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大豆

ドキュメント内 農産物取引の基礎知識 (ページ 35-39)

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第 2 節 大豆

第 1 項 大豆の商品特性

1. 大豆の歴史

(1)大豆の起源

大豆の起源は非常に古く、中国東北部からロシアのアムール川流域が原産地とされている。中国では 2600 年前の書 物に大豆が登場しており、諸説はあるものの、4000 年以上前から栽培が始まったといわれている。日本には、朝鮮半島 を経て、縄文時代には伝来したと考えられおり、古事記にも「五穀豊穣」の「五穀(稲・麦・粟・小豆、大豆)」の一つと して記載されているなど、稲作と一緒になって田んぼの畦で栽培されてきた長い歴史がある。

大豆の欧米への伝播には日本が密接に関係しており、ヨーロッパ人にとっての大豆及び大豆食品の歴史は、フィレンツ ェの商人で「世界周遊記」を書いたフランチェスコ・カルレッティが 1597 年に日本の長崎を訪れた際に「味噌」について記 述したのが記録に残っている限り最も古いといわれている。また 1613 年にはイギリス国王ジェームズ一世の使節として徳 川家康宛の書簡を携えて来日したイギリス東インド会社艦隊司令官ジョン・セーリスも日本の「豆腐」について記録を残 している。実際にヨーロッパに伝わったのは大豆よりも先に大豆食品で、最初に輸入された大豆食品は 1670 年にオラン ダ人がフランスのルイ 14 世のために日本から持ち込んだ「醤油」だといわれている。一方、大豆そのものがヨーロッパに伝わ ったのは 18 世紀初頭で、1730 年代にはオランダやフランスで栽培の記録が残っている。

米国に大豆が伝わったのには諸説があり、1804 年に帆船の重石(バラスト)として袋詰め大豆が使われて米国に持 ち込まれたのが最初だという話もある。米国が世界最大の大豆生産国として名乗りを上げるようになったのは、1930 年 代から 40 年代であり、第二次世界大戦が勃発して食用油の輸入が止まってしまったため、食用油の原料として急速に 栽培が広まった。1930 年から 1942 年の 12 年間で、大豆の世界生産量に占める米国のシェアは 3%から 46.5%に 急拡大し、1942 年以降は中国を抜いて世界最大の大豆生産国として君臨している。

(2) 大豆市場の構造変化

第二次世界大戦後、世界的な人口増に伴う食肉需要の増加に伴い、高蛋白の飼料原料である大豆ミールが注目 され、米国での大豆生産は急拡大していく。しかし、1970 年代になると米国だけでは世界の大豆需要を賄い切れなく なり、これに関連するエポックメイキング的な出来事が、1973 年のニクソン大統領による「大豆輸出禁止措置」である。

1972 年秋以降、世界的な大豆の不作やアンチョビの不漁等により大豆価格が値上がりし、1973 年には、1月に4ド ルだった大豆の先物価格が6月後半には 12.12 ドルになるなどわずか半年で3倍になった。これを受け、米国は国内 需要を満たすことと国内の飼料価格及び食品価格の抑制を最優先に考え、6月に大豆輸出禁止措置を発表した。こ のことは日本をはじめ大豆輸入国に大きな衝撃を与え、特に、日本は当時約 340 万トンの大豆を輸入し、その9割以 上を米国に依存していたことから、大豆食品業界は大混乱に陥った。この禁輸措置は9月には解除されたが、このことは、

大豆の大輸入国である日本に対して特定の国だけに大事な大豆を依存することの怖さを認識させることとなり、その後、

大豆調達の分散化、多様化が叫ばれるようになった。

南米、特にブラジル・アルゼンチンはこの20年間で大豆の一大生産地として急成長を遂げているが、その歴史は古く ない。ブラジルが注目を浴びるようになったのは、1970 年代後半に突然中国を抜いて世界第二位の生産国に躍り出て からである。このブラジルの急激な成長の背景には、1973 年の米国による大豆輸出禁止措置があり、日本も深く関わっ ている。ブラジルは、今でこそ大豆を含む農産物の大生産国・輸出国だが、1970 年代前半までは農産物の純輸入国

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だった。そのため、農地拡大はブラジルにとっても悲願であり、そこで注目されたのが「セラード」と呼ばれるサバンナ地帯であ った。この場所は土壌が農業に適さず、肉牛生産のための放牧が行われている程度であったが、開発にあたって日本が 技術的な援助を行い、大豆生産を促した。この理由としては、日本は 1973 年の米国による大豆輸出禁止措置で調 達先多様化の必要性を痛感していたからに他ならない。なお、アルゼンチンでも 1970 年代半ばから生産量が拡大して いる。

米国は 1942 年以来(1947 年を除く)世界最大の大豆生産国の地位を維持してきたが、近年、ブラジルに追い上 げられている。2002/03 年にブラジルとアルゼンチンの南米 2 カ国の大豆生産量が米国を追い抜き、その後輸出量でも 南米 2 カ国が米国を抜いている。

一方、消費の面でも、従前、米国が世界最大の消費国であったが、2008/09 年に中国が世界最大の大豆消費国 となり、以降。その差は拡大している。また、ブラジルとアルゼンチンの南米 2 カ国の合計消費量も 2002/03 年に米国を 上回っている。

このように、大豆市場は生産、消費の両面で大きく構造が変化している。

2. 大豆の品種・用途

(1)品種

大豆はマメ科の一年草で、品種は植物学的に茎の生育習性によって「無限伸張型」と「有限伸張型」に分類される。

「無限伸張型」は原生種の性質に近く、大豆原産地である中国東北部や米国などで栽培されているもので、下から順 番に花を咲かせながら茎が伸びていき、やがて先端が衰えて止まる。「有限伸張型」は日本などで栽培されてもので、下 に花が咲くとやがて茎の先端にも花がついて茎の伸張が止まる。

大豆の品種群はさらに、粒の色(黄色、緑色、茶色、黒色)、粒の大きさ、ヘソ(種子と莢の連結部分)の色(白 目、黒目、茶目等)、葉型、早生晩生の別などにより多くの品種に分類されている。

1996 年以降、米国を中心に遺伝子組換え品種が導入されると、生産コスト削減と単収向上が図れるとして、除草 剤耐性品種(例:ラウンドアップレディ)の栽培が急速に広がった。大豆はとうもろこしよりも遺伝子組換え品種の導入 スピードが速く、2000 年にはとうもろこしより 5 年早く作付比率が 50%を超え、2012 年には 93%になっている。一方 で、日本やヨーロッパでは遺伝子組換え品種の安全性に対する懸念が根強く、日本の食品メーカーは食品用大豆には 非遺伝子組換え大豆を用いている。

(2)大豆の特性と用途

大豆は、水分含有率 13%ベースで蛋白質が約 35%、油分が約 19%、炭水化物が約 28%、灰分が約 5%含ま れている。

大豆の用途は、主に「食品用」、「大豆ミール」、「大豆油」の 3 つに分けられる。大豆は、日本人にとって豆腐、納豆、

味噌、醤油の原料としての「食品用」のイメージが強いが、世界的には、「大豆油」と「大豆ミール(大豆粕)」の原料と しての位置付けが強い。

飼料原料は、配合飼料における割合が大きいものは主原料、少ないものは副原料と呼ばれている。主原料の代表格 はとうもろこしであり、副原料の代表格が大豆ミールである。大豆ミールは、蛋白組成分が約 44%の「ロープロ」と約 48%の「ハイプロ」に分けられる。日本はロープロ主体であるが、米国ではハイプロ主体である。

大豆油は、大部分がてんぷら油やサラダ油、あるいはマヨネーズやマーガリンなどの原料としての食品用に用いられるが、

その他にも塗料や潤滑油、印刷インク、バイオディーゼルなどの工業用にも用いられる。競合する植物油としては、パーム 油、菜種油、綿実油などが挙げられる。

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大豆 1 ブッシェル(bu)を圧搾して生産される「大豆ミール(ハイプロ)」と「大豆油」の生産量は以下のとおり。

3. 大豆の生育

大豆は主要生産地である米国において以下のような生育過程を経て収穫されるが、大豆は作付地帯が北はカナダ国 境から南はメキシコ国境と広く、品種も多いことから生育期間は地域や品種によって 3 ヶ月から 5 ヶ月と大きく異なること に留意する必要がある。

大豆は、植物学的には光周期性の高い作物であり、開花や着莢(さや)が昼の長さ(日照時間)で決定されると いう特性を持つ。生育状況に関わらず、秋の訪れとともに成長が止まる。大豆の生育は以下の通り、大きく4段階に分 類できる。

① 播種(Planting)、発芽・出芽(Germination and Emergence )

米国では、5 月から 6 月上旬にかけて、とうもろこしより 10 日ほど遅れて作付けが行われる。地温が華氏 50℃

(摂氏 10℃)以下では発芽はきわめて不良になるので、華氏 55℃(摂氏 12.7℃)から 60℃(摂氏 15.5℃)になるのを待って作付けが開始される。気温や土壌水分に左右されるが、作付け後、5 日から 20 日 程度で発芽する。

② 開花期(Flowering 又は Blooming)

発芽から約 1 ヶ月後、7 月から 8 月前半にかけて開花が始まる。無限伸張型の品種が多い米国の場合、主茎 下位から上に向かって次々と枝分かれした節の付け根に花が咲き、その後、受粉する。積算温度が重要なとうも ろこしとは異なり、大豆は光周期感受性の強い作物であり、夜の時間の長さ(暗期)が開花に影響を与える。

③ 着莢期(Setting Pods)

8 月から 9 月初旬にかけては着莢期と呼ばれ、大豆生育の中で最もデリケートな時期である。莢の伸張は開花・

受粉後 5 日目頃から始まり、20 日目頃に最大の長さになって結実期に移り、子実が成長する。着莢から結実が 進むこの期間は登熟期と呼ばれ、光合成が活発に行われるため、十分な降雨があって土中の水分・養分が豊富 に供給されることが望ましく、気温も日中が華氏 80 度台(摂氏 26.7 度から 31.7 度)、夜間が 60 度台(摂 氏 15.6 度から 20.1 度)、平均で 75 度(摂氏 23.9 度)が理想的といわれる。

④ 落葉期(Dropping Leaves)、収穫期(Harvest)

子実の成長が終盤に差し掛かると、葉や莢が黄変して落葉が始まり成熟期を迎える。その後、莢の色は茶色に 変色し、早ければ 9 月中頃から収穫が始まる。

大豆は完熟すると莢が割れて実が落ちてしまうので、とうもろこしより先に収穫が行われ、そのピークは 10 月前半 である。

大豆

(1bu=60ポンド=27.2kg)

大豆ミール

(44ポンド=20kg)

大豆油

(11ポンド=5kg)

(4ポンド=1.8kg)

残渣

(1ポンド=450g)

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