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7―3―9.裾 1)裾芯据え

ドキュメント内 表紙AAA (ページ 72-76)

オリジナル資料の裾に使用されていた芯は粗い織りの白い麻生 地であった。同じ材料はなかったため粗い織りの麻芯を中心に何 種類かの材料で裾始末の試作をしたうえで復元用の裾芯を選定 した。

①正バイアスに裁断した芯地を裾のカーブに合わせてアイロンで 形づけてからヘムの端に芯の裁ち端を沿わせ、重ね置く。

②芯同士の接ぎはタテ地同士ではなく、バイアスで裁ち切り重ね接 ぎする(絹穴糸)。また裾線のカーブが強い箇所ではアイロンで のくせづけがしきれず、地の目に沿って切り込みを入れ余った部 分を重ねてとじる(絹穴糸)(写真130)。

写真127 肩ゴム(復元ドレス)

図30 前中心断面図(オリジナル資料と同様)

写真128 背レース接ぎ(復元ドレス)

写真129 背レース付け(復元ドレス)

写真130 裾芯(余り分の処理、復元ドレス)

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③オリジナル資料では芯を表生地に止めた形跡が見当たらなかっ たが、将来にわたり形が安定するよう復元ドレスでは出来上がり 裾線の下際にノ刺し(絹ミシン糸#50)、芯の上部では表生地縫 い代および表生地の織り柄の裏に当たる部分で奥まつりを施し た(絹ミシン糸#50)。無地の部分にはまつり目が表にひびくため

奥まつりは行っていない。

2)未処理の裏生地の始末

①前脇線のタック裏では前身頃、脇身頃それぞれの表生地・裏生 地の釣り合いをとりながら表生地タックの隆起の上にかぶせつつ 前身頃裏生地の縫い代を芯に中とじし(絹穴糸)、脇身頃の縫 い代を折りかぶせてまつった(絹ミシン糸)。タック上端は表生地 裏生地一緒に切り揃え、きわをとじて(絹穴糸)からテープでくる んでパイピング始末をした(絹手縫い糸)(写真131)。

②後ろ中心線の裾近くの未処理の裏生地箇所を始末した。表生 地とのつりあいを確認した上右身頃の縫い代を芯に中とじし(絹 穴糸)、左身頃をかぶせて縫い代を折りまつった(絹ミシン糸)

(写真132)。

3)裾まつり

①裾の出来上がり線でヘムを芯と共に折り上げ、ヘムと芯を交互に すくい八の字にまつる(絹穴糸)(写真133)。オリジナル資料では 裾線のカーブによって生じるヘムの余り分を特に処理していない ので大方はそれに倣ったが、復元ドレスでは特に強いカーブの 箇所においては裾線が安定するようにヘムに小さなタックをとっ た(絹ミシン糸#50)ところもある。

②裏生地のヘムを内側に折り込み、表生地とのつりあいを確認した 上で表裾出来上がり線より0.5〜0.8cm 控えてかぶせ、まつる

(絹ミシン糸#50)。

4)裾裏フリル

①フリル布をミミ同士中表に合わせ、0.75cm の縫い代で手縫いで 接ぐ(絹穴糸)。フリルの山形のカットの模様が接ぎ目でずれな いように注意した。縫い代は片返しした。

②ギャザー用のぐし縫いをする(絹穴糸)。

③一幅ごとにオリジナル資料と同じ長さにギャザーを寄せて整え、

ギャザーの縫い目の上に軽くアイロンを当ててギャザーを落ち着 かせておく(写真134)。

写真131 前タック奥始末(復元ドレス)

写真132 後ろ中心縫い代始末(復元ドレス)

写真133 芯に裾をまつる(復元ドレス)

写真134 裾裏フリル・ギャザー寄せ(復元ドレス)

67 写真135 裾裏フリル端(復元ドレス)

④ギャザーを寄せたフリルを裏裾の所定の位置に配置し、芯まで 通して裏生地に止めつけた(絹穴糸)。フリルの端は縫い代を内 側に折り込んで裏生地にまつった(絹穴糸)(写真135)。

⑤芯まで通して所々でフリルを裏生地に固定した(絹穴糸)。

7―3―10. まとめ

1) ドレス後ろタック寄せリボン

オリジナル資料には2.4cm 幅のシルクリボンが使用されていた が、手に入らなかったため同じ位の厚さや織のポリエステルリボン を使用した。長さ約42cm のリボンの端を0.5cm 折り後ろ身頃と脇 身頃の縫い目の後ろ側の縫い代に裾から115cmと更に12.5cm 上の位置に甘撚り糸で左右止め付け、4本のリボンの先は斜めに 切り揃えた(写真136・137)。

2) フリンジ

7―3―7の2)で作成したフリンジを拡大した写真で1本ごとに付 け位置を確認し、フリンジのビーズに通した糸をそのまま使用して、

返し針で止め付けた(写真138)。

写真136 リボンの止め方(復元ドレス)

写真137 ドレス後ろタック寄せリボン(復元ドレス)

写真138 ビーズ飾り(右前肩・左前肩・左後ろ肩・右後ろ肩、復元ドレス)

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写真139 インサイドベルト鉤ホック(復元ドレス)

3)インサイドベルト

ピーターシャムのインサイドベルトを約70cm で用意し、左右の切 端を0.5cm ほど折り曲げてボタンホールステッチで始末し、鉤ホッ クを止めつける(甘撚り糸)。入手できたピーターシャムのテープが ほどけやすく同じ強度の物は手に入らなかったため、部分縫いと復 元ドレス実物制作の際にはグログランテープを使用した(写真 139)。

出来上がったインサイドベルトを前身頃脇寄り2本のボーンにウ エスト位置でクロスに糸が二回渡るように止め付けた(甘撚り糸)

(図31、写真140)。

4) レーシング用紐と金具

オリジナル資料のレーシング用紐に付いている金具は長さ2 cm、口径0.35cm の円錐形で、口近くに小さい穴があいていた。こ の穴は糸を通して紐を固定するためのものと思われるが、オリジナ ル資料では糸は通されていない。紐は金具の先端からわずかなが ら見えるまで貫通している。

これと同じ形状の金具は手に入らなかったため、現状でできる範 囲での手法で作ることにした。金具金属の定性分析によると、鉄、

錫が検出された(4)が、これらは容易に加工できる素材ではないた め、加工しやすい銅及び銀を使用し試作した。思いのほか細かい 細工が必要となるため、銅では納得出来る仕上がりにならなかった ことから銀で作った金具を採用した。

金具にレーシング用紐を通したが、紐の幅、硬さがオリジナル資 料と異なったため、金具の先端まで貫通させることはできなかった。

不安定なため口近くの小さい穴から紐に糸を通し、金具に巻き付け てしっかり固定させた(写真141)。

(1)Grimble, Frances., Lavolta Press San Fran-cisco, CA, 1998, pp.429−430

(2)Arnold, Janet 2 , Quite Specific Media Group Ltd. Hollywood, CA, 1966, pp.54−55

(3)株式会社パワー

(4)犬塚将英、「杉野学園衣裳博物館所蔵の衣装で使用されている金属部 分の定性分析」、東京文化財研究所、2009.

(文責:ドレス復元)

図31 インサイドベルトの止め方(オリジナル資料)

写真140 インサイドベルト付け(復元ドレス)

写真141 レーシング用紐と金具(復元ドレス)

ドキュメント内 表紙AAA (ページ 72-76)