視認性試験結果の評価区分
(JIS S 0102: 2000) 50点以上:見やすさについて若干の問題があるので,このまま使用する場合は理解度の評価点が85点以上でなければならない.
100mを下限に測 定したため実際 はさらに短い
視認性の評価で 75 点を満たしたサンプル 視認性の評価で 50 点を満たしたサンプル 実験1と実験2で 順位変動が起きたサンプル 視認距離が
150m を超えたサンプル
実験 1と実験 2 が高い相関関係にあり(相関係数 : .82),静止環境における見やすさと動的環境による見 やすさの関連性が高いことを示している.これは,比較的安全な状態で行える静止環境において 150[m]
地点からの見やすさを評価すれば良いということを示唆している.
4.4.2 造形に関するデザイン指針
現行で用いられている雨 G4 は,突出して視認性が高い.視認距離の平均値が 200[m] を超え,走行 実験においてもほとんどの被験者が「よく見える」と回答した.雨 G4 は,地(背景)となる黒(非点灯)
の割合が最も多く非常にシンプルな表現となっている.地と図のバランスや形の単純化は,雨 G4 の表現 を指標に行うべきことが伺える.
続いて,ほぼ雨 G4 との差がなく,2 つの実験で共に高評価となったのは,火災の G3,故障車の G3,
横風の G1 であった.これら3点に共通することは,雨 G4 と同様に単純化された簡潔な表現であることや 地の割合が大きいことにある.また,車の図材が大きいことや図材が左右非対称に構成されていることな どもあげられる.左右非対称の構成は,図材の識別を高める効果があるものと推測される.
これら3点を含め,図を黄で表し,なおかつ黄の色面が大きいサンプルは,総体的に視認距離が長く,
走行実験による評価で高得点を得ている.この結果は,色彩学や安全色等で導かれている「視認における 黄と黒の組み合わせの優位性」と一致している [ 注 12,13 ].以上から,情報板シンボルでは,図の基調 色に黄を使用し,黄の色面が大きくなるような構成が効果的であると言える.
黄の使用に関連しては,実験 1 の結果で見られた特徴から警戒標識の表現方法に関する指針について も得ることができた.現行の警戒標識を用いた情報板シンボルは,黄◇のフレームを使用しているため,
フレーム内に描かれたグラフィカル・シンボルが小さく認知し難いという問題がある.横風と災害は,どち らもこれに該当する標識であるが,フレームを排除し,中身のグラフィカル・シンボルのみを黄で表すこと で視認性は格段に向上した.しかし,ドライバが道路標識を再現した情報板シンボルとして認知できるか,
警告されていることが理解できるかなどについては検証が必要である.
一方,視認距離が短く,走行実験によって「見にくい」と評価された渋滞 G5,雪 G4,高波 G1,高波 G3(視 認距離のみ),チェーン G5,低速作業車 G2 などに共通することは,図材数が多いことや表現が細かいこ となどにある.図材の数が 5 つを越すと評価が低く,4つでは評価が高い場合と低い場合に分かれる傾 向が見られた.この結果は,Karin らが報告した要素数に関する知見と概ね一致する [ 注 14 ].また,この 中で渋滞 G5,高波 G1,低速作業車 G2 は,LED を格子状に発光させながら 3 次元的な表現をしている.
この結果から,図材の数を極力少なくし,3 次元的な表現を避けるべきことが伺える.
以上の考察から,情報板シンボルの視認性を向上させるデザイン指針として造形に関する以下の 5 項目 をあげる(表 4 - 3).
①余白を広くする(背景の無点灯部)
② 図材は左右非対称に構成
③ 基調色に黄を用いる
④ 図材数を3〜4に留める
⑤ 3次元的な表現を避ける
=図材を平面的に表現し構成する 視認性を向上させるデザイン指針
①余白
視認性の高いシンボル 視認性の低いシンボル
少 多
100 点201m
100 点199m
100 点199m
161m70 点
166m82 点
171m72 点
185m95 点
150m 105m
137m57.5 点
165m75 点
151m90.0 点
124m30 点
127.8m 22 点
126.9m 15 点
141m45 点
少 多
②左右の 対称性 非対称 対称
③黄の割合 高 低
④図材数
無 有
⑤立体表現
無 有
(フレーム)
表 4 - 3 視認性を向上させるデザイン指針
・基調色に黄を用いること
・図材数を 3 〜 4 に留めること
・3 次元的な表現を避け図材を平面的に表現し構成すること
4.5 おわりに
第4章では,情報板の設計要領に即した条件で,高速道路空間における情報板シンボルの「見やすさ(視 認性)」を定義した.続いて,この定義を基に情報板シンボルの評価基準と評価方法を設定した.
この評価基準と評価方法を用いて,情報板シンボルの「見やすさ」を2つの実験で検証し,造形に関す る指針を示した.
第 5 章では,第 4 章と同様に情報板の設計要領に即した条件で,情報板シンボルの「意味内容」と造 形に関する「制約条件」を設定する.次に,これらの 2 つの設定内容と第 2 章から第 4 章までに得た知 見の妥当性を検証するために,ドライバへの理解度調査を実施し,情報板シンボルの伝達性を評価する.
1
株式会社高速道路総合技術研究所,設計要領第 5 集 交通管理施設編 可変式道路情報 板設置要領,東日本,中日本,西日本高速道路株式会社,20142 JIS S 0102,- 消費者用警告図記号―試験の手順 - ,2000
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4 日本色彩学会,新編 色彩科学ハンドブック 第 3 版,東京大学出版会,2011 5 大辞林,第 3 版 ,三省堂,2006
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Road Signs and Signals, United Nations Treaty Series, 1091, 3-58, 1968
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pdf#search=%27 道路標識設置基準 %27,2018 年4月閲覧
9 飯田 克弘,鈴木 彩希,蓮花 一己,高橋 秀喜,糸島 史浩,田坂 真智,道路情報板 に表示されるシンボルの情報伝達機能の評価,交通工学論文集,vol.2,no.2 ,pp.
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10 濱田 俊一,道路標識等概説 3 案内標識の視認性(標識の設置位置)等に関する研究 の動向,交通工学,vol.23,no.2,pp.55-62,1988
11 高速道路交通管制技術ハンドブック編集委員会,高速道路交通管制技術ハンドブック,
電気書院,2017
12 JIS Z 9101,安全色及び安全標識―産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則(ISO 3864 - 1:2002),2005
13 日本色彩学会,新編 色彩科学ハンドブック 第 3 版,東京大学出版会,2011
14 S, Karin,M. Smuc,F. Windhager,A Message for You,Infrastructure and Safety in a Collaborative World,Springer,pp 243-261,2011
注および参考文献