COT はトレーダーが注視している指標の一つであり、従来の「伝統的な COT」では、非当業者(Non-Commercial)
の建玉動向が注目されていた。非当業者は現物の受渡しがなく、いずれ手仕舞われることになるため、非当業者の「買 い越し(ネットロング)ポジション」が過剰になると相場が天井を示して下落に転じ、「売り越し(ネットショート)ポジショ ン」が過剰になると相場が底を打って上昇に転じる可能性が高いと見られていた。
その後、インデックスファンドの市場に与える影響力が重視されるようになると、「COT 補足版」の中のインデックスファン ドの建玉動向が注視されるようになった。
現在では、最も情報量が多い「COT 非集計版」を利用するトレーダーが多く、各分類項目における買建玉及び売建 玉の状況を確認している。なかでも、各分類項目のネット建玉(買い建玉-売り建玉)のうち、プロのトレーダーである
「マネージドマネー」のネット建玉動向は、相場の先行きを占う材料としてよく用いられている。
図 32 COT 非集計版におけるマネージドマネーのネット建玉と CBOT とうもろこし価格
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000
(1000) (800) (600) (400) (200) 0 200 400 600 800 1000
2012/1/3 2012/4/3 2012/7/3 2012/10/3 2013/1/3 2013/4/3 2013/7/3 2013/10/3 2014/1/3 2014/4/3 2014/7/3 2014/10/3 2015/1/3 2015/4/3 2015/7/3 2015/10/3 2016/1/3 2016/4/3 2016/7/3 2016/10/3
単位:セント/bu
単位:千枚 CFTC建玉明細
(各分類のネット建玉と価格)
生産・販売・加工業者、ユーザー(ネット建玉)
スワップディーラー(ネット建玉)
マネージドマネー(ネット建玉)
CBOTとうもろこし
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図 33 COT 非集計版におけるマネージドマネーのネット建玉と CBOT 大豆価格
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000
(1000) (800) (600) (400) (200) 0 200 400 600 800 1000
2012/1/3 2012/4/3 2012/7/3 2012/10/3 2013/1/3 2013/4/3 2013/7/3 2013/10/3 2014/1/3 2014/4/3 2014/7/3 2014/10/3 2015/1/3 2015/4/3 2015/7/3 2015/10/3 2016/1/3 2016/4/3 2016/7/3 2016/10/3
単位:セント/bu
単位:千枚 CFTC建玉明細
(各分類のネット建玉と価格)
生産・販売・加工業者、ユーザー(ネット建玉)
スワップディーラー(ネット建玉)
マネージドマネー(ネット建玉)
CBOT大豆
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第 4 節 穀物流通と穀物取引
第 1 項 アメリカの穀物流通
1. アメリカの穀物流通
アメリカの農家は、収穫された穀物を近隣のカントリー・エレベーター(産地倉庫)に販売する。買い付けられた穀物は、
その後集散地にあるターミナル・エレベーターやリバー・エレベーターを経て、輸出港にあるエクスポート・エレベーターに運び 込まれて本船に積み込まれる。
穀物の輸送手段として、農場から近隣のカントリー・エレベーター、穀物加工工場、フィードロットなどへの短距離輸送に は大型トラックなどが用いられる。一方、ターミナル・エレベーターやリバー・エレベーターからエクスポート・エレベーターなどへ の長距離輸送には主に貨車とバージ(艀)が利用されている。
ミシシッピー河口の大穀物輸出基地であるルイジアナ州ニューオーリンズへはミシシッピー川の水運を利用して穀物をバ ージ単位にまとめて運搬している。アメリカの西部太平洋岸のポートランド、カラマ、タコマ、シアトルにも穀物の輸出基地 があり、大量の穀物が日本、韓国、台湾、中国などへ積み出されている。この場合、穀物はユニット・トレイン(1 貨車 100 トン、110 両編成)と呼ばれる列車で中西部の穀倉地帯からロッキー山脈を越えて太平洋岸まで運ばれていく。
穀物の輸送は「規模の利益」を得ることが容易なので、輸送量が大量になればトン当たりの輸送コストはそれだけ安上 がりになる。
2. 海上輸送
ミシシッピー川の河口に位置するニューオーリンズのエクスポート・エレベーターで本船(穀物の海上輸送のほとんどは、
パナマックス型と呼ばれる 5 万 5000 トン級の本船とハンディマックスと呼ばれる 4 万 8000 トン級の本船が利用される)
に積み込まれた穀物は、メキシコ湾を南下してパナマ運河を通り、太平洋を横断して日本へ到着する。ニューオーリンズ から日本までの航海日数は約 33 日である。
アメリカ西部太平洋岸のポートランドを出航した大型船もベーリング海を渡り、アリューシャン列島沿いを南下して日本 へ到着する。ポートランドから日本までの航海日数は約 17 日である。
ブラジルのサントス港で船積みされたとうもろこしは、大西洋を横切って東へ進み、喜望峰を回ってインド洋に入る。イン ド洋を横断してマラッカ海峡を通過し、南シナ海を北上して日本へ到着する。航海日数は 42 日程度である。
アルゼンチンのブエノスアイレス港でとうもろこしを積み込んだ本船は、多くはブラジル大豆と同じ航路を通って日本へ到 着する。しかし、たまにマゼラン海峡を抜けて太平洋へ入り、太平洋を北上して日本へ到着することもある。その場合の航 海日数は 45 日程度である。
日本から南米までは距離が遠いため、海上運賃が値上がりすると価格競争力が失われやすいという問題点がある。
3. 海上運賃
日本向けの穀物の海上輸送の主力はパナマックス型の本船である。この型の本船の運賃は 2014 年 10 月には、ニュ ーオーリンズ・日本間がトン当たり 46 ドルになっている。(ロングトンも用いられることがある。1 ロングトン=2240 ポンド、
1 ロングトン=1.016 メトリックトン)
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海上運賃は 2002 年くらいまではおおむね 20 ドルから 24 ドルくらいの範囲であったが、中国の鉄鋼生産が急増による 原料の鉄鉱石と石炭輸入の急増により、船腹需給がタイトになり、2003 年春に 30 ドルを超えてから急速に値上がりし 始め 2007 年 10 月には 135 ドルと史上空前の値上がりを記録した。その後は、リーマンショックに伴う世界的な景気後 退による需要不振と船腹の供給過剰から値下がりした。
4. 穀物輸出の担い手
アメリカと世界の穀物輸出の担い手は穀物メジャーと呼ばれる大手穀物商社である。大手穀物商社は年間を通じて 農家から穀物を集荷、輸送し、価格競争力のある価格で世界市場へ供給している。世界の穀物取引は大手穀物商 社による寡占化が進んでいる。代表的な大手穀物商社にはカーギル、ADM、バンゲ、ルイ・ドレファスなどがある。大手穀 物商社は全米に穀物集荷網を張り巡らしている。その集荷網を通して穀物を集荷し、輸送し、販売し、輸出に回してい る。大手穀物商社は世界中に販売拠点を持っており、これらの拠点を通して穀物を輸出している。なお、日本への輸送 については、総合商社や全農によって行われている。
大手穀物商社は穀物事業のほか、穀物加工事業や畜産業へ進出して経営の多角化を推し進めており、現在ではカ ーギル、ADM、バンゲなどは世界的な搾油業者に成長している。なお、カーギルは全米屈指の製粉・畜産業者であり、
ADM は全米最大のエタノール製造業者でもある。
大手穀物商社は、1990 年代以降、大豆生産量が急拡大している南米に積極的な投資を開始した。輸出エレベー ターを買収したり、建設したりしているだけではなく、生産地で集荷網を拡張し、地元企業と戦略的同盟を結ぶなどして 大豆の供給力を飛躍的に高めている。2000 年代以降、中国が世界最大の大豆輸入国になり、南米は中国向け大 豆の供給基地になっている。
なお、日本の総合商社も、アメリカの穀物商社の買収を行ったり、南米で穀物集荷網を拡大するなど存在感を高めて いる。