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図4-19 各周波数におけるマグネットの線材単位体積のlサイクル当たり交流損
失の中心磁界振幅依存性。 周波数依存性はほとんど無く、 損失は主に庸歴損失で あることがわかる。 0: 10Hz, ム:25Hz、 口:50Hz
Central magnetic field(T)
-189-磁界成分も小さいのでそれに付随する不安定性も無いと考えれる。 従って、 ACク エンチ電流の低下は主に交流損失による巻き線の温度上昇が原因であると推測さ れる。 そこで交流損失測定の結果から線材の温度上昇を計算し、 それによる臨界
電流値の劣化を温度スケーリング員'Jを用いて見積もる。
導体の交流損失はマグネットの磁場分布によって異なるがここでは導体の長手 方向の熱伝導が無いと仮定すると、 定常状態における撚線温度上昇LlTは以下の
式で計算される。
w= s cλhLl T / d t (4-9)
ここでWは撚線単位長さ当たりの交流損失、 入hはエポキシ含浸されたガラス編 組の等価熱伝導率、 d tはその厚さでありまたs cは層間およびスぺーサーで覆わ れた部分を除いた撚線単位長さ当たりの冷却面積である。 クエンチ点と予想され るマグネット最内層の中心部の磁界はクエンチ時に はl. 46 Tとなりその時の履歴 損失は750kW/川、 結合損失は235kW/m3と見積もられる。 従って、 撚線単位長さ当
たりの損失、 w= O. 12W/mとなる。 さらに各パラメーターの値としてエポキシ含浸 されたガラス編組の等価熱伝導率、 λh= O. 03W/mK、 その厚さd t = O. 16mm、 単位
長さ当たりの有効冷却面積sc= O. 63X10-3m 2を用いて計算するとクエンチ点の撚 線の温度上昇、 L1T=l.OKとなる。 従って撚線温度は5.2Kに なる。
一方、 通常のNb3Snのピンカの温度スケール員'Jは次式で与えられる[139]。
F p (8、T)= C BC2 (T)2. 5 [B/Bc2(T)] Q. 5 [1 - B/Bc2(T)] 2 (1-10)
また上部臨界磁界の温度依存性は以下のスケール員'Jで求めた。
-1 9 0
-B C 2 (T) = B C 20 [ 1一(T/Tc) 2J (4-11)
ここでTC = 14 K (実測値〉であ り、 BC20=25Tを用いた。 上式を用いてDCクエ ンチ点であるl. 63 T、 4.2Kと50H zのクエンチ点であるl.46 T、 5.2KのFpの比 によりJc比を計算すると、 JcO.46T、5. 2K)/ J c(l. 63T、4. 2K) = O. 96となる。 こ の値は実際の比195/217=0.9にほぼ一致する。 従ってACクエンチ電流の低下は主に 交流損失による巻き線の温度上昇が原因であることが明らかになった。
-191-0.6000V
-0.6000
60.00V
-60.00
84/01/01 00:54 S円MPLE:0.50 ms
I
0.0
V
0.0
図4-20 小型マグネットのクエンチ時の電流一電圧波形。
-192-1000.0ms
1000.0ms
.,,-一同、
電司に
、�
に:>
DC
50Hz Ic of cable
〆
150 100 50 350
250 200 300
‘、‘EE,,,Tll ,,EEEEE、
図4-21 小型マグネットのロードライン上のクエンチ点の周波数依存性と撚線の
1 c
-
B特性。
-193-4. 5 交流用線材としての適用可能性と今後の課題
以上のようにCu合金バリアを用いたブロンズ法により、 フィラメントのサブミ クロン化が達成され、 超伝導特性の優れたNb3Sn線材を交流周波数で定常的に逆転 可能であることが明らかとなった。 開発した線材の交流用としての現状での到達 度を、 第l章で論じた比較指数ç c;で評価する。 表4-3に示すD線材の諸元を用い て(1-18)式により計算を行うと、 5じ= O. 14となり現状の開発線材を用いて交流機
器の超伝導化は経済的にも十分可能であることが示された。 しかしながら交流用 NbTi線材と比較すると 交流損失はまだ大きく、 NbTi線材の交流応用と競合する領 域においては実用化を目指してさらにフィラメントを縮径化を図る必要がある。
一方、 現状での適用を考えた場合、 Nb3Snの利点を活かした適用範囲として、
( 1) O. 5 T程度の小磁界振幅領域で外的擾乱が大きい条件での使用
( 2)高磁界下においてそれに重畳した小磁界振幅領域での使用 (3) 4.2K以上の比較的高温度下での小磁界振幅領域 での使用 などが考えられる。
また、 本製法における交流用Nb3Sn線材の更なる高性能化に向けての方針として、
さらに縮径化された健全なサブミクロンサイズのフィラメントを製作するために、
( 1 )拡散バリア厚さを大きくし、 Sn濃度をさらに低下させる。
( 2)それにより中間焼鈍回数を減らし、 焼鈍温度を低下させる。
( 3 )押し出しには等方的に圧力が加わり、 均一なメタルフローが期待される静 水圧押し出しを導入する。
ことが必要である。 一方、 近接効果の更なる抑制、 及び結合損失を低下させるた めに、
( 4)拡散バリアにSi、 門nをさらに添加する。
以上の点に留意して開発を進めることが必要となる。
-194-表4-3 ブロンズ法により開発されたD線材の諸元
線径、 D O. 18mm
フィラメントィ至、 d f O. 3 1μm 占積率、 λ O. 1 3 5
臨界電流密度Jc(lT) 14800A/mm2 マトリクス比抵抗、 ρ 1. 28X10-7Qm
(均一化処理後〉
ツイストピッチ しp 1. 8mm
-19 5
-4. 8 まとめ
Cu合金拡散バリアを用いたブロンズ法によりサブミクロンサイズのフィラメン
トを有する交流用Nb3Sn極細多芯線材の開発を行った。 さらに開発された線材を用 いて小型マグネットを製作し、 商用周波数での通電特性を調査することにより交 流用線材としての可能性の検討を行った。 開発した線材の特性、 及びマグネット の通電特性の結果は以下に要約される。
( 1 )ブロンズ法の製作過程におけるSnのNbコアへの拡散を制御するために、 新
たにCu合金の拡散バリアを設計 ・ 導入し、 フィラメントのサブミクロン化 に成功した。
( 2) Cu拡散バリアへのS i、 Mnによる元素添加、 及びフィラメント間隔の制御に
より、 近接効果によるフィラメント間結合に伴う磁化増大はフィラメント 間隔0. 3μmまで観測されず、 その結果O. 3μmのフィラメント径が達成 された。
( 3 )生成反応後の残留Sn濃度が2.5w t %以上確保された条件においては、 ブロ
ンズ中のSn濃度が比較的高く、 かつコアサイズがO. 5μm以下の線材では 5500C以上の、 従来の生成熱処理と比較しでかなり低温の熱処理でNb3Snが 生成すること、 また反応が促進する熱処理温度以上であれば、 低温長時間 の熱処理が低磁界での高Jcイヒの条件であることが明らかになった。
(4)フィラメント径0.31μmの試料のJcを熱処理により制御することにより、
:t 0.5 Tでの履歴損失は12.18kJ/m3から1.75k J /m3まで低下し、 ま
-1 96