• 検索結果がありません。

第 2 章 Strophasterol A 及び B の合成研究

2.9 B 環の官能基修飾

D’環及び側鎖の⽴体選択的構築が完了したので、strophasterol A及びBの合成の達成

まで、残るはB環の官能基修飾のみとなった。まず、strophasterol Aの⽴体化学を有 する47を対応するシリルエノールエーテル49に変換した後に、B環に⼆重結合を導

⼊する経路(49→50)を検討した(Scheme 14)。

Scheme 14. C環ケトンに対するシリルエノールエーテル化の検討

しかしながらentry 1–4に⽰すように、47に対するシリルエノールエーテル化は進⾏

しなかった。これは10位及び13位に存在する2つのメチル基の⽴体障害により、ケ トンα位の⽔素が引き抜かれにくかったことに加え、⽣成物である 42 のシリルオキ

シ基とD’環部分の⽴体反発が⼤きいことが原因と考えられた。そこで次に47のエノ

50への直接的な酸化を試みた(Table 3)

H H Me

H H

H ABC-ring

O AcO

Ir H

H H

A) B)

AcO

O H 47

H H

entry 1 2 3 4

conditions

TMSOTf, Et3N, THF, 0 ºC to rt HMDS, LiI, TMSCl, CH2Cl2, reflux KHMDS, TMSCl, THF, 0 ºC to rt BSTFA, Et3N, THF, 0 ºC to rt

results no reaction no reaction no reaction no reaction Table

AcO

OTMS H 49

H

Table H

F3C OTMS N OTMS

BSTFA

10

13

AcO

O H 50

H

Table 3. C環ケトンのエノンへの酸化

entry 1 では⼀般的な IBX酸化の条件に付した。この時、痕跡量ではあったが 51

得ることができた。そこでentry 2では、IBX酸化の別法として知られるパラジウム触 媒と酸素を⽤いた⼿法 23)、entry 3 ではヨウ素酸を⽤いた⼿法 24)を試みた。しかしな がらいずれの条件でも反応は進⾏せず、⽬的物は得られなかった。これらの検討結果 より、C環ケトンの直接的なエノンへの酸化は困難であると判断し、次にケトンα位 の臭素化の検討を⾏った(Table 4)。

Table 4. C環ケトンの臭素化

AcO

O H 47

H H H

entry 1 2 3

conditions

IBX, DMSO, 100 ºC

O2, Pd(TFA)2, DMSO, dioxane, 80 ºC HIO3, cyclohexene, DMSO, 60 ºC

results 51 (trace) no reaction no reaction AcO

O H 51

H H

AcO

O H 50

or H

AcO

O

H 47 H

H H

entry 1 2 3

conditions

NBS, p-TsOH•H2O, CH2Cl2, reflux Py•Br3, AcOH, 50 ºC

PhNMe3•Br3, THF then DBU, 50 ºC

results no reaction no reaction 50 (89%) AcO

O

H 52 H

H Br

AcO

O

H 50

H

entry 1, 2に⽰すように、NBSやPy•Br3を臭素化剤として⽤いたときは反応が全く進

⾏しなかった。これに対し、entry 3のPhNMe3•Br3を⽤いたときには速やかにケトン α位が臭素化されることを発⾒した25)。そこで、ワンポットでDBUを加えたところ、

臭素の脱離により⼆重結合が導⼊され、エノン50を89%の収率で得ることができた。

続いてB環アリル位への官能基導⼊に取り組んだ(Scheme 15)。まず、エノン50を酸 化クロムを⽤いたアリル位の酸化反応に付したところ、望みの B 環アリル位ではな く、C 環のアリル位にケトン基が導⼊された 53 が得られるのみであった。そこで次

にWohl–Ziegler臭素化の条件を⽤いて、アリル位のラジカル的な臭素化を試みた。ま

ずはentry 1に⽰すように、NBS とAIBNを⽤いた⼀般的な条件で臭素化を⾏ったと

ころ、所望の位置での臭素化が進⾏し、54 を 42%の収率で得ることができた 26)。こ の時副⽣成物として⼆箇所のアリル位が共に臭素化されたジブロモ体 55 が得られて いることが分かった。そこで分解点がより低いラジカル開始剤である V-70 を⽤い、

より温和な条件での臭素化を試みたところ、収率が 50%まで向上した(entry 2)。さら に臭素化剤の検討を重ねたところ、entry 5に⽰すように、DDHを⽤いると収率を61%

まで改善できることを⾒出した。

Scheme 15. B環アリル位の官能基化

次に得られたアリルブロミド 54 の臭素の脱離による⼆重結合の導⼊に取り組んだ

(Scheme 16)。まず、54に対しDBUを作⽤させて脱臭素化し、ジエン56 を得ようと

試みたが、実際に反応を⾏うと、主⽣成物として得られたのは望みの56ではなく、B 環から⽔素が引き抜かれ、縦に⼆重結合が導⼊された57であった。また、57に対し、

酸や塩基の添加や求核種の付加による 56 への異性化を試みたが、反応は進⾏しなか った。そこで、54の臭素をフェニルセレネニルアニオンで求核置換して、アリルセレ ニド中間体 58 とした後に、セレノキシドへの酸化と脱離をワンポットで⾏ったとこ ろ、望みのジエン56を単⼀⽣成物として得ることができた。

AcO

O H H Br

byproduct (55) Br

entry 1 2 3 4 5

conditions

NBS, AIBN, CCl4, 80 ºC NBS, V-70, CCl4, 40 ºC NBP, V-70, CCl4, 40 ºC NBSa, V-70, CCl4, 40 ºC DDH, V-70, CCl4, 40 ºC

results 42%

50%

45%

53%

61%

Table

N O Br

O N

N O

O Br

Br

N S

O Br O O

NBP DDH NBSa

N N NC

CN

MeO OMe

V-70 AcO

O H

H 53

AcO

O H

H 50

AcO

O H

H 54 Br Table

O CrO3

CH2Cl2 rt

Scheme 16. ジエン構造の構築

関連したドキュメント