112 55% 14倍
2) 通常、正常肝→脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変 の順に進展する。
3)肝硬変のうちアルコールが原因とされるものは約25%
とされている。一方、アルコール依存症患者の約15%に
肝硬変がみられる。32
アルコール消費と生活習慣病等のリスク
リス ク
消費量
例: 血圧、高脂血症、脳出血、乳癌
リス ク
消費量
リス ク
消費量
例: 肝硬変、肝障害
例: 虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病
(a) (b)
(c)
33
アルコールと血圧 -
高血圧治療ガイドライン2014-編集: 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会
• 飲酒習慣は血圧上昇の原因となる。
大量の飲酒は高血圧に加えて脳卒中やアルコール性心筋症、
心房細動、夜間睡眠時無呼吸をひきおこすだけでなく、癌の原因に もなり死亡率を高める。
少量の飲酒はむしろ心血管病のリスクを改善するとされている。
しかし、少量の飲酒の心血管保護効果については、そのメカニズム を含め今後の検討が必要である。
アルコール単回投与は数時間持続する血圧低下につながるが、
長期に続けると上昇に転じる。飲酒量を80%ほど減ずると1~2週間 のうちに降圧を認めるとされている。
大量飲酒者は急激な節酒により、血圧上昇をきたすことがあるが、
節酒を継続すれば降圧が得られる。
34
アルコールと脂質代謝異常
•
適度なアルコールは
HDLコレステロールを上昇させる。
•
しかしアルコールが肝臓で分解される過程で、中性脂肪 の合成が高まり、多量飲酒者では中性脂肪値が上昇す る。(脂肪肝の原因にもなる)
•
脂質異常
→動脈硬化
→心筋梗塞・脳梗塞のリスク
↑。
•
また、肝硬変になってしまうと、肝臓でコレステロールが 作れなくなってしまうため逆にコレステロール値は低下。
35
(1週間の平均飲酒量、グラム)
日本人中年男性における
アルコール消費量と脳卒中のリスクとの関係
(相対リスク)
Iso, H. et al. Stroke 2004;35:1124-1129
36
アルコールと高尿酸血症
• ビールをはじめとするアルコールはプリン体を 多く含むため、尿酸値が上昇しやすい。
• アルコール自体にも、尿酸の産生を増加させ たり排泄を低下させたりするはたらきがある。
• 飲酒時に一緒に摂るおつまみにも、プリン体を 多く含む食品が多い。
(例) レバー、干物、カツオなど
37
栄養が吸収できなくなります。
時々急性膵炎と同じ症状がでます みぞおちから背中にかけて激痛 他の臓器を溶かして命に関わります
アルコールと膵臓
急性膵炎!
慢性膵炎!
膵炎を繰り返すと・・
膵炎の原因のうち 40%はアルコールです
38
アルコールと糖尿病
厚生労働省HPより
日本酒1合程度、休肝日週2日以上の適度な飲酒はインスリン感受性を 高めたり、善玉のHDLコレステロールを増やして動脈硬化を予防したりして、
糖尿病やその合併症の発症に影響すると考えられています しかし、糖尿病の方がお酒を飲むと、
血糖をコントロールするのがうまくいかなくなり悪化します。
39
アルコールと肥満
•
純アルコール1g=約
7.1kcal →エンプティ・カロリー。
しかし特に醸造酒は糖質が多く、過剰摂取により肥満の 原因となる。
•
アルコールによる食欲増進作用や、高カロリーのおつま みによって、太りやすくなる。
•
アルコール依存症に進展してしまうと、食事を摂らずに飲 酒することが多いため、逆に痩せていく。
•
飲酒のために食事を摂らないのは本末転倒で、アルコー ル依存への進展が懸念され、栄養失調による脳への影 響は甚大。
40
危険因子の数と心臓病のリスク
0 5 10 15 20 25 30 35
3~4 2 1 0
心臓病発症リスク
心臓病発症リスク
危 険 因 子保 有 数
Nakamura T et al; Jpn Circ J: 65, 11, 2001
高BMI、高血圧、高血糖、
脂質異常
41
メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲
男
性:85
cm以上女
性:90
cm以上高血圧
上が
130
以上または下が
85
以上空腹時血糖
110
以上脂質代謝異常
中性脂肪
150
以上またはHDLが
40
未満メタボリック シンドローム 必須 + 2つ以上
メタボリックシンドローム診断基準検討委員会.日本内科学会雑誌2005;94:794-809
42
健康日本21(第2次)
①生活習慣病のリスクを高める量を飲んで いる者を減らす
→1日の平均飲酒量が、
男性で4ドリンク、女性で2ドリンク以上。
②未成年者の飲酒をなくす
③妊娠中の飲酒をなくす
43
体の病気だけでなく・・・
• 飲酒運転
• 暴言・暴力
• 自殺
• うつ病
• 不眠症
• 依存症
社会的問題
精神疾患
44
1ドリンク
=2時間
ドリンク数の計算は飲酒運転対策としても重要
1ドリンク
=2.5時間
45
飲酒運転と多量飲酒、依存症との関連
免許取り消し処分者のうち、飲酒運転検挙の経験をした 男性の36.9%、女性の42.9%にアルコール依存症の 疑いがある
飲酒運転経験の男性61.9%、女性57.1%が、1日 純アルコール60グラム以上の多量飲酒者である
(樋口進、神奈川県警察本部交通部交通総務課;2007)
46
「うっかり飲酒運転」を防ぐために
•
「飲んだら乗らない」は当たり前。しかし・・・
•
2ドリンクで約4~5時間。6ドリンクでは12~15時間かか る。
⇒前夜に6ドリンク以上飲んだ場合、翌朝運転する際には、
アルコールが残っている計算になる。
•
うっかり飲酒運転をしないためには、飲んだお酒のドリンク 数、飲酒時間、分解時間を意識しておくことが重要!
•
飲み過ぎた場合は、翌朝も運転しないこと!
47
アルコールと不眠
• 眠るために飲酒しているとどうなるか?
・少量のアルコールは酔いをもたらし、寝つきをよくする。
・アルコールは、睡眠薬に比べ耐性の増加の度合いが非 常に大きいため、すぐに同じ量では眠れなくなってしまう。
・睡眠薬を怖がる人は多いが、不眠に対しては睡眠薬を使 用するほうが、はるかに安全である。
(ただし、睡眠薬の依存症に注意!!)
48
アルコールと不眠
• アルコールは、睡眠の質を落とす
寝つきは確かに早くなる。しかし・・・。
睡眠の深い相が消失する(特に後半)
→深い眠りがない 利尿作用がある
→トイレで目が覚める
↓
結果、早く目が覚める、何時間寝ても疲れが取れない
49
不眠対策の国際比較
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
国際平均 日本
医師を受診
カフェインを控え る
アルコールを摂 取
睡眠薬を服用
オーストリア、ベルギー、ブラジル、中国、ドイツ、日本、ポルトガル、スロヴァキア、南アフリカ、スペイン Soldatos CR et al.: Sleep Med 6:5, 2005より
%
50
良い眠りのために
• 「光」「運動」「体温」がキーワード
・「光」・・・朝光を浴びると、
15~
16時間後に眠気がくる
寝る前のテレビやPC、布団に入ってからの携帯・スマホは避ける
・
「運動」・・・日中適度な運動を心がける
ただし、寝る前の運動は避ける(3時間前まで)
・「体温」・・・体の芯の体温を下げると眠りやすくなる
体の表面を温める→寝る1時間前までにぬるめの風呂につかる 寝る前の食事は避ける
※興味のある方は、「健康づくりのための睡眠指針2014」(厚生労働省)
をご覧ください(無料ダウンロードできます)
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うつ病と飲酒問題の合併
うつ病 うつ病 + 飲酒問題 (一次性うつ病)
飲酒問題 飲酒問題 + うつ病 (二次性うつ病)
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