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(注)3回の調査すべて10名未満であったカテゴリーはrその他』

 として扱った。

Table 3−15 調査実施月ごとの不安カテゴリーへ

の  論

_』垂』蟹先輩いじめ生活ない部活クラスそ碗

4月   135  133   35   25   20   20   15   11

5月   58 107 17  6  9 72 22  2

7月    40  105   5   5   14  60   19   2

598

 11

(注)3回の調査すべて10名未満であったカテゴリーは「その他」

 として扱った。

(4)中学校入学前後での生徒の学校適応感及び希望の変化

 中学校への移行が生徒の学校適応感や希望にどのような影響を与えているかを 検討するために,中学校入学前の児童の学校適応感及び希望(第2章の調査)と 入学後の生徒の学校適応感及び希望(第3章の調査)のデータを用いて,時期(2)

×性(2)の分散分析を行った(Table3−16参照)。ただし,中学入学前の調査(第 2章)で用いた学校生活適応感尺度の下位尺度である「部活動」は,中学入学後 の調査では使用しなかったために,今回の分析では割愛した。

 その結果,学校適応感の合計,下位尺度の「自己肯定感』と「友人関係」にお いて,性の主効果が有意であった。学校適応感の合計と「友人関係」では,女子 が男子よりも得点が高く,「自己肯定感」では,男子が女子よりも得点が高かっ

た。また,時期の主効果は,学校適応感の下位尺度のr教師との関係」とr学習

意欲」において有意であり,中学入学後に「教師との関係jは低下し,「学習意 欲」は上昇していた。希望にっいては,時期の主効果が有意であり,中学入学後

に希望得点が上昇していた。

Table3−16 中学入学前後の学校適応感及び希望についての

学校生活適応. 希望

自己 教師 友人 進路 学習 合計 ANOVAのF値

 時期    3.9+ 7.9** .6  .1

 性27.7**.62L2**1.7

 時期X性  .1 1.1 。5 .0

5、8*   .3   5.2**

1。2 12.9** .8

。0  .6  .4 平均値

 3月男子M3.3 3.0 3.6

   (5〃) (.8)  (,9) (1.1)

  女子〃 2.9 3.1 4.0    (5功(.8)(1.0)(1.0)

  合計M3.1 3.1 3.8

   (Sの(.8)(1.0)(1.1)

 4月男子M3.4 2.9 3.7

   (5〃) (.9)  (.7) (1、0)

  女子M3.1 2.9 4.5

   (5η) (.9)  (.8)  (。9)

  合計ノレf 3.2  2.9  3.9    (5〃) (.9)  (.8) (1.0)

 ︶  ︶  ︶  ︶  ︶  

695969795969 3︵3︵3︵3︵3︵3︵

2.8 43.6

(.8)(7.0)

2.9 46.0

(。8) (6.7)

2.9 44.8

(.8) (7.0)

3.0 43.7

(.8) (6.5)

3.1 45.3

(.7) (6.4)

3.0 44.5

(.8) (6.5)

21。9

(6。1)

21.8

(5.9)

21.8

(6.0)

23.3

(5.9)

22.6

(5.7)

22.9

(5.8)

(注)自己=自己肯定感,教師=教師との関係,友人=友人開係,進路=

進路意識,学習=学習への意欲,全体=学校生活適応感得点の合計,

ANOVAの自由度はゴ声1/607,**ρ〈.01,*ρ〈.05

4 考察

(1)学校生活適応感と希望の関連

 学校生活適応感と希望との相関 中学入学後の生徒の学校適応感と希望との関 連を検討したところ,希望と学校適応感の間には密接な関係があることが確かめ られた。特に学習への意欲や進路意識との相関が高いが,学習にっいては,第2 章において,入学前の児童が中学校生活への目標や不安として多くあげていたこ

とから,特に中学校移行後のこの時期に希望と高い関連を示したのかもしれない。

 希望の変化と学校生活適応感との関連 中学入学後の希望の変化と学校適応感 の関連を検討したところ,適応感得点の変化は,希望得点の上昇と下降にほぽ〜

致しているといえる。すなわち,因果関係までは明らかではないものの,希望が 上昇すれば学校適応感も良好になり,希望が下降すれば学校適応感も低くなる傾

向があると考えられる。このことは,高い希望はよりよい包括的適応に関連して いるとする多くの相関的な研究(例えば,Kwon,2002)を支持するものといえる。

(2)プログラム実施の効果

 学校適応感及び希望の変化 中学入学後の生徒の学校適応感及び希望の変化を 検討したところ,学校適応のための介入プログラム実施などの操作を加えていな い統制群にっいては,時間経過に伴う学校適応感の大きな変化はみられなかった。

中学校入学後に適応感が下降するという,これまでの多くの研究結果(米澤,

1986;小泉,1995;澤田他,1996など)とは異なっていた。松林(2003〉でも,入学 後に適応感が上昇し,その後安定していることから,中学校移行が必ずしも学校 適応感にネガティブな影響を与えるとはいえず,学校や地域の特性による影響が 大きいと考えられる。また,統制群の希望の変化については,有意差が検出され,

4月から5月にかけて上昇していた。中学入学後の生徒の希望の変化を研究した先 行研究が見あたらないために比較検討することはできないが,生徒の希望は中学 入学後1ヶ月は,強まっていくと考えられる。

 次に,プログラムの実施を行った実験群1と実験群2について述べる。実験群1 は,4月から5月にかけて希望得点が有意に上昇しており,プログラム実施の効果 が確認された。また,学校適応感においても,実験群1は,5月の事後調査におい て,統制群よりも適応感得点が有意に高く,プログラム実施の効果がみられた。

一方,実験群2に関しては,プログラム実施の効果は確認できなかった。適応感 得点では,事後調査(5月)で有意差が検出され,実験群2の得点は,統制群に比べ 有意に下降していた。また,希望得点では,実験群2のみ,プログラム実施後に 得点が有意に下降していた。このような結果となった理由の一つとして,面接の 有無があげられる。実験群1に関しては,個別面接の実施をプログラム開始当初 から生徒達に伝えてあったために,活動の目的が伝わりやすく,生徒自身が自分 のための活動という意識を持ちやすかったと考えられる。一方,実験群2に関し ては,終始クラス全体への働きかけのみのプログラムであったために,自分自身 の問題という意識が低くなり,プログラムの効果が負に働いたのではないかと考 える。二っ目の理由として,学級全体の特質の差の影響が考えられる。実験群1 と実験群2では,4月の事前調査時から,学校生活適応感に有意差がみられ,特に

下位尺度のr教師との関係」で,大きな差がみられる。このことが,プログラム の実施を肯定的に受けとめるか,それとも否定的に受けとめるかの違いに現れ,

上述のような結果になったのではないかと考える。

 目標達成への自信得点と不安の高まり得点の変化 目標達成への自信と不安の 高まりに対するプログラム実施の影響を捉えるために,自信得点と不安得点の変 化を検討した。その結果,統制群の目標達成への自信は,4月から7月にかけて大 きな変化はなかった。このことから,多くの生徒の目標や不安の内容は4月から7 月にかけて変わっているが,目標達成の自信度はそれにともなってそれほど変化

しないと考えられる。

 プログラムの効果については,実験群1にみられ,プログラム実施後に自信得

点が上昇していた。しかし,実験群2に関しては,5月と7月に自信得点が統制群 より有意に低く,プログラムの効果はみられなかった。原因としては,前述の「学 校適応感及び希望への効果」と同様の原因があったと考えられる。

 不安については,全体的な傾向として,不安得点が7月まで上昇していること から,中学校へ入学してから7月までは不安は高まり続けると考えられる。その ような時期に,実験群1については,プログラム実施後に不安得点が有意に低く,

プログラムの効果がみられた。しかし,実験群2には有意な差は検出されなかっ

た。

 性に関しては,自信得点に有意差は検出されなかったが,不安得点においては

4月から5月にかけて女子が男子に比ぺて高かった。このことから,中学入学後し ばらくは男子より女子の方が不安が高まると考えられる。澤田他(1996)は,中学

校への移行に際し,女子は男子に比べ不安定であるとしており,本研究で得られ

た性差についての結果もその影響がみられるのかもしれない。

 生徒の活動状況及び希望と学校適応感の関連 ここでは,プログラム実施時の 生徒の活動状況と希望及び学校適応感との問にどのような関連があるかを捉える ために,ワークシートと振り返りシートを得点化して,それらの関連を検討した。

 その結果,サブ目標得点が高いほど,学校適応感が有意に高いことがわかった。

下位尺度の「学習意欲」と「進路意識」において,群間に有意差が検出されてお り,学習意欲や進路意識が高い生徒は,低い生徒に比谷て,プログラムの活動状

況(例えば,「目標を明確にする」「短期目標や長期目標を設定する」などの目標 達成の程度)が良好であったといえる。一一一方,群間に時期の差が確認できなかっ たことから,プログラムの活動状況の違いと学校適応感及び希望の変化との関連 は明らかにできなかった。

 振り返り得点に関しては,群間に希望得点と適応感得点の有意差が検出され,

プログラムの活動を楽しみ,「もっとやりたい」とか「役に立つ」と感じた生徒 は,希望や学校適応感が高いことがわかった。また,下位尺度の「教師との関係」

の得点に最も大きな差がみられたことから,生徒が楽しく活動できたり,その有 用性を感じることには,教師との関係が大きな影響を与えていると考えられる。

また,希望に関しては,振り返り高群は7月まで上昇を続け,逆に振り返り低群 は7月まで希望が下降した。このことから,因果関係までは明らかではないもの の,希望が高い生徒はプログラムを楽しみながら活動でき,プログラムの内容を 肯定的に捉えているといえる。

 次に,生徒の活動状況と希望との関連をもう少し詳しく検討するために,希望 得点が1SD以上変化した生徒(25名)を対象として,個別にプログラムの効果を 検討した。その結果,プログラム実施後に希望が上昇した生徒の8割以上の者が,

被験者の平均よりも学校適応感が上昇しており,プログラムの活動により希望が 高まった生徒の多くは,学校適応感もともに上昇することが確認できた。プログ ラムの活動状況については,希望が高まった生徒と低下した生徒の間に大きな差 はみられず,活動の中で目標が一貫していることやサブ目標や長期目標の設定の うまさと希望との関連はみられなかった。このことから,本研究においては,プ ログラムの活動状況と希望には関連があるとはいえないことが個別考察からも確 かめられた。また,振り返りシートの「楽しく活動できたか」r役に立つと思う か」の質問項目については,希望得点が上昇した生徒に肯定的な解答をが多かっ たものの,有意な差は見られず,個別考察からは希望上昇と振り返りシートの解 答との関連性はあるとはいえない。

(3)目標及び不安の内容

 ここでは,中学入学後の生徒の目標及び不安の内容っいて検討した。その結果,

目標については,入学直後の4月には部活動に関することを目標とする生徒が最