負担のかからないような機器の導入や独自開発(C社)、フルタイムでの勤務が難しい高年 齢者のためのワークシェアリングの導入の検討(A社)、業務内容のマニュアル化の推進(D 社)、といった取組がみられた。
労働者側については、健康に留意することはもちろんのこと、定年後の自分の人生につ いてきちんと見通しをもって欲しい(A社)、自施設利用者との信頼関係を構築して欲しい
(B社)という意見もあった。
2.ヒアリング調査結果の概要
高年齢者を雇用している(継続・新規)企業ヒアリング調査結果の概要
ヒアリング対象企業 高年齢者の新規雇用の採用基準・採用方法 高年齢者の勤務条件等 高年齢者活用のメリット・デメリット 「年齢に関係なく働き続けることのできる場」
創出のために必要なこと A社
粉末冶金製品の製造販売
【定年制】
○ 定年は60歳。継続雇用制度あり。
○ 高年齢者には高い経験値を求めている。
○ 社内の業務の中には、高度な技術力・高い 経験値が必要とされるものがあるため、そ の分野に社内の人材が育っていない場合 は、高年齢者を雇用することになる。
○ 現在雇用している高年齢者は、取引先の大 手企業からの紹介である。
○ 継続雇用した場合の年収は、それまでの約 5割となる。
○ また定年後は、原則として、それまでとは 異なる部署に配置することになる。同一の 部署では、後進が気を遣ったり、役職の問 題が発生するからである。
○ 高度な専門技術・知識を必要とする場合も あるが、その点については、ケース・バイ・
ケースで検討していく。
○ 高年齢者が有している技術や知識を引き 続き活用できることは大きなメリットで ある。
○ その一方で、高年齢者が増えていくと、組 織の年齢構成を崩すことになるので、若年 者の雇用を進めにくくなることはデメリ ットである。
○ 高い専門性が求められる業務や対外的な 業務についてはフルタイム労働を原則と したいが、生産ラインについては、ワーク シェアリングを取り入れて、労働者の希望 に合わせることのできる勤務体系を構築 することが可能だと感じている。
○ 労働者には、定年後の自分の人生について 早い段階から考えるようにして欲しい。そ れにより、自分がどれだけ働かなければな らないか等が判断できるのではないか。
B社
介護老人保健施設
【定年制】
○ 定年は65歳。継続雇用制度あり。
○ 仕事の内容は年齢を問わず同じであるた め、採用時点で年齢を問うことはない。
○ 福祉に対する考え方や熱意、仕事をする中 で自分が何ができるかを考える前向きな 姿勢が必要→面接および筆記試験を課す。
○ 介護に関する資格の保有は問わない。
○ 実際には、一人を除き、経営者や職員の紹 介等により採用している。
○ 「デイサービス利用者の車両による送り 迎え」と「利用者在所時の介護サービス提 供」が中心的な業務であるため、基本的に 夜間勤務はない。
○ 施設利用者の大半が70代後半以上の高齢 者であるためそうした者たちにとって 60 代前半の従業者は自らの子どもと同じぐ らいの年齢となる。このため施設利用者に
「自分の子ども」と接するような気持ちを 醸成させることができるというメリット がある。
○ 若い社員が仕事に行き詰まったときに高 年齢者に相談すると、総合的に物事を捉え たコメントをしてくれるので、そのコメン トが若い社員にとって非常に大きな財産 となる。
○ 施設方針を「利用者にとっても職員にとっ ても自分の第二の家庭」としており、職員 の年齢層は大家族をイメージした構成に なるよう配慮している。このため、ある程 度の数の高年齢者の雇用は今後も継続し ていく。
○ 介護に関連する仕事は「人対人」であるた め、労働者には利用者との信頼関係を構築 することを求めている。
C社
アパレル製品の検品・補修・物流業務
【定年制】
○ 定年は60歳。ただし希望者全員を正社員 として65歳まで勤務延長。さらに72歳ま で同じ条件で勤務延長できる。ただしベー スアップは65歳まで。
○ 実質的には希望者全員を年齢無制限で、勤 務条件を変えずに勤務延長している。
○ 正社員の場合は、繊維製品に対する知識を 有していることが不可欠である。繊維製造 業だけでなく、商社や流通業界等でのアパ レル製品の仕入れの経験者も対象となる。
○ パート社員に関しては特に経験・知識は求 めていない。
○ 募集はハローワーク等を活用している。
○ 高年齢者特有の勤務条件はない。
○ 勤務延長者については、原則、それまでの 職場で働き続ける。
○ 新たに雇用する高年齢者については、入社 後全ての課で研修を行ってから、最終的な 配属を決定する。
○ 正社員の平均年齢が57.8 歳なので、高年 齢者は特別な存在ではなく、60 歳を超え てからようやく“一人前”である。したが って、高年齢者活用に関して、メリットや デメリットは感じていない。
○ 高年齢者の体に負荷のかかる作業に関し ては、専門機器を導入したり、独自に作業 機器を開発したりすることにより解決し ている。したがって、体力面を理由として やめる人はほとんどいない。
○ 年齢に関わらず、製品に対する最新の知識 等を身に付けるために、週に3時間、全社 員を対象に、教育訓練の時間を設けてい る。
D社
人材派遣事業(科学技術開発の研究支援)、
アウトソーシング事業
【定年制】
○ 定年は65歳。ただし希望者については70 歳まで1年ごとの継続契約(社員全員が1 年ごとの契約)。
○ 経験等は考慮するが、必須条件とはしてい ない。業務の多くがマニュアル化されてい るので、特に専門的な知識等は必要として いない。
○ ただし、体力を使う仕事が多いので、採用 時には健康診断を受診してもらい、その結 果を考慮する。
○ 定年後の継続契約期間の年収は、それまで の7割程度に下がる。
○ 年収以外の勤務条件(仕事内容、勤務時間 等)は、派遣先である顧客からの要望によ る(時間はおおむね6〜8時間)。
○ 人材派遣事業、アウトソーシング事業とも に、コスト削減の必要性が高くなってお り、その点、賃金が割安な高齢者の活用は 必要不可欠である。
○ また、健康であれば長期にわたって勤務し てくれる、若い社員の相談相手になる等の メリットがある。
○ 企業側は、明るく働きやすい職場環境を整 備することが必要と考えている。
○ また、業務の繁閑の差が大きいケースが多 いので、仕事先で不安にならないよう、積 極的にコミュニケーションをとる必要が ある。
○ 労働者側に対しては、健康に留意するこ