展示用マネキンは専門業者(3)に製作を委託した。製作に当たっ て、ボディの形状は10―3において製作した人台の形状を基に、
実際に着装させる復元ドレスのトワルと復元ドレスを使用しながら、
形状の調整をアトリエ後藤ならびに杉野服飾大学オープンリサーチ 担当者と協議の上、製作した。
10―4―1.製作工程 1)原型製作
製作した人台の形状をトレースし、発泡スチロールでボディ形状を 再現した(写真158)。これと並行して頭部と腕の粘土原型を製作 した(写真159)。
手の表現は手に小物を持たせることができるが、小物を持たせ
なくても不自然ではなく、ドレスの造形を損なわない形状にした。
頭部のモデルには、フランスのファッション雑誌である『Femina
(1902年)』の表紙より、当時の時代と本研究対象のウォルトのイヴ ニングドレスのイメージと合う写真を選んだ(写真160)。
これらをボディとのバランス、演出性を考慮し、抽象形状での 表現を造形監修しつつ、ボディ全体から細部にわたって補正を 繰り返し、完成に近づけた。
2)簡易型
1)で、おおよそ完成した原型を FRP 製品にするため、全パー ツの簡易の雌型(1体のみを成形するための石膏雌型)を取った
(写真161)。
写真159 頭部と腕の粘土原型製作
写真158 製作した人台のトレース
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写真162 FRP 製品の成形
3)FRP
(4)製品成形
2)の簡易型に FRP 成形(ポリエステル樹脂とガラス繊維)し、
素材を発泡スチロールから樹脂製に変え、加工性を上げ、軽量化し、
強度と耐久性を持たせた(写真162)。
4)FRP 製品の修正と部材等の組付け
発泡スチロールや粘土では補正しきれない微妙な形状を補正し、
各ジョイント部分に金属の組付けを行った(写真163)。
写真164 FRP 製品仕上げ
5)FRP 製品仕上げ
FRP 原型の補正が完了した あと、表面の細かな起伏、気泡 などをパテで 修 正した(写 真 164)。
写真165 彩色
6)彩色
ボディにラッカー塗装した(写真 165)。
ボディの 色は 、復 元ドレスの 表生地の色、ならびに展示会場の 照明の色温度とのバランスを考慮し、
アイボリーを選定した。
7) カツラ製作
カツラの製作に先立ち、髪の表現について抽象的にするか具体 的なものにするか、検討を行った。
頭部の目・鼻の表現が抽象的ではあるが比較的顔の表現として ニュアンスが残っていることを考慮し、髪の表現もこれに合わせ、
具体的なものとした。ヘアの色を淡い色にすることにより、柔らかい 雰囲気と抽象的な雰囲気を持たせるよう工夫した。
写真166 カツラ製作
1)の原型の頭部で参考にした グラビア写真の頭部に合わせて 作ったカツラ下 に PP 繊 維を 縫付けてスタイリングし、安定剤 にて固定する。カツラのヘアの 色味は、ボディの色同様全体の バランスを考 慮して選 定した
(写真166)。
写真161 ボディの簡易型を取る
写真163 FRP 製品修正 86
左側面 正面 背面
写真167 展示用マネキン(完成)
8)完成
(写真167)(文責:隅田登紀子)
註
(1)Paul Nadarl、『ベル・エポック:ナダール写真集−La Belle Epoque』、
立風書房、1985
(2)株式会社キイヤ
(3)株式会社七彩
(4)FRPとは Fiber Reinforced Plastics の略で、和訳は「繊維強化プラス チック」である。FRPは軽量で丈夫な素材として、マネキンの素材に利用 されている。
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