マイナス幅が縮小すること)」を「ベーシスが強含む」といい、逆に「現物価格が先物価格に対して相対的に下落するとき
(=ベーシスのマイナス幅が拡大するかプラス幅が縮小すること)」を「ベーシスが弱含む」という。
ベーシスの強含み・弱含み
現物価格が先物価格に対して
相対的に上昇(強含み) 現物価格が先物価格に対して
相対的に下落(弱含み)
0 100 200
-100
-200
【ベーシス】
ベーシスが強含む ベーシスが弱含む
・
ベーシスのブラス幅が拡大・
ベーシスのマイナス幅が縮小・
ベーシスのマイナス幅が拡大・
ベーシスのプラス幅が縮小 ベーシス=現物価格 ― 先物価格98
(2)「ベーシス買い・ベーシス売り」とベーシスの変動による損益
「ベーシス買い(Buy basis 又は Long Basis)」とは、ヘッジ活動において、新たに売りヘッジを開始したり、買いヘッ ジを終了したりするために「現物買い・先物売り」を行うことをいう。
「ベーシス売り(Sell basis 又は short basis)」とは、ヘッジ活動において、新たに買いヘッジを開始したり、売りヘッ ジを終了したりするために「現物売り・先物買い」を行うことをいう。
「ベーシス売り」を行ったときの「売りベーシス」と、「ベーシス買い」を行ったときの「買いベーシス」の差がベーシスの変動に よる損益になる。
(3)ベーシスとヘッジ損益
最初に「ベーシス買い」を行った売りヘッジャーにとっては、「ベーシスが強含む(現物価格が先物価格に対して相対的 に上昇)」とベーシス変動による利益が生じ、逆に「ベーシスが弱含む(現物価格が先物価格に対して相対的に下 落)」とベーシス変動により損失が生じる。
最初に「ベーシス売り」を行った買いヘッジャーにとっては、「ベーシスが弱含む」」とベーシス変動による利益が生じ、逆に
「ベーシスが強含む」とベーシス変動により損失が生じるになる。
(例:ベーシスの弱含み、売りヘッジャー)
現物 先物 ベーシス変動 ベーシス分類
6/1 (買)12,000 円 (売)12,200 円 ▲200 円(買いベーシス) ベーシス買い 8/2 (売)11,000 円 (買)11,600 円 ▲600 円(売りベーシス) ベーシス売り 損益 ▲1,000 円 +600 円 ▲400 円(=▲600 円-▲200 円)
(売りベーシス-買いベーシス)
▲400 円
(例:ベーシスの強含み、売りヘッジャー)
現物 先物 ベーシス変動 ベーシス分類
6/1 (買)12,000 円 (売)12,200 円 ▲200 円(買いベーシス) ベーシス買い 8/2 (売)11,000 円 (買)11,000 円 0 円(売りベーシス) ベーシス売り 損益 ▲1,000 円 +1,200 円 200 円(=0 円-▲200 円)
(売りベーシス-買いベーシス)
+200 円
(例:ベーシスの弱含み、買いヘッジャー)
現物 先物 ベーシス変動 ベーシス分類
6/1 (売)12,000 円 (買)12,200 円 ▲200 円(売りベーシス) ベーシス売り 8/2 (買)11,000 円 (売)11,400 円 ▲400 円(買いベーシス) ベーシス買い 損益 1,000 円 ▲800 円 +200 円(=▲200 円-▲400 円)
(売りベーシス-買いベーシス)
+200 円
99
(例:ベーシスの強含み、買いヘッジャー)
現物 先物 ベーシス変動 ベーシス分類
6/1 (売)12,000 円 (買)12,200 円 ▲200 円(売りベーシス) ベーシス売り 8/2 (買)11,000 円 (売)11,000 円 0 円(買いベーシス) ベーシス買い 損益 1,000 円 ▲1,200 円 ▲200 円(=▲200 円-0円)
(売りベーシス-買いベーシス)
▲200 円
(4) ベーシスリスクの例
①第 1 項買いヘッジの例で、飼料メーカーである A 社が 12 月時点の現物価格(45,000 円/t、税抜き)に対して大 豆先物市場で 6 ヶ月後の 6 月限(46,000 円/t)を 40 枚買い建てた。
その後、大豆現物価格が上昇して 6 月時点では 7,000 円/t 値上がりして 52,000 円/tになったのに対し、大豆先 物価格は 6,000 円/t だけ値上がりして 52,000 円/tになったとする。
ベーシスは、「▲1,000 円」から「0 円」に強含んだため、買いヘッジャーとして最初にベーシス売りをした A 社にとっては、
ベーシス変動によって損失が発生することになる。
現物 先物 ベーシス変動 ベーシス分類
12/1 (売)45,000 円/t (買)46,000 円/t ▲1,000 円/t(売りベーシス) ベーシス売り 6/1 (買)52,000 円/t (売)52,000 円/t 0 円/t(買いベーシス) ベーシス買い 損益 ▲7,000 円/t 6,000 円/t ▲1,000 円/t(=▲1,000 円/t-0円/t)
(売りベーシス-買いベーシス)
▲1、000 円/t
② 先物取引で得られる利益: 600 万円=(52,000 円/t-46,000 円/t)×25t×40 枚
③ 大豆の購入費用: 5,200 万円=52,000 円/t×1,000t
④ 先物取引とあわせた購入に係る費用: 4,600 万円=5,200 万円-600 万円
A 社は当初の 12 月時点の現物価格(45,000 円/t)よりも条件が 1,000 円が悪い 46,000 円/tで大豆を仕 入れたことになる。ただし、この場合でも、ヘッジをしないで仕入価格が 52,000 円/t になるリスクは回避できたことにな る。
第 3 節 ロールオーバー(ローリング・ヘッジ/スイッチ取引)
第 1 項 ロールオーバーは
ヘッジャーがヘッジの期間を延長するために行う取引のことをロールオーバーあるいはローリング・ヘッジまたはスイッチ取 引とよんでいる。
100
ロールオーバーは、ヘッジャーの行うヘッジ対象期間が長期間の場合、先物市場の流動性が乏しい市場や 6 ヶ月以 上先の限月の設計がない市場が多いことから、短期間の流動性の高い限月を複数回乗り換えて決済期限を繰り延べ ることで、長期間のリスクヘッジと同じ効果を得ることを目的とする。一旦建てたある限月のヘッジ・ポジションを手仕舞いし、
目標価格確保が可能と思われる期先の限月へもう一度同様のポジションを建て直すもので、期先の限月に取引の評価 損益を繰り延べし、かつ、現物ポジションを動かさずに、先物ポジションを入れ替えるコストだけで、新しいヘッジ・ポジション を組成することができる。
第 2 項 ロールオーバーの例-小豆先物市場で買いヘッジ
小豆問屋が TOCOM の小豆先物市場を利用して、長期間の小豆の値上がりリスクをローリング・ヘッジする。
①1 月限を 1 枚買建てし、約定価格は 12,000 円/袋であった。
②1 月になり、スポット価格と同じ 12,500 円/袋で手仕舞いし、同時に 2 月限を 1 枚買建てる。このときの約定価格 は 12,700 円/袋であった。
③この時点での買いヘッジによる 1 枚分の調達コストは、12,200 円/袋(=12,700 円/袋-(12,500 円/袋-
12,000 円/袋)
第 4 節 裁定取引
裁定取引(アービトラージ:Arbitrage)とは、ある 2 つ以上の市場価格の間に一定の関係が存在するとの仮定の もとに、一定の関係から大きく逸脱した価格が形成されていると判断し、かつ将来的にその関係と整合的な価格水準に 収束することが予想される場合に、相対的に高いほうを売って、安いほうを買うことで利益を上げようとする取引のことであ る。
とうもろこしや大豆市場において活発に行われる裁定取引としては、異地点間(場所の違いによる)裁定取引(ロケ ーション・アービトラージ)、異時点間裁定取引(タイム・アービトラージ)が挙げられる。以下では、これらについて詳しく 解説する。
ロールオーバー
買い 12,700 円/袋
2 月限 1 月限
12,000 円/袋
仕切 買い
12,500 円/袋