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CEFR の理念

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The CEFR: Nature, Relevance and Current Development

2 CEFR の理念

ボン大学日本語科では 2004 年度から CEFR 基準を取り入れ、その理念を基にカ リキュラムを作成する努力を続けてきた。この理念とは以下の通りである。

敬意を示す欧州人の市民性を発展させる。

2) 言語教育は偏見のない柔軟な態度や考え方を育み様々な技能の発展に寄与する ことを通じて、知的な成長の一要因となる。

3) 学習者のニーズに応えるためには生涯にわたる言語学習が必要であり、言語教 育は必要に合わせて言語を習得できる学習者の育成を目指す。

4) 言語を学ぶことは学習者としての自律性を身につける機会である。

そして、この 3 番目、4 番目を我々は「言語教育は生涯にわたるものであり、それ ができる自律性を持った学習者の育成を目指す」と理解し、日本語教師の役割は、

単に「日本語を教える」だけではなく、生涯にわたって言語学習が続けられる自律 性を持った学習者の育成をも含むと捉えている。

3 自律学習とは

自律学習については色々な定義があるが、我々はその条件として以下の様に捉えている。

1) 教師がいなくても学習を続けられること。

2) 自分に合った学習スタイルを身につけていること。

3) 自分の学習活動を客観的に評価できること。

4) 自分で自分の学習活動をコントロールできること。

また、青木(2005)によると、それは学習者が生来持っているものではなく、教育に よって育てるものであるとあり、「それは教師から教えてもらうもの、教師にコントロ ールされるものという価値観を徐々に崩していく過程である」としている。

よって、我々もそれに沿って、「修了時までに、協働学習を通して 自分に合った 学習ストラテジーを獲得し、自律学習を身につけること」を、ボン大学で獲得すべ き能力として講義概要の中に挙げている。

4 協同学習とは

協働学習とは、桑野他(2007)によれば、小グループで相互に協力しあいながら、

共有する目標の達成を目指す学習のことで、その目標達成に対して個人個人が責任 を持つことが求められるとのことである。

我々は、この協働学習を通して、学生に、教師に依存しない習慣を身につけても らい、ひいては自律学習につなげていきたいと思っている。

5 ボン大学の授業構成

ボン大学の授業構成は以下のようになっており、教科書は、3 セメスターの途中まで

『げんき I, II』で、その後、文法、読解の授業では『ニューアプローチ中級日本語』、

言語運用(コミュニケーション)の授業では、『新日本語の中級』を使っている。

単位名 科目名(コマ数) h/週 累計 CEF-R

1 1 基礎日本語1 文法(1) 文字・読解(1) 言語運用(2) 6h 90h A1

2 基礎日本語2 文法(1) 文字・読解(1) 言語運用(2) 6h 180h A1

2 3 基礎日本語3 文法(1) 文字・読解(1) 言語運用(2) 6h 270h A1-2

4 応用日本語1 文法(1) 文字・読解(1) 言語運用(2) 6h 360h A2-B1

3 5 応用日本語2 文法・読解(1) 言語運用(2) 4.5h 428h B1

6 応用日本語3 文法・読解(1) 言語運用(2) 4.5h 496h B1-B2

6 ボン大学の近年の歩み

ここでボン大学で近年に行われたカリキュラム改革について簡単に紹介する。

2004 年度に CEFR の基準を取りいれた語学コースを行うようにという指示が、大 学側から日本語科を含む東洋言語研究所全体に下された。それに従い、まず講義概 要のコース説明が CEFR に沿ったものになり、2005 年度から試験の見直しが行われ た。さらに、2006年度よりシラバスの改訂が始まり、これまでの文法中心のシラバ スから、「その課を学んだ事によって何ができるようになったか」という機能重視 型のシラバスになった。これに伴い、まず初級の 1、2 セメスターの授業活動内容変 更、全クラス共通教材開発が行われ、非常勤講師を含む講師全体への意識浸透が行 われた。その後、2008 年度から上の 5、6 セメスターの授業活動が変わった。それは、

文法の一斉授業がなくなり、文法も学習者が協働学習の中で自ら学んでいくという 形で、教師との関わりが、授業時間ではなく、授業終了後のメール交換での個別指 導が主になってきた。また、この年から全セメスターに Can-Do リストを配布してい る。今年度は、4 セメスター、3 ゼメスターの活動内容の変更が進行中である。

7 授業計画

では、6 セメスターで行ったことを具体的に説明する。

まず、第一日目に、このクラスの方針を説明し、図書館やウェブなどにある、利用でき るツールを紹介した。その後、クラスを 4~5 人の小グループに分け、各課ごとの責任者、

つまり“先生”役を割り振り、学生は、この日だけ、これから一緒に学んでいくグループ ではなく、先生役を担当する課が同じ人が一緒になり、前述の図書館等で利用できるツー ルを使って、共に文型を学んだ。この活動には多くの学生が食いつき、授業時間後も自主 的に個人又は友達同士で集まり、より深く学んでいたようである。

二回目以降は、各課ごと、週 1 回、合計 2 回(計 4 時間)の授業を行った。一回目は“先 生”役の学生を中心にグループで文法項目を学習した後、個人で、習った文型を全て使い、

決められたテーマ、決められたテキストタイプで文章を書き、教師に送る。二回目は教科

の要約をした後、もう一度個人で要約し教師に送る。

そして、教科書での学習が終了し、生教材に入る前に、今まで各課で書いたみん なの“作品”を読みあい、どの作品が一番よかったかを皆で決めてもらった。この 活動には復習という意味合いもある。それから、3 回続けて生教材を読み、内容把握 し要約した。そして、その内容について、この授業とは別の週 2 回の言語運用クラ スで活発に意見を述べ合い、その意見交換を基に、意見文を作成してもらった。

これまでは技能別にクラスが分かれ、別々の内容の授業が行われていた。しかし、

もともと言葉というのは総合的なものである。よって、言語運用クラスと読解文法 クラスを合体させて最終的に一つにし、バチュラーを終わってもらおうと考えたの である。最後の時間には全体でフィードバックしたあと、「ボン大学で日本語を学 んだ 3 年間を振り返る」というテーマで作文を書いてもらった。

<表 2> 2009 年度春学期 6 セメスター「文法・読解」授業計画 *1 コマ 90 分 文法学習項目 活動内容および文章作品テーマ 文章スタ

イル

11~13 課 1* 担当者による文法学習

11 課 2 【比較】~ましだ、むしろ等 「究極の選択」 エッセイ

12 課 2 【様子・類似】~たとえると、いわば等 「中世人に現代社会を説明す

る」 説明文

13 課 2 【程度・変化】~につれて、~ていく等 「未来人にこれからどうなるか

教えてもらう」 会話文

読書会 1 各自の最終作品をもとに 11~13 課の復習

生教材 3 新聞記事を要約した上で自分の意見を述 言語運用クラスでの話し合いを べる 元に意見文作成 意見文

振り返り 1 「三年間で学んだこと」

8 学生からのフィードバック

このフィードバックと振り返りの作文から学生たちの意見を箇条書きにす る。肯定的な意見

1) わからない人間が教えるのは、どこがわからないか知っているから効果的だ。

2) ドイツ人が説明する方が、ドイツ人の間違いやすい点がわかっているのでいい。

3) この授業で、文法だけではなく、他人に日本語でどう説明すればいいかも学ぶ ことができた。これは、将来きっと役にたつと思う。

4) 5 セメスターと 6 セメスターの授業は今までと違って自分達が得た知識を使う

ことが目標だった。

5) 「どうして先生は何もしないのか」と思ったが、今考えてみるとよかった。自 分がやらないとだめなのはよい勉強になった。

6) 文法を使って文章を書くのも面白くて役に立った。

7) 宿題のメールのやり取りは役にたった。

1) 念のため先生と一緒にチェックしたかった。

2) 教師の短い説明が欲しかった。

3) 準備をしてこない人がいたとき困った。

4) グループワークに参加しない人がいた。

5) 他の人のおしゃべりで集中できなかった。

6) 私は先生に教えてもらう授業の方がよかった。

9 この活動を行って

この授業を行う中で、様々なことが観察された。例えば、準備してこなかった学 生が仲間からの批判にあい、それからは必要最低限の準備をしてくるようになった ことや、理解が遅い学生には先生役だけでなく、その説明を聞いて理解した学生が 自分の言葉でさらに説明を付け加えグループ全体の理解が深まったりといった場面 が見られたことである。また、先生役の学生は説明のときには準備万全で、面白い 例文を考えてきたり、パワーポイントを作ってきたり、それぞれの工夫を凝らして いた。そして、何よりも驚いたことには、文法説明はドイツ語でいいと教師が言っ たにもかかわらず、自らの意志で日本語で行ったグループがあったことである。

これらのことから、以下のことが言えるだろう。

・他人に対しての責任は学習の動機付けになる。

・互いに説明し合うことで理解が深まる。

・他人のためだとサービス精神、見得が働く。

・自由な裁量が与えられたことにより、チャレンジ精神が生まれた。

この活動中にはこれ以外にも以下のような効果が見受けられた。ひとつは、授業 中のグループ活動で文法についてだけではなく学習の方法にまで話し合いがしばし ば及んでいたことである。その中で学生は互いの学習方法を知る機会を得たようで ある。つまり、まさに「学習方法を学習する」であり、これは自律学習に向けての 大きなステップの一つと言ってもいいだろう。また、学生が互いに教え合うことで、

納得できるまで質問できる。その中で、質問を受けた学生は質問されることによっ て新たな視点から文法が見直せるといった効果も表れたようである。

そして、授業後の教師とのメールのやり取りでは、文章の添削のみならず、教師 を辞書のように使う学生や、確認の意味で教師に文法の説明を求める学生もいた。

それ以外に自分の興味のある日本語をネットで探してきて、質問してくる学生もい た。つまり教師をツールとして使っていたのである。教師の立場からは、学生個々 人の問題点をピンポイントで指導できるという利点もあった。

実は、この授業スタイルを取るにあたって、学生がどこまで責任感をもって活動に当たっ てくれるか、一抹の不安があったが、多くの学生は期待に添う教師役をこなし、中には我々 の予想以上の効果をあげたグループもあった。しかし、予想通り、一部責任感に乏しい学生 もいたことは確かである。学生の責任感を喚起するためには、学期の始めにもっと

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