23 Red Data Book of Akita Prefecture 2016 [Animal Ⅰ]
秋田県は西側が日本海に面し、東側には奥羽山脈が南北に連なり、脊梁沿いにブナ林が残存している地域がある。青 森県との県境には白神山地があり、その一部が世界遺産に登録されている。
また県内には米代川および雄物川という二大河川があり、米代川は能代市から東に、雄物川は秋田市から南に揚々と 横たわっている。その沿線には広大な水田地帯が広がっている。
このように秋田県土は天然ブナ林に代表される良好な自然環境のほか、日本海沿岸、農耕地帯、二次林など極めて多 様性に富んだ環境であり、300種を超える鳥類が生息している。
奥羽山脈には北から八幡平、森吉山、秋田駒ヶ岳、和賀岳、栗駒山、更に沿岸部には鳥海山と標高1000mを越す山々 が連なり、亜高山から高山帯に生息するビンズイ、イワヒバリ、カヤクグリ、ホシガラス等が生息しており、ブナ林帯で は極めて多くの鳥類が生息・繁殖している。なかでも比較的生息個体数の少ない鳥類はコマドリ、ルリビタキ、コルリ、
クロジ、キバシリ、ブッポウソウ、アカショウビン等であるが、近年ブナ林帯の渓流でシノリガモの繁殖が栗駒山、田代岳、
白神山地等で確認され、話題を呼んでいる。その詳細な生態の解明に向け調査が行われている。本種はこれまで殆どが シベリア方面から冬鳥として飛来し、沿岸の岩礁地帯で越冬すると云われていた。しかし、その生息数も少ないことから、
冬鳥として飛来するのか、本州や北海道で繁殖したものが冬季沿岸で認められるのか判然としない。
沿岸部ではクロサギ、コアジサシ、オオジシギ、ホオアカ、コシアカツバメ等が生息個体数は少ないものの繁殖してい る。クロサギは暖帯性のサギの仲間であるが男鹿半島と象潟沿岸に少数ながら繁殖し、コアジサシも現在少数が雄物川 の中州で繁殖している。以前には大潟村や秋田市から男鹿市に至る海浜で大きなコロニーで繁殖していたが、近年は大 きなコロニーは観察されていない。オオジシギ、ホオアカなどは少数が県内の草原、湿地等で繁殖している貴重な鳥類 である。
また冬鳥のコクガンも数少ないながら毎年男鹿半島および象潟沿岸に飛来するのも貴重である。
なかでも、日本全体でも一時幻の鳥と云われたオオセッカが大潟草原に多数が繁殖したことがあったが、現在そこに は少数つがいが繁殖している。この大潟草原は現在も鳥獣保護区特別保護地区となっており、オオセッカの繁殖数の増 加が望まれている。この大潟草原はオオセッカの他、オオジュリン、コジュリン、ホオアカ、コヨシキリ、オオヨシキリ、
オオヨシゴイ等の草原性の鳥類の繁殖地として極めて貴重な存在である。更に本草原にはチュウヒという草原性の猛禽 類が繁殖しているのも貴重である。
1978年には、森吉山ノロ川地区で、本州で初めてクマゲラの繁殖が記録され、現在もひとつがいがほぼ毎年繁殖し 続けているのは特筆に値する。本種は日本産キツツキ類では最も大型で、ハシボソガラス程の大きさであり、本州では 白神山地を含め、奥羽山脈の標高約600mのブナ林で、大木がまとまって残存する林で繁殖している。本県では今のと ころ森吉山と八幡平のみで繁殖が知られている。クマゲラは営巣木として、直立した下枝のないブナの木の地上約10
~13mの所に大きな穴をあけて営巣する。
また、ここ数十年以前から大潟村を中心として、マガン、ヒシクイの仲間が、特に北帰行の折り、2月下旬から3月末に 大集結し、雪が解けるに従い、能代市から北側の米代川沿いの水田地帯で落ち穂を拾っているのも見ごたえがある。
鳥類概説
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特に、近年マガン、ヒシクイの飛来数が多くなり、又、シジュウカラガン、ハクガンの飛来数が増加しつづけているの は特筆に値する。
森林生態系の頂点に位置しているといわれる猛禽類、特にイヌワシ、クマタカがブナ帯から低山帯にかけて営巣、繁 殖している。イヌワシは現在知られているのは10つがいほどである。
一方、クマタカは20つがいほどの営巣が確認されているものの、調査が進むにしたがって、もっと多くの営巣地が知 られる様になるであろう。
イヌワシはブナ林帯の岩棚や天然スギの太い横枝に営巣し、その県内の分布は白神山地から奥羽山脈、鳥海山である のに対し、クマタカは低山帯からブナ林帯下部の天然スギやキタゴヨウ等の大木に営巣している。
更にその他の猛禽類であるオオタカは海岸砂防林からブナ林帯下部の森林で、多くはクロマツ、アカマツ、カラマツ 等に営巣することが多い。その他、ハチクマ、ノスリ、サシバ、ミサゴ等多くの猛禽類が低山帯で繁殖している。なかでも ミサゴとサシバが近年多く見受けられるようになった。
ミサゴは沿岸の後背林や大河川付近、ダム湖周辺部で繁殖している。一方サシバは、県内の二次林で多く繁殖してい るのが各種調査で明らかになっている。
これら大型猛禽類が多く生息し、繁殖するだけの餌動物の生息を可能にしている多様な自然環境が豊富であるから であろう。
(小笠原暠)
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掲載種解説
カモ目カモ科 秋田県2016:
秋田県2002:
環境省2014:
絶滅危惧