [Hz]
IcelandEast HF radar Beam 14,15 Feb. 17, 2003, FPE=8
Beam 14 Beam 15
rng 40 (4.7mHz) rng 41 ( / ) rng 42 ( / )
0.001 0.01 0.1
PSD [(m/s)2 /Hz]
rng 40 (4.6mHz) rng 41 (4.7mHz) rng 42 (4.7mHz)
図3.50:Iceland East HFレーダーの特別観測ビーム14(左)とビーム15(右)におけるレンジ40 からレンジ42までのドップラー速度のパワースペクトル。時間幅は1338UTから1350UT となっている。
3.2.2.2.3 波数および伝播方向
次に観測されたPc3-4周波数帯の脈動の波数および伝播方向について求める。Iceland Eastレーダーでも隣り 合う二本のビームで脈動を観測しているため、レンジ間の比較とビーム間の比較から、磁気経度・磁気緯度方 向に対しての波数と伝播方向を算出することが可能である。ビーム14、15の各レンジの磁気緯度・磁気経度 は表3.4のようになっている。
図3.50から、ビーム14において明瞭なPc5脈動スペクトルピークを持つレンジは、レンジ40のみである ため、ビーム14のレンジ40と、ビーム15のレンジ40とレンジ41を用いて波数を求める。図3.51はビーム 15におけるレンジ41に対するコヒーレンスと位相を次数8のAkaike法で算出したものである。この図から、
高いコヒーレンスがあり、西側のレンジが進んでいることがわかった。レンジ41に対するレンジ40の位相差 は、およそ6◦である。また、ビーム14のレンジ40に対するビーム15のレンジ40の位相はおよそ10◦であっ
表3.4: Iceland Eastレーダーのレンジ39〜レンジ42までの磁気緯度・磁気経度 ビーム14 ビーム15
レンジ番号 磁気緯度 磁気経度 磁気緯度 磁気経度
40 66.37 107.83 65.35 106.85
41 66.34 108.13 65.32 107.13
42 66.31 108.42 65.28 107.40
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
40 41 42
Cohenrency
5 mHz
-60 -30 0 30 60
40 41 42
Phase [degree]
Range gate number Coherence and Phase between Iceland East Beam 14&15, 17/Feb./2003
5 mHz
Range gate number beam14
beam15 41 42 43 beam15 41 42 43
beam14
図3.51:Iceland East HFレーダーの特別観測ビーム14に対するビーム15のコヒーレンス(左)と 位相(右)。それぞれ、等緯度レンジに同士による比較となっている。横軸は比較したそ れぞれのレンジを表している。
た。この位相差から、以下の式が成り立つ。
6 = (kx,ky){(66.35,106.85)−(65.32,107.13)} (3.4) 10 = (kx,ky){(66.35,106.85)−(66.37,107.83)}
上記の式から、磁気緯度方向、磁気経度方向の波数は、それぞれと−10と20となる。このため、1340UT〜
1350UTでは、低緯度側の位相が遅れ、東に伝播するPc5脈動であることが判明した。