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AUDIT 15点以上:アルコール依存症疑い群

ドキュメント内 依存症と家族 (ページ 79-113)

AUDIT

3) AUDIT 15点以上:アルコール依存症疑い群

→アルコール専門医療機関受診勧奨、希望により減酒支援

4) AUDIT 20点以上:アルコール依存症疑い群

→積極的な受診勧奨、基本的には断酒のすすめ

問題飲酒の評価

-AUDITを用いた問題飲酒の重症度判定-

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Kristenson H, Őhlin H, Hulten-Nosslin M-B, et al: Identification and intervention of heavy drinking in middle-aged men: results and follow-up of 24-60 months of long-term study with randomized controls. Alcohol Clin Exp Res1983; 7: 203-10

Kristenson H, Ősterling A, Nilsson JA, et al: Prevention of alcohol-related deaths in middle-aged heavy drinkers. Alcohol Clin Exp Res 2002; 26: 478-484

Brief Intervention の起源

Sweden, Malmoe市の45-50歳男性住民で、健康診断で

γ-GTP値が上位に属し多量飲酒が確認されたものを無作為に介入群と 対照群の2群に分け、長期に追跡。介入群では、詳細な身体検査と飲 酒歴、アルコール関連問題、依存の徴候に関する面接、3ヶ月ごとの 内科医との面接、毎月看護師が訪問しγ-GTPに関するフィードバック を受けるというもの。対照群では、肝障害があること、飲酒量を減らし た方が良いとの助言を手紙で報告。

【結果】介入群では、2,4年後の調査時点までの入院日数が少なく、特 にアルコール関連障害での入院が少なかった。また、10-16年後の追 跡時点で介入群の死亡率の減少を認めた。

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Brief Intervention

Brief Intervention

の特徴は、

①断酒ではなく、飲酒量の減量を目標にする。

②依存症の専門家ではなく、ヘルスケアの従事者によって

行われる。

③依存症の患者でなく、依存症でない患者を対象とする。

Anderson P, Gual A, Colom J: Alcohol and primary health care: clinical guidelines on identification and brief interventions. Department of health of the government of Catalonia, Barcelona. (2005)

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Brief Intervention の概要( 1 )

①ブリーフ・インターベンションとは、生活習慣の行動変容

を目指す短時間の行動カウンセリングである。

②カウンセリングでは、「健康」を主なテーマとして、飲酒 量低減の具体的目標を自ら設定してもらう。飲酒問題の 直面化は避け、「否認」などは介入時に扱うテーマとしな い。実際、「健康」をテーマとして早期介入を行うことによ り、クライアントが示す否認や抵抗も比較的少ない。

③動機付け面接やコーチングといった面接(介入)技法を 用いるが、介入の3つのキーワードは、

「共感する」、「励ます」、「誉める」である。

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①ブリーフ・インターベンションとは、従来型の指示的・指 導的な保健指導とは異なり、クライアントの自己決定を重 視し、自ら進むべき道を選択してもらい、介入者はそれに 寄り添ってエンパワーし、サポートするというクライアント 中心の行動カウンセリングを指す。

②主な3つの構成要素は、

「Feedback(フィードバック)」、「Advice(アドバイス)」、

「Goal Setting(ゴール・セッティング)」である。

③この早期介入を始めるに当たって、アルコール専門医 療機関との連携を予め準備しておくことも、重要である。

Brief Intervention の概要(2)

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Feedback(フィードバック):

スクリーニングテストなどによって対象者の飲酒 問題及びその程度を客観的に評価し、このまま飲 酒を続けた場合にもたらされる将来の危険や害に ついて情報提供を行うことを指す。

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フィードバックのポイント

あきらめない程度に危機感を!結果は淡々と。

・飲酒状況の客観的評価

最初は、お酒の飲み方と感じる問題を自由に語ってもらう

最近の飲酒状況を客観的に振り返って数値化してもらう (これが、次の目標設定の際の参考値になる)

最近1ヵ月間の16ドリンク以上の多量飲酒日数は何日あり ましたか?

最近1ヵ月間の非飲酒日数は何日ありましたか?

最近1週間の1日平均の飲酒ドリンク数はどの位ですか?一 緒に計算してみましょうか。

AUDITなどのスクリーニングテストを用いて客観的に評価する

(あなたは今、この位置でアルコール依存症にも近いところですね)

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あなたの1日のドリンク数は100人中何番目でしょうか?

2039 4059 6074

2039 4059 6074 上位3 7ドリンク 4 2 14ドリンク 12 8

5 6 3 2 13 9 7

10 4 2 1 9 7 6

20 2 1 1 6 6 4

30 2 1 0 4 4 4

40 1 1 0 3 4 3

50 1 1 0 2 3 2

60 1 0 0 2 2 1

70 0 0 0 1 1 1

80 0 0 0 1 1 0

90 0 0 0 0 0 0

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あなたのAUDIT点数は100人中何番目でしょうか?

2039 4059 6074

2039 4059 6074 上位3 10 6 4 20 20 20

5 8 5 4 18 18 16

10 6 4 3 15 16 13

20 4 3 2 11 12 10

30 3 2 1 8 10 7

40 2 2 0 6 8 6

50 2 1 0 4 7 4

60 1 1 0 3 5 4

70 0 0 0 2 4 2

80 0 0 0 1 2 0

90 0 0 0 0 0 0

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フィードバックのポイント

あきらめない程度に危機感を!結果は淡々と。

・飲酒状況の客観的評価(その2

評価に基づいて、現在のままの飲酒を続けていると将来どういう危 険が生じるかを客観的に伝える

(このままですと、がん、高血圧、肝臓病、糖尿病など、ここに書いて あるような病気に罹る危険が高くなるようですね)

自身にとっての飲酒の効用と害を並べ挙げてもらう

(あなたにとってのお酒の効用と害をいろいろ挙げて、バランスシート を作ってみて下さい。)

お酒の飲みすぎと関係のある治療中の病気、健康診断の結果を挙 げてもらう

(体重、血圧、中性脂肪、γ-GTPなどの検査結果も、お酒の量を減ら したら改善が期待できますね)

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Advice(アドバイス):

飲酒を減らし(節酒)たり、止めれ(断酒)ば、どのよ うなことを回避できるかを伝え、そのために必要な 具体的な対処法についての助言やヒントを与える ことである。

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飲酒習慣行動変容のための アドバイスのポイント

① 飲酒量を減らして得られる、リアルな変化のイメージを 作る

=飲酒量を減らすことに成功した時に手に入る報酬を示し、動機 付けを高める

お酒を減らした時に、生活面や健康面で変わると期待で きることを具体的にイメージとして抱いてもらう

(あなたがお酒を減らすことができた時に、健康と生活の面では 一体、どう変わっているのでしょうか?健康、家庭生活、仕事な どに分けて具体的に想像してみましょう。そして、そのイメージを いつも抱いているとお酒の量は自然と減るようです)

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飲酒習慣行動変容のための アドバイスのポイント

① 飲酒量を減らして得られる、リアルな変化のイメージを 作る

=飲酒量を減らすことに成功した時に手に入る報酬を示し、動機 付けを高める

 お酒を減らした場合に期待できる効果の例:

・ 長生きできる ・ 体力がつく

・ 朝気持ちよく起きられる ・ 脳へのダメージが減る

・ お金が貯まる ・ 酔ってケガしなくなる

・ 妻や子供が喜ぶ ・ 検査結果の数値がよくなる

・ 仕事の能率が上がる ・ 性的な機能が改善する

・若さを保てる ・・・等々

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1

1日当たりの純アルコール摂取量の減少(g

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 20 40 60 80 100 120 160 180 200

140

Rehm J, Roerecke M: Reduction of drinking in problem drinkers and all-cause mortality. Alcohol Alcohol. 2013; 48(4): 509-513

お酒を減らすことによって変わるあなたの年間推定死亡率

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② 具体的な対処法を考える

=できるだけ具体的に酒量を減らす方法や対処法を考えてもらう

つい多く飲んでしまう状況の例:

冠婚葬祭

・ 職場や友人との宴会 ・ 仕事帰り

・ 休日前夜、週末 ・ 心配事があるとき ・ イライラしているとき

・ 何か一つの事を成し遂げたとき ・ 眠れないとき

・ 給料をもらったとき

・ お腹がすいているとき ・・・等々

飲酒習慣行動変容のための アドバイスのポイント

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② 具体的な対処法を考える

=できるだけ具体的に酒量を減らす方法や対処法を考えてもらう

具体的な対処法の例:

酒以外の趣味を増やす

・ 効用より害が多いことを思い出す

・ 家族が心配していることを思い浮かべる

・ まず食事をとって腹を満たす

・ 小さいコップで飲む

・ 一口飲むたびにコップをテーブルに置く

・ 次の一口までの時間を長くする

・ 注がれないようにコップを空にしないようにする

・ 夜10時以降は酒を飲まない

・ 1日に3時間以上は飲まない ・・・等々

飲酒習慣行動変容のための アドバイスのポイント

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③ 変えることに成功した生活習慣とそのコツを語ってもらう

=行動変容に成功した生活習慣を語らせ自己効力感を高める

④ お酒の量を減らそうとする試みを誰かに公言してもらう

=誰か話しやすい人にこの挑戦を宣言し、応援してもらう

⑤ 飲酒日記をつけてもらう

=セルフモニタリングをする

飲酒習慣行動変容のための アドバイスのポイント

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Goal Setting(ゴール・セッティング):

「目標設定」で、クライアントが7~8割の力で達成できそう

な具体的な飲酒量低減の目標を自ら設定してもらうことで

ある。

一度目標を立てたあと、実際に4週間ほど挑戦してみて、

もう一度目標を上方や下方に修正、再設定することもでき る。また、目標を一つに決めることが難しければ、クリアし やすい簡単な目標と難しいチャレンジレベルの目標を二 つ立ててみてもらってもよい。

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A) 酒量限定型:1日の飲酒量あるいはある期間の飲酒量(使用金額)を 具体的に数値として目標に掲げたもの(62名)

B) 休肝日型:非飲酒日(休肝日)を増やすことを具体的に目標に掲げたも の(64名)

C) 節酒工夫型:多量飲酒日を減らす、飲酒時間を制限する、二次会に行 かない、平日は飲み会以外は飲まない、夜勤明けは飲まないなど飲酒 量を減らすための工夫を具体的に目標に掲げた者(28名)

D) 気合い・抽象型:数値目標がなく、具体性に欠ける目標(例:休肝日を 守る、もう一杯をやめる、今以上に増やさない、1日の酒量を減らす、

深酒を減らす、飲み会を減らすなど)を掲げた者(24名)

目標設定のタイプ(介入群

178

名)

目標設定の方法

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