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7 復元ドレスの制作

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前肩(左) (右)

前肩(右) 前裏身頃(後補布)

前裏身頃(後補布)

ンのつながりがなめらかでない、左右差がある、肩部のパターンが 未解明である、など課題があった。

現在の日本では、紙でパターンを作る方法が一般的であるが、

フランスのオートクチュールなどでは、立体裁断で組み立てられた シーチングがそのままパターンとして裁断に使用されることもある。

オリジナル資料が制作された当時、裁断に使用されたパターンが シーチングを使用したものである可能性は十分考えられ、それによ る誤差が生じることも考えられる。またラインのつながりは小さな凸 凹をならす程度で修正、左右差はそのまま生かす、肩部は始めは 後補布(前肩)のパターンで検討する、との方針でトワル作成をし た。

胸ドレープは、オリジナル資料と同じドレープ形状とビーズ刺繍 部分からの襞の流れが同じになるように形状を重視し組み立て た。

トワルは作成途中の復元ドレス仮縫い用の人台に着装させ検討 した(写真98)。その結果は以下のようであった。

①身頃全体のシルエット、胸ドレープ、裾線はほぼ問題がない。

②前脇接ぎ線のタックはほぼ問題ないが、オリジナル資料に残って いた後ろ接ぎ線の小さなタック跡がここでは反映されていない。

③前肩部が不明であり、前身頃との接続がなされておらず、裏身 頃とのみ接続していることから前身頃(表生地)を支える構造に なっていない。そのため構造的に不安定である。

④前肩が裏身頃と接続している位置と角度が左右で違う。

⑤前肩のみならず、後ろ肩の角度が左右で違い、人台に着装させ た際左右ともアームホールが形よく納まらない。

⑥袖(レース)付けと形付けが大変複雑でオリジナル資料に近付 け難い。

以上から問題点を検討した。

②については、現状のオリジナル資料では後ろ接ぎ線にはタック がなかったが内部の縫い代やミシン目に痕跡があった(写真87)た め、復元ドレスには縫い代に残されている縫い跡に沿いタックを入 れることとした。

③についてはこの1回目のトワルを表生地のみで作成したた め、特に裏生地の前身頃で支えられている胸、肩に問題が生じた ことがわかった。裏前身頃は胸の広い範囲にわたり欠損していたた め、検討パターン(図6)を次回のトワルに生かすこととした。これに より、裏生地の前身頃は肩が続くパターンとなった。また裏生地の布 幅による制約から肩部の傾斜が1回目と大きく異なる事になった。

④・⑤のアームホールが形よく納まらない点については、以下のよ うに検討を重ねた。

肩についているビーズ刺繍(後から刺し直した跡がありラインス トーンが外れて、ビーズのみで長さを付け足した跡がある)、後補と 思われる表生地(途中で布が途切れていてオリジナルの表生地と 違うサテン地が付いている)、後補と思われる裏生地(タテ地の目 でオリジナルの裏生地とも違う長方形の布が止め付けてある)(図 18)の3つの視点を踏まえ、定規とメジャーによる計測、不織布、綿 オーガンジーによる計測(写真99)、ビーズ部分のトレースなどにより 多方面から製図を検討した。身頃とあわせて組み立てて見たが、

依然オリジナル資料同様に脇下部分が余ってふくらみが出来、肩 の納まりが悪かった。後ろの部分は表生地に沿って裏生地も同じ 形状が付いており、それは当時のドレスでは一般的な形状であっ た。後ろ肩の流れに沿ってオリジナル資料のアームホール寸法を変 えずに前の部分を前身頃につながる形に作図した。その際肩の ビーズ刺繍のビーズとラインストーンの数や形状を出来る限り変え ずに済む肩形状になるよう検討した。オリジナル資料は左右もかな り長さが違っていたが、オーダーメードによるドレス制作ということを 考慮すると左右が違うことは十分考えられる。結果として長さには 多少の違いはあるものの、傾斜はほとんど同じとなった。

正面 右側面 左側面 背面

写真98 復元ドレス1回目トワル

図18 オリジナル資料に付いていた肩布

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写真100 復元ドレス2回目トワル

2)2回目トワルによる検討(裏生地、ボーン付き)

1回目検討結果を踏まえ、表生地の訂正及びラインの微調整

(パターンのつながり、長さ合わせ、合印など)を行った。裏身頃パ ターンは、脇、後ろ身頃は表身頃と同形であると考え、表生地のパ ターンの裏側に裏生地の接ぎ線を記入し、作成した。前裏身頃パ ターンは図6及び7―7―1の復元ドレス裏生地のパターン検討結果 を参考に作成した。トワルはオリジナル資料の縫い方に準じて作成 した。既存のマネキンに1900年前後の体型を参考にして綿を積 み、肉付けし、下着としてコルセット、ペチコートを着装させたうえで トワルを着装させた(写真100)。その結果検討事項は以下のようで

あった。

①1回目のトワルと比較してマネキンの体型・形状がドレスに合っ たことでかなりフィット感が出て時代性を感じさせるものになっ た。

②裏生地の前身頃ネックラインの位置が高い。

③インサイドベルトの付け位置の妥当性について。

④胸レースの高さ、左右差を含めた落ち着き具合が適切かどうか。

⑤胸レース奥のシフォンの分量と付け方が不明である。

⑥前脇線上部の前裏生地が表生地となじまず、つれが生じる。

⑦肩(アームホール)はマネキンの肉付けでかなり解決したものの、

まだ納まりが悪い。

⑧アンダースリーブの不明点が多い。

以上から問題点を検討した。

②については、裏生地の前身頃ネックラインの高さは、パターン修 正で低くなり、それに伴い③前身頃ボーンの位置、インサイドベルト の付け位置が下がり妥当な位置に納まった。

④の胸レースはネックラインの左右差が大きく不自然な印象が あったので、寸法の短い左端位置を移動した。また裏に止めつけら れているワイヤーは胸レースを立たせておく役割と波状になったワ イヤーを絞ることでレースにギャザーを寄せる役割があったと思わ れるが、復元に使用したプラスティック製のワイヤーはオリジナル資 料と異なり、絞った形状を保つことが難しいため、レースを糸で縫い 絞ることにした。

⑤については、胸レース奥のシフォンは上部がわ!になっていたと 考えられるので、それを踏まえた上でギャザー分量を検討しおよそ のパターンを作り、マネキン上での補正により調整した。

⑥の前裏生地の前後のつれは裏生地のミミにかからない範囲で ラインを修正した。

⑦については、肩部分のパターンを更に検討し、傾斜を合わせた。

⑧については、オリジナル資料ではアンダースリーブの袖山はワ

イヤーにギャザーと思われる布片が糸でかがりつけられていた。袖 口は多くの部分が欠損していたが袖口の縫い糸は残されていた。

オリジナル資料の袖丈、袖山の高さ、袖幅が不明だったためパター ンの決め手に欠けていたが試作を繰り返し、袖レースの形に影響 が出ない程度のボリュームに納まる袖山のギャザー分量と袖口幅 を推測した。また参考資料として同時代の衣裳の中にアンダース リーブが含まれるいくつかのパターン例を比較検討した(1,2)結果、

表袖を支える役割のアンダースリーブの存在、そして極端なパター ン形状ではないこと、オリジナル資料に残っていた袖下線の縫い目 の位置が前よりであることの妥当性等の確認ができた(図19)。最 終的にオリジナル資料に残された袖下部分の形状及び寸法と袖 口の地の目と上述の袖山のギャザー分量と袖口幅の推測を合わ せてパターンを決定した。

以上の過程を経て表身頃及び裏身頃の復元用パターンを確定 した(図20・21)。

写真99 オリジナル資料の綿オーガンジーによるパターン取り(肩)

正面 右側面 左側面 背面

図19 同時代のドレスとそのアンダースリーブパターン

55 写真101 表生地裁断(柄配置、復元ドレス)

写真102 表生地裁断(復元ドレス) 写真103 表生地裁断(柄確認、復元ドレス)

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