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図 6.12

から,「情報公開」,「リスクの軽減」,「品質の保証」や「第三者への説明責任・

折衝」が土壌汚染対策事業において重視する項目として上位に挙げられている.「情報公開」,

「リスクの軽減」や「第三者への説明責任・折衝」は住民とのコミュニケーションが関係 することである.これは表 6.1 の比較項目である「現場と発注者との距離・連携」や「住 民と発注者の距離」と根本的に共通している.また,「品質の保証」は,CM方式の利点で ある契約や情報の透明性を確保しつつ経済性を追求ことに繋がる.したがって,土壌汚染 対策事業は様々な事業執行形態から CM 方式が適することが,アンケートの結果からも裏 付けられる.

6.2 一般建設事業の

CM

業務

5)

図 6.13 ピュア

CM

の場合の契約関係例 図 6.14 アットリスク

CMR

の場合の契約関係例

ここでは、通常のCM方式について述べる.

CM 方式とは,1970 年代初頭にアメリカで考案された発注形態であり,建設生産・管理シ ステムの一つである.発注者の利益を確保するために,発注者の下でコンストラクション マネージャー(CMR)が,設計・発注・施工の各段階において,設計の検討・工程管理・品質 管理・コスト管理などの事業遂行に必要な各種のマネジメントの全部または一部を行うも のである.(図 6.13,図 6.14参照)

日本でも,近年の厳しい財政状況下において社会資本整備を効率的に進める方策の一つ として,この CM 方式が注目され,建設事業に関する国民への分かり易い情報公開,事業 の透明性確保,建設市場における国際化対応,発注者の技術力不足解消などを目的として 試行的に行われている.

6.3 土壌汚染対策事業の

CM

業務

4)6)

土壌汚染対策事業は土壌汚染調査から対策が終了するまでを含み,これらの対策フロー を示せば図 3.4のようである.事業者は各工程を解決しながら対策を終了するのであるが,

我が国では土壌汚染対策事業の経験が少なく対応に苦慮することが多い.そのため,事業 者はその推進のマネジメントをコンサルタント会社(CM会社を含む)へ委託することにな る.対策フローにおけるマネジメントは以下の3つに分類できる.これらを図 6.15の楕円 で示す.

① CM-Ⅰ(対策計画マネジメント)

発注者 CMR

専門工事業 専門工事業 コンサルタント CM契約

工事契約 設計契約

管理(コーディネート)

CMR 発注者

専門工事業 専門工事業 コンサルタント CM契約

工事契約

設計契約 管理(コーディネート)

80

② CM-Ⅱ(情報公開サポートマネジメント)

③ CM-Ⅲ(対策工事マネジメント)

CM 方式とは,事業者に代わって工事等のコストダウンや品質改善のサポートを行う ものである.ここでは,実際に行われている事業主へのサポートが上記のCMと同じと は言えないが,事業者をサポートするといった概念では同様とみなし使用している.

図 6.15

PhaseⅢの内容とCM

業務(サポート業務)

CM-Ⅰ(対策計画マネジメント)は,土壌汚染調査結果を踏まえ,事業主の意向や 当該自治体の意見,また周辺環境,法律,条例などを整理して対策の基本方針を策定す るとともに,これに基づく対策工法の比較検討による工法の決定を行う.さらに,対策 工事の詳細な設計図や仕様書の作成,また施工会社の選定作業が行われる.

CM-Ⅱ(情報公開サポートマネジメント)は,行政対応のサポートをはじめ,マス コミへの発表にかかわる各種サポート,近隣住民への説明会のサポートなどが含まれる.

それぞれ,資料の作成や事業者と同席しての説明のサポートが作業の中心となる.

CM-Ⅲ(対策工事マネジメント)は,対策工事の施工計画書の作成や行政への工事 関係書類の届出などのほか,事業者に代わって事業監理,施工管理(建設業法に基づく 資格を有する者が実施)や工事報告書の指導や照査を行う監理,また対策の効果確認が 作業となる.

6.4 事業者別マネジメントの比較

次に,前頁で示したCM方式の関与度等を含めた事業者別の比較を行った.

事業者には多種多様な業種があるが,対応するマネジメントの立場から分類すれば,大 別して「大企業型」と「中小企業型」に分類できる.

ここで,土壌汚染対策を行う場合について事業者及びマネジメントを委託される側の対 応等についてまとめた.これを表 6.2に示す.ただし,これは大企業がすべて大企業型に,

また中小企業がすべて中小企業型になるわけではなく,対応の型がおおよそ2つに分類で きるとしたものである.

調査段階 対策段階

資料等調査

概況調査 詳細調査

CM-Ⅰ(対策計画マネジメント)

対策基本方針 対策工法比較検討 詳細計画

CM-Ⅲ(対策工事マネジメント)

施工計画 対策工事 対策の確認

CM-Ⅱ(情報公開サポ-トマネジメント)

行政対応サポート 住民対応サポート マスコミ対応サポート

81

表 6.2 事業者別マネジメント比較表

7)

大企業型 中小企業型

会社規模 従業員数千人以上 従業員数百人以下

土 壌汚染顕 在化の

契機 自主的な環境管理活動(ISO14000 シリ-ズ 等)

不動産取引 事業者の対応部門 会社の総務部門及び技術部門との連携、

多数関与

会社の総務部門のみ、数人の関与 組織の方針 土壌汚染に対する方針が明確である 土壌汚染に対する方針が曖昧である 組織力 エンジニアリング部門あるいは関連会社

を持っており、対策工事等が実施できる

エンジニアリング部門あるいは関連会 社を持っていないため、対策工事等は外 部業者が実施する

対策規模 大規模な対策工事 小規模な対策工事

土壌汚染の現場数 他に同様な工場がある 1ヶ所だけの場合が多い 土 壌汚染対 策の進

め方

計画的な対応が求められる(事業者主導 型)

対応できる要員がいないためスケジュ

-ル管理まで任される(CM主導型)

対策技術の選択 資金および時間的に余裕があり、自主的 な環境管理活動がある場合には、環境に 配慮した処理法や新技術が採用される可 能性がある

時間的な余裕がなく対策工法が限定さ れ、特に不動産取引のある場合には掘削 除去がよく選択される

CMの位置付け 土壌汚染に関する相談役や顧問等の立場 真の事業者支援あるいは対策の代行業 務

CMの関与度 部分的に任される 一切を任される

CM の 技 術 的 レ ベ ル

高度な専門知識や技術により業務を遂行 することができる

事業者に代り、対策のト-タルマネジメ ントについて携わる

CM分類 部分的な対応が求められる(例えば、CM

-Ⅱのみ等) CM -Ⅰ~Ⅲの合体型が求められる

【6 章の参考文献】

1)下池季樹,島崎敏一:環境修復事業のマネジメントの体系化に関する研究,土木学会論 文集F4(建設マネジメント),Vol.67,№4,pp.131-143,2011年

2)國島雅彦,庄子幹雄:建設マネジメント原論,山海堂,1994年

3)横浜市政策局共創推進室共創推進課:横浜市PFIガイドライン,2011年5月

4)尾崎哲二,下池季樹,藤長愛一郎,渋谷正宏,岩永克也,三村卓:環境修復事業へのCM

方式の導入に関する研究,建設マネジメント研究論文集,Vol.10,pp.191-206,2003年 5)土木学会建設マネジメント委員会環境修復事業マネジメント研究小委員会:CM 方式に

よる環境修復事業について研究報告書,pp.7,2003年5月

6)土木学会,建設マネジメントシリーズ 02 土壌・地下水汚染対策事業におけるリスクマ ネジメント-失敗事例から学び,マネジメントの本質に迫る-,2008年5月

7)下池季樹,尾崎哲二,石原成己:土壌汚染対策におけるマネジメントについて,土木学 会第58回年次学術講演会,2003年

8)新たな入札調達方式による建設プロジェクトにおけるリスクマネジメントについて

~地盤リスク~:RANDOM FOCUS

http://www.scopenet.or.jp/main/products/scopenet/vol27/rf/rf1b.html

9)ターンキー契約:新語時事用語辞典、weblio辞書

http://www.weblio.jp/content/

82

10)大野泰資:公共工事における入札・契約方式の課題、会計検査研究 №27、pp.172 2003年3月

11)設計・施工一括および詳細設計付工事発注方式 実施マニュアル(案) 平成21年3月

国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する講談会 品質確保 専門部会

http://www.nilim.go.jp/lab/peg/siryou/hatyusha/db_manual.pdf

12)吉原伸治、建設業における系列とパートナリングの比較分析、日本建築学会 第 21 回 建築生産シンポジウム(東京)論文集,pp.223-228

http://www.furusaka.archi.kyoto-u.ac.jp/pdf/2004/m_yoshihara.pdf 13)多様な契約方式の検討について、国土交通省、2012年7月

http://www.mlit.go.jp/common/000226506.pdf 14)国等の機関における契約方式の概要、環境省

http://www.env.go.jp/council/35hairyo-keiyaku/y356-01/ref01.pdf

15)BOT と PFI、株式会社経営システムアカデミー、PFI でビジネス大展開、堀正美、

http://www.mac-web.co.jp/column/PFI03.pdf

(その他参考文献)

①大野泰資、原田祐平:日・米・欧における公共工事の入札・契約方式の比較、会計検査 研究 №32、pp.149-168 2005年9月

http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/pdf/j32d09.pdf

②設計・施工一括発注方式等について、国土技術政策総合研究所 http://www.nilim.go.jp/lab/peg/siryou/hatyusha/hinshitu/5-1_shiryou.pdf

③事業化方式について:第 3 回千葉県下水汚泥利活用方策検討委員会資料、平成 20 年 3 月 18 日

http://www.pref.chiba.lg.jp/gesui/jouhoukoukai/shingikai/gesuidou-iin/documents/dai3kaishiryou 4.pdf

④FIDIC契約約款の比較:公益社団法人日本コンサルティング・エンジニア協会 http://www.ajce.or.jp/book/Contract.pdf

⑤小林潔司:建設プロジェクト契約におけるリスクの分担、Civil Engineering Consultant VOL.231 April 2006

http://www.jcca.or.jp/kaishi/231/231_kobayashi.pdf

⑥公共調達のあり方を考える-海外プロジェクトとの比較を通じて-:社団法人日本土木工業 会 CE/建設業界 2004年8月号

http://www.nikkenren.com/archives/doboku/ce/ce0408/tokusyu_01.html

⑦他の事業方式との比較、PFIインフォメーション http://www.pfinet.jp/about/comparison.php