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B 環部エポキシアルコール構造の導⼊

第 3 章 Strophasterol C, E, F の合成研究

3.4 B 環部エポキシアルコール構造の導⼊

Strophasterol C, E, Fに共通するD’環部の構築と23位ヒドロキシ基の導⼊が完了した

ので、続いてB環の官能基修飾へと合成を進めた(Scheme 26)。まず87の側鎖のヒド

AcO

OH H

H HO

87 2) Bu3SnH, AIBN PhH, 80 ºC, 99%

1) ClC(S)OPh, py.

CH2Cl2, rt, 71%

AcO

O H

H

H HO

80

O Table

AcO

OH H

H HO

86

OH

entry 1 2 3 4

conditions

NaBH4, MeOH, 0 ºC DIBAL, CH2Cl2, –78 ºC

LiAlH(Ot-Bu)3, THF, rt to 50 ºC NaBH(OAc)3, CH2Cl2, rt

results

many products many products no reaction 84%

Table

H H

NOE

ロキシ基をTES 基で保護して88とした後、strophasterol A, Bを合成した際の⼿法を

⽤いてB環の修飾を⾏った。即ち、臭素化剤としてDDH、ラジカル開始剤として V-70を⽤いることで、望みの位置で臭素化が進⾏した89が得られた。89に対し、フェ ニルセレネニルアニオンによる臭素の置換とセレノキシド脱離による⼆重結合の導

⼊をワンポットで⾏い、ジエン 90を調製した。90に対し、Scheme 18 で⾒出した、

ヨードヒドリン保護体を経由したエポキシ環構築法を⾏ったところ、90 に対するヨ ードヒドロキシ化は速やかに進⾏し、⽣成したヨードヒドリンを TMS 基で保護する

ことで91を2⼯程47%の収率で得た。ところが、91に対しmCPBAを作⽤させたと

ころ、⽬的とする 92 の収率は32%にとどまり、反応温度や試薬の当量など様々な検 討を⾏ったが改善には⾄らなかった。そのためより効率的なエポキシアルコール部位 の構築法を探索することとした。

Scheme 26. B環へのエポキシアルコール構造の導⼊の試み

著者はジエン92に対するセレノヒドロキシ化反応に着⽬した(Table 7)。即ち、本反

AcO

O H

H

H HO

87

TESOTf 2,6-lut.

CH2Cl2, rt 96% AcO

O R

H

H

H TESO

88

AcO

O R

H

H

H TESO

89 DDH, V-70

CCl4, 40 ºC 62%

PhSeSePh, NaBH4 EtOH/THF, rt then H2O2 aq.

rt, 82%

Br

AcO

O R

H

H

H TESO

90

MeO N N

OMe CN

NC

N O N

O

Br Br

V-70 DDH

AcO

O R

H

H

H TESO

91

AcO

O H

O

H TESO

92

1) NIS, H2O acetone, rt 2) TMSOTf, 2,6-lut.

2 steps, 47%

mCPBA NaHCO3 CH2Cl2, rt

ca. 32%

I

OTMS

OTMS R

応がヨードヒドロキシ化と同様の⽴体化学で進⾏すれば、所望の⽴体化学を有する94 が得られ、セレニドの酸化的脱離により5–6位に⼆重結合を導⼊できると考えた。ま ず、entry 1, 2に⽰すように、フェニルセレネニルクロライドやNPSP42)のみを⽤いた 場合、反応は進⾏しなかった。そこで、酸を添加することによってNPSPの求電⼦性 を上げることができるという知⾒をもとに、種々の酸を添加した43)。entry 3, 4に⽰し た酢酸やPPTSといった弱酸では反応が進⾏しなかった。⼀⽅、entry 5に⽰すように、

カンファースルホン酸を加えて 2 時間反応させたところ、側鎖の TES 基が外れただ けの93と望みでない⽴体化学を有し、かつ側鎖のTES基が外れた97が約5:3の⽐率 で得られた。ところが驚くべきことに、反応時間を40時間に延ばしたところ、93と 97が徐々に減少し、望みの⽴体化学を有する95 (望む94の脱保護体)が主⽣成物とし て得られることが分かった(95/97 = 約9:1)。最終的に、entry 7に⽰すように、酸とし て TFA を⽤いて室温で⻑時間攪拌することにより、TES 基の脱保護がある程度抑え られ、最も⾼い収率で94及び95が得られることを⾒出した。

Table 7. ジエン90に対するセレノヒドロキシ化反応の検討

本反応のメカニズムを以下のように考察した(Scheme 27)。90に対するセレノヒドロ

AcO

O H

H

H RO

90: R = TES 93: R = H

entry 1 2 3 4 5 6 7

reagents

PhSeCl (5.0 eq.) NPSP (5.0 eq.) NPSP (5.0 eq.), AcOH NPSP (5.0 eq.), PPTS NPSP (3.0 eq.), CSA NPSP (3.0 eq.), CSA NPSP (3.0 eq.), TFA

results no reaction no reaction no reaction no reaction 90/97 = ca. 5:3 95/97 = 9.0:1 (70%)

94/96 = 8.9:1 (53%), 95/97 = 7.5:1 (24%) time

24 h 24 h 24 h 24 h 2 h 40 h 60 h conditions

H2O, CH2Cl2

rt AcO

O H

H

H RO

AcO

O H

H

H RO

+

N O

O SePh

NPSP 94: R = TES

95: R = H

96: R = TES 97: R = H

SePh SePh

OH OH

5 6

キシ化ははじめ、NPSPがC10位のメチル基の⽴体障害を避けるように紙⾯奥側から 接近し、セレネニラニウム中間体101の⽣成が優先すると考えられる。ところが、⽔

の攻撃による101の開環を考えると、C6位への攻撃は C10位のメチル基の⽴体障害 により進⾏しづらく、C7 位への攻撃は、開環の際にエネルギーの⾼いツイストボー ト型の遷移状態を経由するため進⾏しにくいはずである(Fürst–Plattner rule)28)。⼀⽅、

NPSPが紙⾯⼿前側から接近してセレネニラニウム中間体98が⽣成すると、アリル位 である C7位において、⽔の攻撃によるトランスジアキシアル開環が即座に進⾏し、

96及び97を速度論的⽣成物として与えると考えられる。しかし系中が酸性であるた め、99のようにヒドロキシ基がセレンからの攻撃を受けることで、再びセレニラニウ ム中間体100となり、クリーフレイヒ脱離が進⾏した結果、ジエン90及び93が再⽣

したと考えた44)。先にも述べたようにセレネニラニウム中間体101のC7位への⽔の 付加は進⾏しづらいが、おそらくアリルカチオン種を経由して徐々に進⾏していると 思われる。これにより⽣じた102はヒドロキシ基とフェニルセレネニル基がエクアト リアルに位置しているためにクリーフレイヒ脱離が進⾏しにくく、その結果熱⼒学的 に安定な102が⽣成したと考察した。

Scheme 27. ジエン90/93に対するセレノヒドロキシ化反応のメカニズム

AcO

O H

H

90: R = TES 93: R = H

H RO

AcO

OH H

R’

H RO

OH SePh AcO

O H

H

R’

H RO

OH SePh

96: R = TES 97: R = H

AcO Me

PhSe

OH2 AcO H

Me

H

OH2 SePh 94: R = TES

95: R = H

AcO Me

H PhSe

H2O

AcO Me

H PhSe

H2O

H PhSeOH

AcO Me

H

H2O SePh

H

Krief-Reich elimination

H2O/CH2Cl2 NPSP, TFA

98

100 99 101

102

6

10 7 10

6 7

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