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Amphibia

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69 Red Data Book of Akita Prefecture 2016 [Animal Ⅰ]

 県内に野生する両生類は、有尾目サンショウウオ科3種、イモリ科1種、無尾目ヒキガエル科1種、アマガエル科1種、

アカガエル科6種、アオガエル科3種の計2目6科15種である。

 環境省が動植物の分布調査結果をまとめるときに使用している「5倍地域メッシュ」では、秋田県全域が548区画に分 けられる。本郷(2007)はこれによって両生類各種の記録を集計し、次の数値を得た。(数字は記録のある区画数)。

 サンショウウオ科(トウホクサンショウウオ216、クロサンショウウオ110、キタオウシュウサンショウウオ98)、イモ リ科(アカハライモリ93)、ヒキガエル科(アズマヒキガエル114)、アマガエル科(ニホンアマガエル143)、アカガエル 科(タゴガエル93、ニホンアカガエル40、ヤマアカガエル165、トノサマガエル117、ウシガエル28、ツチガエル102)、

アオガエル科(シュレーゲルアオガエル104、モリアオガエル152、カジカガエル85)。

 両生類の産卵と幼生の発育には水環境が重要で、種によってそれが止水だったり流水だったりする。一方、成体はア カハライモリなどを除けば繁殖期以外は陸上で生活する。ただし両生類は肺のつくりが悪く(キタオウシュウサンショウ ウオは肺がない)、呼吸の大半は濡れた皮膚で行なわれるから、水辺で生活するか、水辺を離れたとしても湿潤な森林、

草むらが必要である。両生類は水からの制約を大きく受ける動物群である。

 乳白色のアケビの実の形をしたぶよぶよ寒天質の卵嚢を産むクロサンショウウオと無色でしわのあるバナナ形寒天質 の卵嚢を産むトウホクサンショウウオは、共に早春の丘陵から低山、高山までの止水域を産卵場にしている。その違いを 特徴的に示すと、前者は魚類が生息しない池の中央部水底、後者は泉や雪解けのたまり水縁辺部であり、より止水性の 強いのが前者、微流水性とも言えるのが後者である。夏に干上がるような水溜りは、トウホクサンショウウオ幼生には天 敵の少ない場所であり、これが生息地の多い一因になっている。餌の不足は共食いによって解決している。幼生の行動 は緩慢で、水底に静止していることが多く、その様子からサンショウカジカ(方言)と呼ばれている。

 キタオウシュウサンショウウオも低山から高山まで分布が広いが、源流域のしぶきのかかる巨岩の隙間などに産卵し ており、卵嚢の発見はむずかしい。孵化した幼生の体は細長く、指に黒い爪があり、渓流の流れの弱い岸の石の間で生活 している。

 以上3種のサンショウウオについては、1976年の緑の国勢調査で主要野生動物に選定し、生息状況と分布を調査して いる。1983年には絶滅のおそれのある、または学術上重要と思われる両生類・爬虫類34種(亜種も含む)に選定して 調査を継続し、1987年に貴重な両生類に指定している。そのような情勢から生息地点の県内記録は多数蓄積した。一 方その後の環境改変による生息地消失も、絶滅を危惧するほどには進行させていない。これは大規模な改変がそれほど 多く行なわれていないことのほかに、行動範囲の狭い小動物ゆえの特質もからんでいる。森林の伐採、道路の敷設、圃 場整備などが与える直接的影響は大きいが、開発地の隣に新たに生息地を確保するなどの例もあり、冷静な観察が要求 される。

 アカハライモリは、平地では水田や住宅環境の整備、農薬や洗剤使用の影響等により壊滅的に減少したが、山間部や 山地の池沼では大きな変化が認められない。

 平地から高山まで分布するアズマヒキガエルと低山までのニホンアマガエルも、調査がゆきわたっていないが、全体 的には絶滅を危惧するような変化はない。

 習性や生活史が特異なタゴガエルは、秋田県内では注目されたのが遅かったため情報が極端に不足だったが、1978 年の緑の国勢調査に並行して県が分布調査対象種に取り上げたことにより調査が進み、県内の低山地一帯に広く生息す ることが予想できるようになった。

両生類概説

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 早春に産卵するアカガエル類のうちニホンアカガエルは平地性で、農耕地や住宅環境の整備によって生息場所、産卵 場所を失い、著しく減少した。これによりヤマアカガエルと山麓部で競合している例が目立つようになったが、近年は少 しずつ各地からの生息情報が集まっており、絶滅の心配はやや薄れている。ただしもともと県北部での記録のない種で 生息地が少なく、今回準絶滅危惧に選定した。青森県に生息しないとすれば日本海側における分布の北限地はどこか詳 細は不明であり、その解明が期待される。ヤマアカガエルは産卵が高山の池沼まで見られ、分布が広く個体数も多い。

 トノサマガエルは稲作と密接な関係をもって分布を広げてきたが、その農業の近代化によって減少した種である。か つては密度の高い大集団を形成して広大な水田地帯を優勢に占拠していたが、圃場の区画整備と乾田化によって生息 地が分断され、小型化し点在化した。また農薬使用の影響も大きかった。ツチガエルもこれにほぼ準ずる。本県ではまだ 確認されていないが、トノサマガエルと競合するトウキョウダルマガエルが岩手県北上市で分布を広げており、横手盆地 への侵入が懸念される。

 ウシガエル(食用蛙)は、昭和初期(1927~1933)に養殖を目的として県内広く61以上の農家に約1万5千個体の 幼生を配布したが繁殖させることができず、寒冷多雪の秋田では生息できないだろうと考えられていた種である。とこ ろが1975年に南秋田郡の山間に民間人によって半ば戯れに放されたものが、管理が行き届いていない農業潅漑用溜 池と八郎湖の調整池、承水路を拠点にして増えつづけ、分布を広げた。その分布拡大は今も続いている上、近年はさら に二次的な人為搬入とみられる遠隔地での繁殖も起こっている。

 シュレーゲルアオガエルの生活史は山村の稲作に適応している。成体は夏中は林中にあって、春、山際の水田が耕起 され、水が張られると畦にあるネズミ穴等に産卵する。近ごろは畦にポリシートを貼って水漏れを防ぐ作業が行なわれ たり、山間地での農薬使用の影響を受けているが、今のところ絶滅が危惧されるほど問題が進行していない。

 モリアオガエルは吸盤が発達していて森にすみ、初夏池の水面に張り出した枝に白い泡状の卵魂を産みつける。雄4

~6cm、雌6~8cm。体が大きいため生息するには外周りが薮で内部に風が入りこまないような湿った森林を必要とす る。生息するには制限要因の多い本種だが、冬の大量の降雪と夏はフェーン現象の高温によって森林の発達のよい本県 では、サンショウウオ3種とともに1976年以降連続して分布調査の対象にされたこともあって、広く各地で記録されて いる。近ごろは里山の雑木林の管理が行き届かず、これが本種の生息に有利にはたらいているようにも見える。

 カジカガエルは晩春に河川上流の瀬の大きな石の下に産卵する。幼生は大きな吸盤で石に吸い付いて体を保ってい る。産卵期以降の成体は水辺を離れて森林内に生息する。本種は1978年の緑の国勢調査において県が主要野生動物 に追加して調査を進め、各河川の上流部に広く生息していることがわかった。一時は河川の砂防ダムの建設が過剰気味 に行なわれて生息環境の悪化が心配されたが、これの納まった今は安定を取り戻している。

 以上、爬虫類両生類を通じて言えることは、人間の生活環境に接して生息する種のみならず人里から離れた場所で生 活をしていると思われる種も決して人間の活動と無関係ではない、ということである。かつて人間とかすかに接触しな がら生息圏を広げたと見られる事例は多々ある。たとえば高度経済成長期以前の林道の脇には、山の斜面から地下水 がしみだして所々滞水している素掘りの浅い溝があった。現在も路傍のその溝にトウホクサンショウウオやヤマアカガエ ルやアズマヒキガエル、モリアオガエルなどが産卵しているが、ほかにめぼしい場所はない。これらの種はおそらく人 間の刻んだ排水溝を基地としてさらに奥地へ分布を広げたと思われる。かつては人間の自然利用が穏やかで、それに小 動物もうまく適応していた。自然の豊かさはそのようにして維持されてきた。振り返って現在の合理性経済性追求の三 面舗装の排水溝では小動物はすがるよすがもない。今後に期待されるのは小動物に配慮した開発である。

(本郷 敏夫)

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